空条承太郎の友人~番外編~   作:herz

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・男主視点。

・ご都合主義、捏造過多、キャラ崩壊あり!




 ――柱の男達だって、転生後は平和な会話をしてくれるはず。




空条承太郎の友人は、絶滅危惧種?

 

 

「――柱の、男……?」

 

「そう!今世では全員人間として転生しているが、前世ではそれはもう大変だったんだぜ!?あいつらを倒すのは!」

 

 

 ジョセフから前世の話を聞きながら、俺は"今初めて聞いた"という態度を頑張って維持する。

 

 

 俺が誘拐された日から、数日後。ジョースター邸にいた俺は、ジョセフの部屋に呼び出されて彼の前世……2部の原作の話を聞かされた。

 いきなり何故?……と思ったが、そのきっかけとなったのはあの日、否笠に尋問する前にプッチ神父と合流した時の俺の態度だという。

 

 確かに、今世のプッチ神父は今世のディオと同様に、無害なのかもしれない。しかしプッチ神父もディオも、前世で悪だった事に変わりは無い。

 そんな相手に対して無防備である俺の事が心配になり、今のうちに他にも前世で悪だった者達……柱の男達の話をして、今世で彼らと会う時は気をつけるようにと、ジョセフは俺にそう伝えたかったらしい。

 

 

 ――柱の男。本来、闇の種族と呼ばれていた者達は、前世でジョセフやシーザー、リサリサ達波紋使いの敵となった人外である存在だ。

 前世で彼らが戦ったのは、サンタナ、エシディシ、ワムウ、カーズという、4人の柱の男達。このうち、サンタナを除いた3人が今世ではSPW財団の職員だと聞いて、驚愕した。

 

 エシディシとワムウは現在、東京支部の警備員を勤めているそうだ。スタンド使いでも波紋使いでも無いが、身体能力がかなり高いため、その仕事を任されているとか。

 そしてカーズはなんと、財団の研究員になっているらしい。今世でもその優れた頭脳は健在のようだ。

 

 では、サンタナはどうしたのかというと。彼には前世の記憶が無い。今は財団に関わる事もなく、一般人として生活しているらしい。……やはりスタンド使いや波紋使いでは無いから、か?

 それなら、他の柱の男達も条件は同じだ。……ジョセフによると、エシディシとワムウにも前世の記憶は無いとか。

 

 

 となると、カーズは?

 

 

「――柱の男達の中で、スタンド使いでも波紋使いでも無いのに前世の記憶があるのは、カーズだけだ。

 あいつだけは前世で究極生命体になった事で、強大な力を得た。しかも見よう見まねで波紋も使えるようになってたからなァ……それが今世にも影響したんじゃねェかと、俺達や財団側はそう考えてる。

 

 結果的に。あいつはスタンド使いでも波紋使いでも無い人間なのに、前世の記憶があるという例外になった訳だ。

 

 で、そんなカーズの野郎には特に注意しろ。エシディシとワムウも俺達から話を聞いて、自分達の前世について知っているが……覚えているか、いないかの違いは大きい。

 それに、カーズは柱の男達の中でもリーダー格で、特にたちが悪かった野郎だ。今世では人間だし、今のところ大人しくしてるけどな……まァ、念のためだ。絶対に1人では会わないようにしろよ?」

 

 

 ……ジョセフの言葉に頷きながらも、俺は別の事を考えていた。

 

 

(俺だったら、寂しいなぁ……)

 

 

 柱の男達……仲間達の中でも、前世の記憶を持っているのは自分だけ。さらに波紋使いでもスタンド使いでも無いのに前世の記憶があるという、例外の存在。

 しかも所属しているSPW財団は、ジョセフを始めとした波紋使い達の味方。それもジョースター家への支援を行動理念としている。……どう考えてもアウェイだろ。

 

 前世で悪だったディオには、前世も今世も知った上で彼を受け入れたジョナサンという理解者がいる。プッチ神父にも、ディオとジョナサンという理解者がいる。

 

 

(じゃあ、カーズには誰がいるんだ?)

