空条承太郎の友人~番外編~   作:herz

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・男主視点。

・前回(リゾット・ネエロと、救援要請)の続き。

・ご都合主義、捏造過多、キャラ崩壊あり!




 ――暗殺チームだって、"奪う側"から"与える側"になっても良いはず。




空条承太郎の友人と、暗殺チームレストラン

 

 

 ――先週、初めて財団に救援要請をした日の事を思い出す。

 

 

 まさか暗殺チームの面子が救援に来るとは思って無かったから、無表情を保つのに苦労したな。

 それにジョルノから足は洗ったと聞いたが、プロシュート兄貴の能力で死体が出来上がるんじゃないかとちょっと焦った。……実際は上手く加減してくれたらしく、敵が死ぬ事は無かったが。

 

 だが、問題はその後だった。

 

 俺が護衛していた男が前世でパッショーネに所属していて、暗殺チームの事を知っていた。その男は自分も前世で犯罪に手を出していた事を棚に上げて、暗殺チームを非難したのだ。

 念のため、足を洗った事が本当なのかを彼らに確認すると、それが事実だと認めてくれた。しかし男はそれでも喚き続けたので、俺は思わず口出ししてしまった。

 

 言葉では護衛としての意見と言ったが、どう考えてもあれは私情を挟んだ状態だ。

 さらに八つ当たりして来た男が離れてから、ついつい本音を呟いてしまった事もあり――何故か暗殺チームの面子に笑われたが――後日、一人反省会をした。

 

 

 で。何故俺がそんな出来事を思い出したのかというと、

 

 

「――あ、」

 

「おっ、」

 

「「園原志人」」

 

「っ!?」

 

 

 突然名前を呼ばれ、驚いて振り向いた先に――暗殺チームの仲良しコンビ、ソルベとジェラートがいたからだ。

 

 今日はスタンド能力の特訓のために、東京支部の訓練場を利用した。その帰りに、支部内でこうして声を掛けられた訳だが……とりあえず、相手の事を知らない体で話さないと。

 

 

「えっと、どちら様でしょうか?」

 

「先週、お前の救援要請に応じた奴らの仲間、と言えば分かるか?」

 

「男が5人」

 

「……あぁ、あの人達のお仲間だったんですね!あの時は彼らのおかげで本当に助かりました」

 

 

 俺は基本、守りに入るしか無いからな。自分1人だったらイージスと同化して攻撃するという手段を取れるが、あの時は護衛任務中だったし、負傷者もいたし。リゾット達が来てくれたのはマジで助かった。

 

 

「それで、俺に何かご用ですか?」

 

「……はい、これ」

 

 

 ジェラートが懐から何かのカードを取り出して、俺に渡した。それに目を落とす。

 

 

「――レストランの名刺……?」

 

「俺達は今世で、レストランを経営している。前世で同じチームにいた奴ら全員でな。……そのうち1人は高校生で、今はまだアルバイトだが」

 

「君の救援要請に応えた奴らが、君を見つけたらそれを渡せって言ってた」

 

 

 暗殺チームが全員でレストラン経営!?あれか?刃物の扱いは暗殺業で慣れてるから、とか?

 

 

「ま、暇が出来た時にでもうちの店を利用してくれ。リーダー達はお前に興味があるんだとよ」

 

「じゃあ、オレ達はこれから任務に行かないといけないから、これで」

 

「あ、はい。名刺、ありがとうございます」

 

 

 ソルベとジェラートが立ち去り、1人残された俺は首を傾げる。……俺の何に興味を持ったんだ?やっぱり、ジョースター家のお気に入りと呼ばれている事か?

 

 ……それはともかく、名刺を貰ったからには行かないとな。あの濃いメンバーが今世ではどうなっているのかも気になるし、バイトが早めに終わる日にでも行ってみよう。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 レストランの名刺を貰った数日後。バイトが終わった後に、スマホで地図を見ながらレストランの近辺までやって来た。

 日が沈んでいるし、レストランの閉店時間も近い。ちょっと急がなくては。

 

 

 ――そして急いでいる時に限ってこういう事が起こるんだよなぁ!

