万年B級詐欺師隊員劇場   作:暁桃源郷

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1章〜メノエイデス遠征〜
遠征任務①


 零達が住む世界、近界(ネイバーフッド)では玄界(ミデン)と呼ばれているその惑星からほんの少し離れた惑星。気候的には年中穏やかで、それ故にあたり一面畑と畦道、近くには森と川が見える。

 その上に見えるのはかなり栄えているように見える街並み。

 そんな場所から少し離れた砂浜に黒い球体が雷を発しながら現れ、その中から一つの船が現れる。

 船が地面に着陸し数秒程経ちゆっくりと船の扉が開き、中から複数人の男達が出てくる。

 

「やっと着いたぜ。この船狭くてしょうがねぇな・・・」

 

 一人はリーゼントがトレンドマークの男。

 

「文句を言うな。皆それは同じだ」

 

 一人は出てきた男達のこの中で一番年上で一番背が低い男。

 

「お、何か穏やかそうな場所だな」

 

 一人は刀を両腰に携えて顎を撫でる網のような目をしたブラックコートの男。

 

「広そうですね。探索が大変そうだ」

 

 一人は人柄が良さそうな男。

 

「これ、本当にこの人数でやるんですか?」

 

 一人は先程の男の隣に立つ偏屈そうな男。

 

「まずは第一村人を探して、そっから進める感じかな」

 

 一人はゲーム感覚で物事を話す二番目に背の低い男。

 

「ゲームですか?」

 

 一人はブラックコートを着てゲーム感覚の男の後ろから景色を眺める男。

 彼らこそがブラックトリガーにも対抗しうる実力があると認められ、近界(ネイバーフッド)への遠征を命じられた者達。

 そう。彼らこそ玄界(ミデン)の精鋭。A級トップ3の隊員達だった。

 

「では、事前の打ち合わせ通りに進めよう。先ずは三方向に別れて安全の確保。太刀川と出水、俺と歌川、風切と菊地原でペアを組む。オペレーターはそれぞれ国近、三上、真木に就いてもらう。だが船の守りも必要だ。そこには冬島さんと当真にやってもらう」

「りょーかい」

 

 淡々と事項を伝える一番背の低い、風間の指示に当真が返事を出す。他には誰も返事をしないが異論はないらしく直様行動に移す。

 まず動いたのは太刀川だった。その後を出水が小走りになりながら続いていく。

 次に動いたのは風間と歌川。それを見てようやく零と菊地原も動き出す。

 

「あ、やっと行く気になった?当初の予定みたいに二倍じゃ無いけど早くしてよね」

 

 安全を確保すると言うことは船を中心に360度見て回ると言う事だ。すると必然的に1チームだけ担当区域が多くなる。そこで探索向きの菊地原の副作用(サイドエフェクト)、『強化聴覚』が頼りになった訳だがどうやらこの惑星は半月の形の惑星らしく後ろには海しかない。必然的に三方向同じ範囲で分かれることとなったのだ。

 とは言え見る限り急な坂道のため既に零は気が滅入ってしまっていた。

 

「仕方ねぇ。とっとと終わらせて戻ってくるぞ」

「言われなくともそのつもりだよ」

 

 重い足を一歩一歩前に進め、零と菊地原は歩き始めた。

 

◇◆◇◆

 

 零達探索組が探索を始めた頃、遠征艇の中ではカタカタカタとパソコンのタイピング音だけが鳴り響いていた。

 

「全員出発したぞ」

 

 そんな中、見送りから戻って来た当真が全員に聞こえるようにそう宣言する。もちろん、全員そんな事は知っている。

 

「なら早く船の上に見張りに行きなさい」

「りょーかい」

 

 真木の一声に当真が気の抜けた声で返事を返し、直様船から出て上に登る。

 遠征でまず大事なのは拠点、つまりは安全地帯を作ることだ。遠征先では孤立状態でありいつ敵に囲まれるかも分からない。だからこそ迎え打てるスペースが必要なのだ。

 

