ラブリーエンジェル美咲ちゃんの幸せ大作戦! ~み~んな幸せになぁ~れ!~ 作:とんこつラーメン
ぽぽぽぽ
夜になり、生徒達は大広間を三つも繋げた大宴会場に集められ、そこで皆揃っての夕食タイムとなった。
何故か『夕食時は浴衣着用』という謎ルールに則り、皆も浴衣を着用した状態で食事をしていた。
当然だが、ここはお座敷なので正座で食べていて、一人一人に丁寧に膳が置かれている。
普通では決して体験出来ない扱いに、生徒達は半ば興奮しながらも高級海鮮料理に舌鼓を打っていた。
因みに、正座が苦手な外国の生徒達の為に、旅館側の方でテーブル席の方もちゃんと用意されていて、日本出身じゃない生徒…主に西洋出身の生徒の大半がテーブル席に移動して食べていた。
そんな中、一夏と美咲の二人はと言うと…。
「流石は高級旅館だな。出す料理もレベルが違う。まるでお偉いさんにでもなったような気分になるよ」
「実際、IS学園は世間一般的には超エリート校ですからね。寧ろ、臨海学校でこれぐらいの料理が出てくるのは当然かと」
「そっか~…。ってことは、修学旅行とかになると、もっと凄いことになるってことか?」
「恐らくは」
別になんて事の無い、ごく普通に話で盛り上がっているが、問題は二人が座っている位置にあった。
「あの…一夏くん」
「言うな…美咲が言いたい事は分かってる。なんで俺達…よりにもよって大広間のど真ん中に座らされてるんだ?」
そう。
二人が座っているのはズラリと並んだ生徒達の列の中央付近。
まるで『この子達だけは特別だ』と言わんばかりの待遇に、美咲も一夏も普通に困惑していた。
「あと、もう一つ…気になってる事が…」
「多分、俺も美咲と同じことを考えてる」
「「どうして私(俺)達だけ料理が違うの?」」
二人だけ質素な料理を…とか、そんな事ではない。
高級感ならば、美咲たちが食べている料理も他の生徒達が食べている料理に決して劣ってはいない。
ただ、料理の内容が明らかに違っているのだ。
「そんなに知りたいのなら…教えてあげましょうか?」
「「女将さん」」
ここで、二人をくっつけようと千冬たちと結託している女将の登場。
彼女が来た時点で嫌な予感しかしない。
「まず、この白いのが『スッポンの脂身』ね」
「「ス…スッポンッ!?」」
まさかのスッポン料理。
どう考えても高校生に食べさせる料理ではない。
「そして、こっちがスッポンの肝」
「「き…肝…」」
「これがスッポンのお味噌汁に、こっちのがスッポンの煮込み」
女将の料理紹介が成される度に、周りからは謎の歓声が湧き上がる。
当事者たちからすれば完全な羞恥プレイだ。
「ん? この赤い飲み物はなんだ? トマトジュース?」
「スッポン料理にトマトジュースは流石に無いとは思いますが…あら? 僅かな苦みの中にジュースのような甘みがあるような気が…?」
「それはそうよ。だって、今二人が飲んだのは…」
説明を聞きながらも、美咲に釣られて一夏も謎の赤いドリンクを一口だけ飲んでみる。
その直後、飲んだことを物凄く後悔する事になるのだが。
「スッポンの生き血のリンゴジュース割りよ」
「「ブッ!?」」
思わず吹き出しそうになった。
よりにもよってスッポンの血とジュースのブレンド。
ある意味、恐ろしくストレートな精力剤だった。
「ス…スッポンの血って…」
「ジュースで割ってなきゃ、確実に吐いてたな…」
「おほほほほほ! 流石に若い子には刺激が強すぎたかしら? 大丈夫。貴女たちぐらいなら一晩思い切り『ハッスル』すれば、明日には元に戻ってるから!」
「「ハッスルって…」」
仮にも高級旅館の女将が言っていい単語じゃない。
余りにも堂々とした振る舞いに、逆に圧倒されてしまった。
「それじゃ二人とも…頑張ってね♡」
「「何を?」」
「あらやだもう! 私にそれを言わせちゃうの?」
