ラブリーエンジェル美咲ちゃんの幸せ大作戦! ~み~んな幸せになぁ~れ!~   作:とんこつラーメン

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            お前がカツ丼なんだろ?










『ラウラ・ボーデヴィッヒ』③

 ラウラの突然の襲撃騒動が終わり、美咲と一夏は一休みする為に、二人揃って食堂へと向かって歩いていた。

 

「にしても、一体どうしてアイツが襲って来るなんて事態になったんだ?」

「それが、私にも詳しいことは…。ただ、彼女の言い分を聞く限りでは、どうやら私が織斑先生とお話をしたことが気に入らなかったようでして」

「はぁ? なんだそりゃ? 冗談抜きで意味が分からねぇぞ?」

 

 何がどうなれば、そんな理由で無防備な相手を襲撃しようなんて考えに至るのだろうか。

 ラウラの心情も事情も全く知らない一夏には、微塵も理解が出来なかった。

 

「千冬姉と話をしただけで嫉妬するって…それなら、実家に一緒に住んでいる俺はどうなるんだッつーの」

「それだけじゃありません。その理論で行けば、彼女はこの学園にいる大半の生徒と教員を襲わなければいけなくなる」

「そうなると、もう完全に単なる犯罪者だな」

 

 例え、そこにどのような理由や事情があろうとも、ラウラのやっている事は明らかに常軌を逸している。

 だからこそ、彼女に千冬の怒りの雷が落ち、その結果として反省室行きになったのだから。

 

「あ…そうだ。その…美咲!」

「どうしました?」

「えっと…さ。さっき職員室で山田先生に教えて貰ったんだけどさ…今度の『学年別トーナメント』が『タッグマッチ』になったみたいなんだ」

「タッグマッチ? つまり…試合形式が『2対2』になると…そういうことですか?」

「だろうな。なんでも『より実戦的な模擬戦闘を行う為に、二人一組での参加を必須とする』…らしい」

「なる…ほど?」

 

 なんか尤もらしい事を言っているが、どうしていきなりそんな事を言いだしたのか美咲にはよく分からなかった。

 

「因みに『期限までにペアが組めなかった生徒は、大会当日に抽選で選ばれた者同士でタッグを組みこととする』…だってさ」

「そうなると一回戦での敗北は必至でしょうね。その場限りの即席タッグでは、コンビネーション戦闘なんて不可能に近いですし」

「俺もそう思う。だから今、学園中の色んな所でコンビ探しが始まってるみたいなんだ」

「でしょうねぇ~」

 

 少しでも勝率を上げるためには、より強く、より相性が良い相手とコンビを組んで大会まで練習を繰り返すしか方法は無い。

 特に、成績のいい生徒や専用機を持つ生徒などは格好の的になるだろう。

 

「一夏君はもう誰かに誘われたりしたんですか?」

「いや…俺はまだなんだけど…さ…」

 

 顔を赤くしながらモジモジする一夏。

 後ろに隠した手には、一枚の書類が握られていた。

 

「み…美咲!」

「はい?」

「今度のトーナメント…俺とコンビを組んでくれないか!?」

「いいですよ」

「そっか…そうだよな。やっぱり……って? いい…?」

「えぇ。私で良ければ喜んで」

「ま…マジで?」

「マジです。実は、私も一夏君を誘おうと思ってましたし」

「お…おぉ~! よし…! よっし…!」

 

 まさかの展開に大喜びする一夏。

 流石に廊下のど真ん中なので大声を上げたりはしないが、それでも小さく全力でガッツポーズをした。

 

「それなら…さ。今夜…その…トーナメントに向けて二人で色々と話し合わないか? お…俺の部屋で…」

「一夏君の部屋?」

「う…うん。ほら、俺って学園唯一の男子ってことで(・・・・・・・・・・・・)一人部屋だろ(・・・・・・)? 作戦を立てるには丁度いいかな~って思って…駄目かな?」

「いいですよ。別に夜に予定がある訳ではありませんし…少しドキドキしますけど」

「美咲…」

 

 初々しさ全開の男女。

 もう見ているだけで甘酸っぱい気持ちになる。

 まさに青春スイッチがONになった瞬間だ。

 

「その前に、まずは申込用紙を書いて持って行かないといけませんね」

「そ…それなら、実はもう職員室で貰って来てるんだ! 食堂で書いて、それから職員室に持って行こうぜ!」

「はい。のんびりとお茶でも飲みながら…ね?」

 

 そうして、改めて食堂へ向かって歩く二人の手はいつの間にか指を絡める形で握られていて、廊下全体がピンク色の空気に包まれていた。

 

 勿論、そこにいた生徒達はその影響をモロに受けた訳で…。

 

「コーヒー!! 誰でもいいからコーヒー持って来て!! めっちゃ濃いブラックなやつを!!」

「リア充や―――――!! 正真正銘のリア充が誕生したで―――――!!!」

「ギャラクシ―――――――!!!」

「あま―――――――――い!!!」

 

 文字通りの阿鼻叫喚と化していた。

 

 余談だが、正史では一夏は数多くの女子達から引っ張りだこ状態になっていたのだが、この世界線では一度も他の女子から誘われる事は無かった。

 誘わなかった女子の内の一人は、後にこのような言葉を残している。

 

『流石に、人の恋路を邪魔して馬に蹴られて地獄に落ちたくは無かったしね。それに、あのカップルは応援しない方が有り得ないでしょ』

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 深夜 IS学園反省室

 

 頭からシーツを被り、ラウラは焦点の合わない目で虚空を見つめ、ずっと親指を口で噛みながら、ずっと呪いの言葉を小声で吐き続けていた。

 

