ポケットモンスター another story   作:黒雲涼夜

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初のオリジナルジムリーダーです。


第21話 対決、シオザイジムのカジキ

 クチバシティには、2人のジムリーダーが存在する。1人目がクチバジムのマチス、スミレも勝利した相手だ。そして2人目がカジキ。港の近くにジムを構える漁師とジムリーダーを兼任する男だ。

 スミレは本来、そこは飛ばして行くつもりだったのだが、自身のやらかしで時間がかかってしまった事で、丁度予約が空いているタイミングに町にいることになった。なので予約がないのをいい事に、スミレは手続きを済ませる。使用ポケモンは3体、スミレは初出場のラプラスと、バタフリー、フシギソウで行く。ラプラスはバトルの許可が降りたばかりだが、今回は選出させてもらう事にする。試してみて分かった事だが、このラプラスは親をハンターに殺された過去を持つ割には、バトルに物怖じしない。元々無邪気な性格だった上にフシギソウやバタフリーの戦いを見ていた為らしい。そして能力はそれなりに優秀で、【うたう】で眠り状態にすることができるので足を引っ張ることもないだろう。念のため、港付近に海産物目当てで集まったトレーナー達と野良バトルをする。他地方のトレーナーも多くいて、中には強いトレーナーもいた。様々な相手に何度も勝って、何度も負けた。特に、濃い紫髪でリザードンを連れている自称迷子(ガラル地方の現チャンピオンだった。スミレは何故この人がここにいるの・・・?と死んだ目でぼやいた。)には手も足も出なかった。だが、全体的に戦力の増強にはなったので、よしとしよう(ユンゲラーは回避能力ばかりが磨かれた)。

 スミレは新鮮な海の幸で腹拵えをし、ジムへと向かう。ジムのバトルコートは海の上にあり、浮島の浮かぶ生簀のような施設で戦う。その為ジムの建物はあまり目立たず、挑戦者が少ない状況が続いている。受付は既にセンターで済ませているので、港で待っていた地元漁師の船に乗って沖に出る。幸いにも天気は晴れ、船もあまり揺れないため船酔いの心配もない。彼が沖にジムを置いた理由は、みずポケモンの特徴にある。ホウエン地方の海域を中心に、全国に生息するホエルオーはそれはもう巨大で、また、みずポケモンは海に生息するものも多く水中での機動力に優れる。地上のプールでやるには施設代やら水道代やらで金が掛かって仕方がないのである。

 世知辛いジムの経営状況は脇に置くとして、数キロ先へ船で向かうと、そこには協会公認のジムである証のマークが記された看板と、網で周囲を囲った巨大な生簀とその上に多く点在する浮島により形成されたバトルコートがある。そして入り口には、浅黒い肌に髭を生やした、悪人面の大男が。・・・マチスといいこの町のジムリーダーは大男しかいないのか。

 

「おう、来たな嬢ちゃん。オレがこのシオザイジムのジムリーダー、カジキだ。マチスを倒したと聞いてな、楽しみにしていたぜ。」

そう言うと豪快に笑う。厳つい見た目に反して、気安い性格をしているらしい。

「マサラタウンのスミレです。よろしくお願いします。」

「おう!よろしくな!!」

スミレのそっけない挨拶にも笑って返し、更には頭を力強く撫でるのでスミレは少しだけ困惑する。

「おっと、悪いな・・・つい撫でちまった。さて、準備が出来たら始めるから、言ってくれ。」

困惑するスミレにカジキは頬をポリポリと掻きながら謝罪し、続いて準備を促す。

「気にしないでください、少し戸惑っただけです・・・。準備は既にしてきました。バトル、お願いします。」

スミレはまっすぐ、カジキを見つめる。

 

「そうかい・・・、じゃあ始めるぜ!使用ポケモンは3体ずつ、交代はチャレンジャーのみ、いいな!!」

そう大声で言いながら、コートの反対側に移動する。拡声器がある為、両端への意思伝達も可能だ。

 

「分かりました。」

スミレは拡声器でカジキに伝える。

 

「そりゃあ、何より!じゃあタケ!!審判頼むぜ!!」

カジキはスミレを連れてきたタケと呼ばれる漁師に呼びかける。

 

