ポケットモンスター another story 作:黒雲涼夜
・作品に関する質問がある場合は、pixiv等他サイトでは今後受け付けませんのでハーメルンの作品の感想に送って下さい。個人へのメッセージではありません、有益な質問と答えられない質問の境界線をハッキリさせる意味合いがあります。
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・↑の質問をされても、『答えられない』が答えです、ちゃんと送ります。とはいえしても報告とかはしないです。
ショウガとロケット団が戦っている最中、ヒワダタウンの町は戦場になっていた。というのも、街中で突然始まったロケット団と少女……スミレのバトル。しかもクロバットとゲンガーということもあり、空中を激しく動く両者による流れ弾が、周囲に降り注いでいた。幸い、ヒワダジムジムリーダーのツクシ達が避難誘導や流れ弾処理、別働隊捜索を行っているため被害は拡大していないが現状はかなり荒れている。
「下ではどうにも邪魔が入ったらしいですが、こちらはなんとかなりそうですねぇ!!」
「くっ……!(周囲に気を回してる余裕がない!)」
変幻自在に動き回り攻撃を放つクロバットに、ゲンガーは対応するのがやっとであった。
「クロバット、【エアスラッシュ】!」
「【シャドーボール】、散弾で!!」
広くばら撒かれた【シャドーボール】の一部に【エアスラッシュ】が着弾、爆発すると残った【シャドーボール】がクロバット目掛けて殺到する。
「弱いですよ、【クロスポイズン】で相殺しつつ突っ込みなさい!」
しかし、【クロスポイズン】が放たれると【シャドーボール】を巻き込みながら突き進み爆発、そして攻撃に追随するよう背後を飛んでいたクロバットはその中から現れると、ゲンガーは目を輝かせる。
「【サイコキネシス】……!」
「【エアスラッシュ】!【つばめがえし】!!
【サイコキネシス】でクロバットは吹き飛ばされるも、素早く放たれた【エアスラッシュ】が反撃してゲンガーもまた吹き飛び家の壁に叩きつけられると、接近したクロバットの【つばめがえし】で追撃を食らい家の外壁をぶち破り、室内の壁まで吹き飛ばされた。そしてクロバットは追撃を警戒し撤退、ランスの側まで戻ると空中で静止する。ゲンガーはすぐに立ち上がったため無事ではあったのだが、それでも消耗が激しいのかすぐに膝をつく。
「く……、【シャドーパンチ】!」
「【つばめがえし】」
しかし射出されるような勢いで飛び掛かったゲンガーが拳を振るいクロバットを跳ね飛ばすもクロバットはすぐに空中で静止すると翼を振るい【つばめがえし】、ゲンガーは再びの【シャドーパンチ】で迎え撃つも力負けしたゲンガーだけが後退し、両者は空中で睨み合った。
「…………強い」
「でしょう?ワタシは栄えあるロケット団幹部ですから、このくらい出来て当然なんですよ」
「それにしてもだ。あのとき勝ったのが嘘みたい」
「あれはワタシの失態ですよ。ですがまぁ、それも含めてワタシの実力。……ポケモンも強くなりましたし、一層強く感じるのは当然でしょうね」
ランスの強さにスミレは眉を顰め、ランスは誇らしげに胸を張る。
(勝ち目は薄い……。効果抜群当てても、レベル差で押し切られる)
ゲンガーは満身創痍、フシギバナは相性最悪、それ以外は論外。その状況でどう立ち回るのか、スミレは必死に思考を回す。
「そこまでだよ、小僧」
しかしここで、状況を一変させる声が届いた。
◾️◾️◾️◾️