着物の袖で口元を抑えながら、女将は不敵な笑みを浮かべながら去って行った。
残されたのは、なんてリアクションをすればいいのか困り果てた男女のみ。
「道理で…食べれば食べるほどに体が火照っていくとは思っていましたが…」
「スッポン料理だったなんてな…。まさか、これも千冬姉の差し金じゃないだろうな?」
「十分に有り得ますね…」
それならば、千冬が買い物の時に薬局に行くように進めて来たのも納得出来る。
彼女はこの展開を最初から知っていたのだ。
「ど…どうします?」
「大人の企てに見事に引っかかっちまったとはいえ…料理を残すのは論外だしな…」
「そうですね。となると残された道は一つだけ…」
「食べよう。なんとか頑張って」
「は…はい」
こうして、美咲&一夏は残りのスッポン料理を全て平らげ、その結果…。
「こ…これは…想像以上にキツいな…! はぁ…はぁ…!」
「か…身体が燃えるように熱いですね…恐るべしスッポンパワー…」
完全にスッポンの力に負けていた。
若さ故の有り余る体力が、この時は見事に仇となっていた。
(これは…本気でヤバい…! このままだと本当に…この旅館の中で…)
(一夏くんと…してしまう…羽目に…! プライベートや学園の寮ならばともかく…臨海学校で泊まっている旅館では流石に…!)
辛うじて残されている理性が、なんとか二人の暴走を食い止めていた。
だが、それも時間の問題。
二人は無事に夜を乗り切ることが出来るのか?
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
部屋に戻ってから最初に見た物、それは…。
「俺達が夕飯を食べている間に…」
「もう既に布団が敷いてある…。しかも、律儀に枕を二つ並べて…」
部屋の真ん中に敷かれていた大きな布団(カップル用)だった。
寄り添うように二つの枕が置かれ、その近くには例の小さい箱とティッシュ箱も律儀に置いてあった。
「「…………」」
そこまでしてヤラせたいのか。
怒りを通り越して呆れてしまう二人だった。
「と…取り敢えず、座りましょうか…」
「そ…そうだな…」
部屋に入り口で二人揃って棒立ちのままと言うのは流石に不審過ぎるので、少しでも体を休めると言う意味も込めて布団の上に座ることに。
だがこの時、二人のいつもの癖が出てしまった。
「「あ…」」
まだ一回だけとはいえ、もう既にヤルところまでヤってしまっている二人は、無意識の内に肩を寄せ合うように座っていた。
しかも、スッポンと言う最上級の精力剤を腹いっぱい口にしてしまった事で、今の二人は完全な発情状態。
いつ、発情期の獣のような行動に出てもおかしくない状況にあった。
発情状態に陥っているせいで五感も無駄に研ぎ澄まされ、お互いの匂いや仕草に恐ろしく敏感になっていた。
(か…体が火照って汗を掻いている美咲…エロいな…。美咲の…汗の匂いが…ごくり…)
(な…なんでしょうか…一夏くんに触れていたい…抱きしめて欲しい…滅茶苦茶にしてほしくてたまらない…うぅ…これがスッポンの力なのですか…)
己の中か湧いてくる欲求を必死で抑えているせいか、自然と無言になってしまう。
時計の針が動く音だけが室内に聞こえている。
「「…………」」
不意に二人の手の指先がちょんと触れる。
たったそれだけの事なのに、両者ともにビクッと反応してしまう。
「ご…ごめん…」
「いえ…こちらこそ…」
なんとも気まずい雰囲気。
これではナニをするどころの話ではなくなる。
二人としても、いつまでもこんな雰囲気なのは御免なので、どうにかしたいと必死に頭を回転させて考える。
「あ…あの…一夏くん」
「な…なんだ?」
「その…汗…掻いちゃいましたし…お風呂に入りませんか…?」
「ふ…風呂か! そうだな! それがいいな! うん! そうしよう!」
風呂にでも入って気持ちをスッキリさせれば、少しはこの火照りも収まるかもしれない。
