ネタ募集消化
ぐぅ。
「・・・・・・・うーん、お腹減った」
マイルームでレポートを書いていると、腹の虫が鳴る。ふと時計を見ると、もう夕食の時間だ。
「・・・・・・・えーと、今日は確か・・・・・・・」
ゴッホちゃんが作ってくれる日だ。
そう、あの日からゴッホちゃんは週に一度くらいのペースで私に夕食を作ってくれるようになった。
・・・・・・・本来の目的は、私に自分を食べてもらうことらしいけど。
今の所は自分の切り身を料理に混ぜ込むなどと云うことはなく、問題ないので良しとする。
考えると頭が痛くなってくるし。
・・・・・・・そう言えば、ゴッホちゃんの切り身って、どんな味がするんだろう。
酢醤油で和えてとか言ってたけどやっぱり刺身みたいな感じなんだろうか?
「・・・・・・・・・・・・・・いやいや、何言ってんの私」
首を振って頭に浮かんだ冒涜的アイデアを掻き消す。
何でこんなことが思い浮かんだのか。
閑話休題。
さて、肝心のゴッホちゃんの料理の腕だが・・・・・・・・・・・・・・意外にも彼女の料理の腕はかなりのものだ。
正直、驚きだ。一応ゴッホ・・・・・・・ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの記録を読んだことはあるけど、大体貧乏生活だ。ええと・・・・・・・彼の弟、テオドルス・ヴァン・ゴッホに当てた私信によると、数回しか温かい物を食べたことがないとか。
パン、コーヒー、タバコ。それが彼が口にしていた全てとも。
正直、料理をしていたとは思えない。
それなのに、あんなに美味しいなんて。
彼女が作ったシチューの味がリフレインする。彼女の記憶の故郷、オランダの。
肉汁のソース滴る、ビーフシチューのような味わいの美味しいシチュー。
また食べたいと思うほどの、温かい味だった。
「・・・・・・・ああでも、ゴッホちゃん元から料理出来てたような」
バレンタインの記憶が蘇る。
ゴッホちゃんが作ったチョコマリナード。
さっぱりして美味しかった。沢山作って沢山貰う中で、ああいうあっさりしたものがあると胃に優しい。
あれは確か、地中海の料理だっけ。彼女の身体の故郷、ギリシャの。
ここから考えると、料理自体は出来るけどしなかった、あるいは生前出来なかっただけで今は出来るようになった、とかだろうか。
・・・・・・・そう言えば、この時もゴッホちゃんは私に食べてもらおうとナイフを渡してきたっけ。
そんなに私に食べてもらいたいんだろうか。
掻き消したはずの冒涜的なアイデアが蘇る。
・・・・・・・・・・・・・・本当に、食べて良いんだろうか。
「・・・・・・・・・・・・・・いや駄目でしょ」
正気に戻って否定する。
にしてもこんなアイデアが浮かぶなんて。
「・・・・・・・これが胃袋を掴まれたって、やつ?」
何だかこの前そんな妄言を言っていた気がする、と壁に掛かった彼女の絵を見ながら苦笑する。
「・・・・・・・何だか、ゴッホちゃんに囲まれてるみたい」
彼女の作った食事を一緒に食べて、彼女の描いた絵を鑑賞する。
気づけば生活の一部にゴッホちゃんがいる。それは楽しい生活だけど、ゆっくりと彼女に縛り付けられていくような。
既に胃袋を掴まれているし。
「・・・・・・・なんかこのままじゃいけない気がする」
深みにハマって行っている気がする。このままだと、取り返しが付かなくなるような。
「・・・・・・・どうしようかな」
腕組みしながら考える。
その時、壁にかかった彼女の絵が目に入る。
一緒に食卓を囲む、私とゴッホちゃんの絵。彼女に習作と言われて押し付けられたものだ。気に入ってるので壁に飾ってる。
「・・・・・・・なるほどね」
ふと名案が思い浮かぶ。
目には目を、胃袋には胃袋だ。
私も料理を作ってゴッホちゃんに振る舞おう。
幸い、料理なら自信がなくもない。ちょくちょく厨房は使ってるし。
「・・・・・・・あれ、でもゴッホちゃんどんな料理が良いんだろう・・・・・・・」
思いついた案に早速暗雲が立ち込める。
胃袋を掴むと言っても、何が好きなのかわからないと。
