ポケットモンスター another story   作:黒雲涼夜

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3000字超えたので、中編として投稿することにしました。意外と長い・・・。次回は残りと、戦後処理で締めようかなと思ってます。


第5話 たいけつ!ポケモンセンター 中編

「フシギダネ、【つるのムチ】。薙ぎ払え。」

「ダネェ‼︎」

「シャーボ⁉︎」

フシギダネの背中にある蕾の付け根部分から蔓がムチのように伸び、左右に薙ぎ払い、ドガースには軽々と避けられるがアーボの横っ面をはたき、ダメージを与える。

 

「ええい、【ヘドロばくだん】だ‼︎」

「避けて。」

 

「ドガァァ」

ドガースの放った攻撃をフシギダネはその場から飛び退くことで回避する。

「お返し、【たいあたり】」

「ダネェ‼︎」

「ドガァァ⁉︎」

ドガースの攻撃を避けたフシギダネが、【たいあたり】を決め、ドガースを吹き飛ばす。

 

「そこよアーボ、【かみつく】‼︎」

 

「シャーーーッボ‼︎」

「ダネェ⁉︎」

しかし側面から勢いよく突っ込んできたアーボの【かみつく】を胴体に受け、捕まってしまった。

 

「・・・・!」

スミレはどうすれば良いかと考え、ヒマワリのヒトカゲや野生ポケモンとの戦いを思い出す。

 

「フシギダネ、全力で【なきごえ】。脱出して。」

 

「フシャァァァァァァァァァァァァァァ‼︎」

 

「何だぁ⁉︎」

「うるさッ‼︎」

 

フシギダネは【なきごえ】でアーボを怯ませ、かみつきが緩くなったことで脱出する。

 

「無事?」

「ダネ・・・ダネダ・・・。」

(不味い・・・相当削られた。)

 

スミレは少し焦りを覚える。

 

「こうなったら・・・ドガース‼︎ガスを撒き散らせ‼︎」

「ドガァァ」

 

ドガースがガスを撒き散らし、スミレとフシギダネは視界を塞がれる。

 

「まずっ・・・。」

スミレはフシギダネに【つるのムチ】でガスを払わせようかと考えるが、それは明確な隙だった。

 

「やれぇアーボ‼︎【たいあたり】‼︎」

 

「な・・・⁉︎ッ・・・‼︎」

狙われたのはフシギダネではなくスミレだ。スミレはアーボの【たいあたり】を食らい吹き飛ばされると、壁に激突して崩れ落ちる。

 

「いまだドガース、【たいあたり】‼︎」

「アーボ、【かみつく】」

「ドガァァ」

「シャーボ‼︎」

 

「ダネダァァァァ‼︎」

動揺したフシギダネにドガースの【たいあたり】が直撃、直後にアーボの【かみつく】が追撃し、フシギダネは戦闘不能に追い込まれた。

 

「全く、手こずらせやがって・・・。」

コジロウが忌々しげに呟く。

「ねぇ、ちょっとさ・・・。」

「どうした?ムサシ。」

「これさ・・・やりすぎた?」

 

「「・・・・」」

ムサシの指摘にコジロウとニャースは黙って明後日の方向を向く。ムサシもコジロウもニャースも、悪党ではあるが根っからの悪人ではない。それ故に、まだ10くらいの少女の体に思いっきり技をぶち当て、さらに壁に勢いよくぶつけて気を失わせたのは、流石に少し良心が咎めた。

 

「シャーボ・・・」

「あー、もう。落ち込まないの、アーボ。アタシが指示したんだから。」

ムサシが落ち込むアーボを慰める。

「・・・にしても、よくもまぁ肝の座った嬢ちゃんだ。」

コジロウは気を失ったスミレに近づく。

近くから見るスミレの顔は、黄金比と表現しても良いほど整っており、見惚れてしまうほど美しい。菫色の髪はよく手入れされており、上質な生糸を思わせる。

ふとコジロウは、目に掛かっている方の前髪を退けて、素顔を見てみたくなった。悪の道を選んだ自分とは、決して共に歩むことはないだろう、もしかしたらもう2度と会えないかもしれないその美少女の素顔を、最後に一度だけ、拝んでみたいと思ったのである。まるで眠っているかのように気絶するスミレの右の前髪を優しく持ち上げ、前髪に隠れた" ナニカ "に顔色を変えるとすぐに優しく戻し、頭を軽く撫でてムサシとニャースの元へ戻る。

「何やってんのよ、コジロウ。」

ムサシにジト目で睨みつけられる。

「いや悪い、出来心だ。」

コジロウは苦笑して返す。

「全く、デリカシーの無い奴ニャ。」

ニャースはやれやれという表情をした。

「いや、これに関しては本当に悪いことをした・・・。んんっ、それは兎も角、あのガキ共を追おうぜ。」

「話を強引に変えたのニャ。」

「うっさい!」

「フシギダネは?」

ムサシの言葉に、少し考えて、コジロウは答える。

「放っておけ。ああも懐いた奴は従えるのが面倒だ。」

「「・・・・」」

ムサシとニャースは言葉の裏の意味を読み取り、ニヤニヤとした表情を浮かべる。コジロウが何を見たのか、あえて聞いてこない所にそこはかとない優しさを感じるが、これ以上弄られるのはコジロウとしては勘弁願いたい所だ。

 

