俺は目の前にいる若いジンオウガと対峙していた。実力的には俺が上だが、派手に暴れまわると村が壊れるからな。
「とにかく。こっち来ーい!」
『グォーン!!』
反応した。けど、あと一歩足りない。仕方ない。死にたくはないが、この方法で誘うか。
「肉だぞー!」
『グ』
「グ?」
『グォーン!!ハァハァ』
き、来ーた!?しかも全力で!!
ギルマス、俺死んだかも。あとは任した。
「ウオォォォゥ!!」
俺は、夕陽を追いかけた。俺の後ろに女の子がいればなお嬉しい。
現実は甘くない。女の子じゃなくて、男の子?オスが正解か。オスの若いジンオウガが後ろを追いかけて来た。
あ、しょうもないことだけど。今、夜だよ。リアルじゃなくて。リアルもだけど。この世界ね。
俺は電波を感じた。
同じく。
俺はYDをしているけど。
死にかけています。霊峰で。
私、テンパっています。
俺、茫然しています。
眠い。父さんどこ?
うえぇん!!母さん、父さん、お兄ちゃん!!
閑話休題
あれから二日。ラインは眠り肉で若いジンオウガを捕まえた。そして、擬人玉グレートで擬人化態にさせた。
あまり戦わないで勝つ。これ名言。
ちなみにラインの出番はもうありません。
「そ、そんなー!?」
ユクモ村の屋根の上。そこに対峙していたのは一夏とジンオウガと名乗る謎の人物。二人は己の武器で戦いを挑んでいた。
この二人の特徴は速さを生かした連撃だ。
一夏は剥ぎ取りナイフと投げナイフを使った連撃と牽制。
ジンオウガと名乗る人は左右非対称のジンオウガの双剣の連撃、相手の攻撃をかわす動体視力。
この勝負の行方はどちらかが先にスタミナが切れた時に決まる。
ジンオウガと名乗る人物の連撃を最小限にかわし、受け流しカウンターを食らわせる。
一夏のナイフによる連撃を最小限にかわし、間合いをとって反撃の出ている。
一見、互角に見えるが押されているのは一夏の方だ。原因は経験だろ。
一夏が居た世界の国は平和な国が多い。しかも、日常の中で危険なことと言えばケンカや殺人などだろう。いくら武道や武術をしていても実戦を経験している人と戦えば一夏が負けるのは当たり前。
しかし、押されているとはいえ一夏が互角に戦えている理由は前に体験したとか、元からあるセンスだろ。
さらに一夏は戦いながら経験が足りない分、この戦いで有利に振る舞おうと辺りにある物を使って戦っている。それに一夏はこの戦いだけで短期間で戦い方を学んでいる。
いわば、戦闘に特化した才能と言っても過言でもない。
現に一夏はかわしや受け流しを使い相手の急所をカウンターで狙っている。
この戦いの終わりは近い。
ジンオウガと名乗る人物のことギンナは内心焦っていた。目的のモンスターが近くにいるというのに。その先に進めないことに苛立っていた。
ギンナの目の前にいる人物、一夏は強い。気を抜けば一瞬でやられてしまうというの見える。
だが、実戦経験がないだけありがたい。もし、経験があったらギンナはよくて捕まるか悪くて死ぬという位危険なことである。
もうじき夜明けが近い。さっさとけりを着けないと殺しにいけない。
目の前にいる人物は強いと思う。
けど、ここを突破されれば誰かが死ぬ。それだけはわかる。
リミットは夜明け。それまで耐えられれば一夏の勝ち。
だけど、投げナイフの数が少ない。しかも、剥ぎ取りナイフがひびが入っている。なにかいい武器があれば……。
「父さーん!!」
「稲妻!?何でいるんだよ!」
「し、心配で」
「見つけた」
「しまった!?」
なにか武器が、武器があれば!?
「父さんこれ! 」
稲妻が投げたのは宿に置いてきた武器だった。
それを掴み、斧になっている所を解除して盾をジンオウガの人物に投げた。
それに反応したジンオウガの人物は弾き返した。盾を弾いたところには一夏がいた。
「うおぉぉぉ!!」
峰で叩いた。その力で飛んだジンオウガの人物に追い打ちをかけるように宙にあった盾を持ち殴った。
「きゃぁぁ!?」
ジンオウガの人物は村の外まで飛んでいった。
「おい、一夏大丈夫か!?」
「父さん、父さん」
「…うぅ。し、師匠?稲妻?俺はどうしたんだ?」
「お前は謎の人物を飛ばしたあと気絶したんだ」
「そうですか」
「父さんごめんなさい!!」
「どうしたいきなり?」
「僕が来たから怪我したんでしょう?だから僕が悪いのごめんなさい」
「大丈夫。稲妻が来なかったら俺死んでいたんだぜ。ありがとう稲妻」
「もう少し寝ていろ」
「はい」
ユクモ村狩猟大戦修了