空条承太郎の友人~番外編~   作:herz

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・ふと思いついた短編4話を、1つにまとめた物です。

・男主と承太郎も登場していますがメインではなく、その代わりに男主と承太郎の周辺の人達が主役。




 素直になれないジョナサン・ジョースターと、同じく素直になれないディオ・ジョースター。

 後輩と親友を心配するシーザー・A・ツェペリと、怖い顔をしているジョセフ・ジョースター。

 いざという時は手綱を噛みちぎる系の猛獣達のくせに、男主にはどうしても敵わないジョースター家。

 先輩達から送られて来る写真に笑わされたり感動したり、大いに楽しんだ護チ若者組+トリッシュ。


 ――空条承太郎とその親友の仲間達にだって、それぞれの物語があるはず。




混部世界の、短編集

 

 

ジョナサン・ジョースターは、動揺する

 

 

・沖縄旅行後、まだ夏休み中。メッセージアプリでの会話。[ ]で表現。

 

・通常の会話とメッセージアプリでの会話が入り乱れるので、ちょっと分かりにくいかもしれません。申し訳ない……(´・ω・`)

 

・一部、承太郎の友人シリーズ最終話のネタバレあり!まだ最終話を読んでいない方は注意!!

 

・ジョナサン視点。

 

 

 

 

 

 

 [志人さん、ちょっと聞いても良いですか?]

 

 [どうした?改まって]

 

 

 その日は珍しい事に、旧図書館組の全員が揃ってメッセージアプリで会話していた。そんな時、ジョルノが志人君に声を掛ける。

 

 

 [美ら海水族館に行った時、僕達を動物に例えましたよね?兄さんがザトウクジラで、ジョナサンがスナメリ、僕と承太郎さんは海洋生物縛りじゃなければ雌ライオンと黒豹だと]

 

 

 

 

「……そういえば、そんな話になったって旅行中に言ってたね。僕は笑顔が似合うからスナメリだとか」

 

「ああ、そうだな」

 

 

 スマホに付けている、スナメリのストラップを見た。……実はその時のディオの様子から、僕がスナメリなのはそれ以外の理由もあるのではないかと疑ってるんだけど……それはさて置き。

 

 今、ディオは僕の部屋にいる。先程まではチェスで遊んでいたが、ちょうど一勝負終わったところで旧図書館組のグループにメッセージが入ったので、そっちを見る事にしたのだ。

 

 

 [それがどうかしたか?]

 

 [海洋生物縛りじゃない場合、兄さんとジョナサンはどんな動物に例えられるのか、ちょっと気になりまして]

 

 [それは俺も気になる。シドのそれは、聞いていると面白いしな]

 

 [分かった。ちょっと書いて来るから待っててくれ。最初はディオさんから]

 

 

 そんな年下3人の会話を見て、ディオと顔を見合わせた。

 

 

「……確かに気になるが、ある意味恐ろしいな」

 

「え?どうして?」

 

「……お前も、今から覚悟しておけ」

 

「何を??」

 

 

 ディオの発言が気になって仕方ない。……しばらく待っていると、志人君から長いメッセージが送られて来た。

 

 

 [先に謝っておく。長文失礼。長いから2回に分けるぞ。……まず、ディオさんは虎だな。今にも翼が生えてきそうな凄みを感じさせる、強い雄の虎。

 

 俺個人の意見として、真の百獣の王は虎だと思っている。実際に、中国ではそういう話もあるらしい。大昔から強者の象徴として使われる事も多いしな]

 

 

 へえ……真の百獣の王は虎、か。面白い意見だ。確かに中国では昔から、虎は特に恐ろしい存在だという印象が強かったようだし。

 

 

 [獅子よりも虎という言葉の方が、よく諺や慣用句で使われてるだろ?故事成語としてだが、そういった意味ではライオンよりも虎の方が影響力が強いと思う。

 それに虎は基本単独で狩りをするから、一頭のみで強いのは群れで狩りをするライオンではなく、実は虎の方なんじゃないか?

