ポケットモンスター another story 作:黒雲涼夜
高評価して下さる方や感想を下さる方、お気に入り登録をして下さる方に、大はしゃぎしては続きをどうしようか、ここから増やせるだろうかと悩む日々を送ってますが、力尽きるまで頑張るのでこれからもよろしくお願いします。
「【つるのムチ】!」
スミレの荒れた声で放たれた指示から、バトルは始まる。フシギソウの放った蔓が、動揺のあまり指示を出せないヒマワリと何か声を掛けるリザードを他所にリザードを薙ぎ払い、壁に叩きつけた。
「抵抗しないか・・・⁉︎だったらお望み通り、潰してあげるよ!【はっぱカッター】!!!!」
「ソウ!!」
フシギソウの追撃がリザードに入る。リザードは避けも抵抗もせず、攻撃を受けた。
「もう一発!!【はっぱカッター】!」
フシギソウは攻撃しようとして、踏みとどまる。ヒマワリは未だ再起できておらず、リザードはヒマワリの指示を待っているのか、まだ動かない。
「フシギソウ⁉︎」
スミレが動揺の声を上げる。相棒と慕っていたポケモンによる突然の指示無視だった。
「何やってるの⁉︎アイツに情けをかけるな・・・!あのリザードは指示待ちで動けない!今ここで徹底的に潰して、もう2度と私に付き纏えないように「ソウ!!!!」・・・ッ!」
フシギソウの蔓が、スミレの頬を叩く。フシギソウは、少し怒った表情で、スミレに言葉を掛ける。スミレの頭は、一気に冷えた。
「ソウソウ!」
「・・・・ごめん、ありがと。」
スミレは目尻に僅かに滲んだ涙を乱暴に拭う。暴走しかけた時は、諌めてくれる。やはりフシギソウは、最高の相棒だ。
「リザァァド!!」
リザードが、衝撃で固まっているヒマワリの頭をぶっ叩く。
「ぅあ・・・リザード。・・・ごめん。ヒマ、最低だ。ヒマの我儘で、スミちゃんを傷つけてたのに・・・平気な顔して・・・友達面して付き纏って・・・。あはは・・・あんなに怒ってるスミちゃん、初めて見たよ・・・怒らせたのは・・・ああなるまで傷つけたのは・・・ヒマ、なんだよね・・・ヒマのせい、だよね・・・。」
ヒマワリは青ざめた顔で、リザードを見る。リザードは、ただ静かに、真っ直ぐヒマワリを見つめていた。
「リザッ、リザァァ、リザァァァド!!」
リザードはヒマワリに何かを伝える。
「リザードは、一緒に謝ろうって言ってるニャ。」
不意に、外野の声が入った。
「何だ⁉︎」
サトシが突然の乱入者に疑問の声を上げる。
「なんだかんだと聞かれたら」
「答えてあげるが世の情け」
「世界の破壊を防ぐため」
「世界の平和を守るため」
「愛と真実の悪を貫く」
「ラブリーチャーミーな敵役」
「ムサシ」
「コジロウ」
「銀河を駆けるロケット団の2人には」
「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ!」
「なーんてニャ!!」
堂々と口上を述べ、ロケット団は姿を現す。
「何しに来たんだ!ロケット団!!」
サトシが警戒心を露わにする。
「なぁに、大喧嘩中のお2人のために、ウチのニャースが通訳をしてやろうと言う訳で、俺たちは来たって事だ。」
コジロウがそう言う。
「アタシらの目的はピカチュウ。そしてそのピカチュウがさらに強くなればボスに提出した時のご褒美は倍になるはず。そしてピカチュウが強くなるには、そのフシギソウとリザードは必要不可欠!」
「つまりニャー達は、ピカチュウのライバルには減って欲しくニャいのニャ。」
ロケット団的には、この理由は完全にこじつけである。スミレとヒマワリの事は、偶に見かけたらジャリボーイのついでに観察する程度には目を付けていた。スミレという少女に、コジロウが少し肩入れしているのもある。その為、今回の騒動は相当ハラハラしながら見守っており、最後の一線を越える前に、こうして出てきたのである。
