ポケットモンスター another story   作:黒雲涼夜

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はじめまして、消した作品や打ち切った作品で僕の駄文を読んでくださった方はお久しぶりです。黒雲涼夜と申します。
初となるポケモンの二次創作で、もし根気が続けばエグい話数になりそうですが、精一杯頑張りますので、応援よろしくお願いします。


カントー編
第1話 旅立ちの日 前編


 ポケットモンスター、縮めてポケモン。不思議な姿と力を持つその生き物はこの世界の至る所に生息している。そして人々は、そんなポケモン達と協力し合いながら暮らしていた。そして物語の始まりはカントー地方、マサラタウンから始まる。

 

 まばゆい日差しと共に少女ーースミレは目を覚ます。窓から差し込む暖かな日の光が、今日旅立ちを迎えるスミレを祝福するかのように照らしている。この世界では、10歳になるとポケモンを所持する資格が与えられ、多くの者はそのまま旅に出る。心折れて帰って来る者もいるし、事故などに巻き込まれてそのまま帰らぬ人となる者もいる。それでも人々は未知なる世界とそこに住むポケモンに魅せられ、旅に出るのだ。そしてスミレもその1人。スクールでトップの成績を取った甲斐もあり、今日旅立つ4人のうちの1人に選ばれた。着替えて階段を軽いステップで駆け降りると、洗面台で顔を洗う。鏡には、片眼を隠すように伸ばされた前髪を持つショートカットで、菫色の髪を持つ美しい少女の姿が映った。鏡に映ったスミレの表情は、少しだけ微笑んでいる。普段はクールで近寄り難く、高嶺の花扱いをされるのだが、今日ばかりは少しテンションが高い。

「おはよう」

スミレは既に朝食を準備していた母、モモカに挨拶をする。

「あら、おはよう。今日はいい旅日和ね」

モモカはいつになくテンションの高いスミレの姿に微笑み、挨拶を返す。父は遠いイッシュ地方で単身赴任をしているため、モモカとスミレの2人暮らしだ。スミレはいただきます、と言って朝食を食べ始める。朝食のメニューはトーストにスクランブルエッグ、サラダとじゃがいものポタージュとオーソドックス。それでもスミレにとっては愛すべき家庭の味で、旅立ち前最後となる母の味だった。

「スミレ、どう?やっぱり緊張する?」

モモカの問いかけに小さく頷く。旅というものはやはり危険だ。野生のポケモン達を不要に刺激してしまい、そのまま殺されてしまう事故も多々あるものだ。送り出すモモカにとっても気が気でないだろうし、スミレ本人にとっても大きな心配事だ。そしてもう一つ、同じ日に旅立つ他の3人もなかなかの曲者揃いなので、その3人との関わりにも不安がある。

 

ポケモン研究の第一人者であるオーキド博士の孫であり、その才能を継ぎながらもそれ故に傲岸不遜な性格をしている少年、シゲル。

 

ポケモンへの愛情は並ではなく、ポケモンから懐かれやすいが勉強に関してはからっきしで、人に対する態度はただのヤンチャな悪ガキである少年、サトシ。

 

明るく、いつも人の輪の中心にいるコミュニケーション強者だがアホの子であり、若干の強引さや空気の読めなさがある少女、ヒマワリ。

 

こんな一癖も二癖もあるメンバーだ。オーキド博士が独断で選んだメンバーだが、どうしてこんなに癖のある者ばかり選んだのだと問い詰めたくなる。とは言え癖があるのはスミレも同じ。スミレは知識は豊富で冷静沈着、判断力もある。だが基本的に人嫌いでストイック、さらに表情や挙動に乏しいため近寄り難さがあるのだ。人とちゃんと関わっていけるのか、モモカにとってはかなり大きな心配の種であり、旅立ちを許可した理由でもある。

 モモカの心配をよそに、朝食を手早く食べ終えたスミレはすぐに最後の準備に移る。忘れ物がないかを確認し、リュックを背負い、靴を履く。ポケモンの力を借りて作られたらしいリュックサックは、見た目に見合わず、大量の物が入る。着替えや小物のみならず、調理器具やテントなどの大きなものまで入る優れものだ。カラーリングはリュック、服装、靴ともども青や紫、黒を中心としていて、スミレの名前と雰囲気に合ったファッションとなっている。