 

 強者の象徴として使われる事が多い。言葉の影響力が強い。単純な実力も、強い。……そんな、上に立つべき人間の素質がディオさん1人に凝縮されている、というイメージだな]

 

 

 これはまた……人の上に立つ事や上を目指す事が大好きなディオにとって、志人君の言葉はこれ以上ない褒め言葉だね。

 横目でディオの様子を見る。……スマホの画面を凝視している、というか、あれ?

 

 

「ディオ?……ディーオー?」

 

「――――」

 

「あ、駄目だこれ。固まってるよ」

 

 

 

 

 [なるほど、ありがとうございます。兄さんが虎ですか……似合いますね]

 

 [お前がライオンに例えられた上で、真の百獣の王は虎だと言われても気にしねえんだな]

 

 [あ、そうか!ごめん、ジョルノ!]

 

 [大丈夫ですよ、志人さん。特にこだわりは無いですし、むしろ納得しましたから。……ところで、兄さんとジョナサンの反応が無いですね?]

 

 [既読は付いているが]

 

 [ちゃんと見てるよ。ディオが面白いぐらいに固まっちゃったから、写真撮って来るね!]

 

 [えっ、何でディオさん固まったんです?]

 

 [ちょっとジョナサンwwww]

 

 [それは見たい、撮れ。そしてこっちに送ってくれ]

 

 

 承太郎からも頼まれたし、さっそくカメラを構える。……すると、ようやく再起動したディオにスマホを掴まれた。

 

 

「撮・る・な」

 

「……ちぇっ、残念」

 

 

 既にいつもの表情に戻ってしまったし、撮影は断念した。

 

 

 [撮影は阻止した。それよりも園原、さっさとジョナサンの方を聞かせろ]

 

 [あ、はい。もう書いてあるので、今から2回に分けて出していきます]

 

 

 仕事が早い!?……ディオが"覚悟しておけ"と言った理由は分かったし、僕もある意味怖いんだけど。

 

 

 [また長文失礼。……ジョナサンも虎だ。ただし、雄ではなく雌の虎。しかも雄の虎と縄張り争いができる程に強い雌。

 

 虎の子、っていう言葉があるよな?あれは母虎が子虎を、約2年という長い時間を掛けて育て上げる事が由来になっているらしい。

 数ヶ月程度で独り立ちする野生動物が多い中、これは結構珍しい例だと思う。……で、そういう子供を大事に大事に守っているところが、俺が思うジョナサンの性質と被るんだ]

 

 

 [ジョナサンは、案外一歩引いたところから周りを見守っている事が多い。きっとそれは、いざという時に真っ先にジョースター家の皆を守れるようにしてるんじゃないかと、俺は勝手にそう思ってる。

 

 まるで、スタンドのようだ。

 

 子供の後ろで母虎が控えているように、ジョースター家の皆の後ろではジョナサンが控えている……そう考えると、凄く頼もしいよな]

 

 

 ――それを全て読んだ時、僕は固まった。……ディオとは違う意味で。

 

 

「…………おい」

 

「――――」

 

「っ、おい、ジョジョッ!!」

 

「!!」

 

 

 肩を掴まれた方を見ると、ディオが心配そうな表情で僕の顔を覗き込んでいる。……何だよ。普段はそんな顔全然見せないくせに。

 

 

「…………ねえ、ディオ」

 

「……何だ?」

 

「志人君、実は気づいてるのかな……?」

 

 

 ――前世で死んだ僕が、スタープラチナの中にいた事を。

 

 

 ……まるでスタンドのようだ、なんて。志人君がそんな表現を使ったものだから、心臓が止まるかと思ったよ。

 

 

「いや……さすがにそれは無い。お前が何か口を滑らせない限り、いくら洞察力の高い彼でも真実を導き出す事は不可能。承太郎も、おそらくまだ気づいていないはずだ。

 逆に言えば、一度口を滑らせたら最後。園原と承太郎なら、あまり時間を掛けずに真相にたどり着くだろう」

 

「…………」

 

「だから、まあ――今は、まだ……心配する必要は無い、んじゃないか?別にお前がどう考えようが俺の知った事ではないけどな!!」

 

「…………慰め方下手くそだね」

 

「はァ!?ジョジョ貴様、この俺がせっかく、」

 

「ごめん、分かってる。……ありがとう、ディオ」

 

「…………ふん!」

 

 

 

 

 [また既読が付いてるのに、反応がありませんね]

 

 [……まさかジョナサンも固まったか?]

