ブリテンの火薬庫(自然発火)   作:テムテムLvMAX

1 / 4
2時間じっくり考えました!
頭を使わずに読んでね!伏線なんてないもーん!


異端の騎士

 皆は知っているだろうか、かの伝説的な騎士であり王であるアーサー・ペンドラゴンを。その生涯は波乱に満ち後世まで語られ、現代で知らぬものは居ないとまで言われている。

 

 そしてアーサー王伝説を語る上で外せないのが彼ら円卓の騎士の存在だろう、13の席を囲む彼らはそれぞれが一騎当千で物語に溢れている。

 

 だが、そんな中に一人だけ数えられていない異端の騎士がいるのだと、誰も知らないのだ。これはその騎士についてのお話。あるいは、大団円へ導く都合のよい物語なのかもしれない。

 

 それでも、異端の騎士は騎士だった。その物語を知ってほしい。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

「どけ、そこは私の席だ」

 

 

 とある街のとある酒場、満員御礼で静けさを知らぬ空間にぽっかり空いた静謐な場所があった。

 

 その原因は一人の騎士、名はあったが物語には語られることのない矮小な名前。その騎士がゆるりとした雰囲気で酒を嗜む町人風の男に怒りをぶつけていた。椅子に深く腰掛けグラスを傾けるその男は騎士を見ていないようだった

 

 満員御礼とはいえ他にも席はある、なのにどうしてこの騎士に席を譲れと言うのだろうか。周りの人間は当然そのような疑問を持ったが言い出すことはない、騎士が怖いからだ、騎士は力を振るう事を良しとしている、基本的に自らは善、歯向かうものは悪として葬るスタンスが多く横暴で強欲なのだ。

 

 そんな奴誰だって関わりたくはない。町人風の男には悪いが見捨てることにしておこう、それがこの場の総意だった。

 

 

「私は譲らない」

 

「ほう? 歯向かうのか?」

 

 

 男は否定した、それと同時に騎士は腰に掛けた剣に手を掛け鞘からほんの少し引き抜いた。見せびらかすとまでは行かないが、威圧するには十分、厚みがあり重厚感のある幅広の両刃直剣、見ているだけで痛くなるような鈍い金属光沢が男に刺さる。

 

 しかし男は意に介さないと酒を飲む、騎士の脅しはまるで気にしていない。騎士はさらに切れた、まるで相手にされていない事に、自身の存在すら忘れるようにそこに座る男に遂に腹の底から怒鳴り散らかした。

 

 

「だから退けよ!!! そのテーブル団体予約してんだよぉ!」

 

「知らんな、私が先に座った」

 

 

 事情を知っていた店員以外は顎が外れた。

《なんだコイツ正気か? 7割は男に非があるのにそこまで図々しい態度で騎士を相手にしているのはもう自殺志願者だろ》

 酒場に居た人間の意識は統一されていた、そういう意味ではあの男は統治者タイプなのだろう。

 

 怒鳴られてやっと行動を起こす気になったのか男は呆れたように立ち上がり、騎士に向けた言葉は──

 

 

「私の分もお会計お願いしていいか?」

 

「……は?」

 

 

 それは本気で言っているのか、本気なら切っても神はお許しになるだろう、むしろ神も後押しする清々しいほどにクソ野郎の精神構造している男は騎士にワインボトルを押し付け酒場を出ていった。

 

 あまりの奇行、いや蛮行に誰しもが口を口を開け目を皿にして男を見ていた、騎士はよく分からないうちに押し付けられたワインボトルをただじっと見つめその席に座った。

 

 

「このクソ野郎ぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

 騎士の怒りは酒場に響いた、一番聞かせたい相手は既に居ないのだが。追いかけるにしてももう街を出た頃合いだろう、ここまで計算していたならあの男は神すら騙せる存在だ。

 

 

 その一方でクソ野郎本人はというと。

 

 

「今頃財布がないと喚いている頃か、ふははっ」

 

 

 あろうことかあの騎士の財布までスリ取っていた、ワインボトルを押し付けた時に素早く懐から抜き取って見せたのだ、真正面から堂々と。大胆不敵の悪党、もはやそう言うしかない。

 

 スリ取った財布を手元で鳴らしつつ男は次の街へ歩いていくの──

 

 

「待ちな」

 

「な、何だよ? 騎士様」

 

 

 男の道を遮る様に一人の騎士が現れた、その右手には剣ではなく虫取り網を持ち、左手には虫籠を持っていた。そして何よりクッソ美人だった。騎士なのだから男だと分かるがそれでも女と見間違えるほど中性的な顔立ちのクッソ美人。姫カットと呼ばれる髪型でどことなく和を感じる

 

 

「き、騎士様はなぜこのようなところに?」

 

「あぁ、それはな──ブリテンダイオウオオカブトを捕まえに来たのだ! (ドヤァ」

 

 

 大の大人が、それも騎士が何をしてるんだと悪党は訝しむが騎士は意に介せず、虫籠を見せびらかす、中には直径20センチ程の甲虫類が入っている、これがブリテンダイオウオオカブトなのだろうか。見たことのない大きさの虫に悪党は年甲斐もなくはしゃいでしまった。

 

 

「おぉ! すごいですね! これは見たことないです!」

 

「だろだろ! そうだろ! いやー誰かに見せられて良かったー! もう気が済んだしいいや、ハイ逮捕」

 

「へっ?」

 

 

 悪党は騎士の虫網に捕まった、正確には頭に被せられただけだが。

 

 

「我が名はアスノ!治安維持法によりお前を屯所送りだぁぁぁぁっ!!!」

 

「ぐおぉぉどぁぁぁぁぁっ!?!?!?」

 

 

 油断している間に騎士が悪党の胸ぐら掴んで投げた、それはそれは天高く飛んでいき悪党が先程盗みを働いた街の屯所にホールインワンした。

 

 アワレ。

 

 

「この世に悪の栄えた試しなし! ってね!さーて続き続き〜今度はモルガンシマシマヨウセイバッタはどこかな〜」

 

 

 投げた騎士はまた藪の中へ消えていった。

 

 しばらくその街では―奇々怪々! 恐怖の人間砲弾! ―として都市伝説が広まったそうな……

 

 

 

 

 

 

 





今日の登場人物

悪党 やるせない気持ちが溢れてくる、あんなのに捕まったのが一生の恥


騎士 あの悪党が何故か捕まったいたのでラッキー、あと財布どこ?

アスノ 俺主人公なのに出番少ない



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。