『隊長。狙撃地点に良さそうな場所見つけたんだけどあそこにワープ置けねーかな?』

 

 当真が出て行ってからしばらくの時間が経った後、特殊工作兵(トラッパー)であり隊長の冬島の元に当真から通信が入ってくる。

 

「ちょっと待ってろ。・・・・・よし、設置できたぞ」

『サンキュー隊長』

 

 通信越しの当真の要望に応えながら同時に自分の仕事もこなしていく。

 

「真木ちゃん。一先ずトラップは置き終わったから皆に位置情報伝えてくれ」

「わかってるわ。三上ちゃんと国近ちゃんにもデータを送る」

「ありがとうございます」

「太刀川さん達に送っとくね」

 

◇◆◇◆

 

「お、船の方はあらかた終わったみたいだな」

 

 国近から送られてきた情報を見ながら森の中を散策していた太刀川が笑う。

 

「俺達ももうそろそろ一キロですよ」

 

 遠征艇を降りる前に行った会議で船から半径一キロメートルを安全圏にするように決まり当然それは太刀川や出水も承知の上だ。

 だが太刀川は引き返す様子もなく更に先へと進んでいく。

 

「ちょっ!太刀川さん!?」

 

 そんな太刀川を出水は少し困惑しながら追いかける。何度も出水は太刀川に呼びかけるが太刀川は返事をしない。

 もう既に遠征艇からIキロメートル以上は離れてしまっている。いったいどうしたのかと出水が疑問に思っていると太刀川が立ち止まり出水に内部通話が入る。

 

(出水、五時の方向。誰かがつけて来てる)

(・・・・・!)

(見るな)

 

 太刀川の言葉に出水が振り返ろうとする。だがそれを太刀川は止めた。

 

(まだだ。安全地帯から近すぎる。もう少し離れるぞ)

(了解)

 

 再び二人が動き出すと太刀川達を見張っていた何者かが追跡を再開する。草陰から追って来ている分、草などがすれて音が聞こえるはずだが聞こえてこない。

 ようやく安全地帯からそこそこ離れた開けた場所に出て出水が振り返り

通常弾(アステロイド)を追跡者へと叩き込む。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 悲鳴が聞こえた。どうやら当たったようだ。だが太刀川と出水にあったのは疑問のみだった。

 聞こえた悲鳴はとても若い、それも女の声。反撃も一応警戒したがその様子もない。完全に撃墜したと判断して二人で悲鳴の元へと近づいて行く。確かにそこには気を失った少女が倒れていた。

 

◇◆◇◆

 

 何かが可笑しい。

 A級3位の隊長、風間蒼也はそう思い畦道の真ん中に立ち止まり周囲を見渡す。

 

「どうかしましたか、風間さん?」

「静かに」

 

 歌川を黙らせて耳をすませてみると確かに畑の何処かから草をかき分けれる音と、泥の中を這いずる音が聞こえてくる。

 次の瞬間畑の泥が噴水のように噴き出して中からワニのような見た目をしたトリオン兵が姿を表す。

 

「何だあれは!?」

 

 さすがの歌川も驚いたようにスコーピオンを取り出して戦闘体制に入る。

 

(落ち着け。先ずは観察だ。行動パターンを全て洗い出し他のメンバーにも情報を共有する)

 

 内部通信で風間はそう言うが、ワニ型のトリオン兵も待ってくれるほどお人好しではない。直様口を開きながら素早く二人に突撃して近づいたところで口を勢いよく閉じる。

 二人はそれを後ろに飛びながら避ける。

 

(結構素早いですね・・・・・)

(あぁ。だが、対応できない速さじゃない)

 

 歌川がスコーピオンでトリオン兵の背中に切り掛かるが傷一つ出来ない。風間ま続いて足を斬ろうと試みるがやはり刃が通らない。

 

(装甲が硬い。・・・仕方ない。時間は掛かるが順番に削って行くぞ)

