ポケットモンスター another story   作:黒雲涼夜

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第207話 順位決定戦:激化

 スミレの2体目はナッシー、対するユウキはカイリキーを繰り出し、激突した。

「ナッシー、【にほんばれ】」

「カイリキー、【ほのおのパンチ】」

カイリキーの燃える拳がナッシーを打ちナッシーは地を転がるが、ナッシーの【にほんばれ】によって天候が晴れに変わる。

『カイリキーの【ほのおのパンチ】、効果は抜群だぁ!!しかしナッシーの技で天候が晴天に!!!!』

『……効果抜群技は痛いですが、それを差し引いてもアドバンテージでしょう。何故なら』

「貫け、【ソーラービーム】」

ナッシーが放った【ソーラービーム】が防御姿勢を取ったカイリキーを吹き飛ばし、大きなダメージを刻んだ。

『【ソーラービーム】ッ!効果は抜群というわけではありませんが、高火力の技です!!』

『チャージなしの【ソーラービーム】が放てる。これはナッシー側の大きなアドバンテージです。そして高火力で相手の防御を突き崩したら』

「……【サイコキネシス】」

サイコパワーが圧力となってカイリキーを押さえつける。

『効果抜群の【サイコキネシス】に繋げられる。……まさに、頭を使った脳筋ですね』

「成程。ですが、振り払いなさい!」

カイリキーは【サイコキネシス】に対し全身の筋肉を隆起させ気合を入れると、拘束を振り払った。

「だったら、【ギガドレイン】」

「【インファイト】!!」

「リッキィィィィィィィィ!!!!」

ナッシーはカイリキーから体力を奪い回復するが、カイリキーの【インファイト】が全身を叩きのめす。

「【ほのおのパンチ】!!」

そして追撃の【ほのおのパンチ】がナッシーの横っ面を弾いた。

「反撃……!【サイコキネシス】、突き飛ばして」

対するナッシーは【サイコキネシス】でカイリキーを弾き飛ばし、距離を空ける。

「……【ばくれつパンチ】!!」

「【ソーラービーム】」

拳を輝かせ突進するカイリキーだが、ナッシーの【ソーラービーム】がそれを押し返す。

「【れいとうパンチ】」

しかし、反撃には反撃を。直前に相手の攻撃を受けたことで威力を底上げした【れいとうパンチ】がナッシーを地に転がす。

「【ギガドレイン】」

大ダメージを受けたナッシーは【ギガドレイン】を使用、体力回復を試みる。カイリキーは体力を吸い取られながらも突撃、拳を握った。

「【ほのおのパンチ】」

カイリキーの【ほのおのパンチ】が命中、ナッシーは遂に目を回して倒れる。

「ナッシー、戦闘不能!カイリキーの勝ち!!」

『ここでナッシー戦闘不能、ユウキ選手一歩リードです!!』

『相性の良いポケモンをぶつける、というのは良かったですが技構成の相性が非常に悪かったですね。そして【ソーラービーム】で押しきれなかったのは大きな痛手でした。これは読み違え、という訳でもありません。スミレさんはナッシーをカントーリーグで出していないので情報が漏れている筈もなく偶然の事故のようなもの。とはいえナッシーは扱いが比較的簡単で能力も高く、ジョウト四天王のイツキさんが採用していることもありカントーやジョウトの一般トレーナーは割と多く採用するポケモンなので、かくとうタイプを主戦力とするユウキさんが対策していても不思議ではありませんので、そこは甘いと言わざるを得ませんね』

「……ごめん、読みが甘かった。でも大丈夫、十分仕事はしてくれたから」

ここまでは相手のペース、しかしここからがスミレの本領だ。

「まさかナッシーを使っているとは知りませんでした」

「あっさり勝っておいてよく言いますよ」

「エリカさんもおっしゃいましたが、偶然です。【れいとうパンチ】はひこうタイプを迎撃する為ですし、【ほのおのパンチ】は確かにナッシー対策ですけどそれは相手がナッシーを使うことが多かったからでして。……貴女と同じく、様々な手札に対策をしていた結果でしょう。そして何より、カイリキーは相手次第ですぐに落ちる。【ソーラービーム】と【サイコキネシス】の連携は相当にキツかったですよ」

ユウキのフォローに、スミレは微妙な表情を浮かべる。エリカの言葉に思い返せば、野良トレーナーにも割と多く使い手はいるし、なんならタマムシジムのジムトレーナーの採用率もやや高め。ある程度の対抗策は講じられて当然というものか。

