ラブリーエンジェル美咲ちゃんの幸せ大作戦! ~み~んな幸せになぁ~れ!~   作:とんこつラーメン

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               ぽるぽる










『買い物デート』③

 『美咲ちゃん見守り隊』が女尊男卑の女性を『幸せ』にしている頃。

 水着売り場へと入って行った一夏と美咲の二人はと言うと…?

 

「な…なんつーか…かなり気恥ずかしいな…」

「大丈夫ですよ。堂々としてればいいんです」

「そう言われても…」

 

 周囲には女性用の水着がズラリと並び、店内にいるのは当然のように女性ばかり…とは限らなかった。

 

「ねぇ~あっく~ん♡ この水着とかアーシに似合わな~い?」

「おっ! それめっちゃいいじゃ~ん! 今度の海水浴にはそれ着ていこうぜ!」

「さんせ~! んじゃ、とっととレジ行ってきま~す!」

 

 真っ黒に日焼けして、髪を金髪に染めた『パリピ』なカップルが陽キャ前回の会話を繰り広げながらレジの方へを向かっていくのも目撃した。

 

「…意外と男もいるんだな」

「でしょう? だから、気にする必要は無いんです。それでも気になると言うのなら…えい」

「え?」

 

 いきなり美咲が一夏の手をギュッと握りしめた。

 勿論、指を絡ませた『恋人繋ぎ』で。

 

「これで、私達も『カップル』に見えるでしょうから…その…」

「う…うん…ありがとう…」

 

 何とも甘酸っぱくて初々しい二人。

 さっきの陽キャカップルたちもそれを見てしまった結果…。

 

「ねぇ…あっくん。あーしさぁ…猛烈に激渋なお茶か、もしくはブラックなコーヒーが飲みたくなった」

「奇遇だな…俺もだ。青春だなぁ…うん。俺達にも、昔はあんな頃があったかと思うと急に地元の友達とかに会いたくなってくるぜ…」

 

 モロに高校生カップル特有の若々しさに影響を受けていた。

 

 そんなことなど全く知らない一夏と美咲は、そのまま手を繋いだ状態で店の中を見て回っていた。

 

「しっかし…女の子の水着って色んな種類があるんだな…男のとは大違いだ」

「隠す部分が多いからでしょうね。さて…どれにしましょうか…セパレートか、ワンピースか、それともビキニか…」

「ビキニ…」

 

 そんな単語を聞かされれば、思わず頭の中で妄想してしまうのが男の性。

 一夏もその例に漏れず、ほぼ無自覚に脳内でビキニ姿の美咲を想像してしまった。

 

「…一夏くん」

「な…なんだ?」

「鼻の下…伸びてますよ?」

「げっ!?」

 

 どうやら、思い切り顔に出ていた模様。

 これもまた惚れた弱みなのかもしれない。

 

「まぁ…いいですけどね」

「ご…ごめん…」

 

 もう既に二人の将来の図が垣間見えた気がした。

 完全に嫁の尻に敷かれる未来が待っているかもしれない。

 

「本当に悪いと思っているのならば、さっき私が言った事を実行に移して貰いましょうか」

「さっき言った事って…水着選びか?」

「そうです。一夏くんは私にどんな水着を着て欲しいですか?」

「あれって冗談じゃなかったのかッ!?」

 

 てっきり、自分を見せの中に引き摺りこむだけの口実とばかり思っていたが、まさか本気だったとは。

 織斑一夏、15歳にして早くも男としての器が試される時がやって来た。

 

「み…美咲に似合いそうな水着か…」

 

 先の妄想を参考にして、必死に考える。

 隣にいる自分の手を握ってくれている彼女の魅力を最大限に出してくれる水着とは一体どれなのか。

 

(美咲の専用機であるファントムは全身が緑色に染まっている。ってことは、水着の色も緑色とかが似合うんじゃないのか? いや、絶対に良く似合う! そうに決まっている! よし、色は緑で決まりだな!)

