ポケットモンスター another story 作:黒雲涼夜
スミレとショウガは、ウバメの森を進んでいた。道中出会った野良トレーナーを相手にスミレはジョウトで捕まえたポケモン達を鍛えているが、スミレはリーグ上位勢。レベルは同等でも技術が全く違うので、レベル上げの為の経験値以上の成果は得られず仕舞いである。
「しかし、困ったな。中途半端に強すぎて、これでは鍛錬にならん」
困った笑みを浮かべるショウガに、スミレは呆れたような表情を浮かべる。
「訓練にならないのは同感だけど、贅沢な悩みだね。今の私達じゃあ碌な戦力にならない」
スミレから言わせると、スミレ自身もまた戦力としては不足である。最近は治安の悪化に伴い警察も強化され、バッジ8個クラスのトレーナーが増加しているらしい。更に、元から強かったリーグ上位勢は更に腕を上げているのだとか。治安維持の点では安心であるが、このまま足踏みをしていては、最前線に置いて行かれてしまう。
「スミレでもか。……先は長いな。とはいえ、今は例の試練か」
「うん。聞いた話では、この辺りだと……」
スミレとショウガは、警戒した様子で周囲を見渡す。何か細い物によって抉られたような倒木が幾つもあり、折れてない木にも何かが突き刺さったような痕が見える。
「お、おい……!アンタ達!!」
そこに、1人の野良トレーナーの少年が声を掛けた。その少年は、数分前にスミレがネイティで叩きのめした、15歳程のナゾノクサ使いの少年である。中性的な顔立ちに半袖短パンの美少年だが、バトルは負け筋を選び続けて敗北する程度には弱い。スミレ達が喧嘩屋の居る場所に向かおうとしていたため、なんだかんだでずっと着いてきたのだ。
「どうした?」
「何やってるんだ、ここはもうアイツの縄張りだぞ!?見ろよ、あの木の痕跡はアイツがいる証拠だ。それにここの木は良い樹液が出る、だからアイツが来やすいんだ!」
焦った様子の少年にスミレとショウガは目を見合わせた。
「聞いたか。縄張りということは、奴は必ず現れるぞ」
「だね。私達は縄張りを犯す侵入者、ここらで旅のトレーナーやポケモンに喧嘩を売ってるポケモンともあろうものが、そんな不届き見逃す筈がない」
ショウガとスミレの発言に、少年は半泣きで言った。
「まさか、喧嘩屋に喧嘩を売るつもりか!?正気かよ、俺のナゾノクサだって半殺しにされたんだぞ!」
「何回挑んだの?」
「い、1回だよ」
その返答にスミレは、目を細めた。
「大丈夫、苦戦はするだろうけど勝てる。私達に討伐依頼を出した人もそう信じて私達に指示を出した。……ま、私は手を出さないけど」
そう言ってスミレは一歩後ろに退がる。遠くからは、むしポケモンと思わしき激しい羽音が近づいてくる。
「アンタ1人でやる気か!」
「無論。正確には私が居るから少し違うが、タイマンは喧嘩の華だ。そうだろうオドシシ」
「シッシィ!!」
恐怖に怯える少年を他所にスミレは欠伸をし、ショウガとオドシシは戦意を昂らせてそれが降りてくるのを待っていた。
「……来た」
そして、少年が引き攣った表情で敵の襲来を告げる。激しい羽音を響かせて降りてきたのは、まるで鎧のような硬い甲の体を持ち、額には鋭く大きなツノを持っている。むし、かくとうタイプを保有し自慢のツノで敵を打ち砕く、人呼んで森の喧嘩屋。
「クロォォォッスゥゥ!!!!」
ヘラクロスが、威嚇するような咆哮を上げながら降り立った。
「シッシィィィィィ!!!!」
ヘラクロスはオドシシを睨みつけ、共鳴するようにオドシシも咆哮を上げながらヘラクロスを睨みつける。
「やっぱりね」
スミレはそう呟き腕を組む。対するショウガは、ヘラクロスに向けて鋭い視線を向けた。
「……このヘラクロス、強い!」
