ラブリーエンジェル美咲ちゃんの幸せ大作戦! ~み~んな幸せになぁ~れ!~ 作:とんこつラーメン
ぽにー
「…やっちまった」
次の日の朝。
一夏は体調的には非常にスッキリとしていると同時に、気持ち的には顔面蒼白になって見事に冷や汗ダラダラ状態になっていた。
「完全に暴走しちまった…。昨夜のことが上手く思い出せん…あと、腰がめっちゃ痛い…」
見事に実姉と女将の策略に乗せられた形となった二人。
あそこまで用意周到に準備をさせられてしまえば、高校一年生である二人に抗う術は殆ど無かったと言えるだろう。
それでもギリギリまで耐えたのは、ある意味では褒められて然るべきだろう。
「はぁ…マジでゴムがあって助かった…。もし無かったら、本当にどうなっていた事か…」
そう言いながら、チラッと部屋の隅にあるゴミ箱を覗き見る。
中には、二人が『ハッスル』した確固たる証拠となる物体が大量に捨てられていた。
「結局…箱の中にあったやつ、全部使い果たしちまったし…。マジで何やってんだ俺は…」
もう過ぎてしまった事とはいえ、自分がここまで性欲に対して耐性が無かったとは思わなかった。
『男はみんな獣である』とはよく言ったものだ。
「しかも…」
隣で静かに寝息を立てて寝ている美咲の顔を見る。
朝日に照らされている彼女の顔はとても美しく、そんな少女を昨夜、自分は文字通り好き放題にしたと思うと、急に罪悪感が襲い掛かってくる。
そんな美咲の首元や胸元には、なにやら赤い『痣』のようなものが幾つも付いている。
勿論、昨日までの美咲にはそんな痣は一つとしてついてはいなかった。
「幾らなんでも暴走し過ぎだろ俺…女の子の身体に痣を付けるとか…」
犯人はここにいた。
だが、状況が状況なので情状酌量の余地はあると思いたい。
余談だが、今の一夏と美咲は当然のように全裸である。
昨夜まで来ていた浴衣や下着は、畳の上に脱ぎ捨てられていた。
「う…ん…?」
ここで美咲も目を覚ました。
瞼を擦りながら半身を起こし、大きな欠伸をしながら背を伸ばす。
勿論、そうすれば体にかけていた布団は落ちて、彼女の生まれたままの姿が晒される事になるのだが…。
「ふわぁ……おはようございます…一夏くん…」
「お…おぉ…おはよう美咲…。その…大丈夫か? 色んな意味で」
「そう…ですね…。腰が痛い…ですかね…あはは…」
「美咲もか…。お互いにめっちゃ腰振ってたしな…」
チラっと室内を見渡すと、明らかに『液体』が零れたと思わしき染みが至る所に付着していた。
それは、二人の『ハッスル』が布団の上だけでは収まらなかったという証でもあった。
「まだ朝の集合まで時間はあるよな?」
「そう…ですね。朝食の時間は7時半で、今は6時半ぐらいですね」
「一時間もあればなんとかなるか。まずは部屋を掃除しないとな」
「そうですね。でも、その前にうがいをしてきても良いでしょうか?」
「うがい? まぁ…別にいいけど…なんでだ?」
「まだ口の中が粘ついていると言いますか…。昨夜はいっぱい
「そ…そうだった…本当にゴメン…」
疲れた顔で起き上がり、美咲は洗面所へを歩いて行った。
一切服を着ていない状態にも拘らず、お互いに全く反応しないのは、それだけ見慣れてしまったということなのか。
「んじゃ、美咲がうがいをしている間に少しでも掃除をしておくか。いたた…腰が…」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
痛む腰を抑えながら、なんとか掃除を終えた二人は指定の食堂にて他の生徒達と一緒に朝食を食べていた。
「なんだろう…物凄くお腹が空いてて、朝ご飯が美味しいんだけど…」
「奇遇ですね。私もです。不思議とご飯が進みます」
二人並んで朝食を食べている姿が、いつにも増して絵になっていて、それを見て周囲がヒソヒソ話をする。
悪意ある話ではなく寧ろ、年頃の少女らしい色恋に関するヒソヒソ話だった。
そこへいきなり、ラウラがやって来て美咲の隣へと座った。
「おはよ~お二人さん。隣いいかな?」
「ボーデヴィッヒさん? ここで良ければどうぞ」
「ありがと」
別に断る理由も無いので、素直に座らせる。
そんなラウラであったが、なにやら美咲と一夏を見ながらニヤニヤしていた。
「な…なんだよ? 俺達の顔に何かついてるか?」
「ん~…何かついてると言いますか…。あ、そうだ。思い出した。日本じゃ『こーゆー時』には、こんな事を言うんだったっけ」
「「???」」
二人にはラウラが何を言いたいのかサッパリ分からず、揃って小首を傾げていたが、次の瞬間には見事に顔面を真っ赤に染めた。
「『昨夜はお楽しみでしたね』」
「「なっ!?」」
いきなり投げ込まれた爆弾発言。
それを聞いていた女子達は一気にワーキャーと騒ぎ出す。
「うーわー! 言っちゃったー! 私達がずっと気を利かせて黙っていた事を堂々と本人達の目の前で言っちゃったー!」
「ド…ドイツの女の子って大胆なのね…」
「あぁ…私達の美咲ちゃんが大人の階段を爆速で駆け上がっていく…」
「だがそれがいい」
「だから気に入った」
約数名、またジョジョ顔になっているが気にしない。
「あれ? 違った? 一応、私的には祝福の意味で言ったんだけど…」
「一体どこで、そんな言葉を知ったんだよ…」
「ネット。元はゲームの台詞なんだってね。知った時は驚いたよ」