「・・・・・・・どっかでさりげなく聞けば良いか」
名案と言う割には随分行き当たりばったりな気もするけど、まあ良いや。
「さて、今日はなーにかなー」
気持ちを切り替える。
夕食を楽しみにしながら、彼女を待つ。
やがて、コンコンとドアが叩かれる。
「はーい、どうぞー」
扉の向こうで待つ誰かに半分確信を抱きながら、招き入れる。
「エヘへ、失礼します立香様・・・・・・・本日も、一緒に・・・・・・・」
入ってきたのは、予想通りゴッホちゃんだった。いつものように、料理を載せた手押し車を押している。
「うん、一緒に食べよ。今日は何?」
「今日は・・・・・・・えっと、そうですね、少々趣向を変えまして地中海料理をメインに、デザートにフラーイを・・・・・・・」
言葉通り載せられた料理はアクアパッツァや魚介サラダなど、海産物を中心にしたものだ。端っこにパイみたいなものが置いてある。
「今日は地中海の方がメインなんだ、珍しいね?」
彼女は普段オランダ料理を中心に作り、地中海・・・・・・・ギリシャの方はサイドになりがちだ。
「エヘヘ・・・・・・・お肉も良いものですが、お魚もたまにはガッツリと行きたく・・・・・・・」
「ふーん」
そう言えば、魚も好きって言っていたっけ。
確かに彼女が作るオランダ料理は肉料理が多い。ズンデルトが内陸部というのも大きいのだろう。
・・・・・・・なるほど、魚が好き、か。良いこと聞いた。
「・・・・・・・その、迷惑でしたか?」
「ん?いや、私も魚料理は好きだよ。だから作ってくれて嬉しいよ。ありがとう、ゴッホちゃん」
「エヘヘ・・・・・・・良かった・・・・・・・では、食べましょう・・・・・・・」
「うん」
食事を食卓に並べて、向かい合って座る。
手を合わせて
「「いただきます」」
お互いにそう言って、食事を始める。
いつも通り彼女の料理は美味しい。
温かい食事の時間が流れていく。
「・・・・・・・どう、ですか?」
「うん、いつも通り美味しいよ」
ゴッホちゃんに味の感想を聞かれたので素直に答える。
実際のところ、彼女の料理は回を経るごとに美味しくなっている。きっと、影で練習しているんだろう。
それに、彼女の料理には彼女の気持ちが沢山込められている。だから、温かくて、舌に感じる味以上に美味しい。
・・・・・・・たまに火傷しそうな熱さだけど。
「・・・・・・・エヘヘ、良かった。・・・・・・・実は、今日の料理はゴッホにとって初めて挑戦するもので・・・・・・・美味しく出来ているか、少し不安だったんです・・・・・・・ウフフ・・・・・・・」
「・・・・・・・そうなんだ。凄いね、ゴッホちゃんは」
「ウフフ、それほどでも・・・・・・・エヘヘ・・・・・・・」
純粋な賞賛が口から出る。
・・・・・・・初めて作ったんだ、これ。
アクアパッツァの味は、初めて作ったとは思えないほど美味しい。
彼女の料理の腕は料理を作るたびに上がっている。
しかし、彼女は絵を描くことをおざなりにしていない。以前と変わらないペースで定期的に習作が送りつけられてくる。
正直凄いな、って思う。
ああ、そんな彼女が──────とても、眩しい。
何でだろう。
最近彼女を見ていると、たまにキラキラして直視出来ない時がある。
まさにちょうど、今みたいな時だ。
「・・・・・・・立香様?どうしましたか?」
「えっ?いや、ううん、何でもないよ」
考え事に気を取られて、思考が止まっていた。
慌てて取り繕う。
「そうですか?なら良いのですが・・・・・・・」
「うん、大丈夫。ごめんごめん」
気を取り直して、食事を続ける。
美味しい。
しばらく後。
諸々の片付けや雑事を終えて、ゴッホちゃんと別れ部屋に戻る。
ゴッホちゃんはやりたいことがあるらしいので今日は私一人だ。
「さて、寝るかぁ・・・・・・・」
食器を洗いに行ったらついでに雑用などが舞い込んでつい遅くなってしまった。
灯を消してベッドに潜り込む。
「・・・・・・・この気持ちって何なんだろう」
暗い部屋の中、今日彼女に抱いた感情について考える。
憧れや嫉妬・・・・・・・とは違う気もする。