 

 [写真を撮ろうとして残念な事に阻止されたが、固まっていたぞ]

 

 [兄さんまで何やってるんですかww]

 

 [自分は撮られるのを嫌がったくせに……やれやれだぜ]

 

 

 グループの方ではディオが誤魔化してくれた。僕も動揺してないで、平常心を取り戻さないと。

 

 

 [だから何で固まったんです?俺、なんか変な事書いちゃいました?]

 

 [いや。むしろよく当たっているぞ、園原。こいつは前世の自分の子孫達を、これでもかというほど大事にしているからな。そこは、この私でも素直に尊敬している]

 

 

 と、ディオが珍しくそんな事を書いた。驚いて隣を見ても、彼はスマホから目を離さない――というよりも、僕と目を合わせないようにしている。

 何でそれを言葉にして言ってくれないのかな?君は本当に天の邪鬼だな!いや、現代風に言うとツンデレか。

 

 ……君がその気なら、僕だってそうしよう。

 

 

 [ディオの方もよく当たってたよ。真の百獣の王っていうのもこいつのイメージとぴったりだと思うし、上に立つべき人間の素質については、この僕でも素直に尊敬してる]

 

 

 そう書いたら、隣でガタッ!!という椅子の音が聞こえたけど、あえて見ないようにした。

 

 

 

 

 

 

※おまけ↓

 

ジョルノ[ところで、雄虎と雌虎って……番か何かですか?]

 

園原[いや?番というか、兄弟かなと思ってる。

 

 ……まぁ、虎の兄弟って母虎に2年も大切に育てられたくせに、独り立ちした後は普通に縄張り争いしたり殺し合ったりするらしいけどな]

 

承太郎[おい、その情報必要だったか??]

 

ジョルノ[台無しですね、いろんな意味で]

 

 

 

 

 

 


 

 

シーザー・A・ツェペリは、後輩と親友を大切にしている

 

 

・最初が沖縄旅行中。次にファンクラブ騒動編。

 

・シーザー視点。

 

 

 

 

 

 

「……こんなにシャボン玉が浮かんでると、」

 

「ん?」

 

「――まるで、宝石箱の中にいるみたいですね」

 

「――――」

 

 

 JOJOによって強制的に連れて来られた沖縄旅行だったが、結果的には楽しかったしあいつに仕返しもできたから、まぁそれで良しとする。

 

 そんな旅行中に出会った後輩……園原志人は良く出来た奴だった。目付きが鋭過ぎて黙っていれば誤解を招きそうだが、口を開けば素直で可愛い後輩だ。

 年上をちゃんと敬うし、根が良い子だし、気配り上手だし……他の前世を持つ後輩達と比べると、"普通"で良い。康一と似たタイプだな。

 

 そんな志人はJOJOから話を聞いたようで、旅行中に俺の波紋のシャボン玉が見たいと言い出した。それくらいなら大した手間では無いし、と軽く見せてやる。

 すると、俺が作ったシャボン玉を見て冒頭のセリフを言ったものだから、こっちは驚いた。

 

 

「……まさか、そんなロマンチックな表現が出て来るとは」

 

「言わないでくださいよ、自分で言ったくせにちょっと恥ずかしくなって来ました」

 

「くく……っ!」

 

 

 確かに、シャボン玉に光が反射して宝石に見えなくも無いがな……自分のシャボン玉を見ても俺はそう思った事が無かったから、その感想は新鮮で面白い。

 

 

「よし、それならもっと宝石を増やしてやろう。見逃すなよ?」

 

「え?」

 

 

 志人の真上にある、シャボン玉の数々。――それらを時間差で、破裂させた。細かい破片に光が反射して、キラキラと輝く無数の光の粒が落ちていく。

 

 

「おおぉぉ……っ!!」

 

「どうだ?」

 

「本当に宝石が増えた!!凄いです、シーザー先輩!ありがとうございます!」

 

「はははっ!」

 

 

 志人は子供のように、無邪気に喜んでくれた。……そこまで喜ばれると、自分がいつも使っているシャボン玉が特別綺麗な物に見えて来る。不思議だ。

 

 

