しばらくの日数が経ち、零は退院した。木崎に迎えにきてもらい、そのままボーダーの基地の開発室へと向かい現在は鬼怒田が戻ってくるのを待っていた。
「お、零じゃねぇか。退院したのか?」
そこに現れたのはA級2位の冬島隊の隊長、冬島慎次だった。彼の手には何故か杖が握られていて零も疑問に思う。
「脚でも悪いんですか?」
「違う違う。室長が多忙だから俺がお前にこれを渡しに来たんだよ。調整は済ませてるから直ぐに使えるはずだ」
そう言いながら冬島が渡してくる杖を零は受け取り、その杖を使って立ち上がる。
いつものように「トリガー
杖が消え、代わりにいつもの黒い隊服を身に纏いしっかりと2本の脚で立つ事ができている。
「すげぇ・・・。すげぇよ冬島さん!」
「おぉ、そうか。ならはいこれ」
冬島が零の手に四つに折られた紙を握らせる。零が紙を開くとそこには文字が書かれていた。
風切零復活記念試合
◾️来馬隊 (来馬、太刀川、二宮、加古、今)
◾️柿崎隊 (柿崎、生駒、弓場、風切、藤丸)
◾️村上隊 (村上、影浦、当真、犬飼、国近)
◾️奈良坂隊(奈良坂、那須、出水、米屋、氷見)
集合場所は各隊長の隊室だぞ⭐︎
「何これ?」
文字を読んでもよく分からない。特に最後の⭐︎。零は顔を顰めて冬島を見る。対する冬島も苦笑いを浮かべながら説明を始める。
「お前のリハビリとお前と戦いたいって奴の欲求解消のために太刀川がいろんなとこに掛け合ったみたいだぞ」
「それ絶対太刀川さんが戦り合いたいだけじゃないっすか」
「まぁ、顔見せついでに行ってやれ」
「はーい」
◇◆◇◆
と言うことで零は直様柿崎隊への隊室へと赴いた。隊室に入った直後パンッ、と炸裂音が鳴り響く。
紙吹雪が零の頭に雪のように積もって行く。
「零!退院おめでとう!」
「おめでとさん」
「待ってたぞ」
「何突っ立ってんだ?早く来いよ」
「ザキ・・・。お前ら・・・」
涙ぐみながら隊室へと入り席に座る。
「早速だが、作戦を伝えるぞ」
柿崎にそう言われ全員の顔が厳しくなる。それもそのはず。今回のチーム分けを見ても明らかに戦力が偏ってしまっている。
主に来馬隊。個人総合ランク一位と二位、更にはA級6位の隊長までいる。一人でも厄介な相手が三人も同じチームにいるのだから今回は戦略的な作戦が必要になる。
「まずは部隊の合流を優先させる。理由としてはやっぱり来馬隊だ。でも来馬先輩意外の人たちの性格ならよっぽどの理由が無い限り一人だろうから数で押す」
「来馬サンは二宮サンに付きそうだな。合成弾の隙もあるしな」
「それには俺も同意見だ」
柿崎と弓場の会話を聞きながら零は顎に手を当てて考える。来馬が二宮につくと言うのは零も考えている事だが本当にそれだけで良いのか。
うーん、と唸る零に気付いたのか藤丸が零に話し掛ける。
「どうした?何か不安な事でもあるのか?」
「いや、合流するってのは良いんだけどこれはポイントを取り合うのがこの試合のルールだろ?多分合流してる間に俺たちが取れそうなポイント粗方取られるんじゃ・・・」
それだけではない。他のチームにはA級隊員が一人はいるものの柿崎隊には居ない。チームランクだけで実力が測れるとは零も思ってはいないがやはりそこも不安要素になる。
「そんなら二人一組はどうや?」
「良いとは思うけど不安要素はそれだけじゃない。ウチの隊には中距離が居ない。射程外からゴリ押されてジリ貧だ」
零も
「それなら問題ねぇよ。今のお前のトリガー構成完全に
藤丸が自分の持っているタブレットを操作して画面を零に見せる。確かにそこには前までとは違うトリガー構成をされていた。
メイントリガー
グラスホッパー
サブトリガー
バッグワーム
シールド
「なんで?」
「二宮さんがこの試合に参加すり条件が零が
