妖怪と巫女   作:みゆ379980

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生きる意味

 

 

月夜が照らす気高き巫女を、とある妖怪の男がじいっと見つめていた。

 

淡い光が巫女の美しさを際立たせている。男は目が離せなかった。

 

 

きっと運命だったのだろうと男は思った。俺はこのときのために生まれてきたのだ。そう思った。

 

凛とした背筋と美しいかんばせ、神に愛されたその容貌に男は見とれた。

 

男は反射的に声がでた。

 

「おい、おい! そこのおんな!」

 

「何か」

 

鈴の音のような、しかし、しっかりと、大地に根を張るような声だった。

 

「オレのつがいになってくれ!西国の大妖怪たる父の名にかけて、お前を幸せにすると誓おう!さあ、さあ!」

 

女は男の言葉は聞こえていないかのように言った。

 

「私はこの地を守る者。その為だけに存在している。おまえは悪い妖怪ではないね。見逃してあげるからどこか遠くへいきなさい。」

 

女はすげない態度で男の告白を断った。

 

女にはわかった。こやつは殺しを今までしていない。あまり力もないだろう。

 

「そいつはあんまりにも悲しいじゃねぇか!あんたにはいきる意味ってのがないのかい!?おれは今見つけたよ!あんたを幸せにすることだ!」

 

「とんだ変わり者だ。」

 

「俺の名前は●●というんだ。なあ、あんたの名前は?どこに住んでる?あんたのことが知りたいんだ。」

 

女は振り向いてどこかにいこうとする。男は女の後ろ姿に頬をぽおっとさせる。男はあわてて手を伸ばす。この機会をうしなったら二度はないと思った。男の表情は必死であり、とても二枚目の顔ではない。

 

「待ってくれ!あんたのすんでいる場所だけでも教えてくれ!どうか、このおれに機会をくれ!俺はまたここにいる。ずうっとずうっとここにいる。また夜に会おう、なあ、美しき巫女よ」

 

それが二人の出会いであり、そこから何年間も関係は続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ。今日は菓子を持ってきたんだ。俺の家来が寄越してくれた。そいつは頭がよくてうまく商売しやがんだ。マッ、俺ほどじゃねえけどな。」

 

「よく次々と法螺を吹けるものだ。おまえに学がないのは見ればわかる。」

 

普段の女はこんなに辛辣ではない。むしろ、村人には、丁寧な巫女として慕われている。

あけっぴろげに好意を示してくる男に対して、少し心を開いているのかもしれなかった。

 

「……だが、ありがたくいただこう。」

 

女は隠微であるが薄く微笑んだ。

 

 

 

「あっ、おっ、おう!そうだ!あ、あれはいるか?そう、花!花をあげたい、はぎは?なでしこは?ききょうは?オレ知ってるんだぜ、女にあげる花だ!」

 

「それは秋の花だろう。今は春だ。」

 

「えっそうなのか?」

 

女は笑った。男の顔はさらに赤くなった。

 

そこへ女の従者がきて言った。

 

「今日もきたんですかあなたは!○○さま、追い返しましょう!ぴょこぴょこと付きまとわれて迷惑です!村の人たちも妖怪なんて怖がります!」

 

「俺は人間なんか弱いものを害するような妖怪じゃねぇやい!

おまえかって○○の周りをぴょこぴょこぴょこぴょこ回ってンじゃねえか!!」

 

「なにおう!」

 

女はついに声を出して笑った。

 

「おまえたちは仲がいいな」

 

女はそういいながら思った。

 

自らの使命がなければ、この美しい世界をもっと楽しめるだろうか。

 

ズシンと重いこの責任は、私をどこまで縛り付けるのだろうか。

 

この呪いの土地を私が浄化しきったとき、神は私のささやかな願いを叶えてくれるだろうか。

 

 

 

女は立ち上がり、二人がいる方向へ歩く。

 

 

木々がざわざわと鳴る。

 

 

風が、応援するかのように、彼女の背中を押している。

 

 

 

優しい光が、彼女たちをキラキラと照らしていた。

 

 

 

 

 

ずっと小説が書いてみたかったので書いてみました ご意見よろしくお願いいたします 




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