身体中に纏っているオーラは、キクコやヒマワリに鍛えられた今のオドシシに劣らない。そして厄介なことに、このヘラクロスはオドシシの力量を測っているのか一切の油断をしていない。そして何より恐ろしいのは、一瞬チラリとスミレに視線を向けた。即ち、スミレが3人の中で最強であることを理解し、しかし目の前のオドシシが油断ならないとも理解しているからこそ意識をオドシシに向けているのだ。この個体はただ弱い者虐めで強くなりお山の大将を気取っているような個体ではない。力を絞り、知恵を絞り、この自然を生き抜いてきた正真正銘の戦士だ。
(エリカさんがショウガに試練を課してなかったら私が捕まえたかったけどね)
スミレの目には、少なくともヘラクロスがカントー時代のメインパーティーに匹敵する、ジョウトで捕まえればエース枠になれる逸材だと写っていた。
「……」
少年は黙って目を細め短パンの縁を撫で、スミレは少し気まずそうに視線を逸らした。
「ヘラァッ!」
ショウガとオドシシがヘラクロスの隙を窺っていると、まずはヘラクロスが動き出した。ヘラクロスはどっしりと地面を踏み締めると、ゆっくりと舞のような動きを披露する。すると周囲の空中に剣が3振り形造られ、その剣は空中で力強く打ち合わされた。【つるぎのまい】、自身の攻撃力を高める技だ。ヘラクロスは短い舞を終えるとまるで挑発するかのように手を動かし、どっしりと構えてオドシシの動きを待っていた。
「……ッ、そういうことか!【めいそう】!!」
対するショウガはオドシシに指示を飛ばし、オドシシは目を閉じ精神統一、自身の能力を引き上げる。それを見たヘラクロスは、嬉しそうに笑った。
「ヘラァ……ヘラ!!」
ヘラクロスは満足げに頷くと、背中の翅を振るわせ飛び出した。そのツノは、激しく光り輝き、強力な技の使用を示している。
「あれは【メガホーン】……!ならば、オドシシ!【バリアーラッシュ】だ!!」
対するショウガは【バリアーラッシュ】を指示、オドシシが激しいエネルギーを纏って突進すると、【メガホーン】を発動し突撃するヘラクロスと、空中で激突した。
「シッシィ!!」
「クロォス!!」
両者の攻撃はほぼ互角、僅かにオドシシが力負けをしている程度だ。
「ツノを使って投げ飛ばせ!!」
しかしここでオドシシは自身のツノをヘラクロスのツノに絡めることでヘラクロスを捕まえ、自慢のパワーで投げ飛ばす。投げ飛ばされたヘラクロスは地面に叩きつけられるもすぐに立ち上がり【つばめがえし】を発動、背後を振り返ったオドシシの首筋に攻撃を叩きつけ、オドシシは僅かに後退する。
「だったら、【たいあたり】で接近!」
しかしオドシシはすぐに【たいあたり】を発動。何故か腕組みをして動かないヘラクロスを吹き飛ばした。
「クロッ……」
しかし流石に【たいあたり】は有効打になり得ない。ヘラクロスは堂々とした態度で立ち上がる。
「【バリアーラッシュ】!!」
しかし、ショウガは追撃の手を緩めていない。立ち上がったヘラクロスに向かって【バリアーラッシュ】を発動したオドシシが迫る。しかしそこでヘラクロスは、再び腕組みをしたまま立っていた。容赦ない突進がヘラクロスを弾き飛ばし、大きなダメージを刻み込む。しかしそれでも、土煙の中からヘラクロスは立ち上がる。
「……ヘラ」
腕を組んで、堂々と。効いてない筈がないというのに、まるで効いていないかのように立っていた。
「まさか、こちらの攻撃を全て受け止め、その上で勝つつもりか!?」
「ヘラッ……!」
ショウガの驚愕に、ヘラクロスは笑みを浮かべての首肯で返す。その笑みは油断では一切ない。相手の強さを認めた上で、それでも攻撃を受けて勝つ。それは油断や慢心ではなく、ひとつの漢の流儀であった。
「シッシィ!」
その姿を見たオドシシは感じる物があったのか、ショウガに視線を向ける。そこに意図を感じ取ったショウガは、力強く頷いた。