「オウ!!!!・・・これより、ジムリーダー、カジキとチャレンジャー、マサラタウンのスミレのジム戦を始めます!使用ポケモンは3体、どちらかのポケモンが全滅するまで続けます!!交代はチャレンジャーのみ!それでは、最初のポケモンを!!」

 

「行くぜぇ!ニョロゾ!!」

「出陣だ、バタフリー。」

 

「ニョロォォォォォ!!!!」

「フリィィィィィィィ!!」

 

1番手はニョロゾ対バタフリー。相性ではバタフリーが有利だ。

 

「ニョロゾ!【みずでっぽう】!!」

「バタフリー、【しびれごな】と【かぜおこし】、脱出して。」

 

ニョロゾが水流を放つが、バタフリーは【しびれごな】を【かぜおこし】で撒き散らすいつもの戦術を展開しつつ脱出する。初見殺しは見事に決まり、ニョロゾは麻痺状態になる。

 

「・・・なるほど、考えたな。ニョロゾ、水に潜れ!!」

しかし相手はジムリーダー、ただでは終わらない。痺れて動けない隙を狙われないよう、ニョロゾに水に潜るよう指示を出す。ニョロゾは麻痺によって動きを鈍らせながらも、素早く水中を移動する。

 

「バタフリー、【サイケこうせん】、連続掃射。」

バタフリーが不思議なエネルギーを光線として連続で放つ。通常に比べて一撃の照射時間を短くし、代わりに連射性を高めている。細かく放たれる光線が、不規則に水中のニョロゾに飛来し、水飛沫をあげる。ニョロゾは懸命に避けるも逃げきれず、一発がクリティカルヒットした。

「おうおうおう!ちと火力は低いが、随分と器用なバタフリーじゃねぇか!それにレベルも申し分なし、久しぶりに強いチャレンジャーでオレは嬉しいぜ!!」

カジキが歓喜する。

「恐縮です・・・。」

とスミレが静かに返答すると、カジキは愉快そうに笑う。

「ガッハッハ!お前さん、謙虚だなぁ!!ますます気に入った!!!!ニョロゾ、いくぞぅ、【バブルこうせん】!!」

大量の泡がバタフリーに殺到する。

「バタフリー、【かぜおこし】。」

しかしバタフリーは冷静に対処、風に煽られ、泡と泡でぶつかり合い、自壊する。すると空中で小規模な爆発が連続して起こり、視界が塞がれる。

 

「ニョロゾ!連続で【みずでっぽう】!!」

ニョロゾが煙の中に水流を放ち、牽制にかかる。だが既にバタフリーはその場を動いている。

「バタフリー、【むしくい】。」

バタフリーの奇襲が決まり、ニョロゾは吹き飛ばされる。バタフリーはスミレの指示を待たずに飛び上がり、上空からの警戒に戻る。

「なるほど、してやられたな。・・・だが、オレ達はまだやれる、そうだろ!?」

「ニョロォォォォォ!!」

ニョロゾはカジキの激励に奮起する。

 

「気合いなんて無意味・・・、【サイケこうせん】。」

「それはどうかな?ニョロゾ、【みずでっぽう】で迎撃!!」

バタフリーとニョロゾの攻撃が空中で激突し、僅かにバタフリーの【サイケこうせん】が押されながらも空中で爆発する。再び奇襲の態勢に入るバタフリーだが、煙を切り裂き飛んできた【みずでっぽう】が直撃し、浮島に墜落する。

「フリ・・、フリィィィ!!」

バタフリーは顔を顰めつつも自身の健在をアピールする。

 

「流石に一撃じゃあ落とせんよなぁ!ニョロゾ、【マッドショット】!」

泥の塊がバタフリーを襲い、バタフリーは飛ぶことでギリギリ回避する。

「バタフリー、【サイケこうせん】。」

バタフリーはニョロゾの猛攻を避けながら反撃、2匹は遠距離での撃ち合いに移行する。空間が爆ぜ、爆風が吹き荒れる。お互いに決定打がないまま技を相殺し合う。

 

「ニョロゾ、【みずでっぽう】・・・しまった!」

ニョロゾが麻痺で動きを止められる。千載一遇のチャンスだ。

 

