ラブリーエンジェル美咲ちゃんの幸せ大作戦! ~み~んな幸せになぁ~れ!~   作:とんこつラーメン

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『貴重な青春の一ページ…甘酸っぱい…青春。んん~…いいですねぇ~。柄にも無く私もテンションが上がってきましたよ~! よ~し! 私達も学園祭に突撃しますよ~!』
『ちょ…隊長っ!?』
『私たち、入場券を持ってないんですけどッ!? 隊長~!?』








『学園祭』①

 遂にやってきた学園祭当日。

 幾度の話し合いの結果、一年三組の出し物として決まったのは…。

 

「結局…こうなりましたか」

 

 『純和風喫茶』だった。

 

「たはは…やっぱ、シロートの集団で凝った物をやろうとするのは無理があったね…」

「でもよくない? 少なくとも、一組や二組とは差別化出来てるよ?」

 

 教室内は見事に大正時代にありそうな喫茶店へと変貌していた。

 壁には木目調の壁紙を張り、床には畳を敷き詰め、入店する際には靴を脱いでもらうようにしている。

 そして、生徒達は全員が色とりどりの着物の上から真っ白なエプロンを着けるという、ちょっとしたコスプレっぽい感じになっていた。

 因みに、美咲はクラス代表と言う事もあってか、他の皆よりも少しだけ凝った衣装になっていて、普段は流している黒い長髪はツーサイドアップに纏め、結んでいる部分には専用機であるファントムに合わせて緑のリボンを付け、着ている着物もまた緑色で統一されている。

 

 インパクトと言う意味では、一組のメイド喫茶にも負けていなかった。

 実際、中々に客入りはよく、懐かしい雰囲気に惹かれてか、少年少女よりは大人の客の方が多く、一部の客に至っては懐かしさの余りに感動すらしていた。

 

「ドリンク系は緑茶を初めとした物にして、デザートも抹茶系を主力にする…か。ストレートだけど、変に攻めるよりはずっといいかもね。抹茶ケーキや抹茶パフェとか凄い人気だし」

「ヘルシーだし、普通に美味しいし、これはいいのでは?」

「これもそれも、美咲ちゃんが率先して頑張ってくれたお蔭だね」

「クラス代表として当然のことをしたまでですよ」

 

 純和風喫茶自体は美咲のアイデアではないのだが、いざ決まると美咲はその行動力を駆使し、見事に色んな所から資材やらデザートの材料やらを集めてきた。

 時には、木星公社のコネも利用していたほどだ。

 

「さーて…お店の方も流れに乗り始めたし、交代で休憩しないとね」

「まずは美咲ちゃんからどうぞ」

「え? 私ですか?」

「勿論。準備の段階から一番頑張ってた上に、今日も接客を頑張ってたじゃない」

「ま、普通に休んで貰うつもりは無いけどね」

「と言うと?」

 

 近くにいたクラスメイトが全員、物凄く良い笑顔でサムズアップをして美咲の肩を叩いた。

 その時点で猛烈に嫌な予感がした。

 

「休憩がてら、他のクラスの偵察をしてきて欲しいの」

「偵察…?」

「そ。てなわけで…」

 

 皆で美咲の背中を押し、廊下に押し出す。

 

「「「「まずは一組からいってらっしゃーい!」」」」

「そーゆーことでしたか…」

 

 休憩やら偵察やら言っているが、要は『とっとと一夏の所に行って、学園祭デートを楽しんで来い』と言っているのだ。

 美咲もその意図をすぐに察し、皆の好意に甘える事にした。

 

「それでは…行ってきます。ここはよろしくお願いします。何かあったらすぐに連絡をくださいね?」

「「「「はーい!」」」」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 と言う訳で、美咲はテクテクと廊下を歩きながら一組へと向かって行く。

 途中で制服に着替え忘れ、着物エプロンのまま来てしまった事を思い出したが『良い宣伝になるから良いか』と思い直して一瞬で割り切った。

 この辺は流石、学生でありながら社会人というところか。

 