 ……その日の夜。JOJOと2人でいた時に志人の事を話すと、あいつは目を細めて穏やかに微笑むという、珍しい表情を見せた。

 

 

「……子供のように、じゃなくて。実際子供なんだよなァ、園原は」

 

「どういう事だ?」

 

「……お前にはまだ話してなかったよな――あの子は前世で、まだ10代だった頃に死んでるんだよ」

 

「っ、何だと?」

 

 

 JOJOから、志人が死んだ時の状況について詳しく聞いた。

 前世ではスタンド使いを生み出す矢によって死に、しかし今世ではスタンド使いになったという珍しい例。そしてその犯人が、志人と同学年の形兆……

 

 

「今は少しずつ克服しているようだが、園原が初めて形兆と対面した時は酷いもんだったぜ。

 あいつの声を聞いてその姿を見た瞬間、園原は比喩じゃなくてマジで息止めちまってよ……承太郎のおかげで助かったが、トラウマは残ってる。

 

 そりゃそうだよなァ。大体のスタンド使いが前世で戦闘を経験して、精神的にかなり成長している中。あの子は今世で初めてスタンド使いになり、まだ数ヶ月程度しか経ってない。

 肉体年齢が、そのまま精神年齢なんだ。自分が死んだ瞬間がトラウマになってもおかしくねェよ。まだまだ子供だからなァ」

 

「…………そう、か」

 

「むしろ、そんな事もあった上に今世では酷い家庭環境にも置かれて……よくもまァあんな良い子に育ってくれたもんだぜ、全く」

 

「酷い家庭環境……?」

 

「おっと、そこはなかなかデリケートでな。お前が相手でも話せねェ。悪いな」

 

 

 ……気になるが、こいつがそう言うなら決して口を割らないだろう。俺も無理やり聞こうとは思わないし、できれば志人が自分から話してくれるまで待ちたい。

 

 

「園原はなァ、俺にとっては新しい孫みたいなもんなんだよ。可愛がってやりたいんだ」

 

「……気持ちは分かる。俺も弟みたいだと思った」

 

 

 彼を見ていると、可愛い妹達と重なる。自然と可愛がってやりたくなる年下だ。

 

 

「おォ、保護者追加だな。リサリサもあの子を気に入ったみたいだし、スージーQも"将来的には志人くんみたいな子供が欲しいわね!"とか言っててさァ」

 

「おいこら、ナチュラルに惚気るんじゃねぇ」

 

「ええェ?……じゃあ園原がうちに初めて来た時の話でも、」

 

「よし、それは存分に話せ」

 

「食い付き早いよ、シーザーちゃん」

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 ――そんな、俺達が可愛がっている後輩が階段から落ちるところを見た時は、肝が冷えた。

 

 

 事件が起こったのは、承太郎のファンクラブの過激派による、志人へのいじめが始まってから数日が経過した、ある日の事。

 その時の俺はJOJOと共に、移動教室の帰りに階段を上がって2階に到達したところだった。

 

 3階へ続く階段の上から悲鳴が聞こえ、俺達が揃ってそちらに目をやると……限界まで目を見開いた志人が落ちて来るところだった!

 

 

「志人!?」

 

「園原ァッ!!」

 

 

 咄嗟に、まずは俺が志人を受け止めてその勢いを殺し、そんな俺を背後でJOJOが受け止める。

 結局3人で2階の床に転がる羽目になったが、最善の判断だったと思う。……突然の事だったのに、俺もJOJOもよく動けたものだと褒めてやりたい。

 

 

「先輩達すみません!大丈夫ですか!?」

 

「問題ない」

 

「おォ、平気平気!…………お前、俺の後ろに一瞬イージスのバリア張っただろ?それがちゃんとクッションになってたぜ。ありがとな」

 

「いえ……間に合って良かったです」

 

 

 何?そうだったのか。……スタンドが見えないのは、やはり少々不便だな。

 

 

「それより、どうしたんだ一体。いきなり階段から落ちて来るなんて……」

 

「あ、あぁ、本当にすみません。実は階段を踏み外してしまって、」

 

「園原」

 

 

 すると、JOJOが珍しく真剣な顔で志人の両肩を掴んだ。

 

 

「正直に、言え」

 

「う、……あー……その、えっと、」

 

「言え」

 

「ハイ、言います――突き落とされ、ました。……誰かから背中を押された感覚が、確かにありました」

 

「っ!!」

 

 

 思わず階段の上を睨んだ。集まっていた野次馬共が、一斉に目を逸らす。あの中に犯人がいるのか、それとも既に逃げた後なのか。

 

 

「この―――――が……!!」

 

「こらこら、シーザー。そんな汚い言葉使うなって。後輩の教育に良くない!」

 

 

 イタリア語のスラングを口にすると、JOJOに注意された。お前は……!!

