ポケットモンスター another story   作:黒雲涼夜

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ロケット団初登場にあたる『たいけつ!ポケモンセンター』になります。本編はYouTubeに上がっているので、是非見てください。
僕は何度も見返しながら書きました。
コラッタの鳴き声って「コラッタ」なんですね・・・
そしてフシギダネ・・・【にらみつける】覚えんのかいと、一気に【なきごえ】へと編集で変えました(3月1日)個人的解釈ですが、【にらみつける】も【なきごえ】も、どちらも威嚇系統だと思ってます。その解釈を反映したため、殆ど描写は変わっていません。それから、スミレの髪色を黒から菫色に変えています(3月2日)


スミレ、ヒマワリコンビとサトシ、カスミコンビの初絡みになります。



第4話 たいけつ!ポケモンセンター 前編

 トキワシティに到着したスミレとヒマワリは、交番でオニスズメの動向を軽く報告した後でポケモンセンターに向かう。ポケモンを回復させる目的ともう1つある。ポケモンセンターは、旅に出たトレーナー向けの宿泊施設としての機能を持っているのだ。

 このままトキワシティを出て、トキワの森を歩いて鍛えつつ野宿、翌日に鍛えながらニビシティを目指すという手もあったのだが、長時間バトルをしつつ探索をしたため疲労も大きく、また鍛えている合間に何度かトキワシティに入り、回復してもらって鍛えに戻る、という事をしていた為ポケモンセンターのジョーイから軽く怒られ、その結果出発は翌日と決定した。幸い、コラッタやポッポを倒しまくってフシギダネもヒトカゲもかなり強くなり、新たな技も習得した上に、スミレのフシギダネは予想以上に優秀だったため、スミレとしても無理してまで先を急ぐ理由が薄くなったのである。

 トキワシティにはジムがあるので、挑戦できないかと見に行ったら、どうやらジムリーダーが暫く不在のため、ジムを閉めるそうだ。ポケモンリーグ出場は、バッジが最低8個必要なため挑んでおきたかったので残念だが致し方ない。とはいえ、長時間ぶっ続けでバトルをしたのは初めてで、かなり集中力を使ったのでスミレはかなり疲れているし、フシギダネも体力こそ回復しているが疲れているだろうから、挑めたとしても今日中に挑むというのは無理だっただろう。一方のヒマワリはまだまだ体力が有り余っているらしく、テンションに全く変化が見られない。その元気さをスミレは羨ましく感じる。

 探索も終了し、トキワジムを見に行った帰りに食事も済ませたので、特にやることも思い付かず、スミレはあてがわれた部屋のベッドに座り、フシギダネもボールから出した。スミレにとって、精神年齢の低い人間との同伴は非常に気疲れする。相手がコミュニケーションに長けたヒマワリなので、最低限察する能力はあるが、それでも何の知識もないうえに子供っぽく、一緒にいると少し面倒くささを感じる。それでも想定よりは遥かにマシだったのだが。

 

「フシギダネ・・・」

「ダネ?」

 

なんとなく、フシギダネの名前を呼ぶと、可愛らしい顔で首を小さく捻り、「どうしたの?」とでも言いたげな顔をした。愛らしいその姿にスミレは小さく笑うと

 

「いいや、なんでもない。」

そう返す。フシギダネは小さく鳴くとスミレの膝の上に乗り、頬擦りを始める。スミレはフシギダネの頭に手を置くと、優しい手つきで撫で始める。フシギダネは嬉しそうに目を細めた。

 

(ああ、そういえば・・・)

相棒の愛らしさを感じていると、不意に思い出した。オニスズメについて交番に報告した時、貼ってあった指名手配の紙。あれは確か・・・

 

「ポケモン・・・泥棒。」

 

なぜか少し、胸騒ぎがした。

 

 

 その胸騒ぎは、すぐに現実のものとなる。突然、センター全体に警報が響き渡ったのだ。内容は、トキワシティに何者かが侵入したというもの。

 

「行くよ、フシギダネ。」

「ダネダネ‼︎」

 

フシギダネに声を掛け、勢いよく立ち上がるとフシギダネのボールと荷物が入ったリュックを回収し、部屋を飛び出す。

 