 

 取り敢えずの方針は決定した。

 後は水着の種類やデザインを決めるだけ。

 

(美咲は確かに美少女でスタイルも良いけど、だからと言って露出が多すぎるのは絶対にダメだな。嫌がるかもしれないし、それ以前に俺が嫌だ。美咲の素肌を他の野郎どもに見せたくない)

 

 実に彼氏らしい考えをしているご立派な一夏くんだが、彼はある重要な事を失念している。

 行くのは旅行ではなくて臨海学校で、当然のように自分以外は全員な女性なのだから、美咲の水着をいやらしい目で見るような男は一人もいないのだ。

 その事を完全に忘れているが、頭の中で考えている事なので誰もツッコむ者がいなかった。

 

「ん? あれは…?」

「どうしました?」

「いや。ちょっと気になる物があって…」

 

 一夏の視線の先にあるのは、とある一着の水着。

 

 全体的に鮮やかなエメラルドグリーンに染まっているが、それだけではなく、胸の真ん中辺りや腰の端の部分などに小さくはあるが白いリボンがチョコンとついているビキニ。

 

(そういや…ファントムって緑も多いけど、白いパーツも縁みたいな形で多かったな…)

 

 緑を主張しながらも、所々に白いリボンがアクセントになっている。

 その水着を見た瞬間、一夏はすぐに『これだ!』となった。

 

「…うん。これだな。これしかない」

「決まったんですか?」

「あぁ。この水着だ」

 

 そう言って、自分が選んだ水着を手に取って美咲に見せた。

 すると、美咲は珍しく興味深そうに目を輝かせて、その水着を一夏から手渡される。

 

「どうだ? ファントムの色を参考にして選んだんだけど…」

「いい…です。凄く可愛くていいと思います。私…これにします。これが良いです」

「そっか…気に入って貰えてよかった。それじゃ、早くレジに行こうぜ。奢るよ」

「え? それは流石に申し訳ないのですが…選んで貰っただけでも私としては十分に満足なのに…」

「気にするなって。美咲にはいつも世話になりっぱなしだし、偶には恩返しをさせてくれよ。それに、白式に乗るようになってから、なんかデータ提供のバイト代みたいな感じで割と結構な額の金が振り込まれてたりするんだよ。だから、金に関しては普通に大丈夫だよ」

「そ…そこまで仰られるのなら…お言葉に甘えます」

 

 最初は渋っていたが、結局は折れる事に。

 これで少しは男らしい所を見せられたかな…と、密かに心の中で思う一夏であった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 無事に美咲の水着を買負い終えた二人は、レジを後にして今度は一夏の水着を買おうと男性の水着売り場へと移動しようとした…その時だった。

 

「ん? そこにいるのは…一夏と美咲か?」

「え? まさか…千冬姉?」

「まぁ…」

 

 そこにいたのは、なんと千冬。

 どうしてここに…と言いたいところではあったが、今の自分達がいる場所は水着売り場であり、そこにいると言うことは彼女の目的はたった一つしかない。

 

「そうか…お前達が二人で出かけたと言って騒いでいる奴等がいたが、成る程な…そう言う事か。成る程な」

 

 美咲が手にしている紙袋を見て、千冬もすぐに二人がここにいる理由を察したようで、微笑ましいものを見るような優しい目で若い二人を見つめた。

 

「遂にお前達も買い物デートをするまでに進展したか。このまま行けば、卒業する頃には結婚前提の付き合いをしだすやもしれんな」

「「け…結婚っ!?」」

 

 実姉の口から出された、まさかの爆弾発言。

 まだまだ十分に子供と言えるような年齢なのに、もう結婚の話をされて二人は一気に顔が急速沸騰した。

 

(み…みみみみ美咲と俺が結婚っ!? いきなり何を言ってんだよ千冬姉はッ!? けど…そっかぁ…もし俺と美咲が結婚したら、その時は『佐藤美咲』から『織斑美咲』になるのか…。織斑美咲…織斑美咲…良い響きだな…)

(わ…私が一夏くんと結婚…!? そ…それはまさしく『幸せ』の絶頂とも言うべき事なのでは…!? 私も幸せになって、一夏くんも幸せになって…あわわわわ…クラスの皆さんが言ってた妄言が現実になってしまうのですか…!?)

