万年B級詐欺師隊員劇場   作:暁桃源郷

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最近ワールドトリガーにはまりました!
ので、書きたくなり書きましたね。
それではお楽しみください!

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序章〜不確定な少年〜
風切零①


「あー、大丈夫か?」

「は、はい!すいません」

 

 ボーダー基地本部にて女子C級隊員にぶつかってしまい謝りながら手を差し出している身長160センチメートルのB級隊員(19)こと風切零を見た女子C級隊員が怯えたように立ち上がって頭を下げるとそそくさとその場を走りさってしまう。

 その様子を見ていた周りの隊員がボソボソと話しながら零をいぶかしむ目で眺め、それに気付かぬ振りをしながら零もその場を立ち去る。

 正直に言うと零の素行はそこまで悪くはない。

 確かに、口がまぁまぁ悪ければ目付きも悪いが、長年零と居るいわゆる古株からしてみれば「気は良いが見た目が悪いせいで損を見る奴」と言うレッテル貼りがなされている。

 

「ちくせう・・・・。どーせ、俺にはゲームしかありませんよーだ」

 

 ベンチに座りながらスマホを起動して今流行りの音ゲーを口角を上げて始める零。

 普通、人が笑っていれば怖いなんて思わない。

 しかし、周りから見れば怖い顔のヤバい奴がスマホを見ながらニヤニヤしているだけに見えてしまい近付かない様に立ち去るだけなのだ。

 もちろん、そんな彼にも友達や仲間は居る。

 

「・・・・・・ま、アイツ等が俺を友達と思ってるかは知らねぇけど・・・」

 

 スマホをポケットにしまいこんでベンチを離れる。

 そもそもの話、彼がここまで恐れられるようになったのは()()ボーダーが出来て初めての入隊式に遡る。

 入隊式の当日、先ずは攻撃手(アタッカー)射手(シューター)狙撃手(スナイパー)をそれぞれ選ぶのだが、零はお手軽と言うことで攻撃手(アタッカー)を選択した。

 そして、仮想の訓練場でバムスター相手に五分間戦闘訓練をする。

 個人差があるものも、大抵は一分半位で倒すことが出来るのだが、零は違った。

 三分間逃げ回り、ジャスト五分でバムスターを倒したのだ。

 倒せなかったのではなく、わざと倒さずに一人で勝手にチキンレースを行う始末。

 これには周りも騒然としていたが式の進行と訓練の監督をしていた本部長の忍田にはこうなることが分かっていたのか何も言わずに訓練を進める。

 それだけではない。

 当時存在していたトリガー全てを使いこなし、真っ先にB級隊員になったのだ。

 しかも、戦い方が騙しやトラップ、卑怯万歳な事しかしない徹底ぶり。

 これで嫌われない方が無理がある。

 

「防衛任務まで暇だしな~・・・・。行くなら嵐山の所か、太刀川さんの所か・・・・」

 

 自分を嫌わずに普通に接してくれる相手の名前を呟きながら夜の防衛任務までの時間潰しを考える。

 まだまだ時間があり、大学の課題も既に提出済みなので後は誰かの隊室に遊びに行くか、個人ランク戦でポイントを稼ぐかの二択だが、零は余り顔を出したくないためすぐにその選択肢は頭の中から消えていた。

 

「お、零!」

 

 そんな中、零の姿を目視して声を掛ける男が居た。

 金髪の煙草を咥えた見た目が完全にチンピラの諏訪隊の隊長、諏訪洸太郎が零に向かって手を振りながら近付いてくる。

 彼もまた零を嫌わない人間の一人だ。

 

「諏訪さん。何か用スか?」

「あぁ。実はよ、今からウチ防衛任務なんだけどよ、日佐人の奴今朝から風邪引いちまったみてぇでよ。それだけならまだ俺と堤でなんとかなったんだが・・・・」

「堤さん、何かあったんスか?」

「加古」

「あー・・・・・・・」

 

 諏訪の「加古」の一言で全てを理解する零。

 諏訪の言う加古とは十中八九A級六位の加古隊の隊長、加古望の事だろう。

 彼女はよく炒飯を作っていて二割が食べれば腹を壊す様なロシアンルーレットを食べる者は強いられている。

 諏訪隊の堤大地もその被害者の一人な訳だ。

 心の中で堤に合掌しながらつくづく自分ではなくて良かったと安心する。

 

「まぁな。お前、この時間シフト入ってねぇだろ?」

 

 この男、見た目がチンピラの割に結構頭はキレる。

 でも、大学の課題などを先延ばしにして同じ大学の隊員に注意されたりもしているためおそらくアホではあるがバカではないと言った感じだろうと勝手に零は思っている。

 

「大丈夫スよ。どうせ諏訪さんの次自分のシフトでしたし」

「一人か?手伝おうか?」

「香取隊に混ざるんで大丈夫スよ」

 

 そうか・・・・、と諏訪が安心したような顔を見せて窓から水平線に沈む夕日を眺める。

 

