一先ず、手当たり次第に殺してきたのでマグレでチャウチェスクとやらもKILLしていることを祈ろう。
俺は自分の仕事を三十分足らずで終えて、後はボリス達が迎えに来るのを雲でも眺めながら待っていた。
銃の弾を替えるよりも殴った方が早かったので、気配を察知した順に撲殺した。その中に如何にもな感じのスーツ姿の男と女が居たので一応誰何してから、こっちは護衛の兵士も居り、彼らが首相だか大統領だかと叫んでいたので、今度こそアタリだと確信して生きたまま八つ裂きにした。
頭に血が上っていたので体を八つに分解して以降の記憶が飛んでいるが…まあ、俺は今この通りピンピンしてるから大丈夫だろう。
あーあ、今日の夕飯は何かな?昼飯は軍用レーションのチョコレートバーで適当に済ませちゃったし…そういえば一人でお昼食べたのは久しぶりかもしれない。最近は毎食ソフィーと一緒に高そうな洋食レストランで食ってたから少し寂しいな。
益体のないことを考えて暇を潰した俺は、民衆がすごい勢いで国会議事堂に突入していくのを横目に、迎えの車に乗ってこの地を後にした。
数時間の移動の後、俺たちの車を先頭にどんどんどんどん車列が膨らんでいった。次から次にあちこちから合流する車の多さに驚き、暇だったので数えつつそれにもそのうち飽きて、結局俺は車でひと眠りした。次に起きた時はやたら豪奢な列車の中だった。
覚悟してから目を開けると、案の定隣にボリスがいて説明してくれた。
「任務は完遂されました。我々はこれから鉄道を利用して極東シベリアまで向かいます。今回は向こう側に居る同志の御厚意により歴代書記長の専用列車の中でも最も状態の良好なものを徴発できましたので、到着まではごゆるりとお過ごしください。」
「…軍神の呼び声が誇張ではなかったことを、まさかこの目で視ることができるとは思ってもみませんでした。…これ以上の栄誉はありません。」
「同志、私も
なるほど、俺は暇になったのか。あと…ボリスの様な岩みたいな男に熱い視線を向けられても俺は照れるだけだぞ?
はぁ、なんだか面倒くさいことになった気もするが…ま、そういうコトはソフィーが俺の代わりに考えてくれるさ!今だって、俺が一人でやってた時よりも圧倒的に儲かってるらしいしさ。
ふぁ~ぁあ…そう思ったら気が抜けたな。ようっし、また寝るとするかぁ。
極東に着いた後、鬼の様に寒いこの場所に何の用があるんだと思っていたら、向かった先は呆れるほどデカい研究所でした。
…勘弁してくれよ。もうここまで嫌なニオイがぷんぷん漂ってきてるよ。このニオイはよーく知ってる。面倒くさいヤツだ。
間違いない、俺は最近よく巻き込まれるから知ってるんだ。
俺たちを出迎えてくれたのはソフィーだった。
彼女は俺たちを猛吹雪の屋外とは打って変わって厚着だと暑いと感じるくらい快適な屋内施設に案内してくれた。
近未来的な部屋とか、何に使うのかもわからない器具とかを紹介されながら数時間説明を受けたが俺には興味が無かった。いや、理解はできたんだが脳みそが理解するのを拒否してたんだな。うん、それが正しい認識だ。
俺は諦めて、ヒジョーに億劫だが筆談でソフィーにこの施設の概要についての確認を取った。
・ー・つまり、この施設は世界一ハイテクノロジーな孤児院って訳だな?・ー・
「はい、その通りです同志モンタナ。ここは、貴方に忠実な国民を一から養育する為の揺り篭です。その為に、今回の革命に助力し成功させた報酬として、国家が養いきれない"チャウチェスクの落とし子"を全て…全土中から集めさせました。」
「彼らには高度で実用的な教育に加えて、全員が貴方の"戦士"と成るに相応しく成長する上で必要な、最も確実な精神教育と軍事教育を享受します。今後、同様の施設が世界中の僻地や見捨てられた土地に建設されることになります。これらは無論我々の国土ではなく、あくまでも他国の無法地帯に建設された治外法権と見做します。」
