無職転生〜2周目だけど本気だす〜   作:そこらへんの競走馬

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第十二話「お手紙」

 

 

 手紙を書こう。

 

 エリスの誕生日から暫くたった頃。俺はそんなことを考えていた。

 こっちに来てから色々あった。その日々を家族、そしてシルフィとロキシーに伝えるのだ。

 特に2人にはエリスが覚えていたことを教えてやらなくては。

 

 俺は自室にある備え付けの机に向き合う。そしてペンと紙を取りだした。

 よし、まずは家族へ書こう。こっちでも上手くやっていけてると伝え、安心して欲しい。

 

 カキカキ、カキカキ…………よし、書けた。

 思えば家族に手紙を書くのは初めてだった。変なところはないか確認してみるか。

 

『父様、母様、リーリャさんへ

 お元気ですか? 僕は元気にやっていけてます。最初は不安でしたがお嬢様ともギレーヌとも仲良くなれました。仕事に剣術、魔術の練習と充実した生活を送れています。

 剣術は伸び悩んでいますが魔術は才能があったらしく全属性上級以上となりました。えっへん。

 

 あと、信じられないかもしれませんが僕の授業でギレーヌが魔術を使えるようになりました。何事も継続は力なりですね。僕も見習って頑張ります。

 

 僅かばかりですが仕送りも入れときました。アイシャとノルンに何か買ってやってください。遠くで頑張っているお兄ちゃんからとね。

 ルーデウスより』

 

 うん。いい感じに書けたと思う。

 俺は手紙と金貨2枚を封筒にいれ、ノリで封をした。

 金貨2枚は多すぎかもしれないが少ないよりいいだろう。ちょっとは尊敬されるお兄ちゃんになりたいのだ。

 

 

 次に書くのはシルフィ。

 彼女には寂しい思いをさせているからな。ちょっと彼氏っぽく書こう。シルフィはそういうの結構好きなのだ。

 

『愛しのシルフィエットへ

 シルフィに会えなくて俺は寂しいです。本当は毎日シルフィの色んな所にチューしたいけど、お互いやる事があるからと思い我慢しているよ。次会った時はめちゃくちゃにするから覚悟しておいてくれ。

 

 この手紙を書いている理由だけど、ビッグニュースがあるんだ。なんとシルフィの予想通りエリスが覚えていた。やっぱりシルフィは凄いな。頼りになる最高の嫁さんだよ。

 

 さて、ここからは少しまじめな話をしよう。

 転移事件まであと2年をきった。俺の方でもエリスの家族を助ける手筈を整えている。上手くいけばフィットア領の復興も早くなると思う。

 だからシルフィも家族のことよろしくお願いします。

 

 最後に手紙と一緒にプレゼントを入れておくよ。

 ルーデウスより』

 

 

 よし、書けた。彼氏っぽく書くのをかなり意識したけど……ちょっとキモいか? 

 いや、この世界の女性にはこういう方が効果的なはずだ。それにシルフィもこんなことで嫌いになったりしないだろう。…………たぶん。

 

 手紙を封筒に入れ、プレゼントとしては杖をそえた。

 露店で買ったものと土魔術で作った白を基調とした杖だ。サイズは初心者用のものと同じだが性能はかなり上となっている。

 流石に傲慢なる水竜王(アクアハーティア)を超えるものでは無いが、シルフィクラスの魔術士が使えば普通にえげつない。

 気に入ってくれるといいな。

 

 

 では最後にロキシー宛の手紙を書くとしますか。

 そう思い再度机にむきあった瞬間だった。

 

 コンコン

「ルーデウス、いる?」

 

 部屋の扉が叩かれる。この声、エリスか。

 俺は立ち上がり、扉を開けた。開けた先にいたのは予想通りエリスだった。

 

「どうしたのエリス」

「明日の休みの日の話でもしようと思ったんだけど…………何してたの?」

 