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」

 

 もう彼女の頭には一夏への恨みなどは微塵もない。

 あるのは、自分を侮辱し、自分よりも千冬の敬愛を受けている美咲への醜い嫉妬と逆恨みから来る憎悪だけだった。

 

(佐藤美咲…奴さえ殺せば…そうすれば教官も私を褒めてくれる…今度こそ…)

 

 学年別トーナメントまでの間、ラウラは部屋の中で一人孤独に美咲への負の感情だけを増幅させていった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 学年別トーナメント当日。

 6月の最終週の月曜日から開催される、この大会は、想像以上に大規模で慌ただしく、少し前に開会式が終了し、もうすぐ始まる各学年のトーナメントの一回戦の試合の直前まで、多くの生徒達がせっせと雑務や会場の整理、来賓の誘導などを行っていた。

 それらの仕事が終了した生徒から順に待機場所である更衣室へと入り、ISスーツに着替えて自分達の試合を待つのだが…。

 

「あのー…?」

 

 何故か、美咲は自分と同じクラスの生徒達に連れられて廊下の端まで来ていた。

 

「美咲ちゃん…試合前にこんな事を聞くのは不謹慎だって分かってるけど、どうしても聞きたくて仕方がないの。だから、答えてくれる?」

「えっと…何をですか?」

「タッグを組んでからこっち、ずっと織斑君と一緒にいたわよね? それだけじゃなく、毎晩のように織斑君の部屋にも行って…」

「え…えぇ…色々と話し合う事が有ったので…」

「うん。それはいいの。別に何もおかしなことじゃないから。だけど、好き合っている男女が一つの部屋にいて、何も起きないって事は有り得ない」

「つ…つまり…?」

「ぶっちゃけて言うわね…美咲ちゃん」

「は…はい」

「…織斑君とどこまでいった(・・・・・・・)?」

「!!??」

 

 怒られる事を覚悟の上で尋ねると、美咲の顔が文字通りの急速沸騰した。

 顔だけじゃない。耳まで真っ赤になって顔中に冷や汗が噴き出る。

 それだけでクラスメイト達は全てを悟った。

 『あぁ…こいつら、遂にヤリやがったな(・・・・・・・)』…と。

 

「わ…わ…わ…!」

「私達のクラス代表が遂に『大人の階段』を爆速で駆け上がって行った――!!」

「ちょ…皆さんっ!?」

 

 感動の余り、クラスメイト達は血の涙を流しながら絶叫した。

 全員で美咲を取り囲み、肩を抱き合いながら自分達のクラス代表の恋が実った事を全力で祝う。

 

「うんうん…ようやく…ようやくかー…ずっと、もどかしく思いながら見てたけど…」

「はぁ~…感無量だわぁ~…」

「やっぱ、婚約はお互いの大学を卒業してから?」

「こっ…!?」

 

 幾らなんでも話が飛躍し過ぎだ。

 彼女達の中ではもう既に、美咲と一夏の子供まで誕生していて、名前を考え始めている。

 

「やっぱ、ここはお互いの名前から一文字ずつ持ってくるのが良いと思うのよね」

「一番妥当な判断よね。愛も籠ってるし」

「女の子なら『夏美』で、男の子なら…」

 

 もう、どうにも止まらない。

 完全に当事者である美咲を放り出して盛り上がっている。

 

「……行こ」

 

 流石に、これ以上は付き合ってられない。

 このまま行けば、初孫の名前まで考え出しそうな勢いだ。

 

 更衣室に戻ると、一夏がキョトンとした顔で美咲を出迎えた。

 

「何の話をしてたんだ?」

「えっと…将来の事…ですかね…」

「しょ…将来…」

 

 『将来』という単語を聞き、一夏は思わず自分と美咲の『未来』を妄想してしまう。

 

(やっぱ、子供は男の子と女の子が一人ずつがいいよな…。そういや、美咲って企業所属だったよな? 流石に共働きってのはあんまりだし…ってことは、俺が家にいて専業主夫をするべきか? そうだな…最近は、そういう夫婦も多いって聞くし…)

 

 遠い目をしながら、ウェディングドレスを着た美咲を想像する。

 余りの美しさに本気で眩暈がした。

 

「美咲…」

「は…はい?」

「家は俺が守るから、美咲は遠慮なく仕事を頑張ってくれよな!」

「はいぃっ!?」

 

 これまたいきなり何を言い出すのか。

 再び美咲の顔は真っ赤に染まった。

 

 それを見ていた更衣室の中にいる他の生徒達は、まぁ当然のように二人だけの空間の洗礼を受ける訳で…。

 

「クラス対抗戦の時の『石破ラブラブ固有結界』再び…か」

「おのれぇ~…リア充めぇ~…!」

「この間の合コンは大失敗したし…!」

「悔しいぃ~! けど、幸せにもなって欲しぃ~!」

「「「分かる」」」

 

 お前達は、応援したいのか悔しがりたいのか、どっちだ。

 

「そ…そういや、もうすぐ一回戦のトーナメント表が発表されるみたいだぞ?」

「そ…そうなんですねー…」

 

 試合の緊張よりも、完全にお互いの事を意識しまくってドギマギしている。

 それでも、いざ試合が始まればスイッチが切り替わるのが、この二人だ。

 愛の力は本当に偉大なのかもしれない。

 

「あ…出たぞ。え?」

「これは…」

 

 学年別トーナメント一年生の部、第一試合の対戦カードは…。

 

「因果っつーか…なんつーか…」

「なんとも言えませんね…」

 

 一夏&美咲と、ラウラと見知らぬ女子とが組まされた即席タッグとだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 











 
                気功砲!!






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