 

 

「避けんじゃねぇよ!」

 

「ちょこまかと逃げやがって!!」

 

「……っ、だあぁっ!うぜぇっ!!」

 

「うわ!?」

 

「テメー、卑怯な手を……!」

 

「喧嘩に卑怯もクソもあるか!?」

 

 

 ただ今、例の如くこの目付きの悪さのせいで不良数人に絡まれ、喧嘩の真っ最中でございます。

 俺は承太郎のように力が強くないから、相手の力を利用したり、狡い手を使ったりして立ち回るしかねぇ。だからどうしても、素手だと時間が掛かる。

 

 今時計を見る事はできないが、結構ギリギリだと思う。腹も減ってイライラしてるし、さっさと終わらせたい。

 そう思った時、ちょうど手頃な武器を見つけた。咄嗟にそれを掴み――思い切り振る!

 

 

「ぐえっ!?」

 

「なっ、デッキブラシ!?」

 

 

 多分誰かが掃除に使ってそのまま置きっぱなしにしてたんだろうが、ちょっとお借りしまーす!

 イージスとの同化で杖を武器にして棒術で戦うやり方は、何度も訓練して感覚は掴んでる。同化していない状態でも、棒で戦う事は可能だ。

 

 

 ……で。棒を振り回す事、体感で数分。何とか全員追い払う事ができた。デッキブラシを元あった場所に戻す。

 

 

「やべぇな、間に合うか……?時間は――」

 

 

 

 

 

 

「――ディ・モールトッ!!」

 

「っ!?」

 

「素晴らしい!まるで演舞のようだった!さすが、あの空条承太郎に親友と呼ばれる程の少年だね!」

 

「……おい、メローネ」

 

「ん?」

 

「そのガキ、めちゃくちゃ警戒してんぞ」

 

「……おや?」

 

 

 ……急に大声が聞こえたので、思わず驚いて飛び退いて反射的にイージス召喚してバリアを張ってしまった。

 正体はもう分かっているから、バリアを解いても問題無いのだが……今世の俺は彼らと初対面。

 

 ここは東京支部の中ではなく、外だからな。見知らぬ相手、それも承太郎の名前を出した相手に対しての反応はこれで間違って無いと思う。

 

 

「おおっ!?それが君のスタンドか?聞いていた通り、確かに神話の天使のようだな!そしてこのバリアは……あれ?味方は通れるんじゃなかったのかい?」

 

「つまり敵だと思われてんだよ、それぐらい分かれよ。つか、そのガキの目をよく見ろ!どう見ても不審者を見る目だろうがッ!」

 

「いやいや、オレ達は不審者じゃないよ?」

 

「俺は不審者じゃねえがオメーは間違いなく不審者だ!!……あー、警戒する気持ちはよーく分かるがとりあえずこっちの話を聞いてくれ、頼む」

 

 

 前世とは違い、服装は普通だが不審者としか思えない男――メローネにツッコミを入れながらも、前世とは違って苦労人に見える男――ギアッチョが俺にそう頼んで来た。

 

 

「…………えっと、このバリアを張ったままでも良いですか?」

 

「もちろんだ」

 

 

 不審者対策のためにそう言った俺に対し、ギアッチョは深く頷く。そして自分達の自己紹介から始めて、俺の救援要請に応じたリゾット達との繋がりを説明してくれた。

 たまたま用事があって、メローネと共に店の外に出掛けたその帰りに、俺が棒術で戦っている現場に居合わせたのだという。

 

 そこまで話してもらえれば、こちらが警戒する必要はもう無い。バリアを解くと同時に、イージスも俺の中に戻した。

 

 

「……あっ、そうだ!俺はあなた達のレストランに行こうとしてたんですが、もうそろそろ閉店時間ですよね……?」

 

「何だ、オレ達の店に来てくれるのか!ちょっと待っててくれ。最後の客を今から連れて行くと、連絡を入れるよ」

 

「えっ?いや、そんなご迷惑を掛ける訳には、」

 

「あ、もしもし?リゾット?前に君達が言ってたジョースター家のお気に入り君が、店の近くまで来てるんだけど――」

 

「ちょっと!?」

 

「……園原。こうなったらこいつは止まらねーよ、諦めろ。迷惑にはならねえから、気にすんな」

 

 

 ギアッチョがそう言うので、仕方なく諦める事にした。

 

 電話していたメローネから、何を食べたいかと聞かれた。どうやら俺が店に行く前から作って、できる限り早く食べられるように、という配慮のようだ。

 ギアッチョがスマホに店のメニューの画像を出して見せてくれた。……わざわざ先に作り出してくれるわ、メニューを見せてくれるわ、何だその神対応。

 

 1番人気なのはボロネーゼだという。せっかくなので、それをお願いした。

 

 

 店に向かう途中。メローネにいろいろと聞かれてその勢いに押されるも、ギアッチョがメローネの暴走を止めてくれた。

 ……ギアッチョが全然キレない、だと?随分落ち着いたな。その方が接しやすくて良いが、前世のあれは何だったんだろうか?

