熊谷友子は迷っていた。
上をバッグワームで跳んで行く零を見てからそちらを零を追いかけてはいたが誰かの旋空弧月により墜落したのを見て零を見失っていた。
ようやく見つけたのは良かったがそこにはA級隊員と遜色がないほどの隊員ばかり。
隊長の那須がいればまだ自分もやられるとしてもこの戦いの中に馳せ参じることが出来たのだが悲しきかな今は一人。
加わったところで蹴散らされて終わりだ。
だから熊谷はレーダーに映るもう一つの戦闘が起こっている場所、つまり香取や帯島が戦っている場所に向かった訳だがここでは香取がノールックで柿崎を倒すと言うだれもできなさそうなことをやってのけてしまった。
香取に相対したとして良いところまでは行くことができるだろう。
だが、ジリ貧であることに変わりはない。
だから香取との弧月とスコーピオンの打ち合いで自分の前まで後退してきた帯島を容赦なく叩き斬った。
「!?」
『戦闘体活動限界
帯島が熊谷見ながら光の柱となって飛んでいく。
香取もいきなり現れた熊谷が帯島を倒したことに動揺したのか後退りスコーピオンを熊谷に投げ付ける。
しかし熊谷はそれを弾いて勝機を見た。
今香取の手には得物がない。
このスピードならスコーピオンを出すよりも早く香取を斬れる。
そう考えて熊谷は走った。
とった!、と考えた時香取の左手にはスコーピオンが握られていた。
「しまっ・・・・ッ!」
香取のスコーピオンにより熊谷が上半身と下半身を切り離す。
『戦闘体活動限界
◇◆◇◆
『ここで熊谷隊員
武富の質問に零と風間が振り向いて答える。
『ありゃ最初っから背中に生やしてたんだろ。そっから手に持った瞬間背中から離して使ったんだろ』
『香取ほどの
『風間さんさっきからそればっかすね』
零につっこまれしかめっ面を浮かべる風間。
香取に対しては基本的にその生まれもっての
『・・・・・でも、ここからは香取ちゃんもきついんじゃない?』
『あぁ。残っているのは香取を含めて影浦、村上、生駒と香取の才能《センス》だけで勝てる相手ではないからな』
『んま、それは香取の腕の見せ所と言うことで』
零の言葉にコイツ絶対香取贔屓してるな・・・・、と武富や風間、小南を含める試合を観戦している誰しもが思っていた。
ただ、零も香取がこの三人に勝てるとは微塵も思っていなかった。
◇◆◇◆
『残り四人やで!気張れやぁ!』
「残り四人了解」
三すくみでにらみ合いを続ける中、突然入った細井の通信が生駒に入る。
「・・・・・・スラスターON」
村上がそう呟くと村上が左手に持っていたレイガストの盾が生駒に向かって飛んでいく。
「!?」
生駒が盾を弧月で向かってくるのを押さえているのを確認して影浦を落としに向かう。
勿論影浦も
しかし、反動でどんどんヒビが広がっていく。
『警告トリオン漏出甚大』
影浦の脳内に流れる機械音が流れる。
「そろそろトリオン体も限界だろ?」
「うるせェ。黙って死ね!」
影浦のマンティスが絶え間なく村上を襲っていく。
村上の強みは
彼の強みはレイガストによるその防御力にある。
だが今レイガストは生駒の動きを封じるのに使われている。
だから強みは半減していた。
「「旋空弧月」!?」
影浦のマンティスを押し返すために村上が放った旋空弧月と共に後ろから生駒の旋空弧月が村上のレイガストと村上自身を切り裂いて影浦に向かっていく。
『戦闘体活動限界
「ッチ」
舌打ちをして影浦がマンティスで横の家の屋根へと移動して避ける。
そのまま生駒の懐に飛び込んでスコーピオンを突き刺す。
『トリオン供給器官破損
◇◆◇◆
『ここで村上隊員と生駒隊長
『カゲも右手右足でよくやるなぁ・・・』