「ソウ!ソウソウ!!フシッ!フシッ、フシフシ!!ソウソウソウ!」
一行はそんなロケット団を疑っていたが、フシギソウはいい機会だとニャースに何かを話す。
「ふむふむ、『スミレがどれだけ辛い人生を歩んで来たかは知らないが、それは他人を傷つける免罪符にはならない。だから、気持ちを落ち着けて、反省しなさい。そうしたら、後で一緒に謝ろう』と言ってるニャ。」
「・・・・・でも。」
スミレは、親に叱られた子供が言い訳をするように小さく呟く。スミレは馬鹿では無いので、それが正論である事くらい簡単に分かる。だが、だからと言って納得することは出来なかった。それに対しフシギソウは、再びニャースに鳴き声で何かを話す。
「でもも何も無いのニャ!フシギソウは、『今回はどちらも悪い。スミレなら分かっている筈だ。』と言ってるニャ。おミャーは、フシギソウから信頼されているからこう言われているのニャ!その信頼を裏切るつもりかニャ?」
ニャースが翻訳に自身の言葉を付け加えると、スミレは視線を落とす。
「・・・ズルい。そう言われたら、何も言えない・・・。」
それを見たリザードが、ニャースに近づきメッセージを伝える。
「リザードは、『一緒に謝って、やり直す方法を探そう。まだ手遅れではないはず』って言ってるニャ。」
「でも・・・ヒマは・・・、もう終わりだよ!もう戻れない・・・ヒマはスミちゃんを友達なんて思っちゃダメだったんだよ。」
「それは違うのニャ。友達というのは、喧嘩して、仲直りして、酸いも甘いも共に分かち合ってなっていくものニャ。少なくともリザードは、このまま終わることを望んでは居ないのニャ。おミャーはまだやり直せる、リザードはそう信じてるのニャ。その気持ちを、踏み躙るつもりかニャ?」
ニャースはそう力説した。
「カゲちゃん・・・。」
ヒマワリは呟く。
「ポケモンの気持ちも考えなさいよ2人とも。・・・全く、情けないわね。」
ムサシが呆れ顔で続く。
「ポケモンは2人が仲直りすることを望んでる。トレーナーのお前達が、ポケモンの考えも聞かずに永遠に決別、なんてことは良くないと思うぜ。だから俺たちが出てきた訳だしな。」
コジロウもそう言う。
「ふぅん、まともなこと言うんだなアイツら。」
「コラッ!水を差すようなこと言わないの!!」
「イデッ・・・!何すんだよ・・・。」
サトシがしみじみとそう言い、カスミから拳骨を受ける。
「ニャーなら、ボールに入ってるポケモン達の言葉も通訳できるニャ。どうするニャ?」
ニャースがそう提案する。
「ヒマは・・・「待った。」スミちゃん?」
誘いに乗ろうとするヒマワリだが、スミレがそれを遮る。
「・・・フシギソウの言い分は分かった。私も言い過ぎたのは認める。でも、それより先にやることがある筈。」
スミレの言葉に、全員が察した。ロケット団はバトルコートの外に移動し、犯罪者の癖に堂々と観戦の体制に入る。
「バトルの決着・・・だよね、スミちゃん。」
ヒマワリの言葉に、スミレは小さく頷く。
「そう、決着・・・。私には憎しみがある。貴方の言葉は何も聞いてないけど、多分何かあるのは分かる。なら、その全てはこの戦いの決着を付けてから。私はお前を倒して先に進む。道を開けろ、ヒマワリ。」
「やってみなよ・・・。ヒマは、ヒマ達は、最後まで諦めない!」
「それでは、バトル再開!!」
タケシの号令が響いた。
「カゲちゃん!【りゅうのいぶき】!!」
「リザァァ!!」
「フシギソウ、【はっぱカッター】。」
「ソウ!!」
空中で2つの技が激突し、土煙を上げる。