「所謂無主の地を、我々は無主の地のまま活用し、そこで高度な自活生存能力を身に着けた、各自然環境に特化した特技兵を養育します。近い将来には全環境及び天候それぞれに、極めて特化した戦闘要員を有する唯一の国家と成るのです。」
「"我々の国家"には国土も国境も存在しません。言語の壁も、人種や肌の色さえも…我々には関係が無いのです。そこにあるのは唯一思想と言う秩序による連帯のみ。我々は所謂戦闘民族へと人間を昇華しようとしているのです。全ては貴方が支配する世界を創造する為。」
「…そう、"我々"が貴方に使われる世界、我々が…"私"が貴方と共に戦争に没頭する為だけの…そのための究極の世界を創造するためなのです。貴方と言う現人神こそが我々の国家そのものなのです。貴方への信仰心により我々は貴方と並び、共に生きる権利を得るに至りました。思想に依る共鳴こそが唯一の国籍、貴方への信仰こそが我々を結ぶ最強の鎖。」
「貴方と私が出会ったあの
「そして、それまで別々に存在していた戦士と神は、つい先日に貴方が我々の元に訪れてくれた…その瞬間にもはや可塑性は失われました…そして、この施設に貴方をお招きすることが、ようやく、今日漸く叶ったのです。また一つ、私の夢が叶いましたね?」
「ここでは、貴方の様な人間を…神に近づく新人類の研究も行う予定です。…私は、貴方と最期を共にするまで死ぬわけにはいかない。だからこそ、この研究は必要不可欠なのです。」
「そして、もう一つ我々は国土を持ちませんが、国土を持つ既存の諸国家に対して影響力を与えることは可能です。国土を持たない唯一の国家が、唯一この地上の世界そのものを左右する権限を持つ。その果てにあるのは究極の計画共同体。」
「相対的に絶対的に。我々は生産を計画し、消費を計画し、人口を計画し、外交を計画し、競争を計画し、景気を計画し、貧困を計画し、富裕を計画し、中流を計画し、不満を計画し、支持を計画し、平和を計画し…そして、戦争をも計画する。戦略を計画し、動員を計画し、補給を計画し、戦地を計画し、前線を計画し、兵器を計画し、戦術を計画し、終戦を計画する。」
「我々は、貴方が支配する世界を創造したい。そして…その先で、我々は
「其処には二種類の人種しか存在しなくなる。戦うために生まれ戦いを望み戦うことでしか生きることのできない我々"戦士"と、"戦士以外"の二種類の人種だけ。」
「そうして、我々はようやく女や子供が…死ななくていい、死にたくないものが極限まで微少に計画された、そんな平和モドキを生み出すことが出来る。貴方が…私に託してくれた"預言"に、私は生まれて初めて確信を得たのです。」
「ああ、私は決して偶然で兵士になったわけじゃ無かったのだ。私は、私こそが"戦士"に選ばれたのだと。」
「貴方の言葉で同志を集め、組織し、来るべき日…今日この時の為に、貴方に私の覚悟を認めて貰う日のために、その為に軍に入り、傷を負い、不名誉を負い、そして訪れた最後の戦場で、だから貴方に見えたのだと。私は確信したのです。そして、私は今改めてその時の、これまでの、そしてこれからの自分の選択を大いに賞賛したい。」
「私は全く間違っていなかったのだと。貴様は確かに神に見えたのだ、そして真の"戦士"で在るがゆえに、こうして三度再会したのだと。」
「…さあ、同志モンタナ。…いえ、主よ貴方の忠実なる殺戮機械バラライカにどうか、洗礼と許しを。」
「裁きの時は今。私のこれまでを私は微塵も後悔していない。」
「だが、その真偽正負を裁量するのは神を置いて他には存在し得ない。」
「さあ、貴方の許しを。或いは裁きをこの身に。」
は?
