静かなる氷の剣士~改~   作:月読 政宗

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 設定を更新したのでそちらから見ることをおすすめします。

 サブタイトルには特に意味はないです。


第三話 救援要請

「アアアアアア」

 

 断末魔と共に頸を切られた鬼は消滅していった。

 

 鬼を切った青年,氷川翔琉は消滅を見届けてから日輪刀を鞘に収めた。

 

「…あの,ありがとうございました」

 

 木陰から女の子を連れた母親が姿を見せた。母親の方は翔琉に向かって頭を下げた。

 

「間に合ってよかった。怪我はしていないか?」

 

「私は大丈夫です。でもこの子が転んで足を擦り剥いたようで」

 

 翔琉が改めて女の子を見ると確かに膝のあたりに血がにじんでいた。

 

 翔琉は女の子に近づいてしゃがみ頭をなでた。

 

「よく頑張った、すぐに手当てをしよう」

 

「カァーカァー,コッチヨ」

 

 すぐに翔琉の鎹鴉が隠を数名連れてやってきた。

 

「お疲れ様です。氷柱様、状況は?」

 

 隠の一人が翔琉に声をかけてきた。

 

「鬼は討伐完了した。襲われいた2名も大きな怪我はないが女の子が軽症だ。手当てを頼む」

 

「了解しました」

 

 隠達はすぐに手当てをしたり、親子と話をしていた。鬼に襲われている人たちは始めて見る得体のしれないものに恐怖を覚えることもあるため、保護したりまた鬼殺隊は政府非公認の組織と為、ある程度の隠蔽が必要なので隠はそれらを補っている。

 

「氷柱様、作業は終了しました」

 

 さっきとは別の隠が報告に来た。翔琉は少し離れたところにいたので隠の近くに寄って指示を出した。

 

「ご苦労だった。後のことは任せる。何かあれば報告を頼む」

 

 翔琉は撤退を指示して自身もその場から立ち去ろうとした。

 

「待って、お兄ちゃん」

 

 幼い声が翔琉を呼び止めた。先ほど助けた少女だった。

 

「どうした?」

 

「助けてくれてありがとう」

 

 翔琉が振りかえると少女は笑顔で礼をいった。

 

「無事でよかった。元気でな」

 

 こうして翔琉は親子と別れて再び暗闇へと向かっていった。

 

 

 小走りしながら、翔琉は自身の鎹鴉である桔梗に話かけた。

 

「桔梗,他に鬼の情報は?」

 

「特ニ来テナイヨ」

 

「分かった。このまま警備を「カァァァカァァァ救援要請アリ救援要請アリ、直チニ向カッエ」

 

 別の鎹鴉がけたたましく泣き救援要請の知らせを持って来た。

 

「桔梗,周辺の偵察を頼む。すぐに向かう。案内しろ」

 

 翔琉はすぐにその鴉の案内で現場に向かって走り出した。

 

 

 

 

 翔琉が案内されたのは、小さな村の外れにある平原だった。何故こんな見晴らしのよい場所なのかと翔琉は少し疑問に思うも急いで向かっていた。

 そこでは何人かの隊士が倒れていて、真ん中が一人の女性隊士が劣勢ではあるがなんとか粘っていたがとどめを刺されそうになっていた。

 翔琉はそれを見て次の瞬間、地面を強く蹴り凄まじい速さで鬼に近づいた。

 

「アァ?なんだお前は?」

 

「俺は氷柱,氷川翔琉」

 

「フハハハハ,柱だとそうかお前を倒すと俺も十二鬼月になれるのか。よしお前をぶっ殺して強くなるとしよう」

 

 鬼はそう言うと翔琉から少し距離をとり、血鬼術を繰り出してきた。

 

「血鬼術,泥人形」

 

 鬼は地面に手をついた。すると、地面から泥が動き鬼と全く同じ姿になった。しかも3体いる。

 謎が解けた。今、翔琉のいる平原は見晴らしこそよい場所だが足元が少しぬかるんでいる。恐らくは少し雨が降った後なのだろう。

 鬼は本来自分の血鬼術を活用出来る場所に生息していることが多い。実際に翔琉もそのような鬼と遭遇したこともある。

 今回の場合だと、この鬼の思うがままにこの場所に誘われて他の隊士たちはやられたのだろう。

 

 

「さあ、行け」

 

 本体の指示で翔琉の元へと3体の人形は駆け出してくる。

 

「少し離れていた方が良いぞ。巻き添えを喰らう」

 

「は、はい」

 

 

