ポケットモンスター another story   作:黒雲涼夜

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戦闘シーンって筆が乗りますね


第46話 劣勢

「ラプラスッ……! 」

スミレは、焦った表情でラプラスに駆け寄った。ラプラスは目を回している。戦闘不能だ。

「戻って…… 」

スミレは、キュッと唇を強く噛み締めながらボールにラプラスを戻す。

「行け、ギャロップ!【とっしん】!! 」

団員の指示を受けたギャロップが狙ったのは、スミレだった。

「フリィィィ!! 」

バタフリーは【かぜおこし】を操り砂埃を巻き上げると、それはギャロップの目に殺到する。ギャロップは突然の出来事に目を閉じると、パニックを起こしところ構わず暴れまわる。しかしその胴体を【サイケこうせん】が撃ち、スミレが巻き添えを食らわぬように遠ざける。

「ゴルダック!【みずのはどう】 」

「レアコイル……【10まんボルト】 」

しかし、そんなバタフリーを水のエネルギー弾と激しい電撃が貫いた。バタフリーも、堪らず墜落し戦闘不能になる。

「ごめんッ……ごめんッッ…… 」

スミレは怯えた瞳でそう呟きながらバタフリーをボールに戻すと、腰のボールを2つ手に取った。

「……お願い、ゲンガー! フーディン! 」

ボールから飛び出したのは、ゲンガーとフーディンだった。

 

ロケット団戦二局目、開始である。

 

「フーディン、【サイケこうせん】!! 、ゲンガー、【シャドーポール】!! 」

「ディーン! 」

「ゲェン!! 」

七色に煌めくビームが敵のモルフォンを撃ち、闇のエネルギー弾がゴルバットを吹き飛ばす。

「舐めるな! ギャロップ、【とっしん】! 」

ギャロップの突進がフーディンを捉え木に叩きつける。打たれ弱いフーディンは、たったそれだけで目に怯えを浮かべ、闘志が揺らぐ。

「ゴルバット、【いやなおと】!! 」

ゴルバットの大きな口から、音波が放たれた。

「くぅぅ…… 」

「ディ……イン 」

ゴーストタイプであるゲンガーはノーマルわざの効果を受けない。しかし、フーディンとスミレは違う。スミレは音波に耳を押さえて蹲り、フーディンもあまりの音に耳を塞ぐ。

「ゲェン……ゲェェェン!! 」

ゲンガーは、命令を待たずに動いた。小型の【シャドーボール】を連続で生成し、周囲にばら撒く。それらはポケモンやトレーナーを関係なく襲い、全員の動きを止める。

「ゲェン!!!! 」

ゲンガーは、スミレの腰にあるベルトからひとつのボールを取り外す。

「ゲェェェン!! 」

掛け声と共に、そのボールを投げーーーーそのまま、何も起こらず地に落ちた。

「まさか……ミニリュウ? 」

スミレは、その光景を見て愕然とした。ミニリュウは置き去りになっている可能性に気付いたのだ。ゲンガーとて、この結果は予想外であった。群れを刺激した【りゅうのいかり】の無差別攻撃を放ってもらい、その攻撃で決着を付けようという計画だった。ミニリュウ程度の練度ならば、フーディンも自分もスミレを守りつつ避ける自信があった。フシギバナの【はなふぶき】を選択すれば、自分らもスミレも無事では済まないし、的確な狙撃ができるバタフリーとバタフリーには及ばないが固定砲台としての能力を持つラプラスは既に戦闘不能だった。周辺を蹂躙し尽くすフシギバナの一撃は、スミレと距離の取れない乱戦では使えない。だからこそ頼ろうと思った矢先の悲劇であった。

「ゲェン 」

ゲンガーは、次の行動に移った。空中を舞い、高速でレアコイルに接近すると、右拳を溜めるように構える。

「レアコイル……【でんきショック】 」

放たれる電撃を避けながら飛翔すると、眼前に躍り出た。

「ゲェン!! 」

振りかぶった拳にエネルギーを纏い、放つのは【シャドーパンチ】。目の部分を殴りつけられたレアコイルが吹き飛ばされ、そのトレーナーである団員を巻き込んで地面に叩きつけられる。