そんで、冒頭の場面の困惑に戻るわけである…。いや、おい、ウッソだろ?おま…すぅぅぅぅ…うん、そっか。
そもそもの諸悪の根源は俺が書き遺した<僕が考えたサイキョーの世界征服計画>だってソフィーは言ってるが、悪いけどそこまでのことは書いてなかったと思うんだよな。
確か、俺が考えたのは科学力で無理やり人間を進化させて、誕生した新人類で少しずつ旧来の人間社会を侵食して乗っ取っちゃいましょー、という感じのかなり穏やか―な内容だったはずだ。
つまり、俺の発想とソフィーの発想がマゼルナ危険だったという訳だ。しかし、現実ではこの通り、見事に一番望まぬ形で混ざってしまった訳で…。この場合、俺が下せる判断は唯一つだ。
それは…
……うん。もうダメだなこりゃ。
いや、多分ね無理だと思うんだよ。両方の意味で。だってさ、こんな施設まで作っちゃうんだよ?もう矯正とか誤解を解くとか言ってどうにかなる場合じゃないんだよな。
しかもさ、このまま上手く行った所で俺は出来ないと思うんだよなあ…正直。
ソフィーの平和を希うだけに留まらず、実際に最も現実的世界平和実現の為に行動できるのは本当にすごいと思う。俺には無理だもんこんなこと。既存の何かをぶち壊すことに特化されすぎた俺には…眩しすぎるんだよ。
なんていうかさ、俺のことを明らかにヤバい目で視てることは分かってても、それでもここまで想われて嬉しくないなんて、俺には嘘吐けないよ。一途過ぎるソフィーが心底好きになっちまうじゃんかよ…。こんな俺に、君を裁くとか出来るわけないじゃん。
…いや、言ってることは確かにヤバいんだが。
でもぉ…ねぇ?
好みの女に、しかも自分の事凄い大事にしてくれる娘に、気のない返事なんて出来ないよな?
それに今ここで俺が裁くとか言って、それで俺の平穏な生活や野望(童貞卒業と敵性生命体根絶計画)に支障をきたしても困るからな。
俺は悩まなかったと言えばウソになるが。思っていたほどの困惑は無かった。もとより、あの日の熱狂ぶりで既に免疫が付いていたし。核兵器を創造する人間よりかはよほどマシだと、つまりは人道的な人間の温度が感じられる夢だと感じたから。
だから、俺が紙に綴る答えは最初からコレしかなかった。
・-・全て許す。これからもよろしく。親愛なる私の同志ソフィー。そして、私の忠良なる"戦士"諸君。・-・
ソフィーは泣き崩れていた。そして、いきなり俺の前で四つん這いに平伏したかと思えば、俺のつま先にキスをした。それも頗る嬉しそうに。
うれし涙を流しながら爪先にキスする女性と、それを感動で泣きながら拍手で祝福する屈強な男たち。ボリスが羨ましそうにソフィーを見てる。
ああああ、折角保護した子供たちも我がことの様に喜ぶんじゃありません!あぁッ!?そんな、生まれたばかりで孤児院から引き取られて来た赤ちゃん迄嬉しそうに俺を見てくるし…ああああああああああ…もおおおお…。
うーーーーーーーーんんんん、この・・・・・。
いや……え?
いや、マジでさっきのイイ感じの雰囲気返してくれよ。いや、本当に大丈夫かよ君ら。俺は自分の将来が心配で仕方ねぇよ、この地上から邪魔者を全員消滅させるまで俺は死ねねぇんだぞ?んんん???あれ?なんか、思ってたほどソフィー達と遠からずな気がするのは気のせいかな?