 

 

「お前は腹が立たないのか!?俺達の大事な後輩が危うく大怪我するところだったんだぞ!?」

 

「まァまァ――落ち着けよ」

 

「!」

 

 

 そう言われたのと同時に、肩を掴まれた。……痛みを感じる程に。

 

 今気づいたがこいつ、目が笑ってない。普段のJOJOなら、こんなに怖い作り笑いはしないはず……

 

 

「ところで園原ちゃん?何で君は1人だったのかなァ?」

 

「……すみません、ジョセフ先輩。油断してました。職員室に用があって……すぐに済むはずだから1人で行って帰ってくれば良いか、と」

 

「それはアウトだなァ。今後は何があっても必ず俺達の中の誰かと一緒に行け。グループにメッセージ送れば、誰かが付き添ってくれるだろ。

 今起こった事は、俺がグループで説明しとく。次からは遠慮するんじゃねェぞ?いいな?」

 

「いや……でも、さすがにそんな些細な事で誰かを呼び出すのは、」

 

「園原。――突き落とされて怖かったんだろ?手、震えてるぜ」

 

 

 はっと彼の手を見ると、志人はその手を背に隠して目を逸らした。JOJOの指摘は図星だったのだろう。

 

 

「いいから俺達を頼れって。な?」

 

「……ごめんなさい。お願いします」

 

「ン!いい子だ、ご褒美に頭ナデナデしてやろう!よしよォし!」

 

「…………ガキ扱いすんの止めてください」

 

「……よしよし」

 

「ちょっ、何でシーザー先輩まで!?止めろよ!」

 

 

 止めない。……だって、JOJOに頭を撫でられた時嬉しそうだったじゃないか。お前、実は撫でられるの結構好きなんだろう?

 

 

 その後。職員室から志人のクラスまで付き添い、彼を見送ってから俺達のクラスに向かう事にした。申し訳なさそうに礼を言う志人の頭をまた撫でてやり、教室の前で別れる。

 ちょうど、次の授業の予鈴が鳴り始めた。急がなくては。

 

 

「シーザー」

 

「何だ?」

 

「次の授業サボるから後の事はよろしくゥ」

 

「おい待て生徒会長、というか受験生!!」

 

 

 慌てて引き留めると……志人は既にいないから、自重を止めたのだろう。JOJOは怖い顔で俺を睨んだ。

 

 

「……園原が落ちた現場を念写で調べる。時間が経つとその分情報も消えていくんだ。早く調べねェと。それに――今、頭冷やさねェとヤバそうなんだわ、俺」

 

 

 ……これは駄目だな。サボるのを止めさせるどころか、1人にしておくのも心配だ。ストッパーが必要だろう。

 

 

「…………条件が1つ」

 

「おう」

 

「俺もサボる」

 

「あ"あ!?お前、皆勤賞どうすんだよ!?」

 

「そんな物いらねぇよ」

 

 

 元から狙っていた訳ではなかった。たまたま毎日無遅刻無欠席で通っていたら、いつの間にか皆勤賞に手が届きそうになっていただけだ。特にこだわりは無い。

 

 

「ほら、さっさと行くぞ」

 

「待っ、ああァーもう!お前って本当に一度決めたら梃子でも動かねェよなァ!?」

 

「それはこっちのセリフだ、スカタン」

 

 

 あえて先導すると、JOJOは文句を言いながらついて来た。

 

 

「…………余計な心配させちまって、悪い」

 

「は?何の事だ。俺は可愛い可愛い後輩のために動いているだけだぞ」

 

「はいはァい、分かった分かった、そういう事にしておきますよォ」

 

