更新する日を見計らっていたらバルサ氏から急かされました(笑)
バルサ氏が自宅で「ハリー!ハリー!」と叫んでしまうとご近所様に迷惑がかかるので投稿しました。
バルサさん、叫んじゃダメですよ。
今 俺はIS学園の校門近くにいる。
理由は待ち合わせだ。
----------
「よくも私を見殺しにして行ったわね」
それは昨日のこと、あの後無事?解放された楯無さん。ちなみに服はまだ裸エプロンのままだ。
眼鏡があってもこれは直視し辛い………
「明日、更識家に行くんですか?」
「ええ、そうよ。明日は一日休みだから9時くらいに校門で集合でどうかな?外出届けは出しておくから」
そこで俺は思っていた疑問を口にした。
「オーケーです。ところで……………」
「うん?」
「なんで荷物を持ってきてるんですか?」
部屋にはダンボール、そして部屋には楯無さんの荷物…いや私物が置いてあった。
なんでだろう、この先の展開が読めてきた…………
「今日からここに住むからだけど?」
「なんで疑問形なんですか………ってそれよりここに住む?」
「いいでしょ?これからよろしくね」
「監視カメラとかありますよ?」
「そんなものとっくに会長権限で全部回収したわ」
ダンボール箱から覗いているコードはおそらくそのカメラ類etcなのだろう。
くそ、仕事が早い。カメラに裸エプロン姿が残ってたら面白かったのに。
「べつに主従関係だからいいじゃない」
「まだ主従関係ではない。と言っていたのでダメです」
「ふ〜ん、
あっ、しまった………
「じゃあ今晩は部屋に戻るわ。
そう言って楯無さんは去って行った。
「ちょっと!荷物持って行ってくださいよ!!」
----------
ということが起きた。
なんでだろう。俺が楯無さんに勝ってからもいいことがなにも起きないのだが…………
「蒼斗く〜ん」
お、楯無さんが来たんだが…………
いつもの制服と違う楯無さんに少し見惚れてしまった。
楯無さんは見ているだけで涼しげな薄水色のワンピースを着ている。その姿は穏やかな清流のようだった。
「待った?」
「今、楯無さんを見つけたら待ってる時間なんか全然気になりませんでしたよ」
「もう、上手いんだから」
今俺は眼鏡を着けているからお世辞のように思われたようだ。
素直な気持ちを言ったつもりだったんだが……
それと少しだけこの状況に既視感を感じるが……気のせいか。
「そういう蒼斗君も似合ってるわよ」
「あ〜……、ありがとうございます。」
俺が今着ているジャケットは数少ない外出着の一つだ。
ファッションに関してあんまり細かくないので、結局店員に勧められた上下で外出することが多い。
「う〜ん、もうちょっと服とかアクセサリーとか髪とか工夫すれば絶対かっこ良くなるのになぁ〜」
「ほぼ全部じゃないですか。早く行きましょうよ」
「あはは、わかったわ」
楯無さんの後に続いて歩いていると、昨日の夜から気になっていたことを聞いてみた。
「ところでどうやって行くんですか?迎えが来るとか?」
「ブッブー!!ハズレ〜」
扇子を開くと『残念!!』という文字………ハイハイ
「全然悔しくないんでさっさと教えてくださいよ」
「もう、強がっちゃって♪モノレールで行くのよ」
「モノレールで?」
「うん、最寄り駅から徒歩五分!!」
どこの不動産屋だよ……あっ、扇子に『良物件』って書いてある。
いつの間に扇子を変えたんだ………
「それじゃあレッツゴー」
「行きますか」
◇
時は経って更識家の前
『最寄り駅から徒歩五分』って言うからモノレールの駅かと思ったらやっぱり地下鉄に乗り替えるんですね。
目の前には武家屋敷。敷地としては前世より少し大きいくらいだと思う。
「じゃあ開けるわよ」
楯無さんはそう言って、門を開けた。
門の中には風情のある庭が広がっていた。
大きめな池や多くの盆栽など、配置は違うが前世を思い出すものがたくさんあった。
「今さらだけど、態度とかには十分気を付けてね」
「わかりました」
楯無さんは玄関の引き戸に手をかけた。
そして俺は息を深く吐き出し気持ちを切り替える。
「お待ちしておりました」
楯無さんが引き戸を開けると、玄関には眼鏡をかけている少し控えめな印象の女性が立っていた
「ただいま、虚ちゃん」
「始めまして、え〜と虚さん」
「始めまして、楯無お嬢様に仕えている布仏 虚と申します。」
虚という名前は楯無さんから聞いていたが、苗字は今まで知らなかった。
「あれっ?布仏って本音の………」
「はい。本音の姉です。本音も簪様の従者としてここに来てますよ」
本音って従者だったんだ………それも簪の。
簪 苦労してそうだな。
