ラブリーエンジェル美咲ちゃんの幸せ大作戦! ~み~んな幸せになぁ~れ!~   作:とんこつラーメン

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                おひさ










『買い物デート』①

 色々な事があった学年別トーナメントがあった次の日。

 いつものように美咲と一夏の二人は一緒に仲良く、食堂で昼食を食べていた。

 

「そういや、あのトーナメントってあの一件で中止になっちまったけど、あれで終わりなのか?」

「どうやら、そうじゃないみたいですよ? 今朝、ウチの先生が朝のHRで言っていたんですけど、あのトーナメントは生徒達の現在の実力を測る目的もあるので、流石に全試合は無理でも、データを取る為に一回戦だけは全て行う予定でいるみたいです」

「ふーん…そうなのか。って事は、俺達はどうなるんだ?」

「私達は普通に免除みたいです」

「マジか。それはラッキーだとは思うけど…なんか釈然としないな~。試合自体は俺達が勝っていたとはいえ、どうもスッキリしない感じだったし…」

「そうですね。あの試合は途中から中止になったに等しいですから」

「だよなぁ~」

 

 もう完全に二人の間にある雰囲気が、彼氏彼女を通しこして夫婦になりつつある。

 そして、そんな二人を生暖かい目で見つめるクラスメイト達がいるのもいつもの光景になっていた。

 

「相変わらず、あの二人は仲が良いですなぁ~」

「そうですなぁ~。やっぱ、結婚式はド派手なものにしないとダメだよねぇ~」

「世界唯一の男性IS操縦者と、企業所属のIS操縦者のカップル。うん。割とマジでお似合いなんじゃない?」

「織斑君って家事が得意だって言ってたから、二人が結婚したら美咲ちゃんが外で仕事をして、織斑君が専業主夫みたいな事になるのかな?」

「…実にアリですな」

「うんうん」

 

 一組と三組の生徒達が一緒に並んでテーブルに座って食事をし、お互いのクラス代表の進展を眺める。

 図らずも、美咲と一夏の関係が三組と一組の交流に繋がっていた。

 

 そんなお二人さんに、とある人物が近づいて来ていた。

 

「こーんにちはー! 元気してる?」

「「あ」」

 

 それは、前とは打って変わって明朗快活な笑顔を浮かべているラウラだった。

 嘗ての仏頂面はどこへやら。

 歳相応の少女のような性格へと変貌している。

 

「どうしたんですか?」

「えっとね…もうクラスの皆や織斑君には謝ったんだけど、まだ佐藤さんにはちゃんと謝ってないな~っと思って」

「はぁ…」

「だ・か・らぁ……本当にごめんなさい!! あの時は自分でもどうにかしてたの!!」

 

 在ろうことか、あのラウラが思い切り頭を下げて皆の前で謝ってきた。

 流石の美咲もこれには驚き、思わず箸が止まってしまう。

 

「わ…分かりましたから。もう頭を上げてください」

「いいの…? でも私…」

「いいんです。確かに、アナタがやった事はそう簡単には許されない事ではありますが、だからと言って反省の気持ちがある相手を無下にする程、私も愚かではありません。これから気を付けてくれれば、こちらとしては充分です」

「うん…うん! ありがとう! それから…」

 

 ラウラがそっと美咲と一夏に顔を近づけて、小さな声で囁いた。

 

「私…二人の事を応援してるから。頑張ってね!」

「「へ?」」

 

 いきなりのエールに二人の顔が真っ赤になる。

 それを見てラウラは口元を手で押さえて笑ってから、手を振りながら『バイバーイ』と言って去って行った。

 

「な…なんだったでしょうか…。ビックリしました…」

「その気持ち…すっごい分かるよ。俺達も今朝、似たようなリアクションだったしな」

「と言うと?」

「まず性格がめっちゃ変わってたのに驚かされた。あの千冬姉ですら一瞬だけ『ポカーン』ってしてたぐらいだしな」

「あの織斑先生が…?」

 

 いつも冷静沈着でクールな印象が強い千冬がそんな表情を出すとは。

 ちょっとだけ見てみたいと思った美咲は悪くない。

 

「さっきも見たから分かると思うけど、格好も変わってたしな」

「制服…ズボンじゃなくなってましたね。私達と同じスカートになってましたし」

「ずっとつけてた眼帯も取ってたんだよ。まさかオッドアイとは思わなかったけど」

 

 服装が少女らしくなり、眼帯を外したことで見た目も少女らしくなった。

 そこへ加えて性格まで非常に柔らかくなり、まるで『別人』に生まれ変わったかのよう。

 それだけラウラが反省していると皆は受け取り、彼女の謝罪を快く受け取った。

 

「まぁ…アイツの中で色々と心境の変化ってやつがあったのかもしれないな。マジで大変だったし」

「そうですね。それに関しては彼女自身にしか分からない事ではありますが。少なくとも、皆と仲良くしようとしているボーデヴィッヒさんを否定する理由はありませんし。良いんじゃありませんか?」

「そうだな。俺としても、皆と仲良くなろうとしてくれるなら、それに越したことは無いよ」

 

 ラウラの『改心』により、今まで以上にクラスの雰囲気が明るくなった。

 クラス委員として、重くなりかけていた雰囲気が軽くなるのは嬉しい。

 

(よ…よし! なんかいい感じになってきたぞ! 今なら…)

 

 今までずっと一夏は『タイミング』を伺っていた。

 そう…美咲を誘うタイミングを。

 

「な…なぁ美咲?」

「どうしました?」

「今度…さ。臨海学校があるのは知ってるか?」

「はい。今朝、先生から教えられました。それがどうかしたんですか?」

「お…俺さ、臨海学校に備えて色々と買い揃えたい物があるんだよ。ほら…水着とか。だから…」

「そうなんですか。じゃあ、今度の日曜日にでも一緒に買い物にでも行きますか?」

「一緒に買い物に行かないか…って、へ?」

「「…………」」

 