オドシシの目の前には、ゴーリキーが立ちはだかる。レベルは自身より遥かに上、タイプ相性は最悪だが、オドシシの胸に敗北の可能性は無かった。それは【めいそう】を限界まで使用してステータスを引き上げたから、というのもあるがそれだけでない。少年時代のショウガに拾われここまで、オドシシはポケモンでありながらも大切にされ続けた。大切にする、という行為が間違っている訳ではないが、ショウガは結局バトルも視野に入れて旅に出たのだから、トレーナー自らが戦うことで守るというその選択は間違っていたのだとオドシシは考えている。トレーナーとポケモンが支え合うことが理想的なポケモンと人間の関係性であるならば、両者の関係はショウガがオドシシを守り続けるという、一方的なものであった。だが今は違う。オドシシは、確かな勝算をもってゴーリキーと対峙している。
「ブルルルッ!」
力強く鼻を鳴らすオドシシに、ショウガは頷き応える。
「さあ、行くぞオドシシ!……どうとでもなれ、【バリアーラッシュ】!!」
「なんだ!?その技は……!チッ、ガードしろゴーリキー!相性もレベルも、お前の方が強いはずだ!」
オドシシがエネルギーを纏い突進すると、ゴーリキーは腕をクロスに組んで防御する。しかしオドシシがゴーリキーに激突した瞬間、ゴーリキーの体は嘘みたいに跳ね飛ばされた。ヤドンの尻尾を取っていた団員達すらも作業が完全に止まる轟音と共に壁へと叩きつけられたゴーリキーに、男は反応すらできない。男は知らないが、【バリアーラッシュ】は技の分類ではエスパータイプ、つまりかくとうタイプのゴーリキーには効果抜群なのである。
「おおおお!!」
そしてその隙にショウガは叫びながら突貫、男の腰に付けられたボールのうち、ゴーリキーを呼び出したものと区別するように取り付けられた3つのボールを奪取し、腹を殴りつける。
「キ、貴様……!」
腹を押さえて膝をつく男を放り、倒れているミコトの側まで交代する。
「こちらの3つで、相違ないか?」
「ええ……ありがとうございます」
ミコトは、ショウガの質問に小さく頷いた。
「この野郎……、次はアタシだ!行ってきなエーフィ、【サイコキネシス】!」
「躱して【たいあたり】!!」
女の下っ端がエーフィを繰り出し攻撃するが、身軽に躱したオドシシは【たいあたり】を発動、全身で突っ込むと立派なツノを用いてエーフィを掬い上げて投げ飛ばす。
「エーフィ!?」
「【バリアーラッシュ】、吹き飛ばせ!!」
空中へと浮き上がったエーフィに向かって【バリアーラッシュ】を発動。地を蹴って飛び上がったオドシシはエーフィの軽い体を更に上空の天井へと叩きつけ、落下したエーフィはそのまま地面に叩きつけられ目を回す。
「行ってこい、マルマイン!」
「頼むぞヤミカラス」
「行っておいで、マリルリ!!」
太った男がマルマイン、痩せた背の高い男がヤミカラス、スミレくらいの少女がマリルリを繰り出す。
「マルマイン、【でんじは】」
「早業で突き進め!!」
マルマインは【でんじは】で麻痺を与えようとするが素早く駆け出したオドシシよりは遅く、【バリアーラッシュ】で跳ねられる。
「ヤミカラス、【つばさでうつ】」
「カウンターで叩け、【たいあたり】!」
ヤミカラスが空中から急降下して攻撃を狙うが、オドシシが首を振るうとツノに翼を引っ掛け体勢を崩す。そして動きが止まったところへの【たいあたり】がヤミカラスを轢き倒し、泥まみれになりながら地面を滑ったヤミカラスは野生ポケモンが暮らす水中へと落下するも、下っ端が咄嗟にボールへ戻すことで溺死を免れた。
「……このオドシシ、元が弱いせいで倒すたびに急激なレベルアップを続けてる!マリルリ、【はらだいこ】!!」
「力業でねじ伏せよ、【バリアーラッシュ】!」