 

 メローネも、押しはかなり強いが例の変態的行動は見られない。……いや、相手が女性になった場合はどうなるのか分からないが。暗殺業から足を洗っているならヤバイ事はやらない、はず。

 

 

 やがて、レストランに到着した。店の中は意外と広くて解放感がある。……中にはリゾット以外の暗殺チームが勢揃いしており、予想以上に歓迎されて驚いた。

 その場にいる全員と自己紹介を済ませる。店長であるリゾットは今、厨房でボロネーゼを作ってくれているため、自己紹介は後回し。……店長自ら作ってくれるとは、楽しみだな。

 

 

「……にしても、お前。前に会った時と雰囲気が全然違うな。無表情でも無いし、よく笑うし」

 

「仕事とプライベートではっきり分けているんですよ。仕事中は任務達成に集中するために、できる限り感情を制御しているので」

 

「……職務には忠実に、か。今時のガキにしては珍しいタイプだ。ペッシも見習ったらどうだァ?」

 

「いや。彼は俺みたいなちょっとしか歳が違わないガキよりも、あなた達のような大人の方を見習うでしょう。

 出会ったばかりの子供より、長年の付き合いがある上に身近にいる頼れる大人の方が、良い先生になるに決まってます」

 

「…………あの時も思ったが、子供とは思えねえ程に口の上手い奴だぜ」

 

「……本当に、俺と1つしか違わないのか?園原さんは」

 

「そうだぞ、ペッシくん」

 

「鯖読んでたりしないよな……?」

 

「、はははっ!まさか」

 

 

 自己紹介の時に分かったのだが、今のペッシは高校1年で、4月には高校2年になる。今世の俺よりも1つ年下だったのだ。

 そんな俺に鯖を読んでいるのではないかと言ったペッシの発言には、前々世の事を考えてちょっとだけドキッとしたけどな。

 

 と、主にホルマジオとイルーゾォ、ペッシとプロシュート話したり、たまにメローネとギアッチョ、ソルベとジェラートと話したりしながら料理が出来上がるのを待つ。

 

 

「……待たせたな。出来たぞ」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 厨房からボロネーゼの皿を持ってやって来たリーダー。……おぉ、黒頭巾も何も被ってない。ちなみに、救援に来た時は黒フードを被っていた。

 目の前のテーブルに置かれたボロネーゼがとても美味そうだ。……でもその前に、

 

 

「改めて、園原志人です。先週は救援に来ていただいて、ありがとうございました」

 

 

 そう言って、手を差し出す。……リゾットは一瞬目を見開いた。あぁ、やっぱり。

 さっきも暗殺チームの面子と自己紹介した時に同じ事をやったら、何故か驚かれたんだよな。俺は外国人の文化に合わせたつもりだったが……まぁ、戸惑ったのは一瞬で、皆ちゃんと握手してくれたけど。

 

 

「……リゾット・ネエロだ」

 

 

 彼も同様に、一瞬戸惑いながらも握手を返してくれた。

 

 

「…………お前は、」

 

「……はい?」

 

「――相手が元暗殺者だと分かっているのに、その手に触れる事を躊躇わないんだな」

 

 

 そんなリゾットの言葉に、周囲が静かになる。……彼らは皆、俺の答えを待っているようだ。なるほど、握手に戸惑っていた理由はそれだったか。

 

 

「……そうですね。もしも俺が前世であなた達と出会い、暗殺者である事を知ったら……躊躇したかもしれません。

 でも、今世のあなた達は暗殺者ではない。俺から見れば、救援に来てくれた人達とその仲間の人達であり、このレストランの店員さん達です。

 

 ――俺を助けてくれた人達と、その仲間の皆さんを……ましてや、料理で大勢の人を喜ばせてくれる人達に対して、触れる事を躊躇う必要なんてありますか?」

 

「――――」

 

「今のあなた達の手は"人の命を奪う手"ではなく、食によって人の食欲を満たし、"人の心に幸せを与える手"でしょう?」

 

 