「……ヘラクロスよ。貴殿の流儀、恐れ入った。よって我々もその流儀に従い、貴殿の攻撃を躱さずお相手させて頂く。そして、我々は必ず勝ってみせる。もしも貴殿に勝てたらその時は、貴殿をモンスターボールへと収め、共に歩む友としたい」
「ヘラッ」
鼻息荒くヘラクロスを見つめるオドシシに対し、ヘラクロスは笑みを浮かべて手を動かす。そのメッセージは即ち、『かかって来い』。
「行くぞオドシシ、【めいそう】!!」
ショウガの指示でオドシシは目を閉じ精神統一、更に己の能力を向上させる。それを見たヘラクロスは、ゆっくりと前へ歩き出す。そして、オドシシが能力向上を終えて目を開けた瞬間、翅を振るわせ飛び出した。
「……ヘラァァッ!!」
「耐えろオドシシ!」
「シッシィ!!」
ヘラクロスが光輝く拳を振るい、オドシシは強気な笑みを浮かべて踏ん張る態勢に入る。そして放たれたのは、【インファイト】。防御を下げる反動こそあるものの、格闘技の極地ともいえる超高火力の打撃の雨霰を、オドシシは地に足をつけて踏ん張ることで耐え抜く。
「ヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラ!!!!」
まるで何処ぞの世界で人気な漫画のキャラクターがするような拳のラッシュを、オドシシは必死の形相で耐える。そしてその攻撃がひと段落すると、ヘラクロスは嬉しそうに笑い腕を組んだ。反撃しろという合図だ。
「反撃だ、力業で行くぞ!!……【バリアーラッシュ】!!!!」
オドシシが【バリアーラッシュ】を全開で発動、凄まじい火力の突進がヘラクロスに激突、踏ん張るヘラクロスごと数メートル先の大木に突っ込んだ。
「ヘェ……、ラァ……!!」
しかし、それでもヘラクロスは立っていた。引き摺られた地面はまるで線路のように線を描き、叩きつけられた大木は深く抉れ、それでもヘラクロスは意識を保って立っていた。
「まさか……力業を耐えたのか!?【インファイト】で防御が下がり、地面に足を付いたまま、大木まで引き摺られ叩きつけられて尚……!!なんという見上げた根性だ……」
ショウガの驚愕を他所に、ヘラクロスは地を蹴って飛び出すと、ツノを輝かせオドシシを吹き飛ばした。【メガホーン】だ。強烈な一撃を貰い吹き飛んだオドシシだったが、よろめきながらも立ち上がる。
「シィ……シィッ!!」
「ヘラァ……!」
苦しげな表情を浮かべるオドシシとヘラクロス。しかし両者譲らず、立ち上がっている。
「(互いの体力はあと僅か……。ならば、早く決めねばなるまい)ヘラクロス!」
「……?」
「互いの体力はもはや尽きる寸前!ならば、最後の一撃を放ち終幕としよう!この一撃に全てを賭け、立っていた方がこの戦いの勝者となる!これでどうだ!?」
「ヘラッ!」
ショウガの提案にヘラクロスは頷くと、ツノにエネルギーを纏った。最後の一撃は、【メガホーン】を放つらしい。対するオドシシの最後の一撃は、【バリアーラッシュ】。エネルギーを全身に纏い、力強く地を蹴った。
「決めろオドシシ、【バリアーラッシュ】!!!!」
「シッシィィィィィ!!!!」
「ヘラァァァァァ!!!!」
ヘラクロスとオドシシが空中ですれ違い、反対側に着地する。そして。
「シィ……」
「へ……ラァァ……」
オドシシはよろめきながらもなんとか踏ん張り、対するヘラクロスはうつ伏せに倒れ込む。つまりオドシシの、そしてショウガの勝ちであった。
◾️◾️◾️◾️
ポケモンの回復を済ませた後、ヘラクロスとショウガは向き合っていた。地面に座り込んだヘラクロスに合わせて、ショウガもまた地に胡座を掻いている。
「私は、力が欲しい。誰かを守れる力が、戦わなければならない時に戦える力が。そして隣に立つ人1人でも助けられるようになりたいんだ。……そしてその為に、君の力は必ず必要になるだろう。ヘラクロスよ、私と一緒に来てくれないか?」
「ヘラッ……」