「スミちゃん‼︎」

別の部屋から、慌てた様子でヒマワリが出てくる。

あまり構っている時間はないので、

「着いてきて。」

と一言言うと、センターの入り口がある一階に向かうため、階段を勢いよく駆け降りる。横目で見ると、ヒマワリは当然追ってきていた。

 

階段を降りてロビーに向かうと、そこには治療中のピカチュウ、ジョーイとオレンジ髪の少女・・・そしてなぜか泥だらけのサトシがいた。

 

「「あーーーー‼︎サトシ/ヒマワリ⁉︎」」

 

サトシとヒマワリが互いに指を刺しながら大声で叫ぶ。スミレはため息をつくと、3人に問い掛ける。

 

「ジョーイさん。侵入者は?」

「まだ来てないわ。」

「サトシ、あなたオーキド博士からポケモンは貰ったでしょ?今出せる?」

 

サトシはその言葉にバツの悪そうな顔をした。

「いや・・・それがさぁ、寝坊しちゃって、3匹のどれも貰えなかったんだ。その代わりに貰ったのがピカチュウなんだけど、オニスズメに襲われて怪我しちゃって・・・。」

 

「ほぇーー。」

「・・・・・。」

ヒマワリは気の抜けたような返事をし、スミレは難しい顔で黙り込んだ。

 

(博士は一体何を考えてる・・・?せめてニドランとかその辺だろうに・・・・。)

ピカチュウは基本的に、人に懐きにくいポケモンだ。懐きさえすれば愛玩用として人気があるのだがその可愛らしいビジュアルに反して獰猛なのである。

まぁ兎も角、サトシは戦えないということが分かった。

現状戦力を持っているのがスミレとヒマワリだけであるが、ヒマワリがどこまで役に立つか分からない。何も無ければそれに越したことはないが、もしもこのまま戦うのなら、相手は警察の捜索を振り切るほどのポケモン誘拐団、サトシとの再会で意識がそちらに向いている現状だからこそあれほど普段通りでいれるだけで、いざとなったらパニックになるかもしれない。ちょうど初めてのバトルの時のように。

 

 センターの天井に張られた「 P 」の文字のガラスが一部破られ、空からモンスターボールが落ちてくる。攻撃が始まった。

 

「ドガァァァァ。」

「シャーーーボ‼︎」

 

出てきたのはどくタイプのポケモン、ドガースにアーボ。カイリューだとかそのクラスじゃないのは不幸中の幸いだ、まだやりようはある。しかし出てくるや否や、ドガースはガスを周囲に撒き散らす。あっという間に周囲は黒いガスで覆われる。

 

「えっえっ⁉︎何⁉︎何⁉︎」

ヒマワリが激しく動揺し、ヒトカゲも怯えの表情を浮かべる。

 

「(やっぱり・・・)フシギダネ。」

「ダネッ‼︎」

ガスで周囲が見えない中、スミレは声だけでヒマワリの動揺を察し、フシギダネに小さく声をかける。フシギダネはそれに呼応し、目つきを鋭くして身構える。

 

「何なんだ・・・?これは。」

サトシが戸惑いの声を上げる。

 

そこへどこからともなく男女の声が響いた。

 

「なんだかんだと聞かれたら。」

「答えてあげるが世の情け。」

「世界の破壊を防ぐため。」

「世界の平和を守るため。」

「愛と真実の悪を貫く。」

「ラブリーチャーミーな敵役。」

 

ここでガスが晴れ、そこには赤く長い髪を持つ女と、青っぽい髪を持つ色男が立っている。胸に「 R 」の字の書かれた、似たデザインの服を着ている。

 

「ムサシ。」

「コジロウ。」

「銀河を駆けるロケット団の2人には。」

「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ。」

「ニャーんてな。」

 