ゴッホちゃんのことは凄い、と思ってるけど別に私は絵を描くわけじゃないし。
尊敬・・・・・・・近い気もするけど、なんか違う。
「うーん・・・・・・・」
何であんな眩しいんだろう。
ゴロゴロベッドの上を転がりながら考える。
「・・・・・・眠れないや」
考え事してたら目が冴えてきた。
「・・・・・・はぁ」
こんな時は本でも読もう。
灯をつけて本棚に立つ。
「・・・・・・ん?」
ある本が目に止まる。
その本は、所謂恋愛系の書物だった。恋愛指南書と言うべきか。
こんな本置いた記憶無いんだけど。
だけども何故か気になって本を取る。
「恋?恋かぁ・・・・・・うーん?」
恋。
ゴッホちゃんのことは、好きだ。なにしろ召喚してから気づいたら一緒に過ごしている。嫌いなわけがない。
だけど、これが恋なのか親愛の感情なのか、わからない。彼女とは一緒に過ごしたいし、ゴッホちゃんが料理を作ってくれたり、絵を贈ってくれることは確かに嬉しいんだけど。
恋にしては暗い気がするし、親愛にしては強い気もする。
パラパラと本のページをめくる。
「・・・・・・ん?」
ふと違和感を覚えて、めくる手を止める。
そこには、『胃袋を掴め!』と書いてあった。
何だか聞き覚えのあるワードだ。
気になってそのページを読むと、何だか見覚えのある誰かさんの顔が頭にチラつく。
「・・・・・・・もしかして」
ゴッホちゃんも、この本を読んでたのかな?
改めてタイトルを見直す。
・・・・・・・うん、どこからどう見ても恋愛について書かれた本だ。
もし、彼女がこの本を読んでいたら。
「・・・・・・・・・・・・・・」
そう思うと。かぁぁぁぁっと、顔が熱くなる。
もし最近のゴッホちゃんがこの本の通りに、行動していたとしたら。
そう思うと、心が熱い。
それは、彼女が──────
「・・・・・・・いやいや、そうとは限らないし」
首を振っても、顔の熱さが消えない。
一度その考えに辿り着いてしまうと、なかなか振り払うことができない。
しかし。
「・・・・・・・・・・・・・・いや、でも」
心の何処かが、私の浮つく部分を水に沈める。
「・・・・・・・私は」
彼女がもし私の考え通り──────私を、恋愛対象として見ているのなら。
それは、私も彼女に恋していたのなら、嬉しい、と言うべきなのだろう。
だけど、私は──────彼女に抱くこの想いが何なのか、わかっていない。
ゴッホちゃんが私に恋していたなら、とドキドキはする。でも、私は彼女を恋愛的に好きなのだろうか?
わからない。
「・・・・・・・・・・・・・・」
ベッドの上で悩み続ける。
気づけば、時計は朝を示していた。
「・・・・・・・とりあえず、いつものお礼に今日は私が作ろうかな」
一旦この気持ちについて考えるのはやめて、昨日思いついた案を実行することにする。
彼女ほどではないかもしれないけど、私も色々作ってきた身だ。
頑張ろう。
だけど、まずは。
「・・・・・・・」
寝不足の頭を叩き起こし、日課のレポートとかやらなきゃいけない仕事に取り掛かる。
時計の針が夕方を指し示す頃。
「エミヤ〜厨房貸して〜」
「それは構わないが・・・・・・・随分酷い顔をしているな、立香」
「ちょっと寝不足で・・・・・・・」
「・・・・・・・大丈夫なのか?」
「・・・・・・・うん、目は覚めてるから大丈夫」
「なら良いが・・・・・・・ほどほどにな」
その時、ふと思いつく。
もしかしてエミヤなら、この気持ちがわかるのかな?なんか経験豊富そうだし。
寝不足で理性が落ちてることもあり、つい口が動く。
「ねえエミヤ」
「む。何だろうか」
「恋って・・・・・・・何?」
その瞬間。
エミヤが大きく咳き込む。
「な、何故そんなことを・・・・・・・本当に大丈夫か、立香?」
何故かエミヤは狼狽してる。
そのエミヤに何でだろう、と思いながら、事情を軽く説明する。
「・・・・・・・なるほど、そういうことか」
「・・・・・・・うん」
「しかし、何故私に?」
「・・・・・・・何だか、経験豊富そうだったから」
そう素直に答えると、またエミヤが動揺した。
「・・・・・・・そ、そうか。そう見えるのか、私は」
