『い、一瞬で三人が
『何やってるのよ零!得点横取りされてるじゃない!』
ポイントの変動を見ながらぼやく小南を見て武富が呼ぶ人間違ったかな?とこの人選に後悔を表す。
小南も解説するところはしっかりと解説してくれているのだが、何故か零の解説になると次第に贔屓目になっていく。
『あの・・・・、小南隊員は風切隊員とどのようなご関係で?』
『私と零の関係?旧ボーダーのメンバーよ。アイツ本部所属だけど今も玉駒で寝泊まりしてるし』
『なるほど・・・』
無駄話をしている二人に向かって風間がこほん、と咳払いを一回起こす。
それに二人が気付いたようで風間を見る。
『話を戻すが小南。風切は点の為に小荒井を斬った訳じゃない』
『どういうこと?』
『点のためならば小荒井を影浦に目掛けて蹴る必要はないと言うことだ』
『つまり風切隊員が小荒井隊員を斬ったのには別の意味があると?』
武富の言葉に頷きあぁ、と相づちを打つ。
『先ほどの風切の動きは小荒井を倒す動きと言うよりも影浦の視界を遮る動きだった』
◇◆◇◆
「まったくよぉ・・・。こりゃもう逃がしては貰えなさそうね・・・」
目の前で武器を構える
風切零と言う少年は好戦的なのか、そうでないのかが分からないような性格をしている。
「・・・・・だいたいよぉ。テメェはさっきから逃げたり斬ったり。戦いてぇのか戦いたくねぇのかどっちなんだテメェは!」
「聞いても無駄やで。零の行動はよう分からへん」
生駒の言葉に影浦が舌打ちをしながらもマンティスで生駒と零を切り裂こうと手を動かす。
マンティスを生駒と零は弧月でさばく。
「「旋空弧月」」
零と生駒が互いに残りの二人を狙って旋空弧月を放つが全員がその場から跳んで避ける。
しかし、零の左腕が後ろから更に飛んできた二つの旋空弧月により跳んで行く。
「おいおい、俺モテモテじゃねぇか?何が悲しくてB級詐欺師ども纏めて相手にせにゃならんのだ・・・」
嫌なモテモテだぜ・・・、と悪態を付きながら零は後ろから旋空弧月を放ってきた村上と辻をジロリと眺める。
「オイ!テメェら!コイツは俺の獲物だ!余所に行け!」
「そうは言うがカゲ。風切先輩はトリオン漏出過多で
「んなこたぁわかってんだよ!」
村上の言葉を聞いてキレながらマンティスを村上に向けて振るが村上の左手にある盾形態《シールドモード》に防がれる。
それを見た後に零はトリオンが漏れ出る左手足を眺めながら虚ろな目で空を眺める。
『零ちゃん。どうするの~?』
絶望的な状況の中、国近の緩い呼び声だけが零を冷静な判断へと戻していく。
この状況で既に零には生存点などと言う物は諦めていた。
しかし、されどもこのまま得点無しで
「・・・・・・・なぁ、カゲ!」
「あぁ!?」
影浦が零に呼ばれ振り向くと零が影浦に急接近し、左腕の切断面からスコーピオンの刃を生やす。
影浦もクソ
だが、次の瞬間斬られたのは右腕と右脚だった。
「!?」
影浦が驚いて斬られた手を押さえているのを尻目に今度は再びクラスホッパーで村上に接近しようと試みる。
だが村上の後ろにいた辻の旋空弧月に阻まれて仕方なく狙いを辻に変更してスコーピオン右手で作ったスコーピオンとナイフを投げる。
辻がそのナイフを弾こうとしてナイフに注意を向けたのが命取りだった。
「ッ!」
ナイフを弾こうと弧月を振り下ろした瞬間、いきなりスコーピオンのナイフがボロボロと崩れだし辻の弧月が空を斬る。
「残念賞~」
辻を煽るような声色で零は辻の後ろに回り込みその首もとに弧月を振りかざし辻の頭が空へと吹き飛ぶ。
『戦闘体活動限界
更に零の身体にヒビが入っていく。
『トリオン漏出過多
辻と零が爆発し、光の柱となって飛んで行く。
◇◆◇◆
『ここで辻隊員と風切隊員が
実況席に座っていた武富が映像を見て叫ぶ。
『これにより風切隊員に一ポイント、風切隊員はトリオン流出過多による
それにしても、と続けて武富が疑問を浮かべた顔をして風間と小南を見る。
『影浦隊長には感情受信体質と言う
『それは零の
零が
『
『そうよ!確か名前は・・・・強化反射神経だったかしら?』
強化反射神経・・・・、と武富が反復して零の
『風切はその
風間が解説を初めて次第に考察に移っていく。
零のやることは基本的にそれこそボーダーの誰も分からないのかも知れないが、それでも風間は零を理解しようとしていた。
◇◆◇◆
『葉子。風切先輩がやられたわ』
帯島と戦闘を続けていた香取にオペレーターである染井からそのような報告を受けて香取の中で何かが切れた。
そもそも香取としてはこの試合に参加しようとなど全く思っていなかった。
しかし、それでも参加したのは零に無理矢理参加させられたのもあるがれ零を倒して自分を見て貰いたかった。
しかしどうだ?
