ポケットモンスター another story   作:黒雲涼夜

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前回、スミレが3試合目みたいな書き方してたんですけど、4試合目でした。普通にミスです、すみません
それと、大阪旅行に行ってたので投稿遅れました


第202話 バトル講習会の戦い

 ショウガのヘラクロスと、タナカのノコッチが激突する。攻撃力はややヘラクロスが上、ヘラクロスの圧力にノコッチは僅かに後退する。

「逸らすんだ」

タナカの指示でノコッチは体を逸らし、すれ違う形で着地する。

「ヘラクロス、【インファイト】!!」

「【あなをほる】」

全身にエネルギーを滾らせて突進するヘラクロスだが、ノコッチは地面に潜ることで攻撃を躱した。

「……ッ!ヘラクロス、地中を警戒!」

「ヘラッ」

ショウガは指示を飛ばすが、ヘラクロスは顔を横に振ってそれを拒絶すると、腕組みをして仁王立ちをする。それを見たショウガは、納得したように頷いた。

「そうだな。お前ならそうするか。……耐えろ、そして耐えたら反撃だ」

「ヘラッ」

それを見たタナカは、苦笑いを浮かべた。

「その戦闘スタイル……。そして捕まえられたばかりの強いヘラクロス。ウバメの森に出たっていう喧嘩屋だね。確かツクシ君がタマムシのエリカちゃんに救援頼んで合同で対処する予定って聞いたけど、まさか君が捕まえていたとは」

「……何?私は、エリカ殿から試練として任されたのだが」

「うぅん?なんでだろうねぇ。あの子、責任感強いから人にそういうこと任せないけど。……まぁいいや、彼女は君に何かを期待しているんだろうね。だったら、それを見せて貰おうかな!【あなをほる】!!」

地中から現れたノコッチの攻撃に、ヘラクロスは仁王立ちのまま耐え忍ぶ。

「反撃だ、【つばめがえし】!」

対するヘラクロスは【つばめがえし】を発動、接近していたノコッチを弾き飛ばした。

「お、ならこれはどうかな?【ドリルライナー】」

「耐えて【インファイト】!!」

「ヘェェェ、ラァァァァ!!!!」

ノコッチが回転しながら突っ込み、ヘラクロスは苦痛に顔を歪める。しかし大地を踏み締めて攻撃を耐え切ると、反撃の【インファイト】を発動。ノコッチの全身を打撃の雨が打ちのめし、その体を大きく吹き飛ばし地面に叩きつけた。

「ノォ……コッチ」

しかしノコッチは立ち上がる。ノコッチはノーマルタイプ、そこらの個体なら【インファイト】を一撃でも受ければ戦闘不能になる筈だが、さすがは講師として参加しただけのことはある。それを見たヘラクロスが、嬉しそうに笑う。流石は喧嘩屋、強敵は大歓迎らしい。

「ヘラクロス、決めにいくぞ。……【つるぎのまい】」

ヘラクロスが舞を踊ると、エネルギーの剣が打ち合わされてヘラクロスの攻撃力を上昇させる。【インファイト】は自身の防御を削る技、相手の攻撃を受け止めて勝つヘラクロスの流儀とは相性が悪く、故にヘラクロスは持久戦に向かない。だから、最強の攻撃による短期決戦こそがヘラクロスの運用法だ。

「ならこっちも、そろそろ決めに行くよ。……ノコッチ、【ドラゴンダイブ】」

ノコッチの【ドラゴンダイブ】が腕組みをしたヘラクロスに命中し、ヘラクロスは大きく仰け反った。しかしその目は爛々と輝き、勝利を確信した力強い笑みを浮かべている。

「決めろヘラクロス!【インファイト】!!!!」

そして反撃の【インファイト】がノコッチを打ちのめし、ノコッチは吹き飛ばされて目を回す。ノコッチ、戦闘不能。ヘラクロスの勝利である。

 

 電撃が空を翔けると突っ込んできたガルーラの全身を焼き、ガルーラは目を回し倒れる。バトルを始めて2人目の講師の元へと行っているサトシだったが、1年でカントーのジムを制覇しただけのことはあってか、弱体化は間違えるほど改善していた。その証拠に、今目の前で講師としてバトルしているのはジョウトリーグでベスト16になったことのあるトレーナーなのだが、そのトレーナーが使うガルーラを倒し、勝利したのである。もはやサトシの実力はカントーリーグ時点とあまり変わらない程度まで戻っており、残るはオレンジ諸島の経験分である。