「?うん」
何を今更、と思う。いつかのキャンプでの服装は、完全に慣れてる人のソレだったと思うけど。
「そうか・・・・・・・」
何だかズーン、とエミヤが落ち込んでる気がする。
「大丈夫?」
「・・・・・・・いや、大丈夫だ。それよりマスター、君の質問に答えよう」
「ほんと?」
「・・・・・・・ああ。まあ何というか、君の気持ちは側から見ればわかりやす過ぎるくらいにシンプルだ。別に私でなくてもわかるだろう」
「・・・・・・・そうなの?」
私はわからないのに。
「ああ。分かりやすすぎる。バレバレだ」
「・・・・・・・それは」
固唾を飲んで答えを待つ。
「何、君は惚れているのさ。彼女にね」
それはある意味では予想通りの言葉。
でも。
「ただ、後ろめたく思っているだけだ」
「後ろ、めたい・・・・・・・」
「君のことだ。きっと彼女とは対等でいたいのだろう。だから、もらってばかりいる今が苦しくなる。彼女の愛が眩しくなる。それだけだと、私は思うがね」
その言葉が私の心にカチリとハマる。歯車が、回り出すような感覚になる。
「・・・・・・・そっか」
「さて、助けになったかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
心が熱い。彼女への感情。それは親愛の情ではなく、恋心だった。
ただ、受け取る愛を返せなかったから後ろめたかっただけ。
そんな簡単なことに気づかなかったなんて。
恥ずかしくて顔が熱い。
「立香?」
「っ⁉︎な、なに⁉︎」
声をかけられてつい甲高い声が漏れる。
「いや、大丈夫なのかと思って聴いただけなんだが・・・・・・・どうやら、問題無さそうだな」
「・・・・・・・うん」
エミヤの言う通り、私の心は晴れていた。恥ずかしいけど。
「力になれたようで何よりだ。・・・・・・・ただ、私は君が思うほどプレイボーイではない、とは覚えておいて欲しい」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「おい、何故そんな目で見るんだマスター」
多分エミヤは無自覚なプレイボーイだな、とさっきの行動から再認識する。ドンファンに違いない。
「・・・・・・・はぁ。まあ良い。いや良くないが。それで?今日は何を作るんだ?」
若干呆れた調子のエミヤに聞かれて本来の目的を思い出す。
「あっ、そうだったそうだった。ゴッホちゃん用に料理を作りたいから、魚とか欲しいなって」
厨房からいつかエミヤに貰った調理セットを引っ張り出しながら、欲しいものを言う。
「ふむ、魚か。・・・・・・・丁度刺身用の魚や小魚、海老や野菜などがあるが、どうする?」
「あ、じゃあそれお願い」
献立は決まった。
さあ、調理を始めよう。
調理が終わったのでゴッホちゃんを呼びに行く。
「ゴッホちゃん、一緒に食べない?いつものお返しに、今日は私が作ってみたんだけど・・・・・・・」
少し不安になりながら、彼女に訊いてみる。もしかしてゴッホちゃんもこの前、同じ気持ちだったのかな。
「!そ、それは・・・・・・・立香様の手料理、ということで⁉︎」
「う、うん」
明らかに食いつきの良い彼女の反応に、ちょっとたじろぐ。
「ウフフ、それならもちろん・・・・・・・喜んで!」
「良かった。じゃあ一緒に部屋に行こう」
「はい!」
まずは第一段階成功、かな。
彼女と一緒に部屋に向かう。
部屋に戻り、食器を並べる。
「立香様、これは?」
そこに並んでいたのは──────刺身と天麩羅だった。所謂、刺身定食という奴だ。
「・・・・・・・その、昨日お魚をガッツリ食べたいって言ってたから、和食で、魚を中心にしたメニューにしてみたんだけど、どうかな?」
「・・・・・・・ウフフ、嬉しいです・・・・・・・!それに、これはニホン・・・・・・・ヤポンの料理ですよね?ゴッホにとっても、好きな料理です!」
「・・・・・・・良かった。じゃあ、食べよう」
一瞬不安になったが、ゴッホちゃん的には嬉しいようで良かった。
席に付き、食事を始める。
「「いただきます」」