「…………ミニリュウは後! フーディン、【ねんりき】! 」

フーディンのサイコパワーが放たれた。才能だけでいえばスミレの手持ちでも随一のポケモンだ。そんなフーディンが放つ【ねんりき】が、ゴーリキーを軽々と浮かして投げ飛ばし、モルフォンにぶつける。

「フーディン、【テレポート】連続使用! 撹乱しつつ攻撃! ゲンガーは【シャドーボール】で土煙をあげて! 」

スミレの指示で、ゲンガーは大型の【シャドーボール】を放つ。地面に叩きつけられたそれは、大量の土煙を巻き上げる。

「ゴルダック! 」

1人の団員が指示を出そうとしたその時、ゴルダックの眼前にはフーディンが迫っていた。

「ディィン! 」

「ルダック! 」

指示を待たず、掌に【みずのはどう】を生成するゴルダック。それに対してフーディンが放ったのは【サイコカッター】だ。至近距離から放たれた刃が、【みずのはどう】でその進行を押し留めるゴルダックをズルズルと後退させる。

「【ねんりき】 」

【サイコカッター】に、【ねんりき】が上乗せされた。増幅した火力によって押し切られ、ゴルダックは大きなダメージを負って崩れ落ちる。

「ゲェン!! 」

そこに追い討ちの【シャドーボール】。ゲンガーの隙を逃さぬ追撃により、ゴルダックは戦闘不能になった。

「ゲェン! 」

ゲンガーは拳に闇を纏い、空中を翔ける。目指すは、ゴルバットだ。

「ゴルバット、【エアカッター】! 」

空気の刃が連続で放出され、それは一直線にゲンガーに迫る。

1発目、【シャドーパンチ】で弾く。

2発目、体を右に逸らして躱わす。

3発目、今度は左に躱わす。

4発目、【シャドーボール】で迎撃、撃墜する。

5発目、防御は間に合わず、体で受ける。

最後の6発目、【シャドーパンチ】で軌道を逸らして躱わす。

6発のうち、1発を除き受けなかったゲンガーは、残り少ない体力でゴルバットに肉薄する。

「ゴルバット!【エア】……! 」

「ゲェェェン!! 」

2度目となる【エアカッター】の発射準備に入ったゴルバットの目の前に躍り出ると、【さいみんじゅつ】を放つ。対象を眠らせる技を受け、墜落してゆくゴルバットに【シャドーボール】を投げつけ追撃、空中で爆発を起こすと、戦闘不能になったゴルバットは倒れた。

「マルマイン! 突進しろ!! 」

マルマインが、地面を跳ねて跳躍、フーディンの眼前に一挙の内に接近する。

「迎え撃って、 【ねんりき】 」

「馬鹿め……!マルマイン、【じばく】!! 」

「……は? 」

 スミレの呆然とした声を掻き消すように、爆音が響いた。空を彩るように爆炎の花が咲き、間近に受けたフーディンと攻撃を放ったマルマインが墜落し、両者が戦闘不能になる。

「モルフォン、【どくのこな】 」

「……ッ! 」

スミレは、慌てて服の袖で口と鼻を覆い、ゲンガーは気遣うような事前にをスミレに向ける。しかし、その隙が致命的であった。

「ギャロップ、【かえんほうしゃ】! 」

「モルフォン、【ぎんいろのかぜ】!! 」

「……レアコイル、【でんきショック】 」

3体による遠距離からの一斉攻撃が、ゲンガーを飲み込んだ。

「……ゲンガーッ!! 」

スミレの悲痛な叫びも虚しく、ゲンガーは戦闘不能になった。これで、スミレの戦力は残り1体だ。

「あと1体! 諦めて命乞いをしな!! 」

モルフォン使いの女が、勝ち誇った表情で叫んだ。耳の奥まで響くような高音に、スミレは思わず顔を顰める。

「…………お願い、フシギバナ 」

スミレは、最後のポケモンを繰り出した。それと同時に、戦闘中に取り出していたキズぐすりを吹き掛けて、体力を僅かながらに回復させる。

「手柄は貰ったァ!ゴーリキー、【きあいパンチ】!! 」

「リッキィィィィ!! 」

ゴーリキーは張り切って飛び出すと、拳を構える。その拳は光を纏って突き出されーーーーその腕を蔓に巻き取られ、動きを止めた。

「なっ……! 」

「フシギバナ、【つるのムチ】 」

「バナ……! 」

フシギバナはもう1本の蔓を伸ばすと、空中でそれを玉のように縛り上げる。そして腕を縛った蔓を引いて、ゴーリキーを引きずり接近させると、蔓を振りかぶりゴーリキーの腹に減り込ませた。