(了解)

 

 再び二人が同時に地面を蹴りトリオン兵に一気に距離を詰める。

 まず狙ったのは前足。一回、二回、三回、と何度も同じ場所を削って行く。しばらくするとようやく足に目に見える程の傷ができてくる。

 今度は同時に同じ場所を斬りかかる。ようやく一本の足が落ちるとトリオン兵は体勢を崩し大きく口を開ける。そして風間は先ほどまで長い口で隠れて見えなかったトリオン兵の目をスコーピオンのナイフを投げて潰す。

 トリオン兵が力無く崩れ落ち死んだことを確認して歌川がスコーピオンを納める。

 

「見たことないトリオン兵ですね」

「そうだな。とりあえず遠征艇に戻るぞ。まだ居るとしたら全員で対処したほうが良さそうだ」

「はい!」

 

◇◆◇◆

 

「・・・・・風間さん達がトリオン兵と戦闘したらしい」

 

 真木からの連絡を受けた零が菊地原に報告する。だが菊地原は特段心配している様子も無く先々と進んでいく。

 

「風間さん達なら大丈夫でしょ?それよりとっととやることやって戻りたいから」

 

 それを聞いて零も一抹の不安を拭いながら菊地原の後を追う。太刀川達は森。風間達は畑と畦道と来て零達は川沿いを歩きながら散策していた。

 

「任務じゃなかったら釣りでもしたかったな・・・」

「安全さへ確保されれば休憩時間にでもやれるでしょ。ま、こんなところの魚なんて釣ってこられても迷惑だけど」

「よし、菊地原。釣ったら先ずはお前に食わせてやる」

「うーわ、パワハラ発言・・・」

 

 軽口を叩き合いながら目標地点まで歩く二人。側から見れば仲が悪いように思えるが、元々菊地原は誰に対しても偏屈な人間で口が悪い。

 だからこそ菊地原を知っている人間からすれば菊地原が話をする相手はもはやそいつは菊地原の友達と言う認識だ。

 

「だいたいお前は後輩なのにあんま敬意が足んなくて・・・」

「上」

「上?」

 

 菊地原の言葉に零が顔を上げると一寸先に拳が見えた。

 

「!」

 

 すぐさま身体を捻り飛んできた拳を避ける。地面にできた穴を見て冷や汗をかく。早さと言いスピードといい今のは零の副作用(サイドエフェクト)があったから避けられただけだ。

 

「お前、わざと知らせるの遅らせただろ!」

 

 散弾銃を左手に生み出して菊地原を睨み付ける。当の菊地原本人は気にもせず零が避けるのを分かっていたかのようにスコーピオンを構える。

 

「避けれるんだから別にいいでしょ?ほら、また来たよ」

 

 飛んできた拳の正体を見るとそこにいたのは見た目がゴリラ型のトリオン兵だった。

 トリオン兵が再び殴りかかるが零がバックステップで避け弾丸を浴びせる。

 

「風間さん達が当たった奴とは違うみてーだ。装甲はそんな硬くない」

「なら、さっさと終わらせる」

 

 トリオン兵が零に気を取られている内に菊地原が後ろからスコーピオンで斬りかかる。

 しかし、それに気付いたのかトリオン兵は太い腕を振り菊地原を薙ぎ払う。

 

「菊地原!大丈夫か!?」

『自分の心配しなよ。ボクもすぐ戻るから』

 

 零が見た感じスコーピオンでのガードは間に合っていたから大した傷ではないだろうと判断し、再び零に振り返るトリオン兵の懐に入り、精一杯の弾丸を浴びせる。

 ようやくトリオン兵が膝をつき、零は頭を右手で掴み銃口を顔面に突きつける。

 

「おーしまい」

 

 そして最後に一発。トリオン兵は顔面を潰され完全に起動を停止した。




最近別の方のワートリ小説を読ませて貰っています。
地の文とか書くのが上手い人が羨ましいです。
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