 俺の部屋を覗き込んで、机の上の手紙達に気づいたエリスはそう尋ねてきた。

 

「手紙を書いてたんだ」

「手紙? 誰に?」

「家族とシルフィとロキシーに」

「私も書くわ! 入るわね」

 

 そう言いながら部屋に入ってくるエリス。

 まぁ別に構わない。俺の部屋で書く理由は特にないと思うが、本人の希望に従うとしよう。

 土魔術で机と椅子を作り出し、紙とペンを手渡す。

 

「ありがとう」

 

 エリスは一言そう言うと手紙を書き始めた。

 彼女の読み書きの力でちゃんとした文が書けるのか少々不安だが、前よりも成長しているのも事実だ。それにこれもいい練習になるだろう。

 

 ひとまず俺もロキシーへの手紙を書くとするか。

 椅子に座り紙に書き始める。部屋の中はカリカリと文字を書く音だけが響き渡る。

 

 先に書き終えたのは俺の方だった。

 

『拝啓、ロキシーへ

 シーローン王国でも元気でやっていますか? パックスにセクハラされていませんか? ロキシーにセクハラしていいのは俺だけなので、もしされているなら死なない程度に懲らしめておいてください。

 

 俺は今、エリスの家庭教師をやっています。あの、エリスのです。元々7歳頃にエリスに会いに行くという予定だったけれど、なんと彼女の方から家庭教師をやってくれとの便りがきました。

 もうお分かりですね。そう、エリスは覚えていたんです。

 これを伝えたかったのがこの手紙を書いた理由の1つ。

 

 もう1つはロキシーに聞きたいことがあったから。

 直ぐに本題に入りますがパックスとザノバ、それとジンジャーさんは覚えていましたか? 覚えていたのなら俺の事よろしくお伝えください。

 計画通りいけばロキシーとはパウロ達と一緒に合流しますね。それまで家族のことよろしくお願いします。

 

 最後に、愛してるよ。

 ルーデウスより』

 

 うーん。変かなぁ? 

 文章自体はそんなに悪くない気がするんだけど。

 ただ、何故かロキシーに手紙を書こうとすると敬語になってしまうな。

 普段は普通に会話しているのに手紙だけなぜ? 

 

 ……まぁいいか。

 教師と生徒っぽいしある意味あってる。

 

 それよりもプレゼントの準備をしよう。

 エリスとシルフィにあげてロキシーには無いなんてことはない。

 

 ロキシーに送るのはスイーツだ。

 ミグルド族は甘いものが好きだとロキシーが言ってたからな。

 シーローンまでそれなりに距離があるので、日持ちするものが良いと思い自作したものがある。

 

 昔ネットで見たフルーツケーキ。その名もシュトーレン。

 ドライフルーツやらナッツやらがたくさん入っているのだ。なぜ長期保存出来るのかはよく知らない。

 ボレアス家お抱えシェフに手伝って貰ったので味の保証はできるはずだ。手紙とは別の袋に入れて送っておこう。

 

「書けたわ」

 

 俺がロキシーに送る手紙の準備を終えた頃、エリスも丁度書き終えたようだ。

 パッと見手紙は2枚ある。シルフィとロキシーの分だろう。

 ちゃんと書けているか見てやるとしますか。

 

「お疲れエリス。手紙見ていい」

「ダメよ!」

 

 拒否られた。なんで? 

 もしかしてシルフィとロキシー宛じゃないのか? 

 

「えっと、誰への手紙?」

「シルフィとロキシーよ」

「じゃ、じゃあ」

「ダメよ!」

 

 …………ダメらしい。

 俺みんなの旦那さんなのに。奥さんたちの間で秘密の文通されちゃってる。悲しい。

 まさか俺の悪口とか書いてあるのか?! 