「そう…ですか…」
意外過ぎる人物から意外過ぎる言葉を浴びせられる。
これで肉体的疲労に加えて精神的疲労まで加算された。
「と…ところで、なんで知ってるのですか…?」
「なんでって言われても…ねぇ?」
「うん。あれだけ大きな声で喘いでたら普通に分かるでしょ」
「「えぇっ!?」」
まさかの丸聞こえ状態。
流石にこれは全く想定していなかった。
「しかも、それだけじゃなくて体と体が激しくぶつかり合うような音や…」
「ドンドンと何かを叩くような音とかも聞こえたら…」
「誰だって感付くでしょ。ま、こっちとしては最高のオカズが出来たからよかったけど」
「「オカズって…」」
自分達の『行為』をズリネタにされても普通に困る…が、だからと言って『止めて』とは強く言えない悲しき立場のカップルだった。
「取り敢えず『おめでとう』とは言わせて。私達ずっと、二人の事を応援してたんだから」
「まさか、臨海学校で『合体』するとは思わなかったけど」
「これもまた青春の一ページよね~」
「随分と爛れた一ページだけどね」
「「だから気に入った」」
「また?」
からかう気が全く無いのはよく分かったが、それでも気恥ずかしいのには変わりがない。
「なんか、このまま皆で『おめでとう』って言いながら拍手とかしてたらテレビ版エヴァの最終回みたいになりそう」
「それはそれで全員がリアクションに困るからやめようね」
「というか、なんでテレビ版のエヴァとか知ってるのよ」
「ネットで見た」
「「「「ネットすげー」」」」
どうやら話がそれ始めた。
それを見てようやく二人はホッと胸を撫で下ろした。
「これさ…もう俺達の部屋が一番端である事の意味、殆ど無いよな…」
「ですね…」
結局、女将たちの気遣いは気休め以下だったということが判明し、今後はもっと節度を持って行動をしようと心に固く誓う二人であった。
因みにその後、朝食後に廊下で偶然にも女将と出会った時に、こんな事を言われた。
「さっき二人の部屋の様子を少しだけ見て来たんだけど…まさか、ゴムを全部使い切るとは思わなかったわ~。流石は若い二人ね。羨ましい限りだわ~」
「「女将さんッ!?」」
この女将、反省する様子が微塵も無かった。
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・
臨海学校二日目となる今日は、午前中から夜に掛けてまでずっと、ほぼ一日を使ってISの各種装備の試験運用とデータの取得に追われる事になる。
行うのは主に学園に配備されている訓練機なのだが、美咲や一夏のような専用機持ちにはまた別の仕事が待っている。
それは、国や企業から送られてくる各専用機用の武装のチェックなどだ。
「これで全員集合したな。誰一人となく遅刻せずに結構」
前に立つ千冬が全員を見渡しながら言ったが、その言い草だとまるで『誰か一人ぐらいは遅刻をする可能性があった』ように聞こえる。
「作業の前に…織斑。それに佐藤」
「「なんですか?」」
「腰の具合は大丈夫か?」
「「ぶっ!?」」
まだ何も作業をしていないのに、開口一番からブッ込んできた担任教師。
女将といい千冬といい、今回の大人は全く容赦がない。
「「だ…大丈夫デス…」」
「そうか。ならばいい」
「「ほっ…」」
流石に大衆の面前で深くツッコんでくる事はしなかった。
それぐらいの分別はつくようだ。
「さて…それでは、これより各班に分かれてから、予め振り分けられたISの各種の試験を行うように。お前達二人…と言うか、佐藤は会社から送られてきているであろう装備のテストを行え」
「了解です」
今回の臨海学校に際し、木星公社の方からファントムの為に開発された装備や、他にも戦力アップに繋がりそうな各種武装が送られてきている。
幸い、ファントムの拡張領域内にはバタフライバスターとクジャク、後はファントムライト用の緊急冷却用カートリッジぐらいで、割と空きはあったので普通に問題は無い。
「あの…俺は何をすれば?」
「織斑は佐藤の手伝いをしろ。お前の白式は追加で武装を付けることが不可能な機体だからな。ならばせめて、佐藤を手伝う事で少しでもISへの知識を深めろ。いいな?」
「分かりました」
千冬からの命令は、一夏としても有り難かった。
今後の為にISの事をもっと勉強しなければとは思っていたし、それと同時に少しでも美咲の力になりたいと考えていたからだ。
その両方を同時に叶えられるのならば、これ以上に嬉しいことは無い。
因みに、現在いる場所はIS試験用に用意された特別なビーチで、四方を切り立った崖に囲まれている、自然によって生み出された天然のシェルターのようになっている。
少なくとも、ここから海に出るには容易ではなく、一度海中に潜ってから海底トンネルを潜って行かなければいけないらしい。
「そういや、さっきからずっと気になってたんだけど…そこに置いてある木星のマークが書かれたデカいコンテナが、美咲宛てに送られてきた装備なのか?」
「そうですね。しかしまぁ…このサイズから考えて、随分と大量に送ってきたみたいです。幾らファントムの拡張領域に余裕があるからと言っても、使いこなせなければ意味が無いでしょうに…全く…」
「まぁまぁ…兎に角、俺達も始めようぜ」
「ですね。では、お手伝いお願いします」
「おう。任せとけ」
こうして、二日目の作業が始まった。
わるる~