 それなら、触れる事を躊躇うのはむしろ失礼になる。……そう言うと、リゾットは限界まで目を見開いて俺を凝視した。

 いや、リゾットだけではない。他の8人も全員が彼とほとんど同じ顔で俺を見て、固まっていた。えっ、何だよその顔。

 

 

「……あの、皆さんどうかしましたか?固まってますけど、」

 

「――っ、ディ・モールトッ、ベネッ!!」

 

「う、わっ!?」

 

 

 俺の近くにいたメローネが突然そう叫び、俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でながら、おそらくイタリア語で何事かをまくし立てる。早口で何を言っているか分からない。

 すると。他の面子が血相を変えてメローネを捕獲。そして、俺から離れて店の隅へ移動。彼らもイタリア語で何事かを言い始めた。……あの感じだと、メローネを一斉に罵倒している、のか?

 

 1人残っていたリゾットが、何故か恐る恐るといった様子で俺を見る。

 

 

「……念のために聞くが、イタリア語は分かるか?」

 

「挨拶ぐらいしか分からないですね……日常会話とか、単語とかもさっぱりで……」

 

「そうか、なら良かった。――――メローネのあれ(・・)は知らない方が幸せだ……」

 

「え?」

 

「いや、気にするな。……それよりも、冷めないうちに食べるといい」

 

「あ、そうでしたね。いただきます!」

 

 

 さっそく、ボロネーゼを一口。……思わず目を見開いて、もう一口。

 

 

「――うま……えっ、すげぇ」

 

 

 語彙力を失う程に美味しい。……しばらく無言で食べ進めた俺は、途中で我に返ってリゾットを見る。

 

 

「リゾットさん、これ超美味しいです!あと、もしかして隠し味で醤油入れてます?」

 

「……よく分かったな。ボロネーゼは時間を掛けて煮込む料理だが、今回はその時間を短縮した。だが、そうすると味に深みが足りなくなる……」

 

「それを、醤油のコクと旨味でカバーしている訳ですね。なるほど……ミートソースにも使えるかも」

 

「それなら味噌の方が良いぞ。トマトと相性が良いからな」

 

「へぇ!今度使ってみます。……にしても美味いなぁ」

 

 

 それから再び黙って食べ進め、すぐに完食した。"ごちそうさまでした"と口にして顔を上げると、いつの間にか戻って来ていた奴らも含め、全員に見られていた事に気づく。

 

 

「……本当に"美味い!"って顔をしながら食べてくれるのか、お前は」

 

「だって、本当に美味しいので。それは顔に出ますよ」

 

「――くくっ……ふふふ……!!」

 

「え」

 

「リ、リゾット……!?」

 

「珍しく声に出して笑ってるぜ、あいつ……」

 

 

 くつくつと笑うリゾットに驚くと、その仲間達も驚いていた。やっぱりレアなのか、これ。

 

 

「……"人の心に幸せを与える手"、か。なるほど、よく分かった。それに――園原のスタンドの見た目がああなった理由も、分かった気がする」

 

「…………あー」

 

「なるほど、確かにそうだ。――Angelo……さっきの殺し文句といい、食べてる時の幸せそうな顔といい……ぴったりじゃねえか」

 

 

 プロシュートの言葉に首を傾げる。……アンジェロ?俺は杜王町出身の殺人犯では無いのだが……いや、イタリア語の単語か。意味は何だ?

 

 

「おい、園原。またうちの店に食べに来い。今度は俺が作ってやるからよォ」

 

「デザート作ってあげる」

 

「ああ、ジェラートが作るパンケーキはおすすめだぜ」

 

「次に来たらオレが作るハンバーグを注文しろ!」

 

「いや!それよりもオレが愛情を込めて作るオムライスを、」

 

「お前はすっ込んでろ、メローネ!」

 

「テメーが愛情を込めるとか嫌な予感しかしねえ!」

 

「…………料理の専門学校……行ってみようかな」

 

「おっ?その気になったか、マンモーニ!」

 

「うん……ちょっと考えてみるよ、兄貴」

 

 

 堰を切ったように話し出す暗殺チームに困惑し、唯一黙っていたリゾットを見ると、彼は苦笑いを浮かべた。

 

 

「……おい、お前達……園原が困ってる。そろそろ止まれ」

 

 

 ……鶴の一声、とはこの事か。リゾットが声を掛けるとすぐに静かになった。さすがリーダー。

 

 

「……困らせて悪かったな。こいつらも俺も、お前が食べている時の顔が気に入ったんだ。……良かったら、また食べに来てくれないか?」

 

「はい、また来ます。……あ、今度は友人と一緒に来てもいいですか?」

 

「友人……」

 

 

 難しい顔になった。……あれ?