「流石はIS学園の学園祭。こうして見ると、想像以上に賑わっていますね。後でeスポーツ部の方にも顔を出してみないと。部長が無双をしてお客さんを泣かせてないと良いのですが」

 

 美咲が所属しているeスポーツ部の部長は、テンションが上がると周りが見えなくなり、一切の手加減が出来なくなると言う悪癖がある。

 そのお蔭で世界レベルのゲーマーにまで上り詰めたのだが。

 

「ふむ…二組は中華喫茶と言う事でしたが、意外とお客は入っているようですね」

 

 一組に行こうとすると、必然的に二組の前を通ることになる。

 その際にチラっと覗いてみたが、行列こそ出来てはいないが、かといって空席も殆ど無い。

 良くも悪くも、まずまずと言った印象だった。

 

「…で、問題は隣の一組ですが…」

 

 一組のメイド喫茶は凄かった。

 見事に行列が出来ていて、メイド服を着た一組の生徒が『ここが最後尾』と書かれた立札を持っている。

 

「まぁ…まず間違いなく、一夏君の影響でしょうね…」

 

 一組には学園唯一の男子がいる。

 それだけでも客の目を引くには十分過ぎる効果を引き出していた。

 

「と言うか…見事にウチとは客層が違いますね…」

 

 一組のメイド喫茶に訪れている客は、その殆どが未成年ばかり。

 男性客は可愛らしいメイド服を着た女子生徒目当てで、女性客は一夏目当てで来ているのは明らかだった。

 

「これは…私も並ばないといけませんかね…」

 

 どうしようかと考えていると、中から美咲の姿を見つけた一組女子が入り口から顔を覗かせた。

 

「あれ? もしかして美咲ちゃん?」

「あ…どうも」

「うっわ~! 何その和風メイド! 超可愛いじゃん!! 三組は純和風喫茶とは聞いていたけど、どうやらウチの最大のライバルになりそうね…」

「いえいえ…流石にウチは行列までは出来てませんから…」

 

 今の所、一組の集客率は圧倒的だ。

 余程の事が無い限りは、これが覆される事は無いだろう。

 

「って、もしかして織斑君を呼びに来た感じ?」

「いえ…そういう訳じゃなく、休憩と偵察をかねてと言いますか…」

「織斑く~ん! 美咲ちゃん来てるよ~!」

「…聞いてます?」

 

 ガン無視された状態で女子が中にいるであろう一夏を大声で呼び出す。

 それだけで一気に周囲の視線が美咲に集中する。

 

「えっ!? 美咲が来てるのかっ!? すぐ行く!」

「一夏くん…」

 

 美咲の名前を聞いた途端、すぐにやって来る一夏。

 仕事はどうした。

 

「大丈夫! こっちは私達に任せて!」

「だから、一夏くんは美咲ちゃんの所にれっつらごー!」

「ありがとうな! んじゃ、行ってくる!」

 

 ただ様子を見に来ただけなのに、何故か青春ドラマの一ページみたいな感じになってしまった。解せぬ。

 

「待たせちまったな! み…さき…」

「別に、お仕事がひと段落ついてからでもよかったのですが…って、どうしました? 私の顔に何かついてますか?」

 

 一夏は執事服を着ていて、その体型と相まってかなりサマになっていた。

 その一夏だが、美咲の事を見た途端に一瞬で固まってしまった。

 

「か……」

「か?」

「可愛い…」

「へ?」

 

 いきなりのストレートな褒め言葉。

 不意打ちに近い一撃に、美咲も思わず顔を真っ赤にしてしまう。

 

「い…いや…その…着物を着た美咲って始めて見るからさ…。あと、その髪型も凄く似合ってると思う」

「あ…ありがとうございます…。一夏くんも、その執事服…よくお似合いだと思います…よ?」

「そ…そっか? 皆に無理矢理、着せられただけなんだけどな…」

「「…………」」

 

 普段見ないお互いの姿にドギマギしてしまい、二人揃って黙ってしまう。

 それと同時に、メイド喫茶では急にブラックコーヒーの注文が連発した。

 

