ポケットモンスター another story   作:黒雲涼夜

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お待たせしました。ヒマワリvsマチスです

マチス戦はやはり御本家様が1番いいので、皆様是非ポケモンのYouTube公式チャンネルで無料で見れますので見てください。


第17話 クチバジム戦: 後編 ヒマワリのリベンジ

 ヒマワリとマチスがフィールドで向き合う。一度は負けた相手との再戦。この戦いに勝てれば、スミレに戦いを申し込める。思いを伝えて、これからを話す為の大事な戦いが待っている。その為に、今ここで負ける訳にはいかなかった。

 

「いい加減勝つぞ!ライチュウ!!」

「お願い!カゲちゃん!!」

 

ヒトカゲとライチュウがフィールドに立ち、睨み合う。そして審判がバトル開始を宣言し、ヒマワリのリベンジは始まった。

 

「ライチュウ、【とっしん】!!」

「カゲちゃん、横に避けて【ひのこ】!」

ライチュウの突進を横にスライドするように動いて避けながら、ヒトカゲは火の粉を放つ。

「甘い!【10まんボルト】!!」

ライチュウの放った雷撃が火の粉を打ち消し、ヒトカゲに大きなダメージを与えた。最終進化と1段階目、そして技の火力の差は大きい。せめて【りゅうのいぶき】ならまだ相殺可能だった、スミレはそう考える。

「追撃だ!【メガトンキック】!!」

「負けないで!カゲちゃん、【りゅうのいぶき】!!」

ライチュウは蹴り技で迫るが、立ち上がったヒトカゲが負けじと吠え、青白いエネルギーをライチュウにぶつけて攻撃を中断させる。

「次行くよ!連続で【ひのこ】!!」

ヒマワリの指示が飛び、ヒトカゲの容赦ない追撃が入る。ヒマワリの作戦は速攻。サトシのようにスピード勝負を挑む訳では無く、隙を見せた所に集中攻撃をして落とし切るというものだ。ポケモンは生き物だ。攻撃を受ければ痛みを感じ、恐怖を覚え、隙が生まれる。それを絶え間なく続けて、反撃の隙を与えずに倒してしまおうという作戦だ。

 

「ライチュウ、周囲に【10まんボルト】!!」

だが、簡単に勝ちを譲るほどマチスも甘くはない。周囲に電撃を無差別放射し、ヒトカゲが流れ弾に当たってダメージを受けた隙に脱出する。連続の【ひのこ】は堪えたようでボロボロだが、まだ気力は充分だ。

ヒトカゲとライチュウは距離をとって睨み合う。

 

「カゲちゃん、【りゅうのいぶき】!」

「ライチュウ、【10まんボルト】だ!」

竜の力と雷撃が空中で激突し、爆発を起こすとどちらも動き出す。

「カゲちゃん、【ひっかく】!!」

「ライチュウ、【メガトンパンチ】!!」

ヒトカゲのひっかきとライチュウの拳が入れ違いに決まり、どちらも倒れ込む。

「カゲちゃん!!」

「wake up!ライチュウ!!」

マチスの声に応えるように、ライチュウはボロボロの体を引きずって立ち上がる。一方のヒトカゲは、立ちあがろうとしては倒れ込む状況が続く。

 

⬛️⬛️⬛️⬛️

 

「負ける・・・のか?」

サトシが呟き、カスミは顔を暗くする。

「ここから、奇跡が起きない限りは負けるだろうな・・・。惜しい所まで行ったんだが・・・。」

タケシが悔しそうに言う。

「初手で【りゅうのいぶき】じゃなくて【ひのこ】を使ったり、さっきの【ひっかく】だったり・・・・ヒマワリも甘い。」

スミレは無感動に言い放つ。だがこれを許せない者がいた。

「何スカしてんだ、お前!!」

サトシだ。サトシはスミレの胸ぐらを掴み壁に押し付ける。

「・・・何?」

「何?じゃないだろ!友達が負けそうになってるのに、なんだその顔!!アイツは一生懸命頑張ったんだよ、お前の為に!!お前に伝えたい事があるから本気で勝とうって頑張ってるんだ!なのに出てきた感想が『甘い』?ふざけんな!!」

殴りかかりそうになるのをタケシが後ろから羽交締めにし、制止する。

カスミだって、今のスミレの発言は流石に許容できないとスミレを睨みつける。

 

「誰が友達?あのヒマワリが?・・・それは無いよ。私はアイツとは友達になんてならないし、なれない。それに私は、無理矢理着いてきたアイツの介護をずっとしてたんだ。食事の用意に、ポケモンの育成に関して、言われるがままアドバイスしてやったり、道中で勝手に始める人助けを手伝わされたり・・・。碌に役にも立たない奴に対等面されても困るんだけど。それに、何で私が悪者扱いなの?私は自分の『1人旅をしたい』っていう希望を全てぶち壊されたんだよ。1人黙々と旅をして、色んな場所を見て回って、色んなポケモンと出会うのがやりたい事で、色んな人と関わって社交性をつけ、人間として成長させるのが私を旅に出した奴らがやらせたいこと。私の気持ちは全否定で、やりたい事を最初から壊されてやらせたい事だけ残された私の気持ちが分かる??ねぇ・・・そんなにアイツが大事なら貰ってよ。要らないよ、あんな馬鹿面の役立たず。」

スミレの温度のない不満と暴言に、サトシとカスミは絶句する。暴言に関しては許容できない。だが、初めから旅の楽しみを奪われたというのは、旅するトレーナーとしては同情できるものがあってしまった。

 

「なるほど・・・お前の不満は分かった。だが、言っていい事と悪い事があるのは事実だ。スミレの言い分には同情できる部分もある、だが俺はサトシが怒るのも仕方のない事だと思う。友達であれ、なんであれ暴言はよくない。」