 女性隊士に忠告して翔琉は日輪刀を構えた。その刀身は薄く透き通った水色をしている。

 

 三方からの攻撃が来ても翔琉は一切動じることなく動いた。

 

「氷の呼吸 壱ノ型 初氷」

 

「…は?」

 

 本体の鬼は呆気にとられていた。それもそのはず。翔琉を攻撃しようとしていた人形たちの拳が凍っていたのだから。

 

「肆ノ型 冷気流」

 

 翔琉は後ろに下がりつつ刀を縦に一振りした。すると、剣圧と共に冷気が人形たちを襲い泥人形は全身が凍って動けなくなっていた。

 

「う、嘘だろ,柱ってこんなに強いのか?」

 

 本体はあまりの力の差に絶望したかのようだった。

 

「こんなところでやられてたまるかぁ!血鬼術,泥爆弾」

 

 自暴自棄になり鬼は周囲に泥を飛ばしまくった。

 

「!まずい 氷の呼吸 参ノ型 氷雨」

 

 翔琉は少し慌てて泥を相殺しようと斬撃を放った。

 周りには倒れて動けない隊士たちがいる恐らく何名かはもう助かる見込みがないのかも知れないが息をしている者も確認出来る。これ以上の犠牲は避けたいと考えた。

 

 数秒間の攻防は翔琉がなんとか全て切ったことで決着がついた。

 

「まだだ,泥爆弾」

 

 今度は標的を翔琉に絞り込んでうってきた。

 

 とはいえ翔琉は全て切り伏せた。

 そして頸を狙って切りかかっていった。

 

「これで終わりだ」

 

 鬼の頸が落ちて決着がついたのだ。

 

 

 翔琉は刀を収め鴉に指示を出して倒れている隊士たちの元へと向かった。

 

 結果は6人のうちの二人とすんでのところで助けた一人のみだった。

 

 

 やがて先ほどとは別の隠が到着して事後処理を始めた。

 翔琉は周囲を警戒しつつ指示を出していた。

 どうやら近くの村の人が消えてしまうからと調査に来ていたと分かった。村人たちは音が聞こえて様子を見に来ていたらしくもう大丈夫と知る口々に礼を述べた。

 

「氷柱様、少しよろしいでしょうか?」

 

「終わったか?」

 

「ええ、ある程度の処理は終わりましたがまだ亡くなった方たちの埋葬などやることが残っています。そこで相談ですが、人手が足りないので負傷者の人を一人運んで貰えませんか?」

 

「分かった。もうすぐ夜明けだからこれ以上の任務は来ないはず。ここから近いのは藤の家よりも蝶屋敷にいこう。連絡はしておこう」

 

「ありがとうございます。それでは出発の準備をして参ります」

 

 翔琉は手紙を書き呼びかけた。

 

「菊丸,来てくれ」

 

 翔琉の呼びかけに答えて姿を表したのは鷲だった。その名も菊丸といい、翔琉がまだ修行をしていた頃に雛鳥でご飯をあげたところ迷子になっていたのかそのまま懐いてしまい一緒にいる。言葉は話せないが鴉よりも速くて力もある為、非常に優秀な翔琉の相棒である。

 

「菊丸,この手紙を蝶屋敷まで頼むよ」

 

 

 菊丸は頷いて翔琉の腕から飛び出していった。

 

「さて,待たせたな。誰を運べば良い?」

 

「こちらの女性をお願いします」

 

「宜しくお願いします」

 

 先ほど最後まで一人で戦っていた女性隊士だった。

 

「彼女は足を痛めていて無理はさせられないと判断しました」

 

「承知した。それじゃあ,失礼するよ」

 

 翔琉は横抱き,いわゆるお姫様抱っこの要領で抱えた。

 

「どこか不備があったら行ってくれ。出来るだけ気をつけて進むから」

 

「はい。あ,ありがとうございます///」

 

 女性は頬を赤らめて礼をいった。

 

 

 翔琉は蝶屋敷へと向かっていった。

 

 

 

 




 桔梗…翔琉の鎹鴉でまだ新人だが優しく丁寧な女の子で翔琉の信用も厚い。桔梗の花言葉の『誠実』『気品』をモチーフに翔琉が名づけた。

 菊丸…翔琉が修行中に助けた鷲で翔琉とは仲が良い。菊の花言葉の『高潔』『高貴』がモチーフである。伊黒の鏑丸、宇髄のムキムキネズミ枠

 女性隊士…翔琉が助けた隊士。今後と活躍に期待

 花言葉に特に意味初ないです。名前をどうしようと考えた時に思いついたのでつけました。

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