 

 

 

 

 


 

 

東方仗助は――否。ジョースター家は、園原志人に敵わない

 

 

・園原誘拐編で黒幕が自首した後、財団の東京支部に向かっている途中。

 

・仗助視点。

 

 

 

 

 

 

 東京支部へ向かう車の中では、誰もが静かに怒りを露にしている。理由はただ1つ、志人さんを誘拐したトリスタンを操っていた黒幕……否笠があっさりと自首してしまったから。

 基本沈黙があまり好きじゃないジジイまで黙り込んでいて、車内は珍しく静かだ。

 

 ……こっちは否笠が抵抗して殴って直してのエンドレスになる事を期待してたのに、なんで自首したんだよクソ野郎め。

 

 

(志人さんが、俺の恩人があんな目にあったのはそいつのせいなのに、何も仕返しできないのかよォ……!!)

 

 

 承太郎さんのおかげで目を覚ましてくれたし、怪我は俺が綺麗に治したけど、治す前は本当に酷かった。

 体中がボロボロになったあの人の姿を思い出すだけで悲しくなるし、苦しくなるし……でもそれ以上に怒りが込み上げて来る。きっと、承太郎さん達も皆それは同じだ。

 

 殴りたい。めちゃくちゃ殴りたい。ボコボコにしてやりたい――!!

 

 

「――ごめん、ちょっといいか?」

 

 

 そんな車内の沈黙を破ったのは、志人さんだった。

 

 

「……どうした?シド」

 

「実は、さ……その、本当に恥ずかしい事に、腹が減ってるんだわ、今」

 

「腹?」

 

「朝に誘拐されて、ちょうど今は昼時だろ?腹減って来たし、なんなら水もずっと飲んでないからさすがに限界で……悪いな、いきなりこんな事言って」

 

 

 あっ、と誰かが――もしかしたら俺だったかもしれない――声を漏らし、全員がそれぞれ顔を見合わせる。

 

 

「そうか、そうだよなァ!?ごめんな志人!」

 

「ええっと、どうしようか?何処か店に寄って……」

 

「ジョジョ。コンビニならこの先にあるぞ。……志人。それでも構わないか?」

 

「もちろんです!」

 

「……そういえば、僕もお腹が空きました」

 

「あたしもお腹空いたわ……水飲む余裕も無かったし」

 

 

 ジョルノと徐倫に続いて、他の皆も空腹を訴える。俺も今それに気づいた。確かに腹が減ってるし、喉もカラカラだ。……そのせいで、皆余計にイライラしてたのかもなァ。

 

 

「じゃあ俺、六車さんに電話します。事情を説明して、ちょっと遅れて行くと…あ、今携帯持ってないんだった。自転車の籠の中にバック置きっ放し……」

 

「……バックなら回収しといたぜ。ほらよ」

 

「おぉ!ありがとな、承太郎。助かった」

 

 

 さすがにそのまま放置するのはまずいだろうと、志人さんの自宅から離れる前に、彼のバックは回収済みだった。

 

 志人さんがさっそく電話を掛け始めた。六車さん達財団職員が乗っている車は、俺達よりも前を走っている。

 繋がった電話で事情を話した志人さんは、最後に俺達に聞こえる声でこう言った。

 

 

「――という訳で、皆頭を冷やすついでに(・・・・・・・・・)昼食取ってからそっちに向かいます。……はい、では失礼します」

 

 

 俺達が振り返って志人さんを凝視すると、彼は何でもないような顔で笑う。

 

 

「って事で、皆ちょっとクールダウンしようぜ?俺のために怒ってくれるのは、凄く嬉しいけどさ」

 

 

 何人かがクスッと笑い、一気に車内の空気が緩んだ。さっきまでのピリピリした雰囲気は、もう何処にもない。

 

 

「……珍しく自分の欲求を素直に口にしたかと思えば、結局自分じゃなくて俺達のためかよ。変わらねえな、お人好し」

 

「…………別に、腹減ってたのは本当だし」

 

「それでも普段のお前なら、俺達に迷惑が掛かるからと空腹を隠し通すだろ?」

 

「なんの事かなぁ?」

 

「くくっ……!」

 

 

 ……ああ、そういう事かァ!承太郎さんとの会話で納得した。だから志人さんは……!