体力を削って大幅に攻撃を底上げする技、【はらだいこ】を積むマリルリだが既に積み終わっているオドシシの前では却って大きな隙である。【はらだいこ】で体力を削った所に突っ込んできたオドシシがマリルリを引き摺って既に減った体力を消し飛ばし、目を回したマリルリは元いた場所から後方数メートル引き摺られた場所に倒れた。
「このオドシシ、元こそ弱いが限界まで積んでいやがるぜ。それにコイツ、さっきまでポケモン置き去りにして戦ってたとは思えねぇほど冴えてやがる。これじゃあ残る奴らがやっても同じ結果が見えてるぜ。……ランスさんはスミレに止められていないし、どうする?」
「ひとまずランス様に連絡を取りましょう。アタシ達では、判断できないわ」
オドシシの強さに下っ端達は視線を見合わせ、女の下っ端が提案したことでランスへと連絡を取る。
「ランス様……!こちら井戸部隊!」
その声に、通信機から何やら音が漏れる。だが足や脇腹の痛みが意識を奪おうと全身を這い回り、ショウガはその声を聞き取ることが出来ない。
「すいやせん、強い敵が現れまして……。オドシシを使う坊主なのですが、これがどうも強化を積んでしまったことで手に負えない強さになってしまったのです!お陰でこちらは半壊です。ご指示をお願いします!」
その指示に何事か指示らしき言葉が飛ぶと通信を男はランスとの終えたのか通信機を胸元にしまい、大きく息を吸い込んだ。
「ランス様からの命令を伝える!そこのガキから奪ったポケモンは放って退却、行動開始!!」
その言葉と共に投げつけられた3つのモンスターボールを、ショウガは慌てて手を伸ばし受け取る。しかしその間に地面に叩きつけられた球が凄まじい音と光、そして粉を撒き散らして炸裂。ショウガは慌てて倒れているミコトに覆い被さる。
「おのれ……すたん、ぐれねーどか」
粉こそ袈裟で覆うことで防いだが光と音は完全に防ぎきれず、ショウガは酷い耳鳴りと薄らとした視界の中で、何かを探すように手を弄る。
「ブルルッ!」
鼻を鳴らしながら歩いてきたオドシシの毛がショウガの手に触れ、暖かく柔らかい感触が手を通じてショウガに伝わる。
「相棒、無事か……」
「ブルルル」
その問いにオドシシは頷き、体を擦り付ける。
「…………痛むな。スミレの援護が出来ればと思ったが、私の傷では足手纏いか。無事であれば良いのだが」
ショウガは戻り始めた視覚で自身の足を見ると、撃たれた場所からは大量の血が流れ出している。【めいそう】による限界までの強化と先程の戦闘による超大幅なレベルアップにより強化されたオドシシならば少しは力になれるかも、とは思ったショウガだが、肝心の本人が傷を負っている状況だった。
「血が流れすぎている。早く、止めねば……」
「警察だ、動くな!!!!」
止血をしようと動き始めたところに、ようやく武装した警察官達が乗り込んだ。
◾️◾️◾️◾️
通信を聞いたランスは、不機嫌そうな舌打ちをする。目の前には満身創痍のゲンガーとスミレ。そして、先程やって来たカントー・ジョウト四天王のキクコが立っている。
「……どうやら、ヤドンの井戸で誰かがうまくやってくれたらしいね」
隠す気がないのか漏れ出た通信の音に感心した様子のキクコを他所に、スミレは小さくため息を吐く。
「(オドシシを使う坊主……ショウガか。下っ端とはいえロケット団に勝つとは、何か掴んだ…………?)通信で出てきた坊主、多分私の旅仲間ですね」
「へぇ、そうかい。その顔は意外そうだけど」
「最近までポケモンをちゃんと鍛えてなかったらしく、まだまだ弱いです。そしてその弱さで、悩んでる様子だったので」
「成程ね、つまりお前はソイツがそこで何かを掴んだんじゃないか……とでも思った訳か」
「その通りです」
そんなやり取りをするスミレとキクコを他所に、通信を聞くランスは眉を顰めた。
