ポケットモンスター another story   作:黒雲涼夜

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 遅くなってすみません、あとあんまり上手く書けてないかもです。東京と神奈川に旅行に行っていました。行けなかった所も多かったけど、楽しかったです。
それから、帰ってきたウルトラマンで郷秀樹役を演じられた、団時朗さんが亡くなり、ショックでした。初代〜レオまでは見た記憶がしっかりとあり、幼い頃の私が憧れたヒーローの1人です。ご冥福をお祈りいたします。
 アニポケ最終回、見届けました。言葉に出来ませんでした。
今までありがとう。そして、いってらっしゃい。サトシ、ピカチュウ。


第24話 サントアンヌ号の戦い

 油断した。スミレはそう反省する。ロケット団のムサシとコジロウがウエイターに混じっている事に気がついていながら、バトルに夢中になってすっかり注意を怠っていた。

突然、扉が閉ざされ電気が全て消えると、テーブル上に立つムサシとコジロウにスポットライトが当たる。彼らの肩にはまるでカメックスの大砲のような装置が取り付けられている。

「世界の破壊を防ぐため。」

「世界の平和を守るため。」

「愛と真実の悪を貫く。」

「ラブリーチャーミーな敵役。」

「ムサシ!」

「コジロウ!」

「銀河を駆けるロケット団の2人には。」

「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ!」

「なーんてニャ!!」

 最後にニャースも現れロケット団は全員集合、明かりも元に戻る。きちんと悪党をやっているロケット団など、スミレにとってはトキワシティのポケモンセンター以来であった。

「ここにいる全てのポケモンは、われらロケット団が全て頂く!」

そうムサシが宣言すると、胸に『R』の文字が描かれた黒服に身を包んだ者たちが2人と同じ装備を肩に取り付け現れる。どうやら、このパーティー自体がロケット団によって仕組まれたものらしく、ロケット団はスミレの予想を超える大規模な犯罪組織であったらしい。ロケット団員達が装置を起動させる。すると風が巻き起こり、ホルダーに取り付けられていなかったボールたちが装置に吸い込まれてゆく。

「抵抗しても無駄だ。大人しくポケモンを差し出せ。」

ふんぞり返った態度でロケット団員はそう言うが、はいそうですかと承諾できるものではない。皆一様に不満げな表情を浮かべる。それはスミレも同じで、フシギソウが入ったボールに手をかける。例え現状戦力外なユンゲラーだったとしても、仲間を売るなど、できる訳がなかった。

 

「ピカチュウ!!!!」

聞き覚えのある声が聞こえ、1人のロケット団員が電撃を受けて倒れた。

「サトシ…。」

スミレはその人物の名を呟く。

「お前たちに獲られるくらいなら、戦ったほうがマシだ!」

サトシの言葉に、乗客たちは奮い立つ。この船の乗客たちは一般人も金持ちも皆ポケモントレーナー、負けん気は強かった。

 

「行くよ。バタフリー、フシギソウ。」

スミレが呼び出すのはバタフリーとフシギソウ、ラプラスは希少なためターゲットになりやすく温存、ユンゲラーは戦力にならない。装置を使いボールごとポケモンを奪おうとするロケット団と、ポケモンを出して抵抗するトレーナー。戦いが始まった。

 

「バタフリー、【しびれごな】。フシギソウ、【つるのムチ】。」

スミレが指示を出し、バタフリーがロケット団員の動きを止めるとフシギソウが敵を気絶させ、次の敵に襲いかかる。スミレ達一部はそれぞれ散らばってロケット団員を相手取る。

「カイリュー、【ぼうふう】!!」

スズキの声に合わせ、希少なドラゴンポケモンであるカイリューが暴風を巻き起こし、装置を破壊しつつロケット団員を吹き飛ばす。

「ゲコガシラ、【みずのはどう】。オンバーン、【ドラゴンクロー】」

スミレと戦っていた時はオンバーンを使っていたカロスのトレーナーが、カエル型のポケモン、ゲコガシラとオンバーンに指示を出し装置を破壊させる。

「行きなさい、ウインディ!【しんそく】」

老舗旅館の女将が使っているのはウインディ。高速で動き回り、ロケット団員達を容赦なく撥ね飛ばす。

「行くぞい、ピジョット!【はがねのつばさ】!!」

スミレのバタフリーを倒したピジョットが翼を硬質化させつつ飛来し、装置を破壊して回る。

 一方のサトシ達は、物量にものを言わせた作戦に出た。ピカチュウが大量に集合し、一斉に電撃を放つとロケット団員達は痺れ、倒れる。

「ヒトカゲ、君に決めた!」

次に出したのはヒトカゲ。大勢のヒトカゲが集合し、一斉に炎を出すと船に穴を開けるほどの炎が起こり、周囲を焼き払う。

続いてイシツブテが続き、円を描くように手を繋いだ大勢のイシツブテが回転しつつ突進し、敵を弾き飛ばす。サトシはこれをチャンスと見てバタフリーを呼び出そうとするが、ボールから出てきたのはラッタ。サトシはロケット団襲撃前に、バトルをした1人のジェントルマンと交換を行い、バタフリーを手放していたのだ。軽い気持ちで行った交換のせいで、サトシは心にポッカリと穴が空いたように錯覚する。しかしいつまでも感傷に浸ってはいられない。ピジョンを呼び出し、他の個体と共に天高く飛び上がると【かぜおこし】を放つ。