実際香取はずっと帯島と戦っているばかりで結局零と戦うことないまま零は試合から退場した。
「はぁ!?ふざけんじゃないわよ!アイツ私にかち合う前にやられるとか何考えてんのよ!」
「香取先輩どうかしたんっスか?」
憤りを零への罵倒で発散しようとするが目の前で弧月を構える帯島にとっては戦いの最中にいきなり怒って叫ぶ可笑しな奴に見える。
「・・・・・・で、誰にやられたわけ?」
『影浦先輩、生駒先輩、村上先輩、辻先輩に囲まれてトリオン流出過多で
「バッカじゃないの!?逃げなさいよ!無理よ!無茶すぎる!」
目の前の
『でも辻先輩は落としたわ』
「・・・・・・・そう」
染井の言葉に香取は少し冷静になって帯島を見つめる。
零が退場したことにより香取の調子は絶不調ではあるものの、されども香取の性格、ひいてはプライドがこのまま何もせずに負けるなどと言うことを許すわけもなかった。
「!」
香取がグラスホッパーで帯島に向かって突っ込む。
帯島が迎え撃とうと弧月を振りかざすが、香取はそれを避けて帯島の横に着地してスコーピオンで左腕を斬ろうとするがシールドで防がれる。
しかし今度は脚に生えたスコーピオンで帯島の脚を差す。
「やるっスね」
「速攻で終わらせて他の奴を取る!」
スコーピオンで作ったナイフを投げて後ろに斜め後ろに向かってスコーピオンで作ったナイフを投げる。
そこにいたのは二人の戦いをバッグワームを装備しながら見ていた柿崎だった。
反応が遅れた柿崎の首にナイフが刺さってそこからヒビが広がっていく。
『トリオン体活動限界
「悪いわね。取れる奴から取れってのがアイツの教えなのよ」
柿崎が
この光景に帯島を絶句していた。
自分は柿崎が見ていることにすら気付かなかったと言うのに目の前の少女は気付いていた上に見事不意をついて柿崎を仕留めたのだ。
決して香取と言う少女を侮っていたわけではない。
しかし、実際に目の前で香取の力を見た帯島は自分の認識の甘さを実感した。
「じゃあ、続けましょうか」
目の前の
自分に向かって走ってくる香取を見ながらどのように避けようかと辺りを見ながら頭を働かせる。
だが結局帯島は避けるのを止めた。
スコーピオンで迫ってきた香取を弧月で受けて受け流しながら香取の脇腹を斬る。
しかし香取もそこから崩れた体勢を立て直して帯島の背中を大きく斬る。
◇◆◇◆
『香取隊長のノールックスコーピオンナイフ投げ!柿崎隊長
『あの子凄いわね・・・』
香取の誰も予想できなかった行動に小南が冷や汗を流しながら呟く。
観戦席からは誰が何処にいて何をしているのかが全て見える。
正直な話、小南は香取と帯島のどちらかが落ちたところで柿崎が止めを刺すと思っていた。
しかしどうだ?
香取は柿崎に気付ていたどころかノールックで首にスコーピオンを投げて突き刺して状況を打開したのだ。
『さっきの業は香取の才能と零の経験の賜物だな』
風間の言葉が聞こえたと同時に風間の肩を誰かが触る。
『!?』
「でしょでしょ!?香取はやればやるんだよ!」
「零ちゃん、実況の邪魔はダメだって」
そこにいたのは先ほどまで試合に参加していた零と零のオペレートをしていた国近だった。
『零!アンタ何負けてんのよ!』
「別に勝とうと思ってやってねぇからいいんだよ!」
『そ、それより風切隊員!今の香取隊長の行動は師匠としてどう思いますか!?』
流石と言うべきかいきなり乱入してきた零に武富が
質問する。
「ちょっとそれ借りていい?」
『あ、はい。どうぞ』
どうも、と呟きながら武富のトリガーを手に取る。
『あーあー。聞こえてるよな?よし。香取の行動をどう思うか?簡潔に言えばありゃ絶不調だな。何か分かんないけど視野は広がったが集中力はない。じゃなきゃさっきの一撃は食らってない』
笑顔で、されども目は笑わずに映像の中で傷口を押さえる香取を見据える零を見て小南は息を飲む。
今まで一緒に過ごしていて一度も見たことのない瞳。
怒っているわけじゃない。
真剣に、ただただ真面目に語る。
『・・・・・珍しいな。お前がそんなことを言うなんて』
『一応、俺はアイツの師匠なんで』
ポケットにいれていた潰れたどら焼きを齧りながら零はそううっすらと今度は本当の笑みを浮かべながら言った。
影浦雅人1
辻新之助0×
生駒達人2
帯島0
王子1×
小荒井0×
香取葉子1
村上鋼0
笹森日佐人0×
熊谷友子0
柿崎国治0×
風切零1×
さて、ここまで来るとくまちゃんどうやって動かそうかw
自分なりにbbf風の零さん書いてみした!
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