 

 

「……ちなみに、連れて来るとしたら誰だ?」

 

「俺の親友とか、その仲間達とか。……主に同じ学校に通ってる人達ですかね?あと、ジョースター家の人達」

 

「…………せめて、ジョルノ、ミスタ、フーゴ、ナランチャ、トリッシュ、アバッキオ、ブチャラティを呼ぶ事だけは止めてくれ……」

 

「……ジョルノ達と、あまり仲が良くないんですか?」

 

「……仲が良いとも、悪いとも言えないが……とにかく、あいつらだけは連れて来るな」

 

「わ、分かりました……」

 

 

 前世の事を引きずっているのかもしれないな。それなら、彼らを連れて来るのは止めておこう。

 

 

「――そうだ!なぁ、園原。オレ達と一緒に写真撮ってくれないか?」

 

 

 と、イルーゾォがそんな事を言い出した。

 

 

「別にいいですけど……何で?」

 

「おい、何考えてんだ?イルーゾォ」

 

「まぁまぁ、全員オレの話を聞けって!あ、園原はちょっと待ってろよ」

 

「は、はい」

 

 

 暗殺チームの全員がイルーゾォの周りに集まり、何やらこそこそと話している。仲良しかよ。

 

 やがて、話がまとまったようだ。今度は全員にお願いされた。まぁ、写真を撮るぐらいは全然構わない。

 その代わりに俺にもその写真を送って欲しいと言ったら、流れで全員と連絡先を交換する事になった。

 

 前々から思っていたが、俺の携帯の連絡先の一覧が凄い事になっている。ジョジョキャラだらけだ。この携帯を落としたら、いろんな意味で大変な事になるな。特に、石油王の連絡先がある事がヤバイ。

 

 

 ――後の未来で、石油王だけでなく不動産王や、有名なサイバーセキュリティ会社の社長などなど……

 その他諸々の有名人達の連絡先が入っている事になり、もしも万が一携帯を落としたらもっとヤバイ事になるのだが……この時の俺は、まだそれに気づいていない。

 

 

 その後。何故か俺をまん中にして写真を2枚撮り、そのうちの1枚が俺の携帯に送られた。……暗殺チームのみんなが良い笑顔で映っている。貴重な1枚だ。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

「――"Corpo satollo anima consolata"」

 

「んん?」

 

「イタリアの諺だ。日本語で言うと"体が満たされれば心も満足"」

 

 

 ペッシを自宅に送るついでに俺の事も家まで送ってやると、プロシュートが言い出した事に最初は遠慮したのだが、結局押し負けて彼が運転する車に乗せられた。

 ペッシの家の前で彼を先に降ろし、今はプロシュートと2人で車の中にいる。

 

 

「……今の俺達の手は"人の命を奪う手"ではなく、食によって人の食欲を満たし、"人の心に幸せを与える手"である……お前にそう言われた時、この諺を思い出した」

 

 

 そう言った彼の様子は、どこか嬉しそうだった。

 

 

「最初にレストランを開くと言い出したリゾットの下に、俺達は自然と集まった。

 それはあいつが前世で俺達のリーダーだったからだと、何となくそう思ってたんだがな……俺達が今でもあのレストランの店員として働き続ける、本当の理由は――

 

 ――今世では"奪う側"ではなく、"与える側"になりたいと。漠然とそう思っていたせいかもしれねえ」

 

「――――」

 

「……Grazie mille(本当にありがとう)、園原。お前のおかげで、俺は大事な事に気づいた。きっとリゾット達もそうだろう」

 

 

 ……前世の彼らはジョルノ達の敵で、殺人を犯す暗殺者達だ。しかし、彼らには彼らなりの信念と覚悟があった。

 それを貫いた末に全滅してしまった彼らだが、今世では足を洗い、"奪う側"ではなく"与える側"となって平和に暮らしている。……そう思うと、何だか感慨深い。

 

 

「……あ、ここです。送ってくれてありがとうございました」

 

「……このアパートが?ここで家族と一緒に住んでんのか」

 

「いえ、1人暮らしですよ」

 

 

 自宅の前に到着したところで、誤解されていた事に気づき訂正すると、まじまじと顔を見られた。何だろう?