「バタフリー、【サイケこうせん】をしながら突っ込んで【むしくい】。」

「フリィィィ!!」

バタフリーは光線を放ちながら痺れとバタフリーの攻撃で動けないニョロゾに向かって急降下、【むしくい】を決める。

「ニョロォォォォォ!?」

「ニョロゾ!」

ニョロゾは苦悶の声をあげ、意識が刈り取られる。

 

 

「ニョロゾ、戦闘不能!バタフリーの勝ち!!」

 

審判の宣告が下る。

 

「あっちゃあ・・・、済まんニョロゾ。勝たせてやれんかった。」

「ありがとう、バタフリー。またお願いね。」

カジキとスミレはそれぞれのポケモンをボールに戻す。

「スミレ、だったな!!お前さん、いい腕だ!!新人トレーナーとしては抜きん出ておる!!だが、ただで負けてやるつもりはない、ここから挽回する!!行くぞ、メノクラゲ!!!!」

「メェェノォォォォォ!」

メノクラゲ、どくタイプも併せ持つ厄介な敵だ。

「仕事だ、ラプラス。」

「ラァァァァァァァ!!!!」

対するスミレはラプラス、ジム戦は初出場だ。

 

「ほう、ラプラスとは珍しいな・・・。だが、容赦はしないぞ!【どくばり】!!」

メノクラゲは触手に毒々しい色を浮かべ、ラプラスに迫る。

「ラプラス、【みずでっぽう】。近づけさせないで。」

ラプラスは水流を放ち、メノクラゲを弾き飛ばし攻撃を防ぐ。

「「【みずでっぽう】」」

両者が同時に指示し、水流と水流が空中で激突して爆発する。

「ラプラス、【うたう】。」

「潜って躱せ!!」

ラプラスはメノクラゲを眠らせに掛かるが、メノクラゲは水中深くに撤退し、難を逃れる。

「追って、ラプラス。戦闘は貴方に任せる。」

負けじとラプラスも潜水し、水中でメノクラゲと激しい攻防を繰り広げる。ラプラスが噛みつき、メノクラゲが触手を突き刺す。ラプラスは【どくばり】を受けたことで毒を食らい、メノクラゲも体格があり、力もあるラプラスの突進や噛みつきで疲弊している。どちらも少しずつ傷ついてゆき、水面に上がる頃にはどちらもあと一撃で倒れんばかりの消耗だった。

「終わらせるぞ、【みずのはどう】!!」

「メェェノォォォォォ!!!!」

「迎え撃て、【みずでっぽう】。」

「ラァァァァ!!!!」

2人の指示で放たれた攻撃は空中ですれ違い両者に着弾、ラプラスとメノクラゲは同時に崩れ落ちる。

 

「ラプラス、メノクラゲ、共に戦闘不能!!よってこの勝負、引き分け!!!!」

 

審判の宣告が下り、カジキは悔しげに、スミレは表情からは分かりづらいが少し満足げにそれぞれポケモンをボールに戻す。初めての公式戦で相打ちに持ち込めたのだから、スミレとしては十分な戦果だった。

 

「へっ・・・、オレがここまで追い込まれるのもいつぶりか・・・。だが!オレはまだまだ終わらねぇ!!!そうだろ!?ギャラドス!!!」

「ギャァァァァァァッス!!!!」

カジキは高らかに最後のポケモンの名を呼び、ボールを投げる。ボールから出てきたのは最弱のポケモンと言われるコイキングの進化形にして凶暴さで知られるポケモン、ギャラドスだ。ギャラドスは凶暴故育成難易度は高く、しかし強力なポケモンだ。青い龍を思わせる巨体がスミレを睨みつけ、スミレはその威容に手足が微かに震えるのを感じた。だが、不意にスミレが選出したボールが、揺れた。早く出せ、戦いたいと言わんばかりの主張に、スミレは勇気づけられた気がした。

「敵はギャラドス、相手にとって不足なし・・・。出陣だよ、フシギソウ。」

スミレは己を奮い立たせ、ボールを高く投げる。呼び出すのは最初にして最高の相棒。

「ソォォォォォォォウ!!!!」

恐怖に震え、それでも逃げない事を決めた友の為、フシギソウは吠える。目の前の巨龍への恐れなど、微塵も感じてなどいなかった。




 フシギソウ、イケメン・・・

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