 

 

 今世のカーズとはまだ直接話していない俺がそんな事を心配するなんて、カーズにとっては余計なお世話だろうが。

 

 

 ……そんな事を考えていたせいか、数日後。俺は、久々にお人好しな行動に出てしまった。

 

 

「あー、すみません。……そのカーズという人の話を、詳しく聞かせてもらえませんか?」

 

 

 それは、ちょっとした用事があって財団の東京支部に足を運び、用は済んだから帰ろうと支部内の廊下を歩いていた時の事。

 廊下にいた数人の若い男の研究員達の会話が耳に入り、思わず足を止めた。

 

 彼らは、カーズに対する不満を言い合っていたのだ。

 

 今世のカーズが周りからどう思われているのかを知りたかった俺は、例えどんな話であっても構わないからと研究員達に伝え、詳しい話を聞かせてもらった。

 曰く、協調性が無い。お高くとまってる。他の研究員達と比べると頭の出来が違うせいか、自分達を見下している。もっと周りと足並みを揃えて欲しい。

 あとは顔が整っている事や頭の良さ、女にモテる事など。良い男への醜い妬み嫉みの言葉ばかりだったので、その辺りで話をぶった切る。

 

 

「ところで、そっちからカーズさんに歩み寄ったりはしないんですか?」

 

「え?……いやいや、無理ですよ。あの人、前世で波紋使いの人達の敵だった奴ですし」

 

「人間じゃなかったしな。だからオレ達の事を見下してるんじゃないですかね?」

 

「向こうから偉そうな態度を取ってる事を謝罪して、こっちと足並み揃えるならまだしも、こっちからジョセフさん達の敵だった奴に歩み寄ってやる義理は無いというか……なぁ?」

 

「おう。あれは周りから非難されて当然だろ。前世では散々な事やってたらしいし、こっちが財団に置いてやってるんだから、それをありがたく思った方がいいんすよ、奴は」

 

 

 ……ふーん。そういう事を平気で言えるのか。腹が立つなぁ、こいつら。気に入らない。

 

 

「カーズさんって、今世でも何か悪い事やらかしたんすか?ジョセフ先輩達と敵対しようとしたとか、暴れたとか?」

 

「えーと……いえ、今世ではそういう話は聞いてない、ですね。君達は何か聞いてる?」

 

「いいや……記憶に無いな。今世で始めてジョセフさん達と顔合わせした時、何か一悶着あったっていう噂は聞いたが、それ以降は大人しいとか……」

 

「でも、何か企んでてもおかしくないと思いますよ、あいつなら。いつも無表情で何考えてるか分からないし」

 

 

 何を考えているか分からない、ではなく。――お前らが理解しようとしていない、の間違いじゃねぇのか?そこまではっきり言うつもりは無いが。

 こいつらは、前世の出来事だけでカーズに見切りを付けてしまっている。今世のカーズが悪事を働いていないにも関わらず、一方的に非難していただけのようだ。

 

 あのクリスマスパーティーが開催されるまで、一部の財団職員から敵意を抱かれていたディオとジョルノの立場と、カーズが置かれた立場は、よく似ている。

 

 

「へー、そうなんすね。……実は俺、最近ジョセフ先輩から前世の話を聞いたんです。柱の男って呼ばれてた人達の話と、彼らと対峙した時の壮絶な戦いの事を。

 

 俺はその場にいなかったので、前世のカーズさん達の事はよく分からないんすけど、前世の皆さんは当時、その場にいたんですか?柱の男達って、そんなに怖い人達だったんですかね?」

 

「あ、いや……オレ達はその場にいませんでした」

 

「そもそも、生まれてすらいなかったんです」

 

「前世のボク達は、その戦いから何十年も経った後に財団職員になったので、こちらにとってはそれはもう壮大な昔話でしたよ」

 

 

 あぁ、うん。そうだろうと思ってたぜ。原作2部ではスタンド使いは登場しなかったし、ジョセフ達以外の波紋使いもいなかったはずだし。

 

 

「――当時、その場に居合わせた訳でも無いのに、今世のカーズさんと深く話した訳でも無いのに、誰かから聞いた前世の話だけで、今世のカーズさんの事をこういう人間だって決めつけちまったんだな」

 

「は?」

 

「それって、ちょっと勿体ないと思いません?今世の本人の事を理解した上での発言だったら、俺には何も言えないっすけど……

 今世の人間になったカーズさんがどんな人なのかっていうのは、噂だけで判断するんじゃなくて、直接会話をして判断しないと永遠に理解できないままなんじゃないすか?」

 

 

 少し困った顔を作ってそう言うと、若い研究員達は互いに顔を見合わせた。……大体がちょっと不満そうな顔してるな。やっぱり、こいつらは駄目か。

 ブックフェスで出会った六車さんは、たまたま修正可能だっただけで、普通は今までの凝り固まった考えをすぐに修正するのは難しい。

 

 あとは、ちょっと釘を刺して終わりにしよう。

 

 

「あー、すんません!皆さんを不快にするつもりはなかったんです。

 ただ――俺がお世話になってるディオさんやジョルノが、最近まで一部の人達に謂れの無い疑いを掛けられていた事を思い出して、つい言葉が出ちゃって……いやー、すみませんねぇ」