「わっほい。知らん間に出汁にされてたぜ」
だがそれならそれで話は早いと零は再び机に映し出されたステージを見る。
「ステージは市街地Aでいいんだよな?」
「あぁ。今回はルーレットでステージを決めたんだ」
柿崎からの返答に零は更に頭を働かせる。
今の自分のトリガーが
「よし。なら転送直後俺はイコか弓場の近い方に向かう。それは通信で伝えるからザキはもう片方に行く。これでどうだ?」
決めるのは隊長のお前だ、と柿崎に判断を求める。柿崎も直ぐにうなづきそれで行こう、と次の村上隊のデータに映る。
「村上隊は村上とカゲがキツイな。あの二人と渡り合えるのが多分生駒しか居ないから任せる」
「了解」
「当真はどうする?」
「奈良坂とぶつからせるってのが得策だけど・・・」
弓場の質問にどうするべきかと再び柿崎が頭を悩ませる。こちらもやはり柿崎隊に
「零、お前ならどうにかできるか?」
「隊長の命令なら、なんとかする」
「頼む」
零がうなづき返して黙り込む。どうにかする策を考えているのだろう。邪魔するのは悪いと最後の奈良坂隊を見る。
「こっちは逆に
「戦ってる最中に横からちょっかい入りまくりやしなぁ」
「そっちは俺が何とかする。二宮サンとランク戦で良く当たるからな。対策も色々立ててある」
「分かった。じゃあそっちは弓場に任せる」
「分かった」
一通りの作戦を話し終えて柿崎が全員に声をかける。
「正直、この試合。勝てるか分からねぇ。いや、むしろ負ける方が現実的かもしれねぇ。でも、俺たちならできる。絶対に勝つぞ!」
「「「「おう!」」」」
♢ ◇◆◇◆
「さぁあ!いよいよ始まるぜ!レイ先輩の復帰記念試合!」
観戦席に仁礼光の元気な声が響き渡る。
「実況は影浦隊のオペレーター仁礼光が担当するぜ!解説はボーダーの顔、嵐山隊長とこの試合唯一出てない二宮隊メンバー辻隊員だ!」
「よろしくお願いします!」
「よ、よろしくお願いしまひゅ・・・」
「・・・・・緊張しちまってるみてーだな」
辻の様子を見ながらなんでコイツ解説に選んだんだ?と選んだんだ人間の判断を疑う。実際のところは二宮隊で辻だけが暇だったので二宮が辻が女子に緊張するのを少しでも克服させようと解説をするように指示したのだがそれは二宮隊のメンバーしか知らないことだった。
「じゃあ、嵐山隊長。今回の注目株について教えてくれ」
「そうですね・・・・・。やっぱり今日復帰した風切隊員ですかね。今回は射手トリガーだけの構成と言う話ですがこのメンバーでどう動くのか、気になるところです」
爽やかにわらいながらそう答え仁礼もなるほど〜、と今度は辻を見る。
「辻隊員はどうなんだ?」
「お、俺!?そ、その・・・・・影浦先輩が犬飼先輩に突っかからないか心配、です」
「あ〜、仲悪いもんなぁ。主にカゲが一方的に嫌ってるだけだけど」
そうこうと会話しているうちに画面のカウントダウンが0になり画面に街並みが映される。
「お、時間だな。それじゃ、風切零復活記念試合スタート!!!」
これ来馬隊が勝つビジョンしか見えねぇ・・・・
勝つのは何処だ!?
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ヤベー奴揃いの20歳組来馬隊
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大穴狙いB級ばっかの19歳組柿崎隊
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サイドエフェクト持ち二人の18歳組村上隊
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弾バカ槍バカ那須熊嵐の17歳組奈良坂隊