妖怪と巫女   作:みゆ379980

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幸せ

明るくまたたく夜の星。森の木々は風に揺れ、喜ぶように踊っている。

 

魑魅魍魎は汚れによって力を増す。

 

差し出された巫女の手は光り輝き、戦がもたらした血と怨嗟は浄化され、元の肥沃な大地へと戻る。

 

このようにして巫女は森を守っているのだ。

 

 

妖怪の男は女の務めを木の影からそっと見つめていた。

 

 

 

「なあ、●●、そこにいるのだろう?でてきてくれないか? 」

 

女は隠れている男に声をかける。凛としながらもどこか優しげな声である。

 

男は木の影からでてくる。少し驚いたような顔だ。女が自分から男を呼ぶようなことはいままでなかった。

 

「おめぇから呼ぶなんて珍しいじゃねぇか」

 

「すこし話したかっただけだ」

 

 

女はおもむろに話し出す。

 

「お前には感謝している。こんな私を好いてくれた。

 

なぁ、どうか人間に絶望しないでおくれ。人間はとても残酷な面があるが、とても、とても尊い面があるんだよ。

 

どうか、私がいなくなっても人間を害さないでおくれ。頼んだよ」

 

 

「……」

 

なぜか男にはわかった。この女はもう自分と会わないつもりであると。

 

「えらい弱気じゃねぇか。おめぇらしくねぇな。この土地のわりぃ奴らにつけこまれるぜ。あいつら、いつか復活してやると目を光らせてやがるからな」

 

「あいつらは、私が死なない限りでてこないさ」

 

「おれはお前をあきらめねぇぜ。それに、おれは人間みたいに死なねぇ、なにがあっても生き抜いてやる! おまえがいる限りな! 」

 

女は笑った。

 

「……おまえはいつもまっすぐだな」

 

 

女は言った。

 

「お前に渡したいものがあるんだ。いつもお前には色々ともらっていた」

 

「おかえしなんざいらねぇよ」

 

「そういうな、こっちにこい」

 

女と男は近づく。

 

 

 

女は男を抱き締めた。

 

 

いい匂いがした。男は動けなかった。

 

 

 

『やさしく白き手をのべて 林檎をわれにあたへしは 薄紅(うすくれない)の秋の実に 人こひ初めしはじめなり

 

わがこゝろなきためいきの その髪の毛にかゝるとき たのしき恋の盃を 君が情(なさけ)に酌(く)みしかな』

 

 

 

「ゆるせ●●、さよならだ」

 

 

体が離れた。

 

男は動けなかった。

 

女は去っていく。

 

 

男は女を追って走る。しかし結界に阻まれた。森の仕業だ。森はこの女を一人にしようとしている。女をこの森のためだけに身を尽くさせようとしている。

 

男はたたく。結界をたたく。

 

「おれはあきらめねぇぞ! お前を絶対にあきらめねぇ! 」

 

男は叫ぶ。

 

「おまえは、幸せになっていいんだ! 」

 

男は叫ぶ。

 

「なあ、なんでこの時代に妖怪である俺が存在できるかわかるか!? 悪しき心を持つ妖怪が駆逐されたこの世界に!

 

おれには、生まれる前の記憶があるんだ!

 

人間の記憶だ! おれは人間でありながら妖怪でもある。

 

なあ。おまえと似てねぇか!? 人間でありながら森を守る巫女であるおまえと!

 

おれにはおまえの気持ちが少しだけわかる。 つれぇさ! 人間にとってはこの命は長すぎる!

 

お前も一人だろう? おれも一人さ! でもお前に会って世界が変わったんだ! 」

 

 

女の姿が見えなくなっていく。

 

 

男は女の幸せを心から願う。

 

 

大好きな人が幸せであるように、今すぐに、毎日幸せであるように

 

 

男はありったけの力をこめて叫ぶ。

 

 

「おれは必ず、お前を幸せにする! 」

 

 

何度でもあなたに伝える、

 

 

疑いの無いディスクール。

 

 

 

 

 




書く毎に未熟さを痛感します 
アドバイスよろしくお願いします 

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