『皆さんどうもこんにちわ!今回が初の試みとなる試合の実況を務めさせていただきます。海老名隊のオペレーター、武富桜子です』
観戦席に響き渡る明るい声に周りの隊員達が沸き上がる。
何処でも実況トリガーを使い自己紹介している彼女は武富桜子。
C級のときからランク戦の実況の有用性をプレゼンしていた少女だ。
そのプレゼンが今、実を結び、上層部から実際に実況をしてその有用性を示せと言うお達しの元晴れて実況をすることになった。
『本日行われる試合はB級
『『どうぞよろしく』』
小南と風間が武富に向かい礼をすると再び目の前の大スクリーンを眺める。
そこに映っていたのは今回の試合に出場する十二人の隊員の名前だった。
『本日の参加者は二宮隊から辻隊員。影浦隊から影浦隊長。生駒隊から生駒隊長。弓場隊から帯島隊員。王子隊から王子隊長。東隊長から小荒井隊員。香取隊から香取隊長。鈴鳴第一から村上隊員。諏訪隊から笹森隊員。那須隊から熊谷隊員。柿崎隊から柿崎隊長。
『中々面白そうなメンツね』
小南が参加者の名前を聞いてそういっているのを傍目に、風間はなにかを考え込むように参加者の名前と隊員が編成したトリガーを見る。
『ではルールを説明します!ステージは市街地A晴れ。基本はランク戦と同じく一人倒せば一ポイント。最後まで生き残れば生存得点で二ポイントが与えられます!最終的に一番ポイントが高い人が優勝です!』
『使用トリガーに制限があるみたいだが?』
風間がルールを見ながら武富に問う。
『はい!今回は
『なるほど。トリガーの扱いの上手さが勝敗を決すると言うことか』
実況席で試合のルールや特徴を説明している時、それぞれの待機室では参加者がそれぞれの仲間に激励を受けていた。
◇◆◇◆
「辻ちゃんがんばー」
「はい」
元A級部隊の二宮隊の待機室ではスーツ型の隊服を着た辻新之助に犬飼澄晴の背中を叩きながら応援を送る。
ちなみに犬飼と言う名前だが犬は飼っていないらしい。
「二宮さんは辻ちゃんに何か言いたいことは無いんですか?」
犬飼が待機室の椅子にどっしりと座り参加者リストを眺めている二宮隊の隊長でありボーダーの中でトリオン量が一番多い
「・・・・・・特に無い」
それだけ言うと二宮はソファを立ち上がって待機室を出ていった。
◇◆◇◆
「カゲ楽しそうだね。ゾエさん感動~」
「そりゃあ相手に零が居るんだからカゲも楽しそうにするだろ」
こちらも元A級部隊の影浦隊の待機室。
笑いながら楽しそうにしている影浦隊隊長の影浦雅人を見ながら北添尋とオペレーターの仁礼光が呟く。
話しは変わるが、B級からA級に上がるならB級二位以内に入っていなければいけないが、元A級の二宮隊と影浦隊が独占している。
「上も面白ェこと考えやがる」
彼の持つ
だからこそ、狙いは零ただ一人だ。
◇◆◇◆
「この前な、零がしょうみって言っててん。ヤバない?」
「ヤバいすね」
「やろ?」
生駒隊の待機室では何時も通りの緩い会話が生駒達人と水上敏の間で交わされていた。
「いやいや!試合前やで?もっと別に大事な話しあるやろ」
そんな二人の間にパソコンの横から顔を出してオペレーターの細井が二人を見る。
「いやいや、なに言ってんのカワイイカワイイマリオちゃん。零がしょうみって言葉使ってたってことは零は関西圏出身ってことやで?」
「それは・・・・・・ヤバいな」
「やろ?」
◇◆◇◆
「気張れよ帯島ァ!」
「っス!」
弓場隊の待機室では隊長の弓場拓磨が帯島ユカリに喝を入れていた。
そんな様子を見ながらボーダーの胸囲の侵略者、オペレーターの藤丸ののは目付きの悪い嫌われ者の少年の顔を思い浮かべていた。
「おい、のの。お前からも何か言ってやれ」
「・・・・・・・・」
「おい」
「・・・・・・・」
「おい!」
「!な、何だ!?」
「・・・・・ッチ。お前が風切のことを好きなのは知ってるが今は試合のことだけ考えろ」
弓場から零の名前が出て顔が赤くなる藤丸を見て帯島は気付いてしまった。
あの姉御肌の藤丸ののも一人の女だと言うことに。
◇◆◇◆
王子隊の待機室では参加者全員の過去の
(もっとも警戒すべきは・・・・・零さんだね。あまりにも剣に型が無さすぎる)
(零さんは出会っても逃げ一択かな)
◇◆◇◆
東隊の待機室では小荒井登が隊長の東春秋と相棒の奥寺常幸、オペレーターの人見摩子と共に作戦を話し合っていた。
「やっぱ狙うなら笹森からかな」
「慎重に行けよ?今回は小荒井一人なんだから」
「え~!こんなメンバーだったら直ぐに人数居なくなるからポイント取れなくなっちまうよ!東さんはどう思います?」
「まぁ、小荒井の思うようにやってみれば良い。ただし、慎重にな」
「はい!」
元A級一位部隊の隊長の言葉を受け、前に角を生やした少年はマップを見ながらトリガーの編成を見直した。