 

「あっ……!」

 

「いや、園原さん!オレ達にそんなつもりは、」

 

「大丈夫です!分かってるっすよ。オニイサン達はそういう、誰かに謂れの無い疑いを掛けるような人達じゃないって、俺はそう信じてますからね!」

 

「そ、そうですか。それは、こ、光栄です、はは……!」

 

「もちろん、ディオさんとジョルノにも、カーズさんに対しても!これからは相手の事をよく知らないまま変に疑ったり、悪口を言ったりしないですよねぇ?」

 

「……え、えぇ!もっ、もちろん、言いませんよ!」

 

「良かった!俺、ディオさんやジョルノと同じような思いをする人はあまり増えて欲しく無いので、オニイサン達がそう言ってくれるなら助かります!」

 

 

 できるだけ、無邪気な笑顔を貼り付けてそう言ってやった。

 若い研究員達は引きつった笑みを浮かべ、最後にジョースター家やスピードワゴンには今の件について何も言わないようにと、遠回しに俺にお願いしてからそそくさと立ち去って行く。

 

 奴らがいなくなったのを確認した俺は、貼り付けた笑顔を取っ払い、舌打ちする。

 

 

「……胸糞悪い」

 

「――ああ、全くだな」

 

「っ!?」

 

 

 背後から、前々世の時にアニメで聞いた声が聞こえて来て、勝手に肩が跳ねた。……恐る恐る、振り返る。

 

 

「前世の我々と波紋使い達の戦いについて深く知ろうともせず、この私に正面から文句を言う度胸も無く……陰で吠えるしか能が無い、愚かな人間共だ」

 

 

 研究員の白衣を纏う、大柄な男。……クセのある長い髪に、まるで彫刻のような美しさがある顔立ち。

 角は無いし、髪は1つに結んでるし、服もちゃんと着ているから前世とはかなり違う見た目だが、間違いない……!

 

 

(――アイエエエ!?カーズ様!?カーズ様ナンデ!?)

 

 

 待ってくれ、今までの会話は一体どこから聞かれてたんだ!?どうしよう、俺なんか失礼になる事言ってなかったか!?……大丈夫、だよな?

 

 

「……奴らに話し掛けた時は、何を考えてそうしたのかが疑問だったが……最後には慌てて逃げる事になろうとは……くくっ!なかなか面白い見世物だったぞ、ジョースター家のお気に入り」

 

 

 あっ、これ最初から全部聞かれてたやつ!……ジョースター家のお気に入りとして知られている事には、苦笑いするしかない。もう慣れっこだ。

 

 

「……あなたがカーズさんですか?」

 

「如何にも、この私がカーズだ」

 

「そうでしたか。……園原志人です、初めまして。あなたがいた事に気づかず、不快な会話を長引かせてしまい、申し訳ありませんでした」

 

 

 一応初対面だし、と思って挨拶をしてさっきの会話を聞かせてしまった事を謝罪。……すると、きょとんとした表情をされた。これはもしや、レア顔では?

 

 

「……先程までと、態度が全く違うな。子供にしては殊勝な事を言う」

 

「あぁ、その事ですか。それはそうでしょう。相手の事を理解しようとせず、好き勝手に言うような奴らに本気で敬意を払ったりなんかしません。

 基本、俺は偏見を持たない主義ですが……相手が敬意を払うに値しない人間だと分かれば、話は別です。がらっと態度を変えてやります」

 

 

 そう。俺は年上達には基本的に敬意を払い、敬語も丁寧になるが、あの若い研究員達のような年上には敬語や対応が雑になるし、嫌味も言う。

 

 

「……では、私がそういう人間だと分かれば、その態度も変わるのか」

 

「そうですね。今世のあなたの事はまだ分かりませんが、場合によってはそうなります」

 

「くくく……!正直な奴だな。――悪くない」

 

 

 カーズの笑みが深まる。……猛獣にロックオンされた草食動物の図が一瞬頭に浮かんでしまった。

 

 

「元々、興味は持っていた。機会さえあれば言葉を交わしてみようかと思っていたが……まだまだ話し足りない。そう思ったのは、これが初めてだ」

 

「はい?」

 

「園原志人。……お前さえ良ければ、私の仲間2人も含めて4人でもう少し話さないか?私は、お前という人間を理解したい」

 

 

 意外な事に、カーズは不敵な笑みから一転、真剣な表情で俺にそう言った。

 

 

「もちろん、お前には拒否権がある。どうせJOJO……ジョセフか他の波紋使いにでも、私には近づくなと言われているんだろう?