…いやいやいや……。あれ?アッアッ…ンアッーーーー!?ダメだ!気づいてはいけないことに気がついてしまったクソッ!!もう目を逸らせねえよ!
つまりぃぃぃ…あぁぁ、アレだ、アレだよっ!
寧ろ、今ぐらいがちょうどいいのかな?…ってことに、気づいちまったんだよ!
あれ??俺がおかしいのか?俺、やっと今標準にたどり着けたの?え?え?そういうコト?
はぇぇぇぇ??????
お、俺、これからどうなっちゃうのおォォォ!?
・モンタナ或いはボードゥアン
…自覚が無いだけで相当ヤバい人。残念ながら元々のスペックが高すぎるので勘違い要素はない。気づくのが遅れたものに限って致命傷なだけである。全身火傷なのに女にモテる。なんだったら火傷を負ってから男前度と色気がフェロモンとその手のオーラやらカリスマに昇格した人。いや、それって何処の志々雄だよ…。残念ながら人の脂で火を刀に纏わせることは出来ない。その代わりに殴れば人は死ぬ。あと残念ながら元が志々雄よりもイイ男だったのですでに土俵が違う。いや、張り合ってどうするんだよ…。本人の知らないうちに話が進みすぎて、気が付いたら人類を補完しそうになってた人でもある。気の毒だが責任が無いわけではない。同情するけど応援するしかないね。ガンバレ。バラライカの一途な想い(狂愛)にグッと来てしまった。スリーアウト満塁。自分から逃げ道を絶ったともいえる。が、ガンバレ…。要約するとヤバい人(二度目)。あと、本人は自分を童貞だと信じて疑わないが、本人が気づかぬうちに脱童貞してしまっている。"彼女"はとんでもないものを盗んでいきました。貴方の童貞です…。が、がんばれ…。
*尚、この"彼女"は50年近く前に出会っており、秘密口座開設の為に立ち寄ったバチカンでいきなり跪いて拝んできた謎のシスターだった模様。何故モンタナが童貞を温めているのかと言うと、肉体が完璧過ぎて"一発必中"だから。下手な女性との間に望まれない子供を作りたくないからである。
・ソフィーヤ…名前が長いので以下略。
…バラライカの姉御。残念ながらあの冷酷無比な姉御が見れるのはまだまだ先になりそうだ。要約せずとも確実にヤバい人。本二次創作中では一二を争うトップランカー。因みにキスで案山子を王子様にできたりはしない。どっちも美しいけどね。代わりに邪魔な人間を遊撃隊で挽肉に変える。色々と立て込んでいたアフガン前後で完全にモンタナ一神教徒になった。自分を使徒とか言っちゃうタイプ。ドップリつかりすぎている。わし等には救えぬ命じゃよ…。尚本人は幸せそうである。もうそれでいいんじゃないかな?分類すれば多分最強の拒絶タイプ。パターンは青…な訳ないよなぁ?どっからどう見ても真っ赤である。使徒のコア並みに真っ赤に決まってる。明らかに秒単位で毎日精神汚染を受けてる気がするが…S2機関があるので大丈夫だろ(適当)。内部電源が切れても執念で動きそう。明らかに彼女の功績により"ホテル・モスクワ"は強化されているが、その内情は多国籍な魔窟である。何時か必ずモンタナとベッドの上で一つになりたいと思っている。一つになりたい(部分的物理)であって、LCLの海でパシャリたい訳では断じてない。だってそれじゃあ戦争できないでしょ?アンタ、バカあ?今はまだまだ若いので、今後に更なる期待。ロアナプラにたどり着くまでにモンタナをモノに出来る可能性は高い…がんばれソフィー。言い忘れていたが彼女の前でモンタナを侮辱すると、物理的に「ソフィー!おいら消えちゃうよぅ!(暗殺)」状態になるので注意が必要。靴越しのキスじゃなくて、何時の日か直接つま先にキスできる日を心待ちにしてる可愛い???人。要約するとヤバい人(二度目)。