 

 そういや、いつものこの人なら俺達になかなか我が儘言わないもんな!さっきの空腹を訴える声だって超控え目だったし、凄く申し訳なさそうだったし……

 

 

(あァー、もう……本当にあんたって人は!)

 

 

 これだから俺は――いやジョースター家は皆!志人さんには敵わないんだッ!!

 

 

 

 

 

 


 

 

護チ若者組+トリッシュによる、写真観賞

 

 

・承太郎達が修学旅行中。グループに送られて来た写真への反応。

 

・中途半端なところで終わっています。

 

・ミスタ視点。

 

 

 

 

 

 

 それは、昼休み中。いつも通り前世の仲間達が学校の屋上に集まり、昼飯を食い始めた時の事。

 学生組のグループに、修学旅行中の花京院さんから写真が送られて来た。最初に通知に気づいた俺が、それを見て隣にいたジョルノに話し掛ける。

 

 

「おい、見ろよ。お前の大好きなFratelli(兄さん達)、結構楽しんでるみたいだぜ」

 

「はい?……あ、本当だ。良い笑顔ですね。楽しそうで何より」

 

 

 送られて来たのは、最高学年4人組の集合写真だった。園原さんと花京院さんは満面の笑み、承太郎さんと形兆さんも控え目だが珍しく笑っている。

 ジョルノもそれを見て、珍しく微笑む。……こいつ、園原さんと承太郎さんが関わると表情筋が緩むようになったんだよなァ。普段は仏頂面の方が多いくせに。

 

 俺達以外の奴らもメッセージに気づいたらしく、続々と既読がついた。……向こうで仗助と億泰が騒いでいる。

 億泰から"兄貴が楽しそうで良かった!"というメッセージが出た。あいつもジョルノと一緒で兄貴が大好きみたいだしな。

 

 

 すると。今度は園原さんから写真、が、

 

 

「……っ、ふ……おい、園原先輩、そのタイトル……!」

 

「ふふ!某ネズミとネコの、あれよね?」

 

「はは……ッ!あれだな!」

 

 

 園原さんから送られて来たのは、花京院さんが写真を送信した直後。それを知った形兆さんとの間で写真を消す、消さないの攻防があった……

 ……という説明とタイトル――"花京院と形兆の、仲良くケンカしな♪"が付けられた写真。

 

 この写真は近くにいたフーゴ、トリッシュ、ナランチャも笑わせたらしい。スマホを見てそんな会話をしながら、プルプル震えていた。

 グループでも大反響だ。全員が何かしらコメントしている。……おっ?承太郎さんからも写真が――

 

 

「――って、あんたも参戦かよ!?」

 

「ふふふ!はははは……っ!!」

 

 

 写真タイトル――"花京院と形兆の、仲良くシドを説教しな♪"

 

 意外にノリがいいな!?園原さんが写真を送った後、それに気づいた花京院さんと形兆さんによる息の合った説教、と説明が書かれていた。

 ジョルノがまた珍しく大笑い。周りの奴らも、何人かが腹を抱えて笑っている。この写真も、グループ内で大反響だった。

 

 

「実はテンション高くなってんのか?承太郎さんは。意外だな」

 

「…………あの人にとってはきっと、初めての(・・・・)楽しい修学旅行なんだと思いますよ」

 

「初めての?」

 

 

 思わず問い返すと、ジョルノは寂しそうに笑い、遠くを見つめる。

 

 

「中学の時は、ファンクラブのせいで楽しめなかったようですし……ここだけの話にして欲しいんですが、承太郎さんから以前こんな話を聞きました。

 

 ――前世での旅が終われば、花京院さんと学生生活が楽しめると思っていたのに、結局1人で学校に戻る羽目になった、と」

 

「…………それって、つまり……」

 

「ええ、そういう事です。……仲間を、友人を失って悲しかったんでしょうね」

 

「……そんな事があったなら、あの最強のスタンド使いがはしゃぎたくなるのも当然、ですか」

 

「そう思うと、なんか……こっちもなんとも言えなくなるよなー」

 

「そうね……」

 

 

