ポケットモンスター another story   作:黒雲涼夜

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試験終わったのでまた投稿再開します。疲れた……

とはいえ、大学の研修で海外へ行くので、2月の4日〜11日くらいの間は投稿できません

苦情入ったんで、サブプランに移行します。本格的に原作乖離しますんで宜しくお願いします。


第103話 突破口

 「バタフリー、高速で動き回って。狙撃タイミングは私の指示が無かった時は自己判断で撃って 」

「フリィィ!! 」

バタフリーは空中を縦横無尽に駆け抜ける。時に速度を緩め、時に加速し、時に技を撃つ素振りも交えて。フェイントを混ぜながらの曲芸飛行など、バタフリーからすれば朝飯前だ。

「いいね! その信頼関係!!【はっぱカッター】!!」

それを撃墜すべく放たれた【はっぱカッター】。スミレも一時期使わせていたが、それとは威力が段違いだ。しかしスミレのフシギバナが使用する【はなふぶき】のような追尾能力がないならば、バタフリーは避けられる。正確に放たれた【はっぱカッター】を避け、時に【サイケこうせん】で撃ち落とし、バタフリーは空を駆ける。

「バタフリー、【かぜおこし】」

バタフリーがその翅をあおぐと、放たれた烈風が【はっぱカッター】を襲う。【はっぱカッター】の本質は、エネルギーを込めた木の葉の高速投擲、そして木の葉は軽いため風に煽られやすい。その結果、【はっぱカッター】は空中で他の木の葉とぶつかり合うと爆発、一気に自滅する。

「【サイケこうせん】」

「【はっぱカッター】」

両者の技が空中で撃ち落とされ、回避され、一撃たりとも相手に届かない。バタフリーは空中を駆け回りながら【サイケこうせん】を撃ち、フシギバナはその姿を見極めながら【はっぱカッター】」を放っている。

一向に決着の付かないバトルに、痺れを切らしたのはハナコ側だ。

「【タネマシンガン】」

【タネマシンガン】を放つが、技を変更して使用するまでの僅かな間はバタフリーに行動の余裕を与えていた。空中を舞い、悠々と回避したバタフリーに、ハナコは嬉しそうに笑う。しかしその頬を、一筋の汗が流れていた。

 

「やるねぇ、【タネマシンガン】! 」

「【はかいこうせん】」

フシギバナの【タネマシンガン】とバタフリーの【はかいこうせん】が空中でぶつかると、【はかいこうせん】は【タネマシンガン】」を食い破るように飲み込んでゆく。スミレのバタフリーは一般的な個体と比べて火力が低いが、それでも【はかいこうせん】は強力な技だ。威力で劣る【タネマシンガン】を打ち破り、そのままフシギバナを捉える。

(どうしよう。このままだと持久戦に持ち込まれる。そうなれば、不利なのはこっち……)

スミレは、内心頭を悩ませる。フシギバナの厄介さは、スミレが一番よく分かっている。

『君の使っているフシギバナじゃが、その骨格を見るとどの部分に攻撃を当てられると弱いのかが見えてくるぞ 』

ふと、オーキドの言葉を思い出した。入院中に少しだけ齧った、ポケモン解剖学の話だ。

(……見えた、突破口)

スミレは、大きく深呼吸すると真剣な視線を向ける。反撃開始だ。

 

「フシギバナ、【ハードプラント】!! 」

再び放たれた大質量攻撃。地形が変わるほどに盛り上がった植物の太い蔓がバタフリーを狙う。本来【はかいこうせん】を放てば、反動で動けなくなるからこそ、その隙を狙った大規模攻撃なのだ。しかしバタフリーは技の発動と同時にフシギバナから距離を取っており、遠い空で反動はやり過ごしている。エリカと戦った時のような付け焼き刃では決してない、バタフリーの立派な戦術として確立していたのだ。

「飛び込んでバタフリー! 狙いは、顎骨の隙間! 」

スミレの指示に応えるように、バタフリーは急降下。迫る蔓を難なく避ける。偶に当たりそうになるが、それは【サイケこうせん】で弾き飛ばした。そうして、遂にフシギバナの目の前に辿り着く。こうなると危ないのはフシギバナであった。【ハードプラント】は大火力かつ広範囲の技ではあるが、【はかいこうせん】と同じように反動がある。つまり、バタフリーに寄られても動けない。その隙をついたバタフリーが入り込んだのは、顎の真下。

「おお!? これは不味い!!」

「……行って、【はかいこうせん】!」

「フリィィィ!!!! 」

バタフリーの放った【はかいこうせん】が、顎下を襲った。フシギバナの体型では決して防げない場所からの攻撃は、見事な精度で命中する。丁度骨がない隙間の部分を狙った至近距離砲撃が脳を揺らした。その場に留まりながら【はかいこうせん】を放ち続けるバタフリーに対して、フシギバナは意識を飛ばしかけながらも堪える。しかしその体は、なす術なく顎を持ち上げられた。