「フシギソウ、【つるのムチ】。拘束して。」
フシギソウの放った蔓がリザードに迫る。
「カゲちゃん、【ひっかく】!防いで!!」
リザードは拘束せんと迫る蔓を腕を使って的確に捌く。
「【どくのこな】。」
毒の粉が散布された。
「尻尾で風を起こしてフシギソウに返して!!」
リザードは尻尾を思い切り振ることで風を起こし、毒の粉を吹き飛ばす。
「今・・・。掴んで、【つるのムチ】。」
その尻尾を捕まえたのは【つるのムチ】。ヒマワリに動揺が走る。蔓による拘束からの追撃はスミレの必勝パターンだ。
「負けないで!蔓に【ひのこ】!!」
リザードは火の粉を蔓にぶつけると脱出した。しかし相手はスミレのフシギソウ、間をおかずに【はっぱカッター】が放たれ、ダメージを受ける。
「・・・随分としぶとい。」
スミレは眉を顰める。
「スミちゃんの背中をずっと追いかけてた!だから、フシギソウの戦い方は知ってるよ!!」
ヒマワリはそう言う。
「じゃあ対応してみなよ・・・。【はっぱカッター】、プランA。」
その言葉の直後、指示を出す間もなくリザードはダメージを受けた。
「カゲちゃん⁉︎」
「なんだぁ⁉︎」
サトシが周囲の疑問を代表するように驚きの声をあげる。
「【はっぱカッター】という技は、フシギソウのエネルギーを複数の草の刃に分散して放つ技。プランAでは、刃の数を1枚に減らす代わりに、エネルギーを凝縮させたもの。そのスピードは、目に追えるものじゃない。」
スミレがそう解説する。
「そんな技を・・・!カゲちゃん、【ひのこ】!!」
「【はっぱカッター】プランAで相殺。」
放たれた火の粉を高速で放たれた草の刃が相殺する。
「プランB、発射。」
その言葉と共に放たれた通常と変わらないように見える【はっぱカッター】がリザードに当たる。するとリザードは、毒の状態異常を食らった。
「まさか・・・【どくのこな】⁉︎」
ヒマワリが気づく。
「正解。【はっぱカッター】に毒の粉を付着させたシンプルな合わせ技。だけど凶悪さではプランAを超える。・・・バタフリーに比べたら、合わせ技は得意じゃないけど。」
スミレは何でもないように解説するが、技と技を組み合わせるというのは、ポケモンの能力と技術、そしてトレーナーの発想力と適切な指示が重要なので、簡単なものではない。
「すごいよ、スミちゃん・・・。だけど、まだやれる!まだ諦めない!そうだよね、カゲちゃん!!」
「リザァァァァァァァド!!!!」
リザードが満身創痍ながらも、大気を震わせる程の咆哮をあげる。
「次で決める・・・!カゲちゃん、【りゅうのいぶき】!!!!」
いつにも増して威力のある【りゅうのいぶき】がフシギソウに迫る。
「真正面から、受けて立つ・・・なんて、言うわけないでしょ。フシギソウ、私の事はいい。信じて・・・右に躱して、【はっぱカッター】。」
一瞬躊躇ったフシギソウだが、スミレの覚悟を受け取ると攻撃を躱し、最後の一撃を叩き込む。リザードはその一撃で意識を刈り取られ、戦闘不能になるが、【りゅうのいぶき】はコート端で爆発。その爆風を至近距離で食らったスミレは、壁に叩きつけられた。
「・・・・ッ・・・ぁ。」
プツリと糸が切れるような感覚と共に、スミレの意識は闇へと落ちた。
「スミちゃん!!!!」
と悲痛な叫びを上げるヒマワリの声を微かに耳に残して。
ありがとうございました。
ヒマワリの方が主人公っぽさが出てますが、ヒマワリとスミレとの間には力の差が存在してます。なので普通に負けますし、最後の一撃はリザードの体力などの関係で上手くコントロールが効いてません。
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