ラブリーエンジェル美咲ちゃんの幸せ大作戦! ~み~んな幸せになぁ~れ!~   作:とんこつラーメン

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『ハジマリノヒ』

 青い空に幾多のミサイルが飛び交う。

 その中を、純白の装甲を持つ『空飛ぶ鎧』がミサイルを落としていき、自衛隊の戦闘機が謎の鎧をどうにかしようと奮戦する。

 

 その近くにある町の一角。

 とある一軒家が破壊され燃え上がる。

 家にはミサイルの破片のような物が突き刺さっており、これが原因で破壊と火災が起きたのは明らかだった。

 

 逃げ遅れてしまったのか、家の主と思わしき男が瓦礫の下敷きとなって上半身だけとなって倒れている。

 彼の身体からは夥しいまでの血が流れていて、どう考えても助からない。

 

「本当に…本当に…無意味な人生だった」

 

 まるで辞世の句でも残すかのように、男は静かに語り始める。

 

「何にも無く…そして、何にもなれなかった」

 

 目が虚ろになっていく。

 顔から生気が失われていく。

 

「僕は…人間として必要最低限の事すらも出来なかった…。きっと…誰の記憶にも、何の記録にも決して残らないだろう…」

 

 彼は手は男の目から、人生最後の涙が流れ、炎によって熱せられた地面に落ちた。

 

「幸せになりたかった…。誰かを…幸せにしてあげたかった…」

 

 無念。

 後悔。

 

 最後に浮かび上がった感情は、その二つだった。

 

「だから…だからこそ…『君』にだけは…どうか『幸せ』になってほしい…」

 

 男の目の前には『少女』が座っていた。

 セーラー服を身に纏い、黒く長い髪を持ち、丁寧に正座をして、微笑を浮かべながら男の事を静かに見つめていた。

 

「そして……誰かを………幸せ…に…………」

 

 それが、男の最後の言葉となった。

 

「……」

 

 男が動かなくなっても、少女は微動だにしない。

 

「…………」

 

 ただずっと微笑だけを浮かべ、ついさっきまで『男だった物』を見下ろす。

 

「…私は…貴方様に見つめて頂ける…それだけが唯一無二の幸せだったのですが……『創造主様』」

 

 轟々と家が燃え、全てが灰になっていく。

 

「何一つとして良いことが無く…苦痛と…悔恨に満ちた…人生でしたね…」

 

 町中で救急車やら消防車やらが走り回って救助活動を行っているが、ここに来る気配は微塵も無い。

 それどころか、周囲には人っ子一人もいなかった。

 

「誰かを幸せにと願うのならば…私は貴方を幸せにしてあげたかった。貴方に幸せになって欲しかった」

 

 焼けた屋根が崩れ、目の前に落下し『男だった物』を押し潰す。

 

「だけど…それはもう二度と…叶わない願い。私に残されたのは…貴方の『祈り(呪い)』だけ。本当に…本当に…酷い人…」

 

 空を見上げると、そこにはまだ白い鎧が飛んでいた。

 地上で起っている事には全く気が付いていないようだ。

 

 その後、無言で立ち上がってから、悲しそうな顔をしながら地面を見つめた。

 

だけど任せてくださいね!

 

 急に声が明るくなり満面の笑みを浮かべる。

 

最早『幸せ』と言うのが何なのかは全く分かりませんが!!

 

 両手を上げて、その場をクルクルと回り一人でワルツを踊る。

 

私は! 私を含めた皆を必ずや『幸せ』にしてみせますとも!!

 

 手をヒラヒラとさせ、何かお目出度いことでもあったかのように。

 

だって、それこそが貴方様の最期の願いなのですから!!

 

 瞬間、ピタっと動きが止まる。

 そして、狂ったように笑い出した。

 

「アハハハハハハハハハハハハ!! 待っていてくださいね!! 必ずや皆さんを『幸せ』で満たせてあげますからねぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ソシテ、スベテガハジマッタ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 












                  完






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