 自分から誘うつもりが、まさか美咲から誘われた。

 美咲もすぐに一夏の意図を理解し、二人して顔を見合わせながらポカンとしてしまう。

 

「は…ははは…先に言われちまったな」

「い…いえ…お気になさらず」

 

 はい。またピンク色の空気が発生。

 周囲の生徒達が一斉にブラックコーヒーの注文を始める。

 

「ハハハハハ! 味覚が狂っちゃったのかしら! 激ニガな筈のブラックコーヒーがめっちゃ甘く感じるんですけどー!」

「気のせいじゃないからー! 私もめっちゃ甘く感じるー!」

「あまーい! ハハハハハハ!」

 

 日常茶飯事な光景とはいえ、やっぱりブラックコーヒー無しではいられない。

 因みに、一夏と美咲が本格的に付き合い始めてから、IS学園の購買部や食堂からブラックコーヒーが飛ぶように売れているという。

 今頃、業者は搬入に大忙しになっていることだろう。

 まさか、一組のカップルの誕生がコーヒー業者の仕事を増やしてくれたとは、誰も想像すらしない事に違いない。

 

 そして、そんな光景を密かに見つめている女教師が一人。

 

「『織斑美咲』…か。うん…中々に悪くない語呂なんじゃないか? そうなると、アイツから『お義姉さん』と呼ばれるのか…それもそれで悪くは無いか?」

 

 もう既に自分の弟と美咲が結婚した時の事を考える千冬。

 気が早すぎると言えばそれまでだが、それだけ美咲に期待をしている証拠でもあった。

 

 こうして、本人達も知らないままに姉公認のカップルとなったのだった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 そして時間は経ち…日曜日。

 ある意味、一夏にとって勝負となる日。

 

 朝から姿見の前で何度も何度も自分の格好を確認する一夏。

 彼の顔はクラス対抗戦や学年別トーナメントの時以上に真剣な表情となっていた。

 

「よ…よし。どこも変な所は無いよな。うん」

 

 美咲とは校門前で待ち合わせをしている。

 スマホで時間を確認すると、まだまだ待ち合わせには余裕がある。

 だがしかし、ここで敢えて時間よりも早く行って相手を待っているのが男の甲斐性だろう。

 少なくとも、一夏はそう思っていた。

 

「…そろそろ行くか」

 

 心臓をバクバクさせながら部屋を出て、余計な寄り道などせずに真っ直ぐと待ち合わせ場所へと向かう。

 そんな一夏を背後から見守る集団があった。

 

「ふむふむ…初デートの割には悪くないコーディネイトじゃない?」

「そうね。私達『美咲ちゃんを見守り隊』として、ちゃんと我等がクラス代表の初デートを見届けないと」

「問題は美咲ちゃんの方ね…。一体どんな格好をしてるのかしら?」

 

 女目線からしても美咲は最上級の美少女だ。

 正直、どんな服でも抜群に似合う容姿をしている。

 だからこそ気になるのだ。

 今日は美咲にとっても非常に大切な一日。

 恐らくは相当に気合が入った服を着ているに違いないと。

 

「む…織斑君が行くわよ。私達も移動開始よ!」

「「「ラジャー!」」」

 

 もう完全にやってる事はストーカーだが、彼女達も彼女達で真剣に美咲と一夏の事を応援しているが故にやっている事。

 仮に本人達に見つかっても大目に見てくれるだろう。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 待ち合わせ場所の校門前。

 ガッチガチに緊張した一夏は、校門前に立っている人影を見つけた。

 

「やっぱり先に来てたか……え?」

 

 自分以上に几帳面な美咲の事だから、待ち合わせ場所に先に来ている事は容易に想像が出来た。

 それを加味して普段以上に早く部屋を出たのだが…なんて後悔は美咲の姿を見た瞬間に全部吹き飛んだ。

 

「あ…一夏くん」

「美咲…」

 

 真っ白なシャツの上に薄手で薄いピンクのカーディガン。

 そして、専用機であるファントムを彷彿とさせる明るい緑のロングスカート。

 そこへ黒いブーツまで履いていた。

 しかも、いつもは流している長い髪も、今日に限ってポニーテールに纏めている。

 

 美咲の方も完全に今日の買い物デートの事を意識しているのが見え見えだった。

 

「お…お待たせ…これでも割と早くに出たつもりだったんだけどな…はは…」

「いえ…気にしないでください。いつもの癖で早く着てしまっただけですから」

「そ…そっか」

 

 なんと初々しい反応だろうか。

 二人揃ってデート初体験と言うこともあってか、微妙に表情がぎこちない。

 だが、それが却って後ろで見守っている彼女達の琴線に触れた。

 

「くぅ~…! 初めて見た美咲ちゃんの私服…想像通りの清楚イメージ!」

「あれは…完全に自分の武器を分かってますな」

「美咲ちゃん…なんて恐ろしい子!」

「だが、それがいい!」

「「「同感」」」

 

 そうこうしている間に、二人は校門から出ようとしていた。

 

「ンじゃ行くか。モノレールの時間もあるし」

「そうですね。まだ余裕はありますが、早く行くに越したことはありませんから」

「だな」

 

 そして、ごく自然な感じで手を繋いで歩き出す。

 一歩一歩ごとにリア充オーラ全開だった。

 

「私達も行くわよ! 絶対に見失う訳にはいかないわ!」

「「「了解!」」」

 

 こうして、一夏と美咲の人生初めてのデートは幕を開けたのだった。

 

 

 

 











                ぽう






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