ショウガの誘いに対するヘラクロスの返事は、短い言葉と深々と下げた頭だ。つまりは、了承。しかしオドシシのような仲間とはやや違い、ヘラクロスはショウガを主として仰ぐ姿勢のようである。
(まるで、生涯を捧げる主君を得た武人のよう……)
背後で戦いを見ていたスミレがそんな想像をするが、丁度そのような絵面であった。
(あのヘラクロスは肉体、精神共に強力。でも、あのタイプには敬意は抱きこそすれ、私の指揮する作戦とは相性が悪い。それに、ああいう気質の奴はたとえ私がより強くとも、真っ先に喧嘩を売ったショウガを評価する。私のように策を弄するタイプには、捕まりはしても心服はしてくれないだろうし。……どの道、私には扱えないポケモンだね)
スミレはそう言って小さくため息を吐く。スミレと少年が見つめる先ではショウガが持ったモンスターボールにヘラクロスの体が吸い込まれ、カチリと音を立てていた。ゲット成功、タマゴを除けばショウガの、2体目のポケモンである。
「スミレ。……そして少年、見届けてくれてありがとう。私は勝ったぞ、己の力で」
スミレと少年に笑い掛けると、少年は輝いた瞳で、スミレは呆れたような表情を浮かべてショウガに歩み寄る。
「すっげぇ!!カッコいいよ兄貴!!」
「あ、兄貴?」
「俺あんなにカッコいいバトルは初めてだ!俺を弟子にしてくれよ!!」
「済まんが無理だなぁ、自分の旅があるから」
「じゃあ連れて行ってくれよ!」
「無理。あなたはやることあるでしょ」
「そっかぁ……ガックリ」
頬を紅潮させて懇願する少年をスミレがバッサリと切り捨て、ショウガに呆れたような視線を向ける。
「ははは、手厳しいな」
「そんなことより、随分と手間取ったね。……まぁああいうバトルは嫌いじゃないけどさ。ウン、ヘラクロス使う時は兎も角、あんまりそのノリ引き摺らないでよ」
苦笑いを浮かべるショウガに、スミレはため息を吐いた。
「それはそうだな。まぁヘラクロスは必然的にプロレス型の戦術になるだろうが、オドシシでは今後なるべくしないさ。『戦場での余計な消耗は命取り』、だろ?」
「……分かってるなら良い。ほら、君はそろそろ家に帰りなよ。今の時期は犯罪者が増えて治安が悪いんだから」
スミレが少し困った表情で帰りを促すと、少年はニコリと笑った。
「はぁい、じゃーねー!」
そう言って去ってゆく少年の後ろ姿を見ながら、ショウガはポツリと呟く。
「なぁ、スミレ」
「ん?」
「何故ヘラクロスと戦ったのか、分かったよ」
「へぇ、それで?」
「オドシシの【バリアーラッシュ】はエスパー技。それを無効化できるあくタイプに、むしタイプとかくとうタイプは強いからな。……それに、ああいう泥臭いバトルは、スミレよりも私のスタイルに合ってる。だからこそ、エリカ殿は私にこの試練を課した。そうだろう?」
それを聞いたスミレはショウガから視線を外しながら言った。
「……合格。多分エリカさんは、そう言うと思うよ。それと、ヒマワリも。さ、ポケモンセンターに行ってきなよ。私は後で合流するから」
「そういえば……あの少年、どこかで」
「気にしないで…………ウン」
「やっぱりスミレさんにはバレてますよねー」
スミレ達と別れて森に走り去った少年……という変装をしていたエリカは、横で双眼鏡を構えるヒマワリにそう言った。
「あはは、1回しか挑んでないって言ってるのに、樹液が出るとかそういうこと言っちゃいましたからね。ショウガさんは試練に集中してたからギリギリ騙せてますけど、多分そういうの無かったら気付いてたと思いますよ」
「ですよねぇ……。あー、恥ずかしい。愛弟子に男装と子供のフリを晒した挙句、バレてたのですから」
苦笑いを浮かべるヒマワリに対して、エリカは顔を真っ赤にして掌で顔を覆う。どうやら、少年のフリは随分と恥ずかしかったようだ。