「さ、さぁ!行くぞ‼︎」

「「了解/了解ニャ‼︎」」

 

気を取り直し、ムサシとコジロウはアーボとドガースに指示を出し、施設を壊させながら、逃げた者たちを追い始めた。

 

ふと、コジロウは立ち止まり意識のないスミレを振り返ると、彼女に向かって、最後に呟いた。

 

「互いに、ままならんものだな。人生ってやつは。」

 

その後はもう、振り返ることはなかった。

⬛️⬛️⬛️⬛️

 

「どうしよう、スミちゃんが・・・。」

ヒマワリはスミレを見捨てることになってしまったことと、拭えない恐怖に震え、蹲っていた。ジョーイがニビシティのポケモンセンターに連絡を取り、モンスターボールを集めて、転送している間も泣きべそをかく。

 

「アンタねぇ、いつまでグズってるつもりよ‼︎見ててイライラするわ‼︎」

オレンジ髪の少女がその情けない姿に激昂する。ヒマワリの反応は、正常なものだ。それでも、凶悪な犯罪者に1人と1匹で挑んだ勇敢な少女の同行者ともあろうものが、何もせず1人蹲って泣いている姿など、少女ーーカスミからすればムカついて仕方のないことだ。あの少女を見捨てるような真似をして、自分達が平気だと思っているのかとカスミは心の中で毒づく。

「でも・・・。」

「でもも何もないわよ‼︎あの子、友達なんでしょ⁉︎信じなさいよ‼︎」

 

ヒマワリがハッとした。スミレにとって、ヒマワリは友達じゃない。嫌いではないが鬱陶しいクラスメイト、くらいの認識だ。それでもヒマワリにとっては大事な、友達だ。ここで信じなきゃ、友達と呼ぶことはできない。

「うん・・・・分かった、信じる。ここで動けなきゃ、ヒマはスミちゃんにもっと嫌われる。・・・そんなの、やだもん。」

ヒマワリは服の袖で涙を強く拭って、立ち上がった。

 

だが、固く閉められた扉の僅かな隙間から、ガスが流れ込んでくる。

 

ーー奴らが、来た。

 

直後、ドガースが扉を破壊し、侵入する。保管されているモンスターボールが棚を破壊されたことで床を転がる。どうやら、スミレはやられてしまったらしい。ヒマワリの顔がサッと青ざめる。

 

「モンスターボールを‼︎」

 

ジョーイの言葉にサトシ、ヒマワリ、カスミは動き出す。

「それを投げて戦うのよ‼︎早く‼︎」

ボールを手に取ったサトシに、カスミが指示を出す。

 

「よ、よーし・・・いけぇ、モンスターボール‼︎」

 

サトシがモンスターボールを投げると、中からはポッポが飛び出す・・・が、アーボに睨まれると怯えて逃げ出してしまう。

 

「んなもので勝てるか。」

追いついたムサシが吐き捨てるように言う。

 

「じゃ、次行きます・・・。いけぇ、モンスターボール‼︎」

しかし今度は何も出てこない。

「あれぇ・・・?」

「空っぽ投げてどうすんのよ‼︎あとアンタとヒトカゲ、アンタ達も戦いなさい‼︎」

「空のモンスターボールも混じってるわ!」

 

「う、うん。・・・・やろう、カゲちゃん!【ひのこ】‼︎」

「カゲェ‼︎」

ヒマワリの指示にヒトカゲが応え、火の粉を飛ばす。

【ひのこ】はアーボに当たるが、技を放った直後の隙をドガースに狙われ、【たいあたり】で吹き飛ばされる。床を転がり、苦しげな表情で立ち上がる。

 

「んなのありかよぉ〜。じゃあ、次いけぇ、モンスターボール‼︎」

空のものが混じっていることにサトシが文句を垂れながら、次のボールを投げる。出てきたのは、コラッタだ。

 

「フン・・・ザコどもが。」

「だニャ。」

コジロウとニャースが嘲笑する。

そしてコラッタもまた、アーボに威嚇されて恐れをなし、どこかへ逃げ出してしまった。

 

「カゲちゃん、【ひっかく】‼︎」

「カゲェ‼︎」

「避けなさい、アーボ‼︎」

「シャーボ‼︎」

「カゲェ⁉︎」

アーボに向けて走り、【ひっかく】を繰り出したヒトカゲだが、アーボは身軽にそれを避ける。

「一回引いて、カゲちゃん‼︎」

「カゲッ‼︎」

ヒマワリはヒトカゲを一度下がらせる。あのまま敵中に残っているとただの的なので、この判断は間違っていない。

 

「あー、もう!わたしが時間を稼ぐわ。その間にピカチュウを連れて逃げて‼︎」

 

「ヒマたちもやろう、カゲちゃん!」

「カゲッ‼︎」

 

不敵な笑みを浮かべたカスミは、ロケット団に向けて言った。

「悪役さん?わたしが相手をするわ。」

 




コジロウ、個人的に大好きでして・・・。恋愛フラグとかは立ちませんよ。そもそもこの小説、恋愛は無し方面で行ってますから。
スミレの顔に何があるのか、察した方もいらっしゃるでしょうが、これに関してはカントー編の後半で明かそうと思ってます。(グレンジム辺りかな?)ただ一つ言えることは、スミレという少女は、マサラ人であってスーパーマサラ人じゃない、ということです。

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