「お嬢様、そして蒼斗さん。先代がお待ちになっております。こちらへ」
俺と楯無さんは虚さんの案内によって、一際大きな部屋の前で止まった。
「こちらで先代がお待ちになっております」
俺は最後になるかもしれない外の景色を縁側から眺め、もう一度深呼吸する。
「失礼します」
俺はその大きな部屋の障子の戸を開けるが、何が襲いかかってくるか わからない。
俺は細心の注意を払っていた。
しかしその考えは杞憂に終わる。
大きな和室には一人の男性が正座をして待っていた。
存在感のある甲冑を背に座っているにも関わらず、それ以上の何かを放っているその男性から目が離すことができない。
「急に呼び出してすまなかったね。私は更識 一閃。元当主だ。」
「始めまして。既にご存知と思いますが、鳴神 蒼斗です」
「今回は君が楯無の従者になる件でよかったかな?」
「はい、間違いありません」
一閃さんは俺をジッと凝視しているので、俺も彼から目を離さない。
「我々も君がISを動かした時点で君の素性について調べさせてもらった。そしてただの一般人とわかった男を楯無が従者にしたいと言った時はどういうつもりかと思ったが…………なるほど、楯無が従者にしたいという気持ちもわかるな」
「そうですか?ここにはもっと強い人だっているでしょう」
「やはり資料だけでなく直接会わなくては相手の実力はわからないからね。一度織斑くんにも会ってみたいものだ」
おそらく彼自身も相当な実力者である事に変わりはないだろう。
「俺をここに呼んだのは会うためだけですか?」
「いやいや、そんな事はない。更識家に仕えるという事は裏の世界に入るということだからね」
「ですよね。こんな早く帰れるとも思ってませんでしたけど」
「私としてはこのまま承認しても何も問題はないのだが……それではここにいるものに示しがつかない。
そこでなんだが………少し年寄りの運動に付き合ってくれないか?」
年寄り……か?見た目は30代前半な印象だったが………。確かに16・7歳の娘を持つ30歳の親はいないか。
「イイですよ。少しでしたら」
「よし、じゃあ場所を変えようか」
◇
一閃さんが連れてきたのは道場だった。
その道場には、更識の使用人らしき人々や簪と本音がいた。
俺は軽くストレッチをしてから上着を脱いで、眼鏡と一緒に楯無さんに預けた。
「眼鏡がなくても大丈夫なの?」
「今回は眼鏡がない方がいいかと思いましてね」
楯無さんは首を傾げた。
「どういう意味?」
「う〜ん………。眼鏡があると頭が冴えるというのは言いましたよね?
戦闘の場合だと 瞬時に作戦を建てる時は眼鏡を、逆に眼鏡がないと、奇襲や予想外のことも本能的に躱したり対応ができる感じですかね」
「ホント無茶苦茶ね………」
否定はできないな………
「蒼斗君?準備はイイかな」
「あぁ、すいません。じゃあ始めましょうか」
更識 楯無 side
今から
更識家 前当主であるお父さん。実力は一線を退いた今でも、本気を出せばこの中で一番であると予想する。
対して二人目の男性操縦者の蒼斗君。底が見えない強さを持っていて、勝つ確率は十分あるだろう。
「そういえば、試合の勝敗はどうやって決めますか?」
「本当ならば『一回でも私を床に倒せたら君の勝ち』にしたい所だが………「ハハハッ、それじゃあ俺が勝つに決まっちゃってつまらないじゃないですか。
それなら『相手を床に倒せたら勝ち』にしましょうよ」……君が良いのなら私もそれで良い」
蒼斗君がハンデに対し、『勝つに決まってる』宣言をしたことにより、周りの雰囲気がピリピリし始める。
「そろそろ始めましょうよ。一閃さんからどうぞ」
「そうだな、じゃあ行くぞ。」
お父さんはゆっくりと前に歩き始める。
これはお父さんの得意パターン。移動のスピードと攻撃のスピードを微妙にずらすことによって対応を遅らせる戦法。
『打ち拍子』によく似たその攻撃方法は、私の得意とする『無拍子』と違って、継続し続けることが出来る。
無拍子は空白の一瞬しか効果は無いが、打ち拍子なら相手のリズムを外し続ければ無限に使える。
言葉にするのは簡単だが、実際に相手にすると相当闘いづらい。遅い拳をガードする前に、横から速い拳が飛んで来ることもあるので処理がなかなか追いつかない。『楯無』を継承した今でも、お父さんには勝ちきれない。
「おおっと」
お父さんは何度も拳を繰り出している。それを蒼斗君は器用にガードし続けている。
片方の拳を追い抜かすような攻撃は、受け止めるのではなく体を捻って躱す。
そういえば織斑先生がVTシステムを使った蒼斗君の動きはモンド・グロッソの時の先生の動きだけではなく、一部の回避は蒼斗君の独力だと言っていた。
