ポケットモンスター another story   作:黒雲涼夜

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第6話、ようやく後編です。長ったらしくてすみません・・・。


第6話 たいけつ!ポケモンセンター 後編

「あーら、なんだか訳の分かんないのが出てきたわ。」

ムサシが余裕たっぷりな態度で言う。

「わたしは世界の美少女、名はカスミ。」

対するカスミも自信満々だ。

「美少女?カスミ?」

「霞か雲か、やっぱり訳が分からない。自分で美少女なんて・・・。」

ロケット団のその返答にカスミはムッとした表情を浮かべる。

「ッ〜、分からせてあげるわ!いけぇ、マイステディ‼︎」

 

ボールを投げると、金魚のようなポケモンが飛び出し、ぴちぴちと床で跳ね始める。

「トサキィ〜ント、トサキントトサキントトサキ〜ント。」

ロケット団の2人は思わず絶句した。

「戻れ、トサキント‼︎」

カスミはどう見ても役に立たないトサキントを自主回収する。

 

「何だ今のは・・・?」

「ホントの雑魚だ・・・。」

ムサシ、コジロウがそれぞれボソリと呟く。

 

「ほんの見本よ!第一、魚が水のないところで戦える訳ないでしょ⁉︎」

カスミは自信満々にそう言う。いや、何故出した?

「まっさかな・・・」

サトシが呟く。

「ボヤボヤしないで早く逃げて!」

「だよね‼︎」

カスミの言葉に頷いたサトシは、ピカチュウの乗るベッドを押し、駆け出した。

 

「足止め、やろう!カゲちゃん‼︎」

「カゲェ!」

 

「相手をしている暇はない、さっさと行くぞ!ドガース、ガスを撒き散らせ‼︎」

「ドガァァ」

 

ドガースが再びガスを撒き散らし、視界を封じる。そしてガスが晴れたときには、すでにロケット団はサトシを追って行った後だった。足止めは、完全に失敗だ。

 

 

ベッドを押しながら走るサトシは、自身が壊してしまったカスミの自転車にぶつかり、足を止めてしまう。その衝撃で目を覚ましたピカチュウが一声鳴くと、ポケモンセンターで非常電源の役割を担っていたピカチュウ達が一斉に集まって、ベッドの上に折り重なるように乗った。

 

「なぁ⁉︎」

ムサシが驚愕の声を上げる。

 

『ピィィィカァァァァチュゥゥゥゥゥ‼︎』

「「あああああああああああああああああああああああああああ‼︎」」

 

ピカチュウ達が一斉に電撃を放ち、ムサシ、コジロウ、ドガース、アーボは一斉に感電する。そしてそれによって一気にエネルギーが送られた回復装置が作動し、サトシのピカチュウが復活を遂げた。

 

「ピカチュウ‼︎」

サトシが歓喜の叫びを上げる。

 

「どいつもこいつも、にゃらば出番だニャ。ねずみはニャーの好物ニャ!」

電撃からニャースがピカチュウに迫る。

 

と、ピカチュウがサトシに何かを伝え始める。

「ピッカ、ピカピカ、ピカァ?」

「ぴか・・・ぴか。」

サトシは解読を試みる。

「ピッカァ。」

「ぴか・・・もっとピカァ?」

「ピッカァ!」

ピカチュウはそう、それ!と言わんばかりに頷く。何がなんだか全く分からない。

 

「もっとピカ・・・そうだ、ピカチュウっと。」

サトシは何かを思いついたのか、自転車を漕ぎ始めた。

ニャースは困惑する、一体何をするつもりなのか?と。

 

「ピカチュウがねずみだからって舐めるなよぉ⁉︎オレとピカチュウのホントの力を見せてやる‼︎」

サトシが自転車を漕ぐと、電気が生まれる。ムサシ、コジロウ、ニャースは何だか嫌な予感がした。そして自転車のライトの部分に乗ったピカチュウに、電気がチャージされた。

 

「ピカピカピカピカ、ピカッチュウ!!!!」

 

放たれたのは強大な雷撃。それがロケット団を痺れさせる。

 

「「ああああああああああああああああああああああ!!!!」」

「ニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャ‼︎」

そしてドガースが思わず出したガスに引火し・・・

 

         大⭐︎爆⭐︎発

 

夜のトキワシティを、真っ赤に染め上げた。

 

 

それを通報を受けて向かっていたジュンサーは見た。

 

「あーら、派手にやったわねぇ・・・。」

 

どう見ても派手どころではないのだが、それでいいのだろうか?