しかし、そこで致命的なミスに気づく。
「・・・・・・・あ。ゴッホちゃん、お箸使える?」
そう。寝不足でうまく回っていない頭だったから、彼女用のスプーンとフォークを用意するのを忘れていた。
取りに行こうか、と立ち上がるも、ゴッホちゃんに袖を掴まれる。
「・・・・・・・ウフフ、そんなのより、良い方法がありますよぉ・・・・・・・」
「良い方法って・・・・・・・」
「・・・・・・・立香様が、ゴッホに食べさせてください」
それは、結構恥ずかしい提案だった。
でも、周りには誰もいない。
「・・・・・・・しょうがないなぁ」
「ウフフ、ありがとうございます・・・・・・・」
こうして、奇妙な食事が始まった。
小魚の天麩羅を箸で摘み、彼女の口に運ぶ。
「はい、あーん・・・・・・・」
「あーん・・・・・・・」
絵面だけだと何だかカップルみたいだけど、個人的には餌付けの気分だ。
「どう、ゴッホちゃん?」
「・・・・・・・ング、ウフフ、美味しいです・・・・・・・さすが立香様、料理もお上手・・・・・・・」
どうやらお眼鏡に適ったらしい。そのまま次はお刺身を運ぶ。
彼女が食べる。
それを繰り返す。
そのまま、ゆっくりと時間が過ぎていった。
しばらく後。
食べ終わった私達は、厨房で洗い物を一緒にしていた。
ゴッホちゃんは大食漢で、結構用意してたはずのおひつのご飯とお味噌汁は空になってしまった。おかげで洗い物が楽だ。
「・・・・・・・それにしても、今日は何故立香様が?いえ、ゴッホは役得でしたので嬉しいのですが・・・・・・・」
ゴッホちゃんが訊いてくる。
「・・・・・・・まあ、いつもゴッホちゃんも手料理も作ってくれるし、私も返したいなって思って」
「・・・・・・・ウフフ、そうですか」
ああダメだ。彼女を目の前にすると、恥ずかしくて直接言えない。
「・・・・・・・ゴッホちゃん、さ」
それでも、勇気を出して踏み込むことにする。
「はい?」
彼女に、部屋で見つけた本の名前を告げる。
すると。
「な、何故立香様がそれを・・・・・・・」
いきなり動揺し始める。その様子に、彼女もアレを読んだと確信する。
「やっぱり、ゴッホちゃんも読んでたんだ、アレ」
「・・・・・・・はい・・・・・・・ウフフ、すいません、こんな下心があって・・・・・・・もしかしてこれは、手切れ金代わりなのでしょうか・・・・・・・もうゴッホに、食事を作るなとかそういうアレなのでしょうか・・・・・・・・・・・・・・ウフフ・・・・・・・」
「へ?いや違う違う!」
予想外の方向へ走り出した彼女を慌てて引き戻す。
「・・・・・・・では、一体・・・・・・・」
「・・・・・・・私も、ゴッホちゃんと同じ気持ちってこと」
「・・・・・・・え?」
洗い物の手を止める。
「・・・・・・・ごめんね、遅くなって。でもようやく気づいた。ゴッホちゃん、君のことが好きってことを」
「・・・・・・・それは、親愛的な意味で・・・・・・・」
「ううん。君に、恋してるの、私」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・あれ?もしかして、私勘違いしてた?」
ゴッホちゃんの反応に今度は私が不安になる。
ゴッホちゃんがただ親切で私に料理を振る舞っていてくれたなら、めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。
「・・・・・・・いえ。わたしも、同じ気持ちです。立香様、貴女のことを──────」
同時に、唇を奪われる。
「・・・・・・・・・・・・・・んっ」
しばらくして、唇を解放される。
「愛してますよ。・・・・・・・食べてもらいたいくらい」
「・・・・・・・そこは、食べたい、じゃないの?」
苦笑しながら問いかける。
「・・・・・・・ウフフ、これがわたしなので。後悔しても、もう遅いですよ?」
「・・・・・・・後悔なんてしない」
「エヘへ、ではもう一回・・・・・・・」
再び、唇を奪われる。
甘い味がした。
食事を見直してみて思いついた展開です
イベントとTCGにかまけてました
ドラコー良き