獅子と天使のコンチェルト   作:レオ2

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おはようございます。
今日はリリリリがアニサマですね。皆さんが頑張ってください!!


新たな始まり

(昨日のパーティーから一夜が明けた。私を取り巻く環境は少しずつだけどまた変わり始めている)

 

 朝7時のアラームで目覚めた美夢は,眠い目を擦りながら自室の窓を開いた。そうすると夏独特の風が美夢を刺激する。

 目の前には自分の家の庭があって,その真ん中で赤い道着を着ている人が見えた。

 

「——!」

 

 彼は庭を荒らさないようにコンクリートの場所で準備運動を始め,突きや蹴りを放ち風圧を起こす。それらが終わったかと思えば今度は腕立て伏せを始め,それが終われば今度は腹筋運動,体幹トレーニングも終わらせていた。

 

「凄い……」

 

 美夢はそれほど体力がある訳でもない。筋トレとかもするわけでもない。普段のダンスの練習や歌う事で体力をつけている状態だ。

 お友達に彼と同じく筋トレをする人達はいるが,彼女たちと獅子では目的が違う。

 

 コンコン! 

 

 獅子のトレーニングの様子を見ていたら,背後からノックが聞こえて入って来たのはお手伝いさんだった

 

「美夢お嬢様,朝食の準備が整いましたのでお着換えが終わればリビングまでお越しください」

「はい。ありがとうございます」

 

 彼女は一礼した後に出て行った。美夢が獅子のいる方を見ると,獅子の方にはじいやが行っていた。

 

(今日からは獅子さんが家にいる生活になるんだ) 

 

 桜田美夢の,新しい日常が始まったのだった

 


 

 美夢は獅子と共に家を出た。いつもならじいやが送って行ってくれるのだが,今日は連星を会社まで連れて行くらしいので美夢が辞退した。獅子もいるのでせっかくならば歩いて行こうと思ったのだ。

 隣の獅子を見ると,彼は美夢を見ようともせずに目を閉じていた

 

「そ,そう言えば獅子さんってよく目を閉じていますよね。どうしてですか?」

 

 折角獅子といるのだから何か話をしたかった。獅子は眼を本当は開けているのではないかと思う程に信号は守るし小さな子供は避けている。

 

「ただの修業だ」

「修業……ですか?」

「相手の行動を見てから迎撃しても間に合わないからな。周りの気配や空気の乱れで動けるようになった方が便利だ」

 

 あの日のような銃弾や,スピード自慢の相手との戦闘において遅延した行動は命取りとなる。それを補うために精神を統一し不測の事態にも対応するための修業だ。

 

「あ,あの時炎が来る前に避ける事が出来たのって……」

「あれは外の空気が変わったからこそあのカフェに集まった人たちの乱れだな。1人動いた程度じゃそこまでだけどあれだけの人数が一斉に動けば流石に分かる」

 

 それが分かるのが凄いんだけども,と美夢は思った。あの日の獅子の戦闘シーンだってネットで見た解説動画を見て初めて何が起こったのかを知った程だったのだから。

 

「凄いですね……」

「別に,昔からやっていた事だ。こんなもん俺じゃなくても出来る」

「そんな事ないと思いますけど……」

「美夢ちゃん!!」

 

 美夢が呼ぶ声が聞こえ背後から抱き着いてきたのは

 

「み,みいこちゃん!?」

 

 みいこは獅子には目もくれず美夢の香りを嗅いで

 

「美夢ちゃんいい匂いなの」

 

 相当絵面がR的に不味い気もするが,獅子は至って平常運転だ。

 

「あ,獅子さんもおはようなの!」

「……ああ。君はぶれないな」

 

 普通有栖川学院の通学路で付き添っている大学生の男なんて普通はアウトだ。今日からは獅子がガードとして付くと既に学校へ報告をしてあるから校門前までは来れるが,それ以上は無しである。

 

「ん? みいこはみいこなの!」

 

 みいこを見ていると少し調子が崩れる。まだ獅子の事を怖がっている人達の方が多いと言うのにみいこだけは至って普通,それも普通過ぎて獅子も少し心配になるレベルで。

 

「それから,私は君じゃないの,みいこなの! だからみいこって呼んで!」

 

 この流れはどこかで見た流れだと思った獅子は,美夢を見ると彼女も同じことを思い出していたのか苦笑していた。

 

「因みに呼ばなかったらどうなる?」

「え,呼ばなかったら? うーん,あ! お馬さんにするの!」

(サイコパスか己は)

「その代わり,みいこも獅子君って呼ぶの!」

(あのイタズラ娘もそうだが何故君付け)

 

 内心のツッコミは空しく空を切り結局みいこのペースになってしまった。

 学校が近づいてくると,徐々に他の生徒達も見えてくる。ちらほらと獅子達をみて話す生徒もいたりして,おまけにその殆どがお嬢様だったりするので少し居心地が悪かった。

 校門まで来ると,美夢達が振り返った

 

「それでは獅子さん,送ってくださってありがとうございます」

「ただの仕事だ。さっさと行け」

「獅子君またねなの!」

 

 美夢達に背を向け獅子は自分の大学へと足を向けた。と言っても大学も同じ町にあるので1限目には間に合うはずだ。

 大学に着くと1限目の教室へとそのまま向かい席に着く。今日が獅子の対面での授業再開日,獅子が教室に現れたのを見た他の生徒達はざわざわと戸惑いの反応を示す。

 