 

 ショックを顕にしているとエリスが付け加えて言った。

 

「べ、別に悪いことは書いてないわ。ただ、ルーデウスに見せるにはちょっと恥ずかしいから……」

 

 なんだ。悪口書いてないのか。良かった。

 うーん、恥ずかしいねぇ。

 ……確かに俺もシルフィへの手紙とかエリスに見られるの恥ずかしいわ。

 夫婦でもお互いそういう気遣い大事だよな。内緒なら内緒でいいじゃないか。みんなのこと俺は信頼してるんだから。

 

「わかった。じゃあ手紙出しに行こっか」

「そうね。そうしましょう」

 

 俺たちは執事のアルフォンスさんに手紙を送って貰うように頼んだ。

 もちろん輸送費も渡したさ。そこまでケチじゃない。

 返事が帰ってくるのが楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 5日後

 

 手紙が3つ届いた。

 2つは俺宛、1つはエリス宛だ。つまりパウロ達からとシルフィからってことだな。

 

 エリスに手紙を渡し、俺も読むことにする。

 まずはパウロ達からにするか。

 

 椅子に座り手紙を開く。えっとなになに。

 

『ルーデウスへ

 お前からの手紙読んだぞ。言いたいことは色々あるが、ひとまずお前がそっちでも上手くやれているようで安心した。

 

 こっちもこっちで元気にやっている。

 ゼニスとリーリャは相変わらず美人だし、ノルンとアイシャもめちゃくちゃ可愛い。

 こんな可愛い妹を見れないお前が少し可哀想なくらいだ。

 

 ノルンとアイシャと言えばそう、お前あの金貨2枚はなんだ? 仕送りの額じゃねぇだろう。

 まぁお前のことだからうまいことやって得た金なんだろう。ただノルンとアイシャはまだ3歳だからな。そう少し物事の分別のつく年になってからなにか与えようと思う。

 それまでこの金はしっかり保管しておく。

 

 それとお前、全属性上級ってまじか。まさかの無詠唱じゃないよな。

 正直俺の子にしてはできすぎではないかと思うが、流石と言っておこう。

 だがな、成長しているのはお前だけじゃない。お前に負けたあの日からおれも鍛錬を重ねてきた。

 今の俺は並の剣士とは格が違うぞ。なんせ光の太刀が打てるからな。まぁ5回に1回くらいだけどよ。

 

 家庭教師はお前が選んだ道だから止めはしなかったが、母さんもリーリャもそれにもちろん俺もお前が帰ってくるのを心待ちにしている。

 次に会った時はリベンジマッチだ。覚悟しとけよ。

 パウロ・グレイラットより』

 

 

 …………は? 

 パウロが光の太刀……だと。そんなのこっちこそまじかだ! 

 あの時の勝負の結果がまさかこんな変化をもたらすなんて。いや、これもパウロの努力の証だな。素直にすごいと思っておこう。

 それにしてもこの様子だとお兄ちゃん株上げ大作戦は失敗だな。なにか買ってあげる前に転移事件が起きてしまう。残念。

 

 

 気を取り直してシルフィからの手紙を読むとするか。

 そう思い手紙を開く。う、字が綺麗だ。

 俺やパウロとは比較にならんな。読みやすい。

 

『ルディへ

 やっぱりエリスは覚えていたんだね。嬉しいなぁ。ボクとロキシーだけだと少し、いや結構悲しかったから良かったよ。

 

 ボクの方も順調です。まず魔力なんだけどボクもあれからいっぱい魔術を使っていたら増えるようになりました。感覚的には1.2倍ぐらいかな。

 それとパウロさん達とも仲良くなってます。リーリャさんに家事とか身のこなしとか教えて貰ってるんだけど、その、元からできるから凄く褒められちゃった。なんだか悪いことしてるみたいで申し訳無いよ。

 

 それとルディ。プレゼントありがとう。

 前にルディから貰った杖、今回は貰えてなかったから凄く嬉しい。使いやすさも前のより格段に上がっていてつよつよだよ。

 ただ逆に威力が出過ぎちゃうから慣れておかないとね。

 