それは置いておいて、夜のトキワシティで行われた戦いは、まさかの爆発オチで幕を下ろした。

 

 

⬛️⬛️⬛️⬛️

 

ボロボロになって、命からがら逃げ出したロケット団は、気球に紐でぶら下がっていた。

 

「どーして猫がネズミに負けるのよぉぉぉ‼︎」

ムサシが泣き言を言う。

「あのピカチュウ、只者ではないニャ・・・。」

ニャースがピカチュウの強さを見抜く。

「タダより高いものはない・・・もしかして!」

コジロウが何かに気づく。

「もしかすると⁉︎」

ムサシがその言葉に反応する。

「もしかするニャ。」

ニャースも返答する。

そのとき、ニャースの顔を模った気球に、穴が空いた。空気が一気に抜けて、2人と1匹は遠い空の彼方に飛ばされる。

 

「「「やぁぁぁなかぁぁぁんじぃぃぃぃぃ!!!!」」」

 

 

こうして、サトシにとって傍迷惑な因縁が生まれたのだった。

 

⬛️⬛️⬛️⬛️

 

 これは後日談になるのだが、ヒマワリもスミレも大した怪我は負わなかった。しかしスミレにとっては、大きな教訓と面倒を抱える結果になってしまった。

 教訓というのは、2つある。1つ目は自衛手段だ。あのアーボは手加減をしていたが、とはいえ、ポケモンの攻撃を受けて吹き飛ばされてしまい、数秒意識を持って行かれた上に、その隙をつかれてフシギダネも倒されてしまった。犯罪者というものは、本来容赦のない存在だ。今回はあの2人組だったからこそこの程度で済んでいるが、殺されても仕方のない状況だった。別に死ぬことは怖くないが、だからと言ってもう自殺をする趣味はない。気絶したフリをして様子を窺っていた限りでは、犯罪者とは思えないほど良心的な人間・・・それこそ、そこらの一般人より根はいい人っぽさを感じたので、今回はラッキーだっただろう。まさか、隠していた前髪の下を見られるとは思わなかったのだが、目を瞑っていたので正確性にはかけるものの、恐らく頭を撫でられたのだろう。それに、フシギダネも理由を付けて持って行かなかった。他のメンバーも、それに気づいていた様子だったので、完全な独断とは言えない。本当に悪党か?とスミレは現行犯なのに疑問に思ってしまった。兎も角、フシギダネの足を出来るだけ引っ張らないようにしたい、スミレはそう考えた。具体的な案は何もないが。もう一つ教訓として挙げられるのは、1対多の戦闘である。今回フシギダネはドガース、アーボの2体に負けた。スミレがやられたことに動揺した隙を突かれた形だが、それでも負けは負けだ。これに関しては特に言うこともない、ひたすら経験だ。

 面倒というのは、ヒマワリである。あの一件以降、大幅に距離を縮めて来た。あの程度の悪意でも、相当怖かったらしい。普段、人の好意に囲まれて生きているヒマワリにはいい経験になったであろうが、捨てられた小動物みたいな目でくっついてきたのはやめて欲しいとスミレは思う。終盤、彼女も戦っていたとジョーイから聞いていたスミレがそれをネタにそれっぽく励ますと、ちょろいのかすぐに元気になった。おまけに少し働いていた頭が元のアホに戻った。謎である。

 

 

 スミレとヒマワリはサトシ、そしてあの後互いに自己紹介をして知り合ったカスミと別れ(ヒマワリが妙に懐いていたのが印象的だった)、トキワの森に入る。トキワの森は鳥ポケモンや虫ポケモンが多く、少年トレーナーが多く彷徨く森である。たまに凶暴なスピアーに襲われ、死者も出るが、フシギダネもヒトカゲもそれなりに鍛えてあるので、2体1で挑めばギリギリ何とかなるかも?程度にはなっている。ボススピアーが出て来たら一巻の終わりなのだが。

 

 今回、トキワの森で、スミレはある目的を果たそうとしていた。それはポケモンゲット。狙いは、虫ポケモンのキャタピーだ。キャタピーはイモムシのような姿をしたポケモンで、進化するとサナギの姿のトランセル、そして蝶の姿のバタフリーになる。スミレの目的はこのバタフリーだ。フシギダネを鍛えつつキャタピーを捕まえて育て、その上でニビシティを目指す。これがスミレの計画だ。ヒマワリもまだポケモンが1匹なので、そろそろ仲間を加えた方が良いだろう。

 

「行くよ、ヒマワリ。」

「うん!」

 

2人の少女は、森の中を歩き出した。

 

 

 

 




ありがとうございました。

スミレちゃんは策士です。サトシのように咄嗟に奇策を思いつくタイプではありませんが、頭の回転は早いです。
特技や欠点についてはまだまだ触れていない部分が多いので、少しずつ触れていこうと思います。

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