「だとしたら、瞬間的に勝負をつけるのみです。……フーディン」

スミレの3体目はフーディン、かくとうタイプに強くかつエース級の戦力に、ユウキは警戒心を高めた。

「カイリキー、【インファイト】」

「フーディン、【サイコキネシス】」

突進するカイリキーに、フーディンは冷静に迎撃を叩き込む。

「カイリキー、戦闘不能!フーディンの勝ち!!」

結果は、カイリキーの戦闘不能。ナッシーが消耗させたことが、一撃での戦闘不能に繋がったのである。

「やはり来ますか、フーディン。……しかし私もトレーナー。エスパー対策は怠っていません!お願いします、ゴロンダ!!」

ユウキが呼び出したのはゴロンダ、かくとうタイプとあくタイプの複合だ。これではエスパー技は効かない。

「……成程。なら」

「【つじぎり】!!」

「【テレポート】」

ゴロンダの手刀が空を切る。ユウキは辺りを素早く見回すが、フーディンの姿はどこにも見えない。それが表すことといえば。

「ストライク、【エアスラッシュ】」

【テレポート】本来の効果、控えポケモンとの交代だ。スミレが新たに投げたモンスターボールから飛び出したのはストライク、ゴロンダは効果抜群の風の刃をまともに受けた。

『フーディン、【テレポート】の効果で控えていたストライクと交代、ストライクの奇襲が決まった!!』

『【テレポート】を本来と異なる使い方で使っていたからこそ出来た奇襲です。ユウキさんは手持ちの主戦力こそかくとうタイプですが、タイプの縛りがある訳ではありません。実際、初手で出したカモネギもガラル種ではなくカントー種ですからね。ゴロンダはかくとうタイプですが同時にあくタイプ持ち、ひこうタイプは刺さりますがエスパー技は無効化できます。一方でスミレさんはフーディンを使えば相手は釣られてあくタイプを出してくると読んだのでしょう。……この展開、ユウキ選手には厳しいものになると思いますね』

「【エアスラッシュ】、連続で放って」

ストライクが鎌を振り回して放った【エアスラッシュ】がゴロンダの全身を打つが、ゴロンダは苦しげな表情で耐えつつ走り出す。

「【れいとうパンチ】!!」

そして、【れいとうパンチ】がストライクの頬を殴りつけ、吹き飛ばした。効果は抜群だ。

『【エアスラッシュ】の雨を強行突破ァァ!?ゴロンダの一撃がストライクに命中だァァァァ!!!!』

『凄い耐久力と根性ですね。こうされるとストライク側にもプレッシャーが掛かります』

「……ッ!【こうそくいどう】」

「【バークアウト】!」

素早く動き回りスピードを上昇させるストライクだが、ゴロンダはそんなストライクに咆哮を浴びせ動きを止める。

「そう来るか……、なら【いあいぎり】」

「【アームハンマー】!!!!」

ストライクの動きが止まった隙にゴロンダが拳を振るう。振り下ろされた拳がフィールドを砕き衝撃波を放つが、攻撃は空振り。ゴロンダの腕を潜り抜け、すれ違い様に放った【いあいぎり】にゴロンダは呻き声を漏らした。

「続いて、【エアスラッシュ】。連続攻撃」

「……くっ、突っ込んでください!」

「グォォアアアアアア!!!!」

ゴロンダは咆哮し、連続して放たれる【エアスラッシュ】に打たれながらも突き進む。

『ゴロンダ、絶体絶命ながらも突進!!』

『防御姿勢を取ったり回避してやりすごすという手もありますが、それでは強敵から目を逸らすことになりますからね。ダメージは大きいですが、こうするしか手はありません』

「【ドレインパンチ】です!!」

「避けて【エアスラッシュ】」

ゴロンダが拳を振るうが、ストライクは簡単に躱し反撃。【エアスラッシュ】が再び当たり、ゴロンダは膝をつく。

「……ですが、最後まで!!【アームハンマー】!!」

「【エアスラッシュ】」

素早さを上げたストライクの【エアスラッシュ】を鎌に纏わせゴロンダを一閃、ゴロンダは目を回す。

「ゴロンダ、戦闘不能!!ストライクの勝ち!!……これより、5分の休憩に入ります!」

審判の言葉に、両者はボールにポケモンを戻す。ここからの5分、ポケモンの回復や技の変更などはいけないが、作戦の見直しなどが落ち着いて可能になる。

『さあ、先に3体目を失ったのはユウキ選手!!エリカさんから見てどうでした?』

『ユウキさんは基本的に真っ直ぐ叩きのめす戦術で、対するスミレさんはアドバンテージを取りつつ相手のペースを崩し、崩れて生まれた小さな穴を火力でこじ開ける戦術を取っています。戦術の有利不利で言えばスミレさんが有利ですが、ユウキさんは直球勝負のスタイルを鍛えに鍛えているのでスミレさんも殆ど有利を取れていませんし、ここから巻き返される可能性は十分にあります』