 逆に、俺達のテンションが下がっちまった。しかしその後も何度か送られて来る写真は、承太郎さんも園原さん達も楽しんでいるのがよく分かるもので……

 こっちも笑わされるものだから、いつの間にか勝手に気分が上がっていた。特に皆笑っていたのが、この写真だ。

 

 

「――"猛獣使い、鹿に囲まれる"……っ!!」

 

「形兆さんまで参戦かァ!?しかも、ッ、タイトルセンス……ぶふッ!!」

 

 

 写真自体とそのタイトルと、写真を撮って送って来た人物が意外だった事もあり、その日一番の笑い声が響いた。形兆さん、あんたが優勝だぜ。

 

 

 ……そんな事があった2日後。向こうの修学旅行の最終日、またグループに写真が送られて来た。

 

 

「…………お、おお……」

 

「……さすが承太郎さん。タイトル通りの美丈夫ですね」

 

 

 園原さんから送られて来たのは、ずらりと奥まで並ぶ鳥居の前で、承太郎さんが振り向いた時の写真。タイトルは"見返り美丈夫と千本鳥居"。

 絵になるよなァ、この人。……この場にはいない今世の承太郎さんの妹が、真っ先に反応している。あいつも大概ジョルノや億泰と同じで兄大好きだよな。というか、元父親だが。

 

 

「あ、また写真来たわよ。……って、」

 

「ぶはッ!?さっそく怒られてるぞ!」

 

 

 その次に来たのは、花京院さんから送られて来た"ウメボシの刑~これは絶対に痛い~"というタイトルの写真。

 園原さんが承太郎さんにタイトル通りの事をされている。……なるほど、"これは絶対に痛い"だろうな。

 

 

「僕のFratelli(兄さん達)の仲がとても良さそうで何よりです」

 

「何も知らない奴がこの写真見ただけじゃ、そうとは思えねェだろうがな……」

 

「どう見ても不良が優等生を虐めている図ですよね……園原先輩が可哀想に見えてきました」

 

「フーゴ、失礼な事を言わないでください。志人さんだけでなく、承太郎さんも優等生ですよ」

 

「まあ、確かにその通りですけど……」

 

 

 テストで毎回学年1位と2位を争ってるからな、あの人達。……園原さんが本気を出したらめちゃくちゃ頭が良かったなんて、全然知らなかったぜ。

 

 

 それからもいくつか写真が送られて来たが、その日一番反響があったのが――写真ではなく、1枚の絵だった。

 

 

「す、すげえッ!!これもう絵じゃなくて写真だッ!!」

 

「スタンドと一緒に映ってる……!!いいなあ、あたしもスパイス・ガールと一緒に描いてもらいたいわ」

 

 

 承太郎さんのスタープラチナが書いた絵……園原さんと花京院さんが、それぞれのスタンドと一緒に描かれている。

 俺の目の前にいるナランチャとトリッシュだけでなく、グループでもお祭り騒ぎ。俺も絵がリアル過ぎて感動した。これはすげェ!

 

 

「……承太郎さんはこれを商売にすれば、結構稼げそうですね。絵だけで食っていける」

 

「あの人は自分のスタンドをそんな事には使わないでしょう。……でも、頼んだら僕のも描いてくれますかね?」

 

「ジョルノならいけるんじゃねェの?弟分だし」

 

「…………本気でおねだりしてみようかな」

 

「ハハッ!お前マジか!?」

 

「そうだ、僕と志人さんとディオ兄さんとジョナサンが一緒にいるところを描いてもらいましょう。宝物にします」

 

「くく、ハハハハハッ!!」

 

 

 思わず笑った。俺は適当に言っただけなのに、本気にしやがった。というかマジでどんだけお兄ちゃん達大好きなんだよ、お前。

 

 

 

 

 

 

 

※後に、送られて来た写真の中からベスト3を選出する流れになり、3位"猛獣使い、鹿に囲まれる"、2位はスタプラさんによるスケッチ。

 

 そして1位。園原が滑り込みで送って来た、承太郎と花京院が笑顔で楽しそうに修学旅行の感想を話し合っている様子の写真……という結果になった。

 

 

 なお、1位になった写真のタイトルは――"今世では(・・・・)絶対に護りたい、この笑顔"。

 

 

 

 

 

 

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