◇◆◇◆
香取隊の待機室では隊長であり、零の唯一の弟子である香取がクッションに腰掛けながらスマホを弄っていた。
誰も声をかけるものはいない。
若村も、三浦も、染井も、何時もの香取とは雰囲気が違うことが分かっていた。
何時もの香取ならやる気がなさそうにスマホを弄るが、今の香取はその逆で調子は良好だった。
(何がテストよ。まだそんなに私に教えてないでしょうが)
どちらにしても、零には一泡吹かせたいため絶対に零は取ろうと思う香取だった。
◇◆◇◆
鈴鳴第一の待機室では
彼は強化睡眠記憶と言う
彼の頭には今まで戦ってきた猛者達の戦いが入っていて実際に
彼が勝ち越したことがないのは一位の太刀川と二位の風間、三位の小南、それと影浦だけである。
◇◆◇◆
諏訪隊の待機室では諏訪と堤、小佐野が笹森が勝ったときの話をしていた。
「日佐人!勝ったら焼き肉奢ってやる!」
「はい!頑張ります」
笹森の肩を掴みながら煙草を咥えている諏訪。
そんな諏訪を見ながらも堤は先日の諏訪との防衛任務で諏訪が呟いていたある発言を思い出す。
「諏訪さん今月キツいって言ってませんでした?」
「んなもん俺とお前の割り勘に決まってんだろ!」
「え!?」
諏訪の言葉に菩薩のような目が開眼しそうになるがあくまでしそうになるだけ。
いったい何時彼の目は開眼されるのだろうか。
「ひさと、先輩と当たったら出来るだけ粘ってね」
「は、はい!」
小佐野も何か考えがあるようでパソコンから覗かせていた顔を再びパソコンへと戻した。
◇◆◇◆
那須隊の待機室では熊谷と那須が作戦会議をしていた。
「くまちゃん。無茶はほどほどにね」
「分かってるわ玲。警戒するのは村上先輩に影浦先輩、後辻くんも」
「そうね、でもやっぱり・・・・」
「えぇ。風切先輩と当たったら逃げることだけを考える・・・」
最も警戒されるのは
◇◆◇◆
「隊長!頑張ってください!」
「あぁ、行ってくるよ」
柿崎隊の待機室ではまるで旦那が家を出ていくのを見送る妻のような風景がそこにあった。
元嵐山隊で現柿崎隊の隊長柿崎国治(享年92)と照屋文香(柿崎夫人)である。
◇◆◇◆
「零ちゃん勝てそう?」
「ん?無理」
零の待機室でオペレートを頼まれた国近柚宇が零が持参したどら焼きを食べながら零に勝算を聞くが、どうやら無いようでこちらもどら焼きを食べながらテーブルに突っ伏す。
「ほらほら~。勝ったら膝枕してあげるから」
「俺が昼寝から起きると何時もあなた様が膝枕していらっしゃるので何の特別感もございませんことよ」
「ぶれないな~」
はむっ、とどら焼きを一口口に入れて開始時間を見る。
未だに十分残っている状態だ。
「色々話してるけどまだ時間あるよ?」
「どら焼き、もう1個食うか」
「だね~」
生駒隊とは別の方向で何時も通りの二人であった。
◇◆◇◆
『さぁ!皆さんお待たせいたしました!』
武富のそんな言葉と共に試合開始のカウントダウンが十秒を切る。
『B級
アタッカーオンリーでの試合も面白いかと思って書いてます!
誰が勝つと思う?
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辻新之助
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影浦雅人
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生駒達人
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帯島ユカリ
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王子一彰
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小荒井登
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香取葉子
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村上鋼
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笹森日佐で
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熊谷友子
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柿崎国治
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風切零