 

 二人揃って頭の中が大パニック状態に。

 特に、常に冷静沈着な美咲がここまで取り乱すのは非常に珍しかった。

 それ程までに、彼女の中で一夏の存在が大きくなってきているという証拠なのかもしれない。

 

「どうやら、満更でもないようだな。今から、お前達の将来が楽しみだよ」

「「うぅ…」」

 

 溜りに溜まっているストレスを若い二人をからかう事で発散している模様。

 普段は生真面目な千冬がこんな話をするのは割と珍しいので、二人も耐性が出来ていなかった。

 

「ち…千冬姉も水着を買いに来たのか?」

「ん? まぁな」

 

 必死に話を逸らした。

 これが今の一夏に出来る精一杯の抵抗だった。

 

「お前に決めて貰おうかもと思っていたが…それは無粋なようだな。仕方あるまい。ここは、一緒に来ている山田先生と一緒に考える事にしよう」

「山田先生もご一緒なのですか?」

「あぁ。彼女は入ってすぐに奥の方に行ってしまって、ここにはいないが。一緒には来ている」

 

 担任と副担任だから…と言う訳ではないようだ。

 そこで一夏は、前に千冬から聞かされた事を思い出す。

 

(そういや…山田先生は千冬姉がまだISの選手をやってた頃の後輩だったって聞いたことがあるような…)

 

 昔から先輩後輩の間柄だったのならば、今でも仲が良いのも納得出来る。

 大人になっても一緒に出掛けられる友人がいると言うのも、ある意味では幸せなことなのかもしれない。

 

「そうだ。お前達に言っておくことがあるんだった」

「俺達に言っておくこと?」

「なんですか?」

 

 何か怒られるような事でもしてしまっただろうか?

 咄嗟に自分達の今までの行動を思い返すが、思い当たることは一つも無い。

 

「このレゾナンスには、そこそこの広さがあるドラッグストアもあるんだ。知ってるか?」

「そうなんですか?」

「そういや、見た事があるような…ないような?」

 

 ドラッグストアなんて、それこそ薬を初めとした医療品を買う時ぐらいにしか行く機会が無い。

 なので、仮にあったとしてもあんまり印象には残ってはいなかった。

 

「時間があるのなら、是非とも寄ってみるといい。お前達には『必要な物』もそこに売っている筈だ。流石に学園の保健室で『ください』とは言えんだろうしな」

「「はぁ…」」」

 

 一体何の事を言っているのやら。

 二人は本気で分からなかった。

 察しの悪さもそっくりだなと思いつつ、千冬はストレートに伝える事に。

 

「分かりにくかったのならばハッキリと言ってやる。ちゃんと『避妊』はしろと言っている」

「「!!??」」

 

 実姉兼担任教師の口からのダイナマイト級の発言が飛び出した。

 思わず二人は、さっき以上に顔を真っ赤にして固まった。

 

「まさか、私が何も知らないと思っていたのか? お前達二人の噂は、学園中をそれこそ光の速さで駆け廻っているんだぞ? 私達教師の耳にも自然と入ってくる」

「「ソ…ソウデスカ…」」

 

 ある意味、最も知られたくなかった相手に知られてしまった。

 それでも普通の表情をしていられるのは、彼女が大人だからなのか。

 

「在学中に…というのは誰も幸せにはならん。別にするなとは言わないが、するならするでちゃんと準備をしてからにしろ。いいな?」

「「ハ…ハイ…キヲツケマス…」」

「よろしい。では、もう行っていいぞ」

「「し…失礼します…」」

 

 二人揃って顔面真っ赤状態で俯きながら店を後にする。

 その背中を見送っていると、そこにタイミングよく真耶が戻ってきた。

 

「お待たせしました織斑先生。あれ? どうかしたんですか?」

「いやな…ついさっきまで、ここに一夏と美咲がいたんだよ」

「そうなんですか? いいなぁ~…お買い物デートですか?」

「そうみたいだな。全く羨ましい限りだ」

「ははは…」

 

 硬派なイメージが先行している千冬ではあるが、決して結婚願望が無いわけではない。

 彼女だって一人の女性として結婚を夢見ていたりする。

 ただ、その機会が致命的に皆無なだけで。

 

「はぁ…こればかりは焦っても仕方がない。地道に頑張るとするか」

「そうですね~…ははは…はぁ…」

 

 織斑千冬。山田真耶。

 現在、絶賛彼氏募集中。

 

 

 












                ぽっぽ






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