『アンタそうした本人でしょ』
零が頬杖を付きながら試合を観戦する。
風間にしゃんとしろと注意はされはしたが、零は止める様子がなくそのまま欠伸までする。
『風切。解説をするなら真面目にやれ』
『いやいや風間さん?これどう見ても勝負は見えてるでしょ』
傷を少ししか負っていない香取とあと一撃くらえば
影浦の方が実力が上だとしても一撃くらいなら香取も当てられる。
この試合は生存点も含めて香取が勝つ。
誰しもがそう思った。
『香取の勝ちだ』
例に漏れず零もその意見を持つ一人だった。
ただし・・・・・。
『カゲを俺のポイントにしてな』
零の言葉に観戦していたC級隊員がざわめきだす。
更に武富は驚いたように零を見るが風間や小南、零の後ろに座っている国近は何だいつものことか、と言うように冷静な顔で零を見つめる。
このいたずら好きの少年は常日頃からどうやって相手の度肝を抜こうかを考えている。
『・・・・・俺が五人に囲まれて向かってった時に誰もが思ったはずだぜ。無理だ、無茶だってな』
でも・・・・・、と画面の中でヒビが広がり
『無駄じゃなかった』
『か、影浦隊長
武富はそう言いながら画面に表示される点数を見ながら分かりきった勝者が誰なのかを確認する。
『二対零対三対零対一対零対四対零対零対一対零対二で香取隊長の勝利です!それでは総評に移っていきましょう。先ずは風間隊長』
解説席の三人が風間を見る。
『先ず笹森と小荒井だが王子を二人で相手にしたのは良い策だったと言えるだろう。自分より格上の相手に数の有利は有効だ』
『逆に零は最初から生存点を取るつもりはなかったのよね?』
『そうだな。今回は一人だったから勝ちはしなかったけどランク戦とかのチーム戦なら囲まれて助けも望めないような状況ならいっそ死ぬ覚悟で落とす方にシフトする大胆さは必要だな。ま、助けが来るまで耐えれるのならそっちの方が良いわけだけど』
小南の質問に零が少しはにかみながら答える。
自分の行動理由と別状況の解説をこの解説の存在理由ゆえに行う。
『ザキ・・・あ、柿崎は漁夫の利を狙う堅実さはよかったけどバレたのがダメだったな』
『熊谷ちゃんもちゃっかり後ろから点取ってたわね』
『取れる時に取るのは大切なことだ』
風間の言葉に零と小南がうんうんと同時に頷く。
『逆に香取は柿崎に気付いて倒したのはよかった』
『あれは零が教えた訳じゃないわよね?』
『たりめぇよ!零さん師匠になったって教える技術は持ち合わせちゃいませんことよ?ありゃ香取の
『あの・・・・・失礼ですけど風切隊員は香取隊長の師匠としてどのような特訓を?』
武富は自身の一番気になる事を聞いてみる。
香取の
『特訓?んなのずっと戦うんだよ』
『え!?』
少年のあまりの暴挙に武富は驚いていた。
何かを教えるわけでもなくずっと戦うだけなのだから何かを得るも学ぶも香取次第と言うことになる。
しかし、確かに以前に比べて香取は強くなったと言うもっぱらの噂であり武富にもその噂は耳に入っている。
『つか俺教えんの苦手だから香取みたいに戦い方を盗む奴が一番あってんのよ』
以前零は那須に香取を強くしてやりたいから弟子に取ったと言った。
それは本心だ。間違いはない。
もちろん、彼には他にも強くしてやりたいと思える後輩はいるし、那須もその一人だった。
だが、B級部隊の荒船隊の隊長、荒船哲次のような独自のメソッドを確率していたりある程度のセオリーを知っていなければ教えることもできない。
だから彼が弟子にできる条件は自分の技術を戦いで盗めるような卓越した
『なるほど・・・・。はい!それでは以上を持ちましてB級
実況解説がムズすぎる・・・・。