「決めて!! 」

「フリィィィ!!!! 」

【はかいこうせん】の威力が増した。フシギバナの体は少しずつ持ち上げられ、そしてそのまま、フシギバナの巨体をひっくり返した。

「バァ……ナ………… 」

フシギバナは、そのまま目を回してひっくり返っている。つまりは、戦闘不能だ。

 

「あちゃあ……。やっぱり強いね、うん。今回の突破口は何処か分かった? 」

ハナコは悔しそうに、だがどこか嬉しそうな表情で笑い、ボールにフシギバナを戻すと尋ねる。

「バタフリー、お疲れ様……ええと、まずはフシギバナの機動力です。フシギバナは機動力が低いから、ヒット&アウェイの戦術で対処すると有利になります。2つ目は、【ハードプラント】です。【ハードプラント】は強力な反面隙が大きいから、撃った直後を狙えば良い。3つ目は、フシギバナそのものです。フシギバナは私の相棒、当然情報は集めていますからハナコ側にあった情報によるアドバンテージが平等になってた。……こんなところ? 」

「うんうん、優秀優秀! トラップに引っかかっていた時はどうなるかと心配したけど、ジムリーダーに挑むだけの腕はあるよ! 自信を持って、頑張ってね! 」

「……ありがとうございます 」

ハナコの笑みに、スミレも穏やかな表情で頷いた。

 

「そこの道、進んで行ったらジムリーダー、キョウはそこで待ってるからね。それから、キズぐすりの使用は自由だから、ジムリーダーとのバトル前に回復していきなよ? 」

「はい、ありがとうございます 」

ハナコの言葉にスミレは頷き、ジムリーダーへと続く一本道へ一歩踏み出す。

 

「あー、そういえばひとつ言ってなかった! 」

「……はい? 」

「スミレさんは歳が近いと思ってるかもしれないけど、私21歳だよー!!!! 」

 

「え……? え…………? 」

スミレは、思わず背後を二度見した。

◾️◾️◾️◾️

 「待っていたぞ……チャレンジャー 」

一本道を進んだ先に、その男は立っていた。すらりとした長身を忍者服に包む、50は超えていそうな男だが、その眼光の鋭さはスミレに警戒を促してくる。

「貴方がジムリーダー、キョウさん 」

 

「その通り。毒のことならなんでもござれ、セキチクジムのジムリーダー、キョウとは拙者のことである。其方の試練、ここまで見させて貰った。迂闊な場面こそあれ、最終的には見事に突破して見せた。その点、素直に賞賛せねばなるまい 」

「……ありがとう、ございます 」

キョウはスミレを褒めると、スミレは微妙な表情で礼を述べる。迂闊な場面、というのはスミレとしても反省点だ。突かれると痛い。

「とはいえ分かっているようだが、お前のチャレンジを評価すれば高く見積もっても及第点に過ぎない。バトルの強さは、まさに8個目に挑むに相応しい実力といえるだろうが、罠への対処は全体的に動きが緩慢で、しかもこちらが用意した軽い不意打ちに引っかかり過ぎているのだ。貴様の師匠から必要以上の口出しはするな、と口煩く言われているから、拙者が言えるのはここまで。課題は自覚しているようであるし、解決策はお前自身で考え、決めるがよい 」

「……はい 」

スミレは、そう小さく返答しながらもキョウを見据えていた。

(私自身で……。いいや、今はバトルに集中しよう。反省なら、後からでもできる)

スミレは、応急処置を施したばかりのポケモンが入ったモンスターボールを後ろ手で撫でる。フーディンは戦闘不能、他のポケモンも回復させたとはいえ消耗がある。戦況は不利でも、ここまで来たならやるしかない。

 

 

「ファファファ!! 戦意に満ちておるようで大変結構! ならば早速始めるとしようか……審判!! 」

キョウが呼びかけると、どこからか風のように現れた忍び装束の男が、キョウとスミレの立つバトルコートの側に立つ。

 

「では、これよりジム戦を始めさせて頂きます! 使用ポケモンはジムリーダー2体、チャレンジャー3体、時間は無制限! 」

「……3体 」

スミレは、一気に思考を巡らせる。恐らく相応に手加減はするだろうが、それにしても不利な状況だ。スミレは何かを考え込むと、ひとつのボールに神妙な様子で何かを呟く。その光景を見て、キョウは笑みを浮かべる。

(……そう、それでいい。短時間で最適な手札を選ぶ判断力は、リーグに挑む上で重要だ)

そして視線の先で、スミレはボールを構えた。

 

「それでは、両者1体目のポケモンを! 」

 