 子供に無理強いをさせるつもりは無いのだ。断りたいなら、はっきりとそう言ってくれて構わない」

 

 

 ……これは、前世でリサリサを騙し討ちするまでは存在していた、例の博愛精神だろうか?

 今世の俺が子供だから本気で気遣ってくれているのか、それともこの真面目な顔の下に、卑怯な真似を平気でするような本性を隠しているのか。

 

 

「……確かに、数日前。ジョセフ先輩から前世の話を聞いた時、絶対に1人で会わないようにしろと言われました」

 

「やはり、そうか……ならば、今の話は無かった事に、」

 

「いいえ。――あなた方と4人で会話をした事は、ジョセフ先輩には内緒にしましょう」

 

 

 まぁ、今世のカーズ達がどういう人間なのかは、もっと話してみないと分からないからな。それに今会話した限り、カーズからは嫌なものを感じないし……って訳でジョセフ先輩、ごめんなさい。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 腰を据えて話す場所として選んだのは、東京支部の外のとある喫茶店。この店は比較的穴場で、カフェラテが特に美味い。……カーズ達とは、この店で待ち合わせをしていた。

 彼らと一緒にいる姿を財団職員に見られたら、誰かがジョセフに連絡してしまうかもしれない。そのため、俺が先にこの店に来て、彼らを待っているのだ。

 

 俺以外の客が全員いなくなった頃に、大柄な男達が3人やって来た。……おぉ、私服姿の柱の男達だ。カーズ以外の2人も顔にペイントは無いしピアスは無いし角も無いし、なんだか新鮮。

 4人席に座り、互いに自己紹介をした後。俺とカーズが座っている向かい側にいるエシディシとワムウが、俺を観察している事に気づいた。

 

 

「カーズさんが言っていた通り、物怖じしないガキだな」

 

「……子供にしては、肝が据わっている」

 

「よく言われます」

 

 

 何でか知らないが、物怖じしないとか肝が据わっているとかは本当によく言われる。

 俺のスタンド能力は、俺の精神状態でかなり左右されるからな。心を落ち着かせる事に慣れてきた証拠かもしれない。

 

 

「まずは、お前に1つ確かめたい事がある」

 

「何ですか?」

 

「――"人間は直接会って話をするまでは、その相手の事が永遠に理解できないままだ"……財団のトップが、とある少年からの受け売りだと言っていた。その少年とはお前の事だな?」

 

 

 カーズの確信を持った問いに、思わず目を見開く。……彼がスピードワゴンと会っていた事にも驚いたが、それ以上にその言葉が誰からの受け売りなのかを確信している様子に驚いた。

 

 

「……はい。それを言ったのは俺です。しかし、いつそれが分かっ…いや、すみません。そういえばカーズさん、さっきの俺と研究員達の会話を全部聞いてましたよね?」

 

「ああ、そうだ。……その時、お前が自分で言っていたからな。

 今世の人間になった私がどんな人物なのか、噂だけで判断するのではなく、直接会話をして判断しないと永遠に理解できないままではないか、と」

 

「それが一致しただけで、よく分かりましたね」

 

「奴は他にも、その少年に護衛を頼んだ事があり、少年が偏見を持たない主義である事を一度だけ口にしていたからな。

 スタンドの能力が防御特化である事や、お前自身の発言を聞いて"もしや"と思い……今の問いでお前に鎌を掛けてみた」

 

 

 確信を持っていたのかと思いきや、鎌掛けだったのかよ!まんまと引っ掛かってしまった。

 

 

「……あの財団主催のパーティーがあった日から数週間後に、財団のトップが我々の下を訪れた」

 

「!……今世のあなた方がどんな人物なのか、確かめるために?」

 

「そうだ。何処からどう聞いたのか、今日のあの研究員達のような愚かな人間共が、今世の我々に対して随分と好き勝手に言っているという話を聞いたらしい」

 

 

 ……もしかして、六車さんが情報を集めたのか?

 

 

「ある程度言葉を交わした後。奴は多くの研究員達がいる目の前で、今世の私が優れた研究者であり、自分達と同じ人間であり……それから奇妙な特技だが、悪人の臭いがしないと断言した」

 

「……こちらでも同様に、奴は人前で今世の俺とエシディシさんが悪人では無い事を大声で認めたのだ」

 

「俺達2人に前世の記憶は無いが、それでも有象無象には以前から化け物呼ばわりされていた。今世では正真正銘、人間だというのに。

 だが。奴が俺達を認めた後は、有象無象が以前よりも静かになったぜ」

 

 

 そうか、それは良かった。……スピードワゴンが悪人の臭いがしないと言った事は、原作を知っている俺からすれば良い判断基準になる。今世のディオからもゲロ以下の臭いがしないって言ってたしな。

 

 って、ちょっと待てよ?