「さ…流石は織斑君と美咲ちゃんね! 学園祭でも平常運転だわ!」

「念の為と思って用意しておいたブラックコーヒーの在庫が湯水のように消えていく~!」

「3番テーブルと7番テーブルもブラックコーヒーを注文してるわ! 急いで~!」 

 

 一組メイド喫茶、一瞬にして店内がブラックコーヒーの香りが充満した。

 

「なんかスゲーことになってんな…」

「皆さん、そんなにもブラックコーヒーがお好きなんでしょうか?」

 

 そんな訳がない。

 何も知らないのは本人達だけであった。

 

「邪魔しちゃ悪いし…そろそろ行くか?」

「そうですね。行きましょうか」

 

 そうして、ブラックコーヒー大量注文の元凶たる二人は一組を後にした。

 当然のように恋人繋ぎで手を繋いで。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 一方その頃。

 IS学園の校門前は、入場券を持った外来客で非常に賑わっていた。

 そこには、一夏に入場券を貰って来ていた中学時代の友人である『五反田弾』の姿もあった。

 

「す…すげー…これがIS学園かよ…。右を見ても女の子、左を見ても女の子…マジのパラダイスじゃねーか…! 一夏の奴…こんな天国みたいな場所で毎日を過ごしてるのかよ…!」

 

 歳相応に異性に飢えていた弾からすれば、IS学園はまさに楽園そのもの。

 それと同時に、入学当初に一夏が『緊張する』と言っていた意味も理解出来た。

 

「えっと…どうすればいいんだっけ? この入場券を、あそこにいる人に渡せばいいんだっけか…?」

 

 初めての場所故にオロオロとしていると、目の前にいきなり大人な男性の二人組が現れて、入場券を係の生徒に手渡していた。

 

「えーと…はい。確認しました。佐藤美咲さんからの御招待ですね。ようこそいらっしゃいました」

「うむ。ご苦労」

「なんで、そんなにも偉そうなんだよ…」

 

 片方は金髪ロン毛で右目の眼帯を付けていて、もう片方は黒い髪のショートヘア。

 二人とも共通して、まるでモデルのような体型と顔をしていた。

 

「それにしても、まさかお前と学園祭などと言うイベントに来るとは思わなかったなぁ~! そうだろう…キンケドゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

「それには激しく同感だけど、人前で大声で叫ぶなザビーネ。あと、今の俺はキンケドゥじゃなくてシーブックだ。何度言えば分かるんだ」

 

 大きな溜息を吐きながら頭を抱えるキンケドゥ。

 その姿を見て、一瞬だけ周囲の女性が足を止める。

 イケメンは、何をしていても絵になるのだ。

 

「全く…美咲の奴め。どうして、よりにもよって俺とザビーネの奴を誘ったんだ…。もっと良い人選があっただろうに…」

「ククク…なんだ? 私と一緒に出掛けるのはそんなに嫌か?」

「当たり前だ。お前と一緒にいて良いことなんて殆ど無い」

「そう邪険にするな。折角、美咲が与えてくれた機会だ。思う存分に楽しもうではないか」

「お前と一緒じゃ、楽しめるものも楽しめんわ。というか、どうしてお前が一番ノリノリなんだよ。お前は、こういったイベントとは最も縁遠いと思ってたけど」

「そうでもないさ。私とて、周囲とのコミュニケーションをする事の大事さは理解しているつもりだ。だから、飲み会も社員旅行も全て出席しているのだよ!」

「俺の想像以上にコミュ力が高かったッ!?」

 

 なんだか急にコントみたいな会話が始まったが、この喧騒の中では誰も気にしない。

 弾も、そんな二人の様子を横目にしつつ、勇気を振り絞って入場券を渡して、無事に学園の敷地内に入ることに成功した。

 その際に、入場券を手渡した女子生徒に惚れそうになったが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『どうやら、想像以上に学園祭の話が長くなりそうですね。当初は残り五話程度としていましたが、六話ぐらいになりそうな予感ですね。ま、この程度は誤差の範囲でしょう。いつもの事ですから』





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