最後に上から飛び降りてきたニャースがなぜか人語を喋りフィニッシュ。どうやらドガースとアーボ、そして喋るニャースはこの2人のポケモンらしい。

「それがどーしたってんだ!」

サトシが謎の口上を披露した自称、ロケット団に鋭く突っ込む。

「分かりの悪い奴だね。」

ムサシと名乗った女が呆れたようなトーンで返す。

「聞かなきゃ分かるはずがない‼︎」

サトシが尤もなことを言う。

「我らの狙いはポケモン。」

コジロウと名乗った男が自分たちの狙いを簡潔に告げる。

「オレのピカチュウに手を出すな‼︎」

サトシが憤慨する。

「ピカチュウ?我らの狙いはそんじゃそこらの電気ネズミではない。」

「とびっきり底抜けに珍しいポケモンだけだ。」

ムサシ、コジロウが順に話し、ピカチュウ狙いを否定する。

「待って⁉︎そんなポケモンこのセンターにはいないわ⁉︎」

ジョーイが必死に説得を試みる。ここに目当てとなるようなポケモンはいないのだと。

「ここには病気や怪我のポケモンがいっぱ〜い。根こそぎ頂いていけば珍しいのもいるか〜もしれない。」

ムサシが軽い調子でそれを一蹴した。

「なんだか頭に来たぞぉ・・・。」

サトシがムッとした表情で言う。

「何が来ようと。」

「怖くない。」

ムサシとコジロウは余裕の表情で返す。

「ニャーも、猫に小判。」

ニャースがよく分からないことを言う。

 

「こっちの出番は、ドガース‼︎」

コジロウがドガースをけしかけ、遅れてムサシもアーボに指示を出す。

 

「やるよ、フシギダネ。」

「ダネッ‼︎」

 

フシギダネとスミレが、その前に立ちはだかった。

 

「「スミちゃん/スミレ⁉︎」」

ヒマワリとサトシが驚愕する。まさかスミレは、あの2人と戦うつもりなのか、と。

 

「私が時間を稼ぐ。・・・2体1だからあまり持たないかもだけど、何とか頑張る。だからその間に撤退して。」

「待ってよスミちゃん!ヒマにもカゲちゃんがいるから、ヒマも戦えるよ‼︎」

 

「・・・そんなに震えてるのに?」

 

その言葉にヒマワリは泣きそうな顔で凍りつき、サトシ、ジョーイ、オレンジ髪の少女はヒマワリを見、そして気がついた。ヒマワリとヒトカゲは震えていた。ヒマワリは昔から、あまり悪意と縁遠い人生を送ってきた。裏表のない天然で善良な性格と、誰とでも仲良くしようとする姿勢から周りには好意的な人が絶えず、数少ないヒマワリに塩対応を取っていたスミレすら、特別ヒマワリを排除しようとしていた訳ではなく、ただ人と関わろうとすることを避けていただけだった。だからこそ、初めて見る本物の犯罪者と、本物の悪意の存在に足がすくんで、友達を助けなきゃという思いに体がついてこないのだ。

 

「・・・・サトシ。」

「・・・分かった。」

スミレの言葉に唇を噛み締めながら頷いたサトシは、ヒマワリの腕を無理矢理掴んだ。

「すぐに助けを呼びます、無理しないで。」

ジョーイの忠告に軽く頷くと、余裕の表情で佇む2人に視線を向けた。

 

「ほう、度胸だけは褒めてやろう。」

「でも、アタシたちには勝てないわよ。」

「無駄なのニャ‼︎」

「ドガァァ」

「シャーボ‼︎」

 

「フシギダネ、お願い。」

「ダネフシャ‼︎」

 

 

「やだぁぁぁぁぁ‼︎スミちゃぁぁぁぁん‼︎」

叫ぶヒマワリを連れ、3人は走り出した。

 

 

奥に向かう4人と2匹を横目で見て、スミレは覚悟を決める。

 

さあ、開戦だ。

 

 

 

 




読んで頂きありがとうございました。今回は結構長くなりました。

ロケット団初登場回ということで、何度もアニメを見返しながら書きました。どこに介入させようか、と。思ったより長くなったので、戦闘は次回に持ち越します。

人間には塩対応ですがポケモンには優しいのがスミレです。まぁポケモンは人間と違って基本的に人間に対して悪意を向けませんからね、向けてきてもそのトレーナーに染まってたりしますし。

書きたい部分が遠すぎて妄想が遥か彼方・・・
具体的には、

スミレのリーグ戦。
過去手持ち総動員で挑むサトシのマスターズエイト(スミレの扱い未定)
スミレ、ヒマワリ、サトシ、シゲルの4人組でのパルデアorガラル旅。

あとサトシがアローラ行ってる間スミレに何させよう・・・?
妄想だけで始めちゃったからなぁ・・・


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