 

 

「…………お前、歳はペッシの1つ上だって言ってたな。1人暮らしはいつからやってる?」

 

「……中学を卒業してから、すぐに」

 

「って事は1人暮らしを始めてそろそろ2年、か……日本じゃそれが普通なのか?イタリアだと、1人暮らしを始める年齢はもっと後になる事も珍しく無いんだが」

 

「へー、やっぱり国によって違いますね……まぁ、日本でも高校を卒業した後とか、社会人になってから、というのが一般的ですけど」

 

「じゃあ、お前は何でそんな早い時期に?」

 

「…………あー、諸事情があって……簡単に話すと中学卒業後に母親が亡くなって、元々いろいろあって父親ともかなりの不仲なので、やむを得ず1人暮らしを始めたんです」

 

「っ!!」

 

 

 カッと目を見開いたプロシュートは、次いで片手で額を押さえ……それから、とても申し訳無さそうな顔で俺に謝罪した。

 イタリア人には家族、特に母親や祖母を大事にする文化が根付いているため、母親を亡くした俺に強く同情してくれたらしい。

 

 彼はペッシの兄貴分らしい面倒見の良さを発揮して俺の事を心配し、何か困った事があればいつでも頼れと言い残して帰って行った。……さすがです、プロシュート兄貴。

 

 

 プロシュートもそうだが、今世の暗殺チームは皆優しいなぁ。……メローネは押しが強過ぎるが、変態的行動はしなかったし。

 今世の彼らとなら、上手く付き合っていけそうだ……と、思っていたのだが。

 

 

「――志人さん。ちょっといいですか?」

 

 

 後日の放課後。怖い笑みを浮かべたジョルノとミスタ達が、わざわざ高等部の教室までやって来て俺を呼んだ。

 彼らと共に誰もいない空き教室へ移動すると、スマホである写真を見せられた。

 

 それは、俺がリゾット達のレストランに行った日に撮った写真だった。……しかし、俺に送られた物とちょっと違う。

 

 

「……こんな写真が僕達の下に送られて来たのですが、いつの間に奴らとこんなに仲良くなったんですか?」

 

「この前ソルベさんとジェラートさんに店の名刺を貰ったから行ってみただけで、特別仲良くなったという訳では無いんだが……

 それよりもこの写真、イルーゾォさんが俺に送ってくれた写真とちょっと違うぞ」

 

 

 そう言って、俺に送られた写真をジョルノ達に見せる。……ジョルノに見せられた写真と違っているのは、リゾット達の表情だ。

 

 

「俺が持ってる方はみんな良い笑顔で映ってるけど――そっちの写真は、何故かドヤ顔だ」

 

 

 そう。ジョルノが俺に見せた写真に映る彼らは、何故か全員わざとらしい程のドヤ顔をしていた。……あの人達、そんな顔も出来たんだな。

 

 

「あの日は2枚写真を撮ったから、そのうちの1枚が俺に、もう1枚がそっちに送られたんだと思う。……リゾットさん達は何でわざわざそんな事を、」

 

「――っ、あの野郎共ォッ!!」

 

「腹立つ!!これってやっぱりこの前の仕返しよね!?」

 

「あいつら1人残らずパープル・ヘイズの餌食にしてやりたいッ!!」

 

「あああァァッ!あいつらのドヤ顔を殴らせろォォッ!!」

 

「――よし。今から奴らの店にカチコミに行きましょうか」

 

「「「「賛成」」」」

 

「ちょっと待てぇっ!?」

 

 

 必死になってジョルノ達の暴走を止めているうちに、なんとなく理解した。リゾット達はジョルノ達を煽りたかったんだろう。

 何故こんな方法を取ったのかは分からないが、俺を巻き込むのは本当に止めて欲しい。

 

 最初は上手く付き合っていけそうだと思っていたが、ちょっとだけ付き合い方を考え直そうかな……?

 

 

 

 

 

 






※ちなみに。本文の中で、暗チが血相を変えた言葉を日本語に訳すと――"君が母体になれば、天使のような性格の素直な息子が生まれるだろう!"

 さらに言えば。このシリーズでのメローネのスタンドは改良され、殺人以外の利用方法を編み出したが、男を母体にする事も可能となった。

 ――あとは、分かるな?

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