「……」

 

 その内の1人……さおりも獅子へと視線を向けていた。

 1限,2限と授業を終えた獅子は中庭のベンチに座りいつものおむすびを食べだした。今日はかつおだ。

 未だに獅子へと視線が向けられているが,ここまで来るとお前ら気配隠せよとも思う。

 

「ごちそうさま」

 

 本当は美夢のお手伝いさんが獅子のお昼を作ってくれようとしたのだが,丁重に辞退した。あの家のお弁当なんて喉に通る気がしないし自分はこの方が楽だし良い。

 

「今更だけど,あいつ忙しすぎるだろ」

 

 そう言ってスマホを見ると,美夢の1週間の予定表が映っていた。大体毎日何かしら予定が入っている。勿論オフの日も何日かあるがそれを鑑みても動いている。それでいて本人は毎日が楽しそうなのだから凄いなと純粋に思う。自分が高校生の時なんてこれ程動いていた記憶なんてこれっぽちもない。

 

「はぁ,敵を潰すだけなら楽なのにな」

 

 ガードは倒すのとは違う。それが分かっているから大きなため息をついた。

 

「ねえ,ちょっと良い?」

 

 そんな時,後ろから声をかけられた。振り返るとそこにはさおりがいた

 

「なんだ?」

「美夢ちゃんの事なんだけど……」

 

 こうしてさおりとまともに話すのは,去年の歓迎会の日以来かと思った。

 

「み,美夢ちゃんに変な事とかしないでよ」

 

 変な事とは個人差あるとも思うが,男女の間で通じる変な事は限られる。

 

「色々ツッコミたい所はあるが,答えはそんなもんしねえよ。俺自身,あいつへの興味なんてない。あいつの親父にまんまと嵌められたから今に甘んじているだけでMOAがぶっ潰れたらさっさと離れる」

 

 ストレスしか感じていない。ガードに付く代わりに美夢の家に居候と言う形になっている。それは本来有難さを感じるべきなのかもしれないが,正直あの環境はよろしくない。

 先程連星から連絡が来たのだが,何故か獅子用のトレーニング器具が一式が届いたので使ってくれとの事だ。完全に外堀から埋められている気がする。

 

(俺からすれば日高がなぜあいつのガードに付いたことを知っているのかの方が知りたいが……どうせリリリリの誰か経由だろ)

 

「それに,心配するなら連星の方にするんだな。一介の大学生をガードにする時点であっちの方を心配するべきだろ」

「……旦那様はそういう所ちょっと大雑把な所あるから」

 

 私がメイドになった時もそうだったし,と続けた。

 

(あれは大雑把と言うより……全部計算づくな気がするがな)

 

 さおりは大雑把と言ったが,それでいて結果的にいい方向に向かっているのは獅子の勘違いでもなんでもなく,事実だ。

 

「ああむかつく」

「な,何が?」

「こっちの話だ。それよりも,あそこでこっちを見ている3人はお前の面子じゃないのか?」

「え?」

 

 さおりが獅子に示された方を見ると,彼女のユニットのメンバーが手を振っていた。

 

「さっさと行け。休憩時間にまであいつの事を考えさせるな」

「う,うん。……ちゃんと美夢ちゃんの事守ってよ」

 

 さおりの脳裏にはまだ去年の事が残っている。目の前の女生徒を,その手で救える力がありながら殺せと言った事。結果的に犯人が解放したから何もなかったが,1つ間違えれば1人は死んでいた。それに,犯人の腕を平然とへし折った事もまだ思い出せる。

 獅子はもしかしたら美夢でさえもどうでも良いと切り捨てるのではないかと

 

 問いかけられた本人は珍しくさおりの眼を見た。さおりはその眼を逸らさずに受け止めた

 数秒見て獅子は興味を無くしたように眼を閉じた。

 

「気に食わない奴でも,仕事である以上はちゃんとやる」

 

 仕事じゃなかったらまたするのかと思ったが,これ以上メンバーを待たせるわけには行かない。

 さおりは獅子をひと睨みしてメンバーの元へと向かった。

 

「さおり,虎舞と知り合いだったんだ!」

 

 さおりに陽気に話しかけて来たのは,さおりがこのユニットに加入する事になった全ての元凶,瀬戸リカだ。

 

「知り合いというか……1年前のあの日に少し話して以来だよ」

「えーそーなの? その割には結構お話してなかった?」

 

 どこかおっとりとした様子で話しかけて来たロングヘアの女性もさおりと同じユニットの面子で水島茉莉花だ。

 

「どちらかと言うと私が一方的に話した感じ?」

 

 さおりはしまった! と思った。この言い方では自分が獅子に気があるような言い方ではないか

 

「あ,そういう意味じゃないから。ただ言っておかなくちゃいけない事があったから」

「そうなの?」

 

 疑問符を浮かべたのは鼠色のロングヘアで,他の3人に比べて筋肉質な女性の松山ダリア。

 

「……あいつ,なんでか知らないけど美夢ちゃんのボディーガードになったらしいんだ」

「「えっ!?」」

 

 三者三様に驚きを表した。自分達の共通の知人だからだ。

 

「え,それマジ!?」

「それは……茉莉花もびっくりだよ」

「どうしてそんな事に?」

「分からないけど……」

 

 さおりはやっぱり不安だった

 

 

 

 

 

 

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