「忘れ物は・・・・ないわね。さぁ、博士の研究所に行きましょう」

モモカの言葉に頷き、ドアを開ける。そうすれば家の前に止まっていた野生のポッポが一斉に飛び立ち、スミレは爽やかな風と暖かな陽射しを体いっぱいに浴びた。カントー地方の片田舎にあり、いつもはのんびりとしているマサラタウンだが、今日はいつになくソワソワとした空気を感じる。今日は選ばれた4人の新人トレーナーの旅立ちの日。小さなコミュニティが形成されたマサラタウンでは、家同士の繋がりが強いためこうして旅立ちのたびに町中で見送ることになっていた。スミレもちらほらと見える町の人たちと挨拶を交わしながら研究所への道を歩いて行く。人嫌いのスミレだが、町の人たちとの関係は悪くない。人1倍賢いが故に子供達の輪に馴染むことができず、いつしか孤独を受け入れたスミレを幼い頃から見守ってきた町の大人達は、スミレを温かい目で見守っていたのだ。

 

⬛️⬛️⬛️⬛️

 

 研究所の中には、まだ自分以外は来ていなかった。モモカは、研究所の外で待っている。他の3人はというと、ヒマワリとサトシは寝坊していそうだし、シゲルはサトシが寝坊するであろうことを予測して、煽るためだけにわざと遅い時間に来ることは想像に難くない。なので最初のポケモンは、先に選んでしまっても問題はない、スミレはそう結論付けた。最初に貰えるポケモンの種類は三種類、その中から1匹を選んで旅に出るのだ。

「おお、相変わらず早いのぉ。おはよう、スミレ」

どのポケモンを選ぶかで悩んでいるところに博士がやってきた。

 オーキド・ユキナリ博士。世界的なポケモン研究者で、タイプによるポケモンの分類などが主な得意分野。世界をアッと驚かせた発見は数知れず、オーキド博士に憧れて博士を志望する者も多い。またトレーナーとしても優秀で、一線は退いたもののかつては現四天王のキクコとライバル関係だったという。そんな彼だが、ポケモン川柳やダジャレなどを好む、お茶目かつ親しみやすい人物で、先述したように非常に優秀な人物のため、スミレは比較的懐いていたしオーキドも勉強熱心なスミレのことを気に入っていた。

「おはようございます、博士」

いつになく緊張した面持ちで挨拶をするスミレの姿に、オーキドは彼女がもう旅立ちを迎えるのだということを実感した。

「なるほどのぉ。やはりスミレが1番か・・・」

少しばかり呆れたように笑うオーキドは、きっと他の3人の状況を察したのだろう。

「・・・さて、では今から、ポケモンを贈ろうかの」

気を取り直したオーキドはそう言うと、機械を操作して、3つのモンスターボールを取り出すと、それを空に放り、ポケモンを出した。

 

「ゼニィッ‼︎」

甲羅を背負う、亀のようなポケモン、みずタイプのゼニガメ。

 

「カゲェッ‼︎」

尻尾の先に炎が灯る、トカゲのようなポケモン、ほのおタイプのヒトカゲ。

 

「ダネッ‼︎」

種のようなものを背負うポケモン、くさタイプのフシギダネ。

 

この3匹のうち1匹が、最初の相棒となる。そう考えると、適当には決められない。しかしそんな考えを見透かしたように

 

「直感じゃよスミレ。自分の運命のパートナーは、考え過ぎずに直感で選ぶのも良いぞ。そうすれば君も、運命に出会えるじゃろう」

 

そう言った。スミレは普段、運命だとかそんなことは信じていないのだが、博士の顔を立てるつもりで3匹の目の前で屈み、3匹を見回して・・・1匹と目が合った。

 

フシギダネだ。

 

フシギダネはその瞳をキラキラと輝かせてスミレを見つめ、スミレはそんなフシギダネから目が離せなかった。

 

(きっとこれが・・・運命。)

スミレはそう思い、自分らしくもない考えに自嘲気味に笑うと、すぐに真剣な表情に戻り、博士を見上げた。

 

「私は、フシギダネを選びます。」

 

その言葉に、博士はニッコリと笑顔を浮かべた。




読んでいただき、ありがとうございました。
今回、スミレにフシギダネを選んで貰った理由は、ぶっちゃけ消去法です。シゲルがゼニガメを選び、尚且つサトシが来た時には全ポケモンが貰われた後でなくてはならない。そしてヒトカゲを選ぶとダンデ、アラン、サトシとリザードンをエースとする実力者が多く、あまりに被りが酷いため、フシギダネを選ぶという選択とさせて頂きました。
私が初めてやったポケモンはBW2であり、私にとっての永遠の相棒であるダイケンキを主軸とした話も書きたかったのですが、それはまた別作品へとしたいと思っています(具体的には男主人公、アニポケ時空でヒロインはBW2のライブキャスターイベントで出てきたルリ)

それはそれとして、まずは1話、書ききれて良かったです。今後ともよろしくお願いします。

3月2日15:49 スミレの髪色を 黒→菫色 に変更しました。髪型イメージはFGOのマシュ的な感じでお願いします
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