タケシが厳しい表情で嗜める。

スミレは不満げな表情で目を逸らす。不満はある。しかしタケシの言うことが正論である事を理解できないほど、スミレは馬鹿ではない。

 

「スミレは、後でヒマワリと話し合って欲しい。ポケモンバトルを通して、なんかでもいいから。必ず、お互いの気持ちをぶつけ合ってくれ。そうすれば、見えてくるものもあるさ。・・・さ、まだ試合は終わってない。この戦いの結末を、皆で見届けるとしよう。」

タケシはスミレに、ヒマワリとのバトルへ誘導するような事を言うと、観戦を促す。その時、ちょうど流れが変わった。

 

⬛️⬛️⬛️⬛️

 

「もういい・・・ヒマ、諦めるから。だから無理しないで・・・。これ以上やったら、危ないよぉ・・・。死んじゃうよぉ・・・。」

ヒマワリは泣きそうな声でヒトカゲを制止する。どう見ても満身創痍で、体力も限界を超えているはずなのだ。パワーのあるライチュウの攻撃を何度も何度も受け続けたヒトカゲはもう、立つことすら出来ていない状態だ。それでもまだ目は死んでいない。ヒトカゲはまだ戦う気でいた。だけど、体が言うことを聞かない。全身が悲鳴をあげ、意識は朦朧とする。ヒトカゲは願う。大切な友を泣かせない為の力が欲しい、と。

そして運命は、少女に味方した。

 

 ヒトカゲが青白い光に包まれる。体は大きくなり、姿はさらに力強くなり、橙色だった体色は赤く染まる。進化だ。バトル中の奇跡に、マチスも観客達も驚きを隠せなかった。

 

「リザァァァァァァッド!!!!」

ヒトカゲの進化形、リザードが相棒の絶体絶命に誕生し、まだまだやれるとばかりに吠えた。

 

「お嬢ちゃん、ソイツはまだやれるみたいだぜ?降参するか?」

マチスが問うと、ヒマワリは大粒の涙を乱雑に拭うと、歪な笑みを浮かべて言った。

「降参はしません!続き、お願いします!!」

「リザァァァド!」

ヒマワリの宣言に、リザードが咆哮で追従する。

 

「なるほど・・・!だったら、徹底的に勝つまでだ!!ライチュウ、【メガトンパンチ】!!」

「ラァァイ!」

「カゲちゃん、地面に【りゅうのいぶき】!!」

「リザァァァッ!!」

リザードはエネルギー波を地面に撃ち、反動で飛び上がる。

「what!?」

 

「決めて行くよ!カゲちゃん、【りゅうのいぶき】!!」

リザードは全力の【りゅうのいぶき】を放つ。

「ライチュウ!躱せ!!」

マチスの指示でライチュウはギリギリ、リザードのトドメを回避する。

 

「チャンスだよ!カゲちゃん、【ひっかく】!!」

だが、【りゅうのいぶき】は囮だった。【りゅうのいぶき】が地面に着弾し、土煙を上げる中にリザードは上空から突っ込み、爪による一撃をクリーンヒットさせる。その一撃は、ライチュウの急所に当たり、残ったライチュウの体力を削り切った。

 

ライチュウの戦闘不能により、リザードの勝利である。

 

⬛️⬛️⬛️⬛️

 

ジム戦を終えると、5人はポケモンセンターに戻り、リザードの回復と食事を済ませる。だが空気は重い。サトシ一行は、両者の間でこれから何が始まるか、知っているからだ。

 

「当初の決まり通り、ここからは別行動だよ。もう面倒見る気はないから、好きにして。」

口火を切ったのは、スミレ。

「その事なんだけど・・・さ。もっと一緒に旅したいから、着いて行っていい?」

ヒマワリが、恐る恐る聞く。

「無理。」

スミレの即答に、ヒマワリは項垂れる。予想通りでも、やはりショックだ。

 

 

「ねぇ、スミちゃん・・・。」

「何?話が終わったなら、私は次の町に行くけど。」

 

「バトル、しようよ。」

ヒマワリからの宣戦布告に、スミレは冷めた目を向ける。

「馬鹿らしい・・・。私のフシギソウは疲れてるから、そこに追い討ちをかける趣味はないの。」

 

「ヒマのリザードは大丈夫、準備おーけーだよ。あとはスミちゃん次第。・・・に、逃げ・・・ない・・・よね?」

最後に震えながら挑発をするヒマワリだが、スミレは興味を示さない。

だが、タケシが肩を軽く叩く。そして目線で、指示をしてくる。

 

「なるほど・・・。ジム戦の時に言っていたのはこういうこと。」

スミレは納得する。なるほど、初めからコイツらはグルだったのか。

そう考えると、スミレは苛立ちを覚えた。

 

「いいよ、表に出なよ。3対3で、決着付けようか。」

スミレは答える。3対3。ヒマワリの持つ3体のポケモン全てを叩き潰すつもりで挑む勝負だ。

 

スミレとヒマワリ、孤独であろうとする少女とそれを阻もうとする少女の戦いが、始まろうとしていた。

 




ありがとうございました

スミレもヒマワリも人としては未熟です。自らの心を守るために人を傷つけ、排除しようとするスミレと、純粋な善意と好意が無意識の悪意に反転しており、自己中心的なヒマワリ。これからなんです。カントー編は、スミレ、ヒマワリ、サトシ、シゲルの4人の精神的に未熟な少年少女がそれぞれ己の未熟さを思い知り、成長するまでの物語なのです。

 次回から、スミレvsヒマワリです。複数話に跨りますが、よろしくお願いします。

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