「あとは、半袖短パンスタイルも不味かったかもですね。……女の人と男の人って、骨格違いますから。わたしも気付いて無かったです。最後の下りなんて、スミレちゃん大分気まずそうでしたよ」
「あー…………最悪です。私ともあろうものがそんな失態を……」
顔を覆って悶えるエリカに、ヒマワリは内心『自分じゃなくて良かった』と安堵する。今回ヒマワリが行かなかったのは、ヒマワリが演技が下手くそだったこと、スミレと仲が良く直近でショウガと深く関わっているのでよりバレやすいと考えたからである。そのお陰で、ヒマワリはスミレの前で男装し妙に解像度の低い少年を演じる事態を回避できたのだ。
「そういうことです。1回しか挑んでない癖に情報を持っているし、ヘラクロスの縄張りに来たと焦ってる割に周りの様子が見れている。その癖バトルした時は妙に下手くそ、少年なのに骨格や動きは女性、多少変えても聞き覚えのある声にその辺の子供を気取っても無理があるその整った顔。……ヒマワリが居ると気付いたのは、単純に視線を感じてたから。あと短パンの裾を撫でてたのは、もしもに備えてモンスターボールを隠し持っていたから。気付いた理由としてはそんな感じです。……状況がああでなかったら、ショウガもあっさり気付いてたでしょうね。少なくともヘラクロスは分かってて見逃してましたよ。私だけは横槍を入れかねないと警戒されてましたが」
茂みを掻き分け現れたスミレにそう言われ、エリカは声にならない悲鳴を上げた。
「恥ずかしい……恥ずかしい…………」
「あー、スミレちゃんごめんね。盗み見してた」
「まぁ良いよ、どうせショウガのことが心配だったんでしょ。……こっちは温度差酷すぎて風邪ひくかと思ったけど」
スミレとヒマワリは顔を覆い地を転がるエリカに憐みの視線を向けながらも話す。
「そういうこと。エリカさんも、厳しい試練を課した以上は最後まで責任を持ちたいって。……まぁ、その結果がコレなんだけど」
「ウン……。そっか」
スミレは気まずそうに頷いた。別に失望したとかそういうのではないのだが、それはそれとして普段のエリカを知っている分気まずいものがある。スミレは気まずさを誤魔化すように2人に背を向けた。
「行くの?」
「うん。あんまり遅くなると疑われるだろうしね。この事は黙っておくよ……」
「あはは、エリカさんの名誉の為にもお願いね。これ以上は恥ずかしさでオーバーヒートする」
ヒマワリはそう笑いながら地を転がるエリカを指先でツンツンとする。
「う、うん。……ありがとね。エリカさんも、ありがとうございました」
それに対するエリカの返答は、顔を覆いながら頷くだけ。スミレは苦笑すると悶えるエリカとそれを見て笑うヒマワリを置いて歩き出した。ショウガが先に入った、コガネシティへと続く道を。
・ショウガ→少年の正体については薄々勘付いている程度。目の前のバトルに集中していた。オドシシも同様、真っ当に少年漫画的なノリをしていた。
・ヘラクロス→少年の正体については知らない。その強さは勘付いていたが、手を出す気がないなら気にしない。そんなこともあるんだなぁ程度、空気が読めるイイ漢。目の前の喧嘩が一番大事、今回の喧嘩でショウガに従う事に決めた。
・スミレ→バトルには集中できたが、その前後は非常に気まずかった。今回一番温度差の被害に遭っていた人。
・ヒマワリ→絶対に笑ってはいけない開催。エリカの奮闘に声を殺して爆笑していた。これを機にエリカとの関係が友達の恩人兼師匠に、年上の友達が追加された。
・エリカ→短パン小僧のエリカさん。恥ずかしさで死ぬかと思った。変装はアニポケのロケット団レベルで杜撰。あの後ヒマワリに爆笑されながら慰められ、なんだかんだでヒマワリと仲良くなった。因みにショウガとの最後のやり取りは、『多少チヤホヤされても流されないよな?』というチェックなので、ちゃんと見る所は見ている模様