 最後にその、手紙なんだけど、すっごく嬉しかったです。愛されてるなぁって伝わってきて幸せいっぱいになっちゃった。えへへ。

 パウロさん達のことは任せておいて。早くルディに会えるの楽しみに待ってるよ。

 シルフィエットより』

 

 

 かわええなぁシルフィは。

 文章から可愛さが滲み出てる。なんだよつよつよって。ずるすぎだろ。

 それに杖も気に入って貰えてて良かった。

 あぁ早くシルフィに会いたい。

 仕方ないとはいえ辛いな。遠距離恋愛してる奴まじ尊敬だ。

 

 あと気になったのは魔力量だな。シルフィも増えてきたのか。まぁでももうそろ10歳なのでそこが限界だろう。

 ちなみに俺の魔力は前世の2倍までいって止まった。おそらくこちらも限界だ。

 

 エリスはというとゆっくりとまだ手紙を読んでいた。でも多分そろそろ終盤だろう。なんて書いてあるか気になるが、恐らく教えてくれないので聞かないでおこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから3ヶ月が経った。

 最近訓練のおかげか体力が増えた気がする。その現れとして朝のランニングがきつくなくなった。やはり体は裏切らないな。

 

 今日は大事な予定がある。そう、手紙だ。

 ロキシーからの手紙がやっと届いたのだ。シーローンからの距離を考えると妥当だが、めちゃくちゃ待った気がする。まぁ実際待ちはしたか。

 

 届いた手紙は2通。俺とエリス宛だな。

 シルフィの時と同様1枚をエリスに渡し、俺も手紙を読む。

 ロキシーも字が綺麗だ。シルフィのは女の子の書く綺麗な字って感じだが、ロキシーの字は達筆なほうの綺麗な字である。

 

『ルディへ

 お手紙拝見させて頂きました。

 上手いこと事が運んでいるようで安心しました。やはりエリスは覚えていましたか。非常に嬉しいです。エリスだけ忘れていたとなるととても悲しいですからね。

 

 プレゼントの方も美味しくいただきました。

 初めて食べましたが甘くておいしかったです。ちょっと硬めっぽかったですけど故郷で食べていた肉に比べればなんてことはありません。

 大変気に入りましたのでまた作ってくれると嬉しいです。

 

 さて、本題に入りますが結論から言いましょう。

 残念ながらパックス様、ザノバ様、ジンジャーさんは覚えていらっしゃりませんでした。

 パックス様は昔のエロガキのまんまです。まぁでもルディほど狡猾ではないので今の所心配されるような事は起きていません。

 

 あ、そういえばパックス様が私そっくりの人形を買ってきました。肌の色とか本物そっくりです。

 ルディが作ったやつですよね? もしそうでないならすごく怖いです。

 

 それとご家族のことは必ず守ります。大船に乗ったつもりでいてください。

 最後に、私も愛しています。

 ロキシーより』

 

 ロキシー人形は無事に届いたようだな。良かった。

 それにシュトーレンもお気に召していただいたようだ。

 でも残念だけど俺1人で作るのは厳しいな。今度シルフィに頼んでみる、か。……はぁ。

 

 ダメだな。せっかくのロキシーからの手紙なのに。

 でもそうか。

 ザノバは覚えていなかったか。……そうか、

 …………悲しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 うん。まぁ仕方ない。そんな気はしていた。受け止めよう。

 それに覚えてなくてもザノバはザノバだ。また仲良くなればいい。

 

 シルフィもロキシーも頑張っている。俺も頑張らなくては。もう転移事件までは残りわずかなんだから。落ち込んでいる余裕なんて無い。

 

 バシィィン

 気合いを入れ直す。

 刻一刻と迫る日のために今日も俺は動くのだ。

 

 

 

 

 

 









この先の展開どれがいい。(執筆スピードに影響はございません)

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