「行けい、モルフォン!! 」

「任せるよ、ミニリュウ 」

キョウはマタドガスを出したのに対し、スミレはミニリュウを選出。ミニリュウは、鼻息荒く飛び出した。きゅっと引き結んだ唇と願望混じりの瞳からは、スミレからミニリュウへの期待が窺える。ミニリュウの選出、これはキョウから見て予想外であった。キョウが掴んだ情報では、スミレが捕まえたポケモンの中ではサファリゾーンによる追加戦力や新参のアズマオウを除けば一番レベルが低いからだ。つまり、現状では最弱と言って差し支えなく、だからキョウの予想ではバタフリーとラプラス、そしてフシギバナで来るかと思っていたのだ。だからこそ、

(やっぱり、知ってる。ミニリュウの実力も、レベルも。だからこそ、初手のミニリュウでペースを崩す)

「……ミニリュウ、がんばって 」

スミレは、不安げな表情で作戦を定めると、小さく呟く。ミニリュウは、それに興奮した様子で頷いた。スミレは今回の作戦において、ミニリュウを主軸と定めたのである。

(ファファファ……。その表情、なるほどな。" 不安に駆られながらもポケモンを信じてバトルを託す健気なトレーナー " といったところか。ミニリュウの性格は子供っぽく単純、それでいて強さに拘る高いプライドがある。そこにつけ込み、敢えて下手に出て頼ることでミニリュウの自尊心を煽り、奮起させたのか。演技力は素人にしては高いし手慣れているが、素人芸故に分かる者には分かってしまうのが少しマイナスだ、きちんと学んでいないのだろう。とはいえ、この場に於いても試行錯誤するその向上心はプラスだ)

「なるほど……悪くない 」

キョウは、薄く笑みを浮かべた。

(やっぱり気付かれるか。……ま、いいけど。ミニリュウのポテンシャルはかなりのもの。ここで目覚めさせないと、先が困る。……私は気に入られてるから、弱みを見せて頼めばきっと奮い立つ、根が善良で助かったよミニリュウ)

「……貴方のこと、信じてるから。ミニリュウ 」

「リュウッ!! 」

ミニリュウは、鼻息荒く頷いた。

 

「モルフォン、【どくのこな】」

「【たつまき】で散らして 」

先手を取ったモルフォンが、【どくのこな】を撒き散らす。対するミニリュウは素早く【たつまき】を放ち、それを吹き飛ばした。

「【りゅうのいかり】」

「【サイケこうせん】」

両者の遠距離攻撃がぶつかり合い、爆発を起こす。

「【たつまき】」

「避けろ! 」

追撃の【たつまき】を放つミニリュウに対してモルフォンは回避を選択した。

「【ドラゴンテール】」

避けることを見越したのかスミレは指示を飛ばし、地面を力強く蹴ったミニリュウがモルフォンを狙い尾を振るう。

「ファファファファ……読み通りだ、【どくのこな】」

「あっ……! 」

スミレが声を漏らすが、もう遅い。ミニリュウは粉を浴びたことによって毒の状態異常となってしまった。

 

「拙者は貴様にとって最後の関門を飾るジムリーダー、舐めないで貰おうか 」

「……くっ 」

キョウは怪しく笑い、スミレは表情を歪める。バトルはまだ、始まったばかりだ。




予告っぽいもの

わたしは誰だ…
ここはどこだ……
 
誰が生めと頼んだ!
誰が造ってくれと願った…!!
わたしはわたしを生んだ全てを恨む…!

だからこれは… 攻撃でもなく 宣戦布告でもなく
 
わたしを生み出したお前達への
 
"逆襲" だ

「力を貸して欲しい 」
「最強のポケモントレーナー? 」
「ロケット団が産み出した最強の生物兵器、ミュウツー 」
「男性型の1号機と未完成だけど女性型の2号機、か 」
「俺はカントーチャンピオンとして、奴を止める義務がある 」

『私の名はミュウツー 』
「始まったというのか、ミュウツーの逆襲が……! 」
「これはまるで戦争だ 」
「もう、やめてくれッ……!! 」
「ミュウ……? 」


「そこを退け、ランスゥゥゥ!!!! 」
「不平等だよなぁ!! おかしいよなぁ!! 」
「リザードン!! 」
「どうして守ってくれなかったんですか!? だれも手を差し伸べてくれなかったのですか!? 」
『綺麗事で止まるほど、私の気持ちは浅くはない!! 』
「……ボクは、どうしてこんなにも無力なんだ 」

「初めまして、スミレくん 」
「……貴方が 」
「そうだ。私こそが、ロケット団総帥にしてトキワジムのジムリーダー、サカキ。さぁ、話をしようか 」

「戦おう、最期まで 」
「正義って、なんなんだろうね 」
「それでも、私は生きてゆく 」


「オレはさ、ポケモンマスターになりたいんだ 」

『原典』の物語、そしていつかの『覚醒』へと繋がる物語
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