 

 エリカの解説を聞きながら、スミレは先程までのバトルを振り返る。見せたポケモンの数で言えばスミレは4体。残るは2体だけだ。そして何より、エスパータイプ寄りの編成でタイプ上有利を取ったにも関わらず、差を殆ど付けられていない。巻き返される可能性は十分ある、とはエリカの言だが、エリカも分かっているに違いないがむしろ不利なのは自分だろう。

「ストライク、フーディン、そして残り2体。この4体で残り3体をどこまで削れるか……。サワムラーは確実に出てくる筈だし、あの人の手持ちは大体6体中2体がかくとうタイプを持っていないポケモン。うち1体がカモネギだったから、出てくるとしてあと1体か精々2体」

スミレとしては、ユウキは対策がかなり簡単なタイプのトレーナーである。真っ向からくる相手を正面攻撃と搦手の挟み撃ちにすれば良いのだ。問題は、あまり搦手に力を寄せすぎると正面から突破されてしまうということ。それだけの攻撃力をどう抑えるかが肝になる。そして、ユウキはタイプを縛っているトレーナーではないのだがフルパーティーのうち2体分を普段はかくとうタイプを持たないポケモンに空けている。そこに何が入ってくるかが問題の肝と言えるだろう。

「来るとしたら何?……あの人のポケモンは基本二足歩行だし」

ユウキのポケモンでかくとう持ちでないポケモンも、基本的に二足歩行のポケモンだ。かくとう持ち残り2体については、1体は確実にサワムラーであるしもう1体も粗方予測ができているし対策もしてある。

(……大丈夫、勝てる筈)

スミレは大きく深呼吸をすると、天井を見上げた。

 

◾️◾️◾️◾️

 スミレとユウキが、再びフィールドで向かい合う。互いに表情は真剣だが、どちらにも焦りの感情はない。

『さあ、これから後半戦です!ここからはどうなってゆくと思いますか!?』

『ユウキさんは挽回しなければならないので、ここから一気に攻勢に出ると思います。対するスミレさんも、搦手を使いつつそちらに寄りすぎると突破されてしまうので、迎撃をせざるを得ない。……つまりは頭脳戦に基づく正面衝突ですね』

「……それしか、ありませんよね」

「ええ、半端な防御は貫かせて頂きますよ」

大きくため息を吐くスミレに、ユウキは強気な笑みを浮かべる。

「それでは、後半戦を始めさせて頂きます!両者はポケモンを出してください!!」

審判の声に、両者はポケモンを呼び出す。

「行って、ストライク」

「ラァァイ!!」

「お願いします、ジャラランガ」

「ジャァラァァァァン!!!!」

全身の鱗を掻き鳴らし飛び出したのは、アローラ地方を主な生息地とするジャラランガ。かくとうタイプとドラゴンタイプの複合だ。

(……そっちか)

スミレの予測では、ジャラランガかチャーレムの2択だったのだが、今回はジャラランガを選択したようである。

「それでは、バトル開始!!!!」

「……ストライク、【エアスラッシュ】」

「ジャラランガ、【スケイルノイズ】!!」

ストライクの【エアスラッシュ】がジャラランガを斬りつける。しかしそれを受けたジャラランガは反撃の【スケイルノイズ】を発動、凄まじい音波の攻撃にストライクは膝をつく。

「【エアスラッシュ】、乱れ撃ち!」

「無視して突っ込んで下さい……【インファイト】!!」

【エアスラッシュ】を受けながらも突っ込んだジャラランガは、【インファイト】を発動。ストライクの全身を打撃の雨が打ちのめし、地面に強く叩きつけた。

「ストライク、戦闘不能!ジャラランガの勝ち!!」

あっさりと決まった勝敗。しかしスミレは、ただ静かにその結果を受け入れた。




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