「リィィッキィィィ………… 」

ゴーリキーは響いた衝撃に意識を飛ばす。これまで、バタフリーやフーディンによる効果抜群の攻撃を受け続けたゴーリキーでは、その一撃を耐えられなかったのだ。

「ゴーリキーが……一撃で…………? 」

あまりの光景に、団員達に動揺が走る。

「怯むな! 相手は1人、しかも子供だぞ!! 」

ギャロップのトレーナーである団員が、全体に発破をかける。

「フシギバナ、【タネばくだん】」

確かな威力を持って放たれた爆弾が、団員やそのポケモン達の足元に着弾し爆ぜる。土煙が、再びスミレとフシギバナの姿を曖昧にする。とはいえ、フシギバナの機動力を考えれば殆ど効果はない。

「【つるのムチ】」

【タネばくだん】に続き、【つるのムチ】。狙うのは、ギャロップの前足。蔓が土煙を引き裂いて伸び、ギャロップの足を掴む。

「バァァァナァァァ!! 」

気合いと共に引っ張ると、引き摺られたギャロップはバランスを崩し、倒れる。

「【10まんボルト】 」

そこにレアコイルの電撃が邪魔に入る。攻撃を受けたことで蔓が緩むとギャロップは蔓を振り払い、脱出する。

 

「……敵は残り、3体。いや、あの3人組も合わせればあと6体、か 」

スミレは、冷や汗を拭って呟く。残る敵はレアコイル、モルフォン、ギャロップの3体。ムサシのアーボとコジロウのドガース、そしてニャースとも戦うと考えると、現状ではかなり厳しい。スミレの手持ちはもうフシギバナしか居ない。せめてニドキングがいれば話は別だったが、ニドキングは群れの王をやっているのでここには居ない。【はなふぶき】を撃とうにも、スミレとの距離が近すぎるし、逃げようとすれば指示に穴が空き、一気に攻め込まれる。スミレは、腰に仕込んだキズぐすりを手で弄ぶ。

(回復は有限、無駄にはできない……。そして、モルフォンとギャロップは相性が悪い…………)

ふうっ、と大きく息を吐く。掌にびっしょりとかいた汗をスカートで拭き取って、頬を一度叩く。

「……負けるな、私 」

自分に小さく檄を飛ばし、敵を睨む。

 

「モルフォン!あの小娘に【どくのこな】!! 」

「【つるのムチ】で迎撃。その後は粉が晴れるまで自己判断で! 」

トレーナーを狙う攻撃に、スミレはフシギバナに指示を出すと服の袖で鼻と口を覆い、目をぎゅっと閉じる。技による毒物の散布など、酷い時は超人にすら影響を及ぼすものだ。スミレは一定の間、トレーナーとして機能しない。その間を埋めるのはフシギバナの役割だ。蔓が高速で伸び、モルフォンに迫る。

「モルフォン、逃げなさい! 」

「ルゥッフォォン!! 」

蔓から逃れようと、モルフォンは攻撃を捨てて逃げに徹する。

「バァナァァァ!! 」

しかし、それを逃してはスミレの相棒としての名折れである。蔓はモルフォンを追い越すと、モルフォンを硬く縛り上げて収縮。接近したところに、【タネばくだん】を叩き込む。

「モルフォン!! 」

爆炎が空に咲き、それを切り裂くように墜落してゆくモルフォン目掛け、2本を硬く編み込み威力を高めた【つるのムチ】が上から叩きつけられ、地面に激しく衝突。そのまま戦闘不能になった。

 残る敵は、あと2体。そして激戦の裏側で、ミニリュウとロケット団は話をしていた。

 

 

 

 




他の二次創作とかも書きたいなぁ……と思ってます。デレマスとかBLEACHとか?


オリジナル小説です、こちらも是非

ダンジョン旅行記 - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/16817330653651385487


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