最悪、自家発電をするという方法もある。
「さ…流石に温泉は無理ですから…部屋のに入りましょうか」
「そ…そうだな。温泉は残念だけど、まだ時間はあるし、明日にでも入れば問題無いよな?」
「そうですよ。明日もありますから。大丈夫ですよ」
良い感じになって来た。
このまま風呂の話題で誤魔化せれば、なんとかなるかもしれない。
「で…では、まずは一夏くんからどうぞ?」
「え? いやいや…ここはレディーファーストで美咲からいいよ」
「いえいえ。お疲れでしょうし、一夏君から先に…」
「いやいや。美咲の方こそ疲れてるだろうし先に…」
そうして、二人の無駄とも言うべき風呂の譲り合いが勃発し、どちらも全く譲る気配が無い。
そんなやり取りが約10分ほど続き、そして…。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「「…………」」
こうなった。
成人男性が余裕で足を広げて入れるほどの大きさがある風呂に、何を取り狂ったのか、一夏と美咲の二人で入っている。
無論、二人は背中合わせに座っていて、お互いにバスタオルを巻いている。
湯船にタオルは付けてはいけない…そんな常識を守る余裕が無い程に、二人は頭がパニックになっていた。
(オイオイオイオイ! 何がどうしてこうなってんだっ!? 美咲と一緒に風呂に入るとか、幾らなんでも段階が飛びまくってるだろッ!? 数秒前までの俺は一体何を考えてたんだっ!?)
とっくの昔に、一緒に風呂に入ること以上の事をしているのに何を今更。
(な…なななななななななんでこんなことにっ!? もう慎みも何も無いじゃないですかぁっ! これじゃ完全に痴女ですよぉっ!? し…心臓がバクバク鳴って破裂しそうなんですけどぉ…!)
美咲も美咲で実に今更な事を心の中で口走っていた。
「「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…!」」
息が荒い。
思考が纏まらない。
本能がお互いを求める。
目の前の女を抱けと。
目の前に男に抱かれろと。
理性という名のブレーキも、もう限界寸前だった。
そして…遂に…。
「あの…一夏…くん…」
「ど…どうした…美咲…んんっ!?」
首だけで振り向いた瞬間、唇を塞がれた。
勿論、美咲の唇で。
「み…美咲っ!? 一体何を…」
「ごめんなさい…でも…もう私……」
……………………プツン。
今にも泣きそうな顔で自分を見上げる美咲の顔を見て、一夏の中で『何か』が切れた。
「…美咲」
「一夏く…ひゃぁぁぁっ!?」
理性を失った瞳で美咲を見つめてから、いきなり美咲の身体をお姫様抱っこで持ち上げ、そのまま早歩きで部屋まで戻った。
体が完全に濡れた状態で、歩いた時に二人のバスタオルが外れて『生まれた時の格好』になっている事など全くお構いなしに、一夏は美咲の事を布団の上に押し倒した。
その手にはちゃんと、いつの間にか箱から取り出された『ゴム』が握られている。
「えと…あの…その…」
「…ゴメン美咲。俺が間違ってた」
「一夏くん…?」
「苦しいのは俺だけじゃない。美咲だって苦しんでたんだよな」
「そ…それは…」
「それに…俺ももう限界だ。だから、先に謝っておく。一度始めたらもう…俺は自分自身を抑えられる自信が無い。それでもいいのなら…」
「いい…です。寧ろ…お願いします。明日に備えて、この体の火照りを取りましょう…二人一緒に…」
理 性 崩 壊
「美咲!」
「一夏くん…!」
そうして、少年と少女はこの晩、お互いの身体を貪る欲情した獣となった。
一番端の部屋と言うことで他の者達の睡眠を邪魔することは無かったが、それでも部屋にはずっと明かりが灯り続け、中からは少女の喘ぎ声と肉体同士が激しく賦使い合う音が鳴り響き続けたという。
二人の『火照り解消』は、次の日の朝まで行われていた。
はっぴー