 

 

「財団のトップがカーズさんの事を認めていたにも関わらず、それでもあんな陰口を言ってたんですね。あの人達……」

 

「あれでも大分マシになったのだよ。陰で吠える愚か者の数は昔よりもかなり減った。――お前のおかげだ」

 

 

 思わぬ言葉を聞いてカーズの顔を見ると、すぐに引っ込んでしまったが……彼はほんの一瞬、確かに微笑んでいた。

 

 

「……礼を言う、園原志人。お前の言葉が財団のトップを動かし、結果的に我々に対する煩わしい声が静かになり、職場の居心地が以前よりも良くなった」

 

「ガキにしては見所がある……おっと、ガキ呼ばわりは失礼か。志人、だったな。ありがとう」

 

「……ここに来る前、志人がカーズさんを庇う発言をしてくれた事は聞いている。それについても感謝したい」

 

「い、いえ、どういたし、まして……?」

 

 

 柱の男達が素直にお礼を言った、だと!?しかも、こんなガキに向かって?……さっきのカーズの笑顔もそうだが、今世のこの人達なら信用してもよさそうだな。

 

 しかし。俺に礼を言われても、ちょっと困る。

 

 

「……俺の言葉は、確かにきっかけになったんでしょう。でも、それだけです。

 それよりも重要なのは、スピードワゴンさんが直接会話をしてあなた方を理解した上で、その存在を認めた事だと思います。

 

 きっかけは俺でも、その後に彼に認められたのはあなた方自身です。……きっと皆さんは今まで、まだまだ青二才である俺には想像できないくらい、一生懸命生きて来たはず。

 だから――感謝するなら俺よりも、財団のトップが認める程の生き方をして来た、自分自身に感謝してくださいよ」

 

 

 そう言い切ってから、先に注文していたカフェラテを飲む。あー、やっぱり美味い。……と、誰も口を開かない事に気づいて顔を上げる。

 

 何故か。ワムウは顔を覆って俯き、エシディシは逆に顔を覆って天を仰ぎ、カーズは口元を手で押さえて顔を背け、肩を震わせて……ん?微かに笑い声が漏れているんだが?

 

 

「あの、どうかしました?」

 

「く、ふ、……ふふ、っ、くくく……!!」

 

「……いや、気にするな、その、あー……何と表現すればいいのだ、この感情は……!!」

 

「――眩しい……」

 

「ああ、ワムウ!それだ!!……前世の記憶は無いが、俺達は太陽が弱点だったらしい。まさか、そのせいか?」

 

「ぐっ!?ふふ、エシ、ディシ、っお前!これ以上、笑わせ、る、な……!!」

 

 

 未だに顔を伏せたままのワムウ。天を仰ぐのは止めたが意外にも天然発言をするエシディシ。そして、頑張って笑いを耐えているカーズ様。

 

 

「……そうやって、平和に会話してるところはどう見ても人間なのに、どうして今世のあなた達を化け物と呼ぶ奴がいるんですかね……」

 

 

 つい、そんな愚痴をこぼすと、横から大きい手が伸びて来て頭を撫でられる。……カーズの手は、凄く優しかった。

 彼の顔を見上げると、今度は笑顔を引っ込める事もなく、慈愛に満ちた眼差しで笑っている。

 

 

「……ジョースター家のお気に入り、か」

 

「?」

 

「これは気に入られるのも当然だな――絶滅危惧種だ」

 

「ぜ、絶滅危惧種……?」

 

「過保護になる理由も分かる。……これが庇護欲というものだろうか?」

 

「庇護欲ぅ……?」

 

「……ふむ。いろいろと荒んだものを癒すには充分過ぎるな」

 

「??」

 

 

 独り言を言ってるだけで、こっちの疑問に答えるつもりは無いらしい。ひたすら俺の頭を撫でている。何故だ。

 

 

 

 

 

 

「……エシディシさん」

 

「何だ、ワムウ」

 

「カーズさんが以前、"癒しを求めてペットを飼いたいが、研究が忙しくて飼えない"と言っていた話を思い出したのですが……」

 

「……あの人はペットではなく、人間の子供に癒しを求める程に疲れているのだろうか……どう思う?」

 

「…………本当にそうだとすれば、病院に行く事を勧めなくては……」

 

 

 

 

 

 

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