「す、すごい……。さすがよ本当に」

講師の女性トレーナーであるリンゴが、悔しさを滲ませながらもサトシを褒める。リンゴはトレーナー20年以上でやっとベスト16、ジムバッジ8個到達に5年ほど要している苦労人ではあるので天才しかいないマサラ4人組とは全くタイプが違うのだが、戦うことでその差を実感していた。なんと言っても、ガルーラをピカチュウで、しかも交代なしの1対1で倒してしまったのである。ピカチュウなんて、それこそ最近はピカチュウを捕まえる人も増えつつあるようだがピカチュウのままリーグに出すなど本来しない。せめてライチュウにしないと戦力として心許ないと考えられてきた、実質的なマスコットポケモンの一種である。もう1人ヒロシというピカチュウ使いの強いトレーナーがここには居るが、どちらもマスコットの皮を被った妖怪の類だとそのリンゴは思う。ヒロシはヒロシで、バクフーンをピカチュウで撃破していた。なんなんだこの黄色い悪魔共は。そのうちじめんタイプすら倒し始めるのではなかろうか。

「よし、いいぞピカチュウ!!」

「ピッカァ!!」

サトシとピカチュウがハイタッチするのを見て、リンゴは嘆息する。立ち回りこそ始めは不安定だが、その関係性はかなり安定して仲が良い。強いトレーナーたるもの、ポケモンとの絆は必須条件だ。

「やぁー、ほんとやるわね。自信なくしそ」

「いえ、リンゴさんが相手してくれたお陰ですよ!」

純粋な目で見てくるサトシに、リンゴは複雑そうな表情を浮かべて目を逸らす。

「ウン、アリガト……。でもまぁ、あんまり囚われない程度にはタイプ相性とかも気にした方がいいかな?バトルに勝てても、勝ちにくいからその分消耗激しいし」

「成程……そうですね。でもオレ、勉強苦手でタイプ相性とかあんまり覚えられなくて……」

「勉強だと思うから覚えられないのよ。……貴方の場合、バトルやりまくってなんとなくで『このポケモンにはこのタイプが効く』みたいにしていった方がいいんじゃない?」

苦笑いを浮かべるサトシにリンゴがそうアドバイスをすると、サトシはハッとした表情を浮かべた。

「そうか!それなら出来そうです!!ありがとうございます!!!!」

「……本来は普通に覚えた方が早いし楽なんだけどね」

キラキラとした視線を向けるサトシに、リンゴは眩しいものを見たとでもいうように顔を手で覆った。

「じゃ、オレは次に行きます!ありがとうございましたー!!」

そう言って駆けてゆくサトシを見送ると、トレーナーは肩を落とす。

「あーあ、若いって凄いわぁ。そして才能がまるで違う。複雑よねぇ」

そのトレーナーも講師として参加できる腕はあるが、それが霞んでしまう程にどこまでも才能という奴は残酷である。とはいえ、そんな新世代の台頭を嬉しく思ってしまう辺り、そんな奴らと戦ってみたいと思う辺り、リンゴもまた生粋のポケモントレーナーであるのだが。

 一方のシゲル。シゲルは一度カメックスを引っ込め、それ以外のポケモンを鍛えつつリングに戦略を学んでいた。というのもシゲルのバトルスタイルは標準的で、よく言えば万能だが悪く言えば器用貧乏。バランスが良いことは悪いことではないが、それだけではスミレの罠は潜り抜けられないし、サトシのスピードバトルには追いつけないし、ヒマワリのゴリ押し火力に突破されてしまう。シゲルのポケモン達は、リングのポケモン相手に模擬戦をしている。チラリと視線を送れば、シゲルのブーバーがリングのネイティオに遊ばれている姿が見えた。同じリーグ出場者だというのに、あまりな差である。シゲルは、凹む気持ちを抑えて視線を逸らした。

「しかしですねぇ、貴方のポケモンもまた強いですが器用貧乏という他ありませんねぇ。……少なくともニドキングとニドクインを6体に両者入れるのは、サカキのような物好きのやることです。貴方がやるべきことではありません。それと、タイプや戦闘スタイルはなるべくばらけさせましょうか。スタンダードが貴方の売りなら、スタンダードの戦闘スタイルを手持ちの数だけ分割して定着させ、状況に合わせてどの手札を使うか選ぶ、という方法で参りましょうか。そうすれば、ひとつの対策でノコノコとやられないようになりますよ」

「成程。標準的な戦術なら、一通りの組み合わせを何通りも作って組み合わせてしまえと」

「ええ、貴方は図鑑埋めのために沢山のポケモンを捕まえておられます。しかもそれはカントー、ジョウトどちらでもです。……手持ちにおける選択肢の多さは、スミレさんにも勝るアドバンテージですよ」