「良いでしょう。……スミレは追い詰めましたが、こちらに四天王のキクコが現れました。油断して積まれた貴方達には言いたいこともありますが、ひとまず警察が来る前に撤退しましょう」
『はっ……。そうだ、叩きのめしたのですが、ガキから奪ったポケモンはどうしますか?奪い返されたのですが』
「放置しなさい、どうせ商品の回収はそこそこ出来ているのでしょう」
『了解!』
その返事を最後に切られた通信を胸元に仕舞うと、不満げな表情を隠さずにスミレへと声をかける。
「そんなことで、今日はこのくらいにしてあげますよ」
「アタシがそれをさせると思うかい?」
ランスを睨みつけながらキクコはボールを構える。だがランスは、バカにしたような笑みを浮かべる。
「当然出来ます。何故って?お前がもう老婆だからですよ。万が一に備え、脱出の手段はもう既に確保しているのに、杖を付いたババア如きに捕まる筈はない」
そう言ってランスが腰から一つボールを投げると、中からはエアームドが飛び出す。素早くエアームドの背中に座ると、エアームドは翼をはためかせて地上を飛び立った。
「追うんだよ!ゲンガー、ムウマージ、ポットデス!!」
頭に来たと叫ぶキクコの叫びに応えるようにキクコの影がゆらめくと、飛び出したゲンガーは凄まじい速度で飛び上がる。続くように腰のボールから光が伸び、ムウマージとポットデスが飛び出すとゲンガーに続いて飛び出した。
「知ってますよ。四天王クラスの怪物どもなら、全力で逃げようと簡単に追いついてくるとはね」
そう言ってランスが投げた丸い物体が、空中で爆ぜた。それは凄まじい音と光、そしてキラキラと輝く粉を撒き散らし、真っ向から受けたポケモン達は動きを止め、下のキクコは素早く目を閉じて耳を塞ぎ、反応が遅れたスミレは耳の痛みとチカチカする視界に思わず耳を押さえて座り込んだ。
「光と音、そして【しびれごな】も入っている特別性スタングレネードです。どれかを防いでも、3種全ては防げないでしょう。ま、聞こえてないでしょうが。……では、さらば」
そう言って飛び去ってゆくランスを、スミレ達は追うことができなかった。
「ええい……!まぁいい、井戸はどうなってる!?」
視界が回復するとすぐに、キクコが井戸に向かった別働隊へと声を飛ばす。
『こちらPSAT。井戸に突入しましたが、中には全身に傷を負った女児1名、足を撃たれたと思われる成人男性を発見!どちらも命に別状はありませんが、成人男性の方は緊急での搬送が必要かと思われます』
その言葉に、スミレは目を見開く。PSATとは、ポケモン特殊強襲部隊の略語である。PSATは警察が対組織犯罪などにおいて使用する部隊で、町のジュンサーなどと異なり彼らは戦闘部隊、人間は武装しているしそのポケモン達もジムバッジ7個レベル以上と強力で、ミュウツーの一件でも対ロケット団戦で活躍したと聞く。だが彼らが突入した時には既に人の姿はなく、ショウガと身元をはっきり知らない少女だけ(ほんの少し、スミレの脳裏を嫌な予感が走った)が見つかったらしい。
「ショウガ。……いや、そうか」
スミレは搬送が必要という言葉に表情を僅かに歪めるが、しかしランスがしていた通信から放たれた言葉を思い出す。
「ここではまだ、言わない」
その言葉は直接伝えるべきだ。そう思ったスミレは、安堵のため息と共に空を見上げた。
大人は子供を守るべき、みたいな論調でやってる作品で主人公の旅仲間に弱いポケモン持ってる大人を選んでて、その理由を考えてない訳ないんだよなーとは思いますね。まぁ、作品内の不自然=作者のガバは確実に成立する等式じゃないってことですね。理由はお察しですが、感想への返信は遅れます