「お前はA級の実力はあるだろ。現にA級部隊にもスカウトされてるだろ?」

「どっかの部隊に入るつもりも自分で作るつもりもありませんよ。俺はお助け、それでいいんス」

「お前ならそう言うと思ってたがよ」

 

 これ以上、諏訪は何も言わずに自分の隊室に向かって歩きだす。

 零もその後を追って隊室へと向かうのだった。

 

◇◆◇◆

 

 しばらくすると諏訪隊のシフトの時間となり、零と諏訪が所定の位置を周り始める。

 防衛任務は基本的に所定の場所をぐるぐると歩き回り(ゲート)が発生すれば急いで向かう。

 そして、その(ゲート)から現れるのがトリオン兵であり、倒したトリオンの種類や数に応じて報酬が支払われるいわゆる出来高制がB級隊員の給料であり、A級隊員にはこれに固定給がプラスされる。

 

「なぁ、零」

「何スか?」

「お前それ何咥えてんだ?」

 

 射手(シューター)トリガーであるアステロイド(散弾銃)を持った諏訪がふと先ほどまで零が咥えていなかった棒が気になって零に話しかける。

 

「これ?小佐野がくれたんスよ」

 

 今、零が咥えているのは棒つきキャンディであり、諏訪隊のオペレーターであり、今現在二人のオペレーターをしている小佐野瑠衣に貰った物だ。

 ちなみにこの棒つきキャンディは玉狛支部所属の小南桐絵が食べれば胸が大きくなると言われ買ったものだが最終的に小佐野が貰い、小佐野の胸が少し大きくなったと言うなんとも不思議な棒つきキャンディだ。

 

「へぇ・・・・・」

『諏訪さんにはあげませんけど』

「何で!?」

 

 そんな感じに三人で駄弁りながら巡回していると警報が鳴り響く。

 即座に先ほどののほほんとした雰囲気はなくなりピリピリとした空気が流れる。

 

「おサノ。場所は?」

『そこから南に300メートル』

「了解」

 

 急いで小佐野の誘導誘導通りに走り、トリオン兵の居る場所に到着する。

 そこに居たのは初戦闘訓練でお世話になるバムスター一体と、虫のような見た目をしたモールモッドと言うトリオン兵二体だった。

 

「チッ!クソ不利じゃねぇか!」

「でもやるしか無いスよ。どうします?」

「・・・・・俺があのデカブツ押さえとくからお前は二体やれ!」

「押さえるんじゃなくて倒してくださいね!」

 

 零が飛び出してモールモッドの前に出る。

 零に気付いたのかバムスターとモールモッドの計三体が零に向かって進み出すが、諏訪の攻撃によりバムスターの足が止まる。

 それを確認して右手に刀に似た近接トリガーの弧月を握ってモールモッドに飛びかかる。

 

「旋空弧月!」

 

 弧月の斬撃を飛ばしてモールモッド一体を撃破する。

 続けて地面に着地してくるりと方向転換してもう一体のモールモッドの眼を狙い左腕にもう一つの近接トリガー、スコーピオンで作った鎌を装着して横一文字に切り裂く。

 すべてのモールモッドが活動を停止したのを確認して今度は諏訪が足止めをしているバムスターに向かって走り出す。

 

炸裂弾(メテオラ)!」

 

 炸裂弾(メテオラ)がバムスターの足元に着弾して爆発する。

 それに戸惑ったバムスターが大きな口を開けて顔を上げて悲鳴を上げる。

 

「今スよ諏訪さん!」

「よっしゃ!」

 

 諏訪が飛び出してバムスターの目玉目掛けてアステロイド(散弾銃)二丁を乱射する。

 散弾が何発も目玉に直撃したバムスターが倒れて動かなくなる。

 

『お疲れ様』

「小佐野もな」

『零先輩!この後一緒にご飯食べません?』

「飯?ごめん。俺この後すぐに香取隊と防衛任務だから・・・」

『その後で大丈夫ですよ!』

「あ、そう?じゃあ諏訪さんも・・・」

 

 零が晩御飯の予定を考えて二人よりも三人の方が良いかな、と諏訪を見ると諏訪が手をヒラヒラとさせている。

 

「悪ィ。俺はパス。この後大学の課題があってよ、風間に捕まってんだわ」

 

 嘘である。

 この諏訪と言う男、実は小佐野が零に対してどう言った感情を持っているのかを知っている。

 小佐野が諏訪達と話すときは大抵砕けた口調だが、零に対しては少し丁寧に喋っている。

 

「青春を謳歌しろよ若人よ!」

「諏訪さん・・・・。何かオッサン臭いスね。俺と大して歳変わんないのに」

「うるセェ!」

 

 こうして、再び二人は元の巡回路に戻っていき、その後は何事もなく諏訪隊との防衛任務は終了した。




風切零(19)

トリオン 11
攻撃 10
防御・援護 2
機動 8
技術 9
射程 9
指揮 1
特殊戦術 7
トータル 57

メイントリガー サブトリガー
弧月      アステロイド(散弾銃)
旋空      スコーピオン
アイビス    ハウンド
グラスホッパー メテオラ
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