そう言ってリングは白塗りの顔を愉悦に歪め、シゲルはそれに少しばかり引きつつも頷いた。

「それで……ボクが今後取り入れるべきポケモンとかいますか?」

「そうですねぇ。貴方の幼馴染で言いますと、スミレさんはフシギバナとバタフリー、ニドキング。サトシ君はリザードンにカビゴン、そしてピカチュウ。ヒマワリさんはリザードンとカイリキー。彼らのポケモンは皆強力、特にスミレさんのメインパーティーは全員が全員単騎で戦況をひっくり返せるオールエース。しかし、彼らの特記戦力を挙げるとするなら先述した者達でしょう。それらに対抗する為には、まずはタイプ相性から。……とはいえスミレさんにブーバーをぶつけるのは貴方は絶対にしないでしょうから、まず最優先はほのおタイプの強力なポケモンからですかねぇ。ウインディも悪くないですが、他にも必要ですよ」

それを聞いたシゲルは自身の捕まえたポケモンを思い返しながらも頷いた。

 その一方で難航しているのはヒマワリだ。実際、ポケモンの戦闘力自体は問題ない。むしろ半端な防御や作戦はそれごとぶち抜く火力は、他3人以上の強みである。しかしヒマワリはポケモンが傷つくことに動揺してしまうので、根本的にトレーナーに向いていない。しかも、複雑な作戦を立てるのが苦手なので、基本的にはパワーのゴリ押しだ。持ち前の諦めの悪さや幼馴染への憧れ、そして一度ロケット団にポケモンが奪われたことがあるからこその自衛精神。それらが合わさって食らいついているが、トレーナーとしての限界が最も近いのはヒマワリであった。とはいえである。彼女もまたたった1年でジムバッジ8個を集めきった猛者だ。一般的なトレーナーと比較すれば才能もあるし、何よりも本人がそこまで賢くない代わりに彼女のポケモン達が頭脳を担える。

「ドッスン、【ハイドロポンプ】!」

「ゴローニャ、【まもる】」

ギャラドスの【ハイドロポンプ】が放たれるが、相手のゴローニャは【まもる】を発動し攻撃を防ぐ。

「くっ……、防がれた!」

「ギャラドスはもっと水を回転させろ!川の水が岩を削るように、砲撃の中に水流を作って威力を上げるんだ!!そしてヒマワリ、消費エネルギーの大きい技は無闇に使うな!防がれたり避けられたりしたらエネルギーの無駄遣いだぞ!」

「はいっ!!……【こおりのキバ】!」

「ギャァアアアアッス!!!!」

「近接技は良いが、タイプ相性も考えて技を選べ!ゴローニャに効く近接技はないのか!?……ゴローニャ、【まるくなる】。そして【ころがる】で迎撃だ!!」

ギャラドスが牙を輝かせて迫ると、ゴローニャは体を丸め、続いて激しく回転することて迎撃した。弾かれたのはギャラドス、それを見たヒマワリは顔を青ざめさせる。

「……ドッスン!じゃあこれ、【りゅうのいぶき】!!」

「ゴローニャ、【まもる】。そしてストップだ。……ヒマワリ、君はあれだ。俺と一緒に構成を見直そう。高火力による力押しという戦術を否定はしないが、技の種類や使い方に難があるようだ。育て方はかなり強みを活かせていてかなりセンスを感じるが、技の構成とバトルの組み立てはまだまだ未熟。そこを重点的に直して行くぞ。着いてこれるか?」

「はいっ……!」

ヒマワリは、悔しげながらも真っ直ぐ前を見据えて頷いた。

◾️◾️◾️◾️

 第3試合、スズキ対タイゾウ。スズキが1体目として呼び出したのはキングドラ、対するタイゾウはメタグロス。メタグロスは高い能力に基づいた重量と攻撃力、体に見合わぬスピードを活かした攻撃で攻めるが、それに対してキングドラは【あまごい】で天候を雨に変更。雨になると素早さが上がるという特性を利用してメタグロスに対抗し、初戦は相打ちで戦闘不能。続いて出したのは、スズキがサイドンでタイゾウはバクーダだ。相性で圧倒的に劣るバクーダであったが、【にほんばれ】で天候を晴れにし、【ソーラービーム】の連打でサイドンを撃破し1歩リードする。そして最後に出てきたスズキのポケモンはギャラドスだ。ギャラドスはバクーダを【たきのぼり】や【ハイドロポンプ】といったみず技の連打で撃破すると、タイゾウが最後に呼び出したのはニドクイン。両者は自慢のパワーを活かしてぶつかり合うが、結果は相性の差でスズキが勝利。スズキは1勝1敗、タイゾウは2敗となり、現状での最下位はタイゾウとなった。続く4試合目はスミレ対リコリス。スミレは対策を施した手持ちが入ったボールを腰に付け、フィールドへと歩き出した。

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