そして勝負の決着方法は『相手を床に倒す』。何発相手の攻撃を受けても問題無い。
だが、まだ一度も蒼斗君は攻撃していない。
「どうした?守ってばかりじゃ勝てないぞ」
「まぁ、攻撃することも出来るんですが……ただーーーー」
「ただ?」
「一閃さん、足を怪我してますよね?」
怪我?私は一度もお父さんが怪我したことを聞いたことがなかった。
ーーーいや、一度だけあった。確か私が『楯無』を継承する約一ヶ月前、南米の調査へ向かったお父さんは、戦争の爆撃に巻き込まれた。幸い火傷はなく、骨に軽いヒビが入っているとは聞いた。
「なぜそう思うんだい?」
「実は一閃さんの戦い方と似た人と戦ったことがあるんですが……。その人は足払いを効果的に使わないと意味はないって言ってるんですよ。
ですがあなたは足を意識していたにも関わらず、足での攻撃をしなかった。微妙にかばったような仕草も見てました。
それは足を怪我していたからですよね?」
その人には勝ちましたけど、と付け足す。
「ここまで来ると流石としか言いようがないな。
確かに、私は一年と2ヶ月前に骨を
「じゃあ『楯無』を譲ったのも足が原因ですか?」
「そうだ。一応、長女が高校生になるのと女尊男卑が強まっているというのもあったが、一番の理由はそれだ。」
私はすごく驚いた。まさか『楯無』を継承する裏にこのようなことが隠されているなんて思っても見なかったからだ。
実際にこの中にいる全員が知らなかったようで、周りがざわつき始める。おそらく知っていたのは、今ここにいないお母さんくらいしかいないと思う。
「………もしかして……これ言っちゃいけない奴でした?」
「言ってはいけない訳ではない。ただここにいる皆には知らせなかっただけだ。」
蒼斗君は頭を掻きながら尋ねた。
「一閃さん、じゃあこの試合は引き分けとかにして別のもので勝負しませんか?幾ら何でもけが人を攻撃するのは気が引けますよ」
「いや、これは私の負けだ。怪我を見破られた時点で勝敗は決まったも同然だ。」
「一閃さんがイイんでしたらそうしましょう。」
するとお父さんが柄にもなくニヤニヤした。
「楯無に見合うような強さを持つ男がいて、私も娘の花嫁姿を見れる日は近そうだな」
「ハハハ、じゃあ次にこの家に来るのは結婚の挨拶の時ですかね」
「そうあって欲しいものだ」
そう言ってお父さんと蒼斗君は笑い合う。
なんだかちょっとだけ不愉快だった。
「これで楯無さんの従者として認めてもらえますか?」
「あぁ、そうだな。初めて君を見た時から私には結果が見えてはいたが」
つまりお父さんは負けるとわかっていて勝負を挑んだのだ。
「これで……楯無お嬢様とか言わないとダメですか?」
「虚ちゃんの真似かい?君が呼びたいのなら構わないが……
それより娘の真名を知りたくはないか?」
「ちょっと!お父さん…「あっ!そうか。『楯無』は当主が引き継ぐ名前だから……」」
「そうだ。真名は別にある」
鳴神 蒼斗side
「そうだ。真名は別にある」
一閃さんから衝撃の事実!!今までの話の流れから本当の名前が違うことくらいわかるはずなのに、緊張してて気づかなかった
「知りたいです!是非!!」
「ならそれはそこにいる本人から聞くといい」
「ええっ!?」
楯無さんが急に話を振られて驚く。
前世の家では襲名制度は無かったな………
楯無さんの本当の名前……気になる。
「じゃ、じゃあ私の名前を……教えるね。」
俺は数歩だけ楯無さんに歩み寄った。
「私の………本当の名前はーーー
ーーーー
彼女がそう告げた瞬間、一瞬で俺の中の世界の音は全て消え去り速くなる鼓動の音だけがステレオのように鳴り響いた。
俺の体がガクガクと震え出すのがわかった。体が否定していた、『そんなはずはない』と。
「刀……奈?うそ……だろ?俺だよ、アオトだよ。どうして………」
「何を言ってるの?
全身の血の気が引いていく。目の前が白と黒の二色に染まった気がした。
「これが……俺の運命なのかな………」
「ちょっと?蒼斗君!!」
俺は前のめりに倒れこんだ。
遠ざかる意識の中で前世の主人であった彼女と初めて出会ったときの出来事が走馬灯のように浮かんで来た。
ーーーーーー
「こんにちは、
ちょうど前世の今くらいの年の時、俺と彼女は出会った。
「私の名前はーーー」
彼女はうふふっと軽い微笑みを見せて言った
「
最後まで読んでいただきありがとうございます。
前世の主人と楯無さんの真名を一緒にしました。
あ、それとアオトというのは蒼斗君の前世の名前です。
追伸:感想欄で急かしてもこれからはマイペースで行くので悪しからず。