「ピカチュウ、集団【10まんボルト】だ‼」

そしてダメ押しのピカチュウ軍団による広範囲電撃。サトシを中心に行われた物量戦により、多くのロケット団員が倒された。

 

⬛️⬛️⬛️⬛️

 その一方、スミレらはポケモン持ちのロケット団員を相手どっていた。

「フシギソウ、【はっぱカッター】。バタフリー、【サイケこうせん】。」

フシギソウとバタフリーの2匹が、ロケット団員の出したポケモン、サイホーンを挟み撃ちにする。一部人種を除いて、通常はサイホーンに突撃されて無事な人間はいない。スミレの同郷の人間の多くはその一部人種に含まれるが、スミレはそうではない。なのでいつも通りに【しびれごな】で機動力を削ぎ、【どくのこな】で体力を削り、その上で2対1で滅多撃ちにする。目の前の団員は1人、他の団員はサトシ達に釘付けにされているか、腕自慢のトレーナーと戦闘中だ。

 

「クソォ…サイホーン、【とっしん】!!」

「ホォォォォォォン!」

ダメージと痺れに顔を歪めながら、重い体を必死に動かしサイホーンは駆ける。だが、スミレは既に手を打っていた。

 

「フシギソウ、トレーナーに【つるのムチ】で気絶させて。バタフリー、【かぜおこし】でサイホーンを妨害…そしてラプラス、【みずのはどう】でトドメ。」

そう、まさかのトレーナー1人、ポケモン1匹相手にポケモン3体体制である。しかも内1体がトレーナーを襲ってくるという最悪の仕様だ。

 

「な…グホォッ!!」

ロケット団員は虚をつかれ攻撃を食らい、気絶する。一般人でも重症化しない程度に抑えられているため、当てても問題はない。主人の脱落に気が動転するサイホーンを、バタフリーが起こす烈風が阻むと、コッソリとボールから出ていた

ラプラスが、側面から【みずのはどう】をぶつけ、サイホーンを戦闘不能にする。

「…このまま行けるといいんだけど。」

スミレは額に僅かに滲んだ汗を拭い、呟く。丁度その時、周囲を電撃が襲った。ロケット団員を的確に狙った集団10まんボルトはロケット団員達をギャグ漫画の如く船外に吹き飛ばした。

「終わり?…かな。」

スミレは周囲を見渡すが、敵の姿は見えない。完全勝利だ。

 

■■■■

 

「…なんて日だ。」

スミレがそう嘆くのも無理はない。ロケット団を撃退したのも束の間、今度は嵐だ。サントアンヌ号は安全性も売りだが、今にも沈みそうなほどに揺れている以上は信用できない。スミレはラプラスを除く2体をボールに戻す。ラプラスはいざというときの避難手段だ。この船の船長らしき男が、乗客から詰め寄られている。

「気づいたら、高波で沖に流されてしまいまして…。」

船長はそう説明する。

「馬鹿野郎、もっと早くに気づけ!」

それに対して乗客の1人が罵声を浴びせるが、まったくもってそのとおりである。

「外は嵐ですがご安心ください、今港に向かっています。それにこの船は、絶対に沈んだりしません!」

船長は笑顔を浮かべてそういうが、その笑顔は引きつっているため、スミレからすれば信用出来っこないのである。その時、高波が船を大きく揺らし、船体が大きく傾いた。

「まずッ…。」

スミレもバランスを崩すが、ラプラスが首根っこを口で掴み、事なきを得る。

「ごめん、ありがとう。」

スミレはラプラスの頭を撫でて礼をいうと、ラプラスは目を細めて甘えた声を出す。

「ご心配なく‼この船は、絶対に沈みません‼」

そう言いつつ1人ボートで脱出する船長。乗客たちは唖然とするがすぐに我に返り、パニックになえりながら緊急脱出用ボートに乗り、脱出する。

「行くよ…ラプラス。」

「ラァァァァァァァァ‼」

スミレもラプラスに乗り、手早く脱出して、この事件は一応幕を閉じた。

 

後に聞いた話だが、サトシ達は逃げ遅れた後にムサシらと遭遇、一時的に手を組み船を脱出、漂流しつつも何とか生還したらしい。

 

 

■■■■

「災難だったわね…。無事でよかったわ。」

テレビ電話上で母、モモカはそうホッとする。事件に関してはテレビで大々的に報じられていたのだが、まさか愛娘が巻き込まれていたとは予想外だったようである。スミレ一家はそれなりに裕福だが豪華客船とは縁がないため、仕方のないことだろう。

「まぁ…。強いトレーナーとも戦えて、いい経験にはなったよ。」

スミレは自分の安否などどうでもいい、というように話を切り替えた。

「もう…。ほんとに気をつけるのよ?」

モモカは呆れたように言う。

「わかってるよ。…じゃあ、切るから。」

そう告げると、一方的に通話を切る。

 

「さて、行くか…。」

スミレはポケモンセンターを出て、再び旅に出る。"自分に足りないものはなんだろうか?"という疑問と悩みを残した心を表すように、空には暗雲が漂っていた。




ありがとうございました。
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3/29 0:10 加筆、修正しました(スミレがサトシ達を助けちゃうと原作の展開的に宜しくないと判断したため)
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