トレセンで数学教師をやっていたらいつの間にかサトノのトレーナーになっていた件。   作:提督兼指揮官兼トレーナー

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トレセン学園の入学式って長そうですね……


(来賓とか多そうですし)








第2話 新入生、来たる

 

 

 

 

トレセン学園、4月某日

 

 

「………、1-4組、副担、中田洸希先生、担当教科は数学です。」

 

「よろしくお願いします。」

 

 

 

挨拶をして一礼する

 

 

 

 

この日トレセン学園では、入学式が行われ、全国から集まった優秀なウマ娘達が参加していた。

 

 

 

 

 

その後、生徒たちは各々の教室に移動する。

 

 

 

「改めてよろしくお願いします。担任の内田雪と言います。担当教科は社会で、生徒指導も兼ねていますので、皆さん校則違反には気をつけるようにしてください。」

 

「そして、隣にいるこの先生が……」

 

「副担の中田洸希です。担当教科は数学で、今度の新入生テストの問題も作っているので、皆さんいい点数を取れるように。」

 

 

うわぁ……、という顔をする生徒たち。

 

 

「はい、あからさまに顔が引きつっている生徒はしっかり勉強するように。」

 

 

そう言った後、教室を見回すと、黒髪の明るそうな女の子が嫌そうな顔をしているのを呆れた顔で見る特徴的な模様の髪を持つ女の子がいた。

 

 

(なるほど、彼女がキタサンブラックとサトノダイヤモンドか)

 

 

 

「中田先生? とりあえず次に行きますよ?」

 

「あ、はい。」

 

「さて、今日は授業も無いので、ここで2人に聞いておきたいことはあるかしら?」

 

「はい! 先生達は結婚してますか?」

 

 

あちゃー、やっぱりそう来るか……、新入生、それもこのお年で聞いてくるネタは大抵これが多いのだが、この先生の前でそれはまずい。

 

 

「ペラペラ(出席簿をめくりながら……)そういう質問をしたのは誰ですかね(#^ヲ^)ピキピキ、今度の授業でどうなるか楽しみにしてくださいね…」

 

 

 

( 'ω')ヒェッ、やっぱり出ちまったか……、29歳36ヶ月の内田先生にその発言はアカンて……

 

 

「内田先生、3n…、じゃなかった29歳36ヶ月になっても結婚出来ないオーラを生徒にぶつけんでください、怯えているでしょうが!」

 

「あら、独り身のあなたが言えた口じゃないでしょうが( ꐦ ◜ω◝)」

 

「僕は独身主義なんでね、温泉巡っている方が楽しいんですよ」

 

「黙らっしゃい! 私なんてこの間の合k……」

 

「負のオーラが出てるからやめてください。」

 

 

独身32歳の負のオーラを新入生に浴びせる訳にはいかない、とりあえず先に進ませようとする。

 

 

「とりあえず、次に行こうか、他に何か質問がある人は?」

 

 

はい!、と元気よく手を挙げたウマ娘、あれはキタサンブラックだな。

 

 

「中田先生、そのバッチってもしかしてトレーナーなんですか?」

 

「ん? あぁそうだよ資格として持っているし、去年(教科担任が主だっただけで、少し顔を出す程度にやっていた)まで担当の居ない娘のトレーニング指導もやっていたんだ。」

 

 

 

 

おぉ!、全員が前のめりになる。

 

 

 

「先生、私のトレーナーになってください!」

 

「あっ、ずるい!」

 

 

ゴタゴタ揉め始めたのでとりあえず場を収める

 

 

 

「まぁ、君たちの様子は選抜レースを見てからにすることにするよ。」

 

 

 

えぇ…、まぁそうなるよね……、との声があちらこちらで聞こえてくる。

 

 

 

その他にも趣味や、高校時代のスポーツなど、おおよそ聞かれそうなことはだいたい聞かれて、初めてのHRは終了したのである。

 

 

 

 

 

 

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後日、理事長室にて

 

 

「どうだね中田先生、トレーナーとしてやっていく覚悟はできたかね?」

 

 

秋川理事長から再び呼び出され、トレーナーになるという覚悟を問われた中田は暫し考え……

 

 

「今年度最初の選抜レースには参加する予定ではあります。」

 

「そうか、選抜レースにはあのキタサンブラックが参加すると聞く。もしや彼女をスカウトする気かね?」

 

 

いえ、そこまではまだ……、と答えて

 

 

「何分新人トレーナーという扱いですし、果たしてついてきてくれる娘がいるのかどうか……」

 

「自信を持ちたまえ、中田先生、君の才能は我々だけでなく、生徒会長も認めるものだ。後は君の熱意さえあれば、十分彼女たちにとっては信頼に足る存在になれる。」

 

 

 

そういうものなんですかね……、と呟く中田。

 

 

         ・・

「あ、そういえば、彼女も君のトレーナー就任を楽しみにしているそうだぞ?」

 

「なんで知ってるんですか………」

 

「私が教えたからだ」

 

「えぇ……」

 

「<いつでも担当ウマ娘が練習相手になってくれるから気にせずスカウトしろ>だと言っていたぞ。ありがたいじゃないか。」

 

「勘弁してくれよ………」

 

 

 

厄介な存在を思い浮かべ頭を押さえる中田。

 

 

 

「まぁともかく、今年度中に担当がつかなかった場合は、来年以降の職務についても考えなければならない。いつまでも保留にさせておく訳にはいかないからな。」

 

 

 

考える……、つまるところ来年は確実に担任を持たされるということだ。マズイ、それだけは回避しなければならない。

 

 

 

「とりあえずやってみます。」

 

「うむ、下がっていいぞ。」

 

 

 

 

こうして、数学教師としてトレセン学園にいたはずの中田はいよいよトレーナーとしての1歩を踏み出すことに…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ゴホッゴホッ……、たづなさん……、今日は休みでお願いします………。」

 

「中田先生! 今日は選抜レースですよ!?」

 

「さすがに熱があっては出れませんて………」

 

「わかりました……、理事長にはそう伝えておきますね、お大事に」

 

 

 

 

なんと不運なことか、あろうことか当日に体調を崩してしまい、選抜レースを見に行くことができなくなってしまったのだ。

 

 

 

 

基本的に、選抜レースで声を掛けなければウマ娘のスカウトは上手くいくはずがない。

 

 

 

選抜レースとは、入学した(編入した)ウマ娘が最初に本気で走る場所、ここを見ないでスカウトするというトレーナーはまずいない。

 

 

 

 

1年あたり4回しか開催されない選抜レースのうちの1回を無駄にしてしまった中田、誠に運がない

 

 

 

 

しかも、単一のウマ娘の指導経験の無い中田は事実上の新人扱い。新人トレーナーに自らの選手生命を預けるのはウマ娘にとっても賭けだ。

 

 

 

 

クソっ、こんな時に……、病に苦しみながら中田は自らの不幸を呪った。

 

 

 

 

 

 

 

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数日後……

 

 

 

 

「はい、テスト終了、採点して明日には返すよ、点数の悪い子は……、補習かな。トレーナーの方にも伝えておくからね。」

 

 

 

 

1日にわたって行われた新入生テストの最終科目だった数学を回収して、研究室に戻る前、勉強してなさそうな、自信のない生徒達に釘を刺しておくことにした。

 

 

 

 

うわぁ……、鬼ィ! トレーナーに怒られる……、なんて声を後にして研究室に戻る中田。

 

 

 

「よぉ中田、災難だったな!」

 

「お前か、ちょうどいい、採点手伝ってくれ。」

 

「ムリ、むしろこっちを手伝えよ。」

 

 

 

どこも忙しいのは事実らしい。とりあえず席についてから採点を始める。

 

 

 

「……ほほう、キタサンブラックはお勉強が苦手なんですかねぇ……」

 

「生徒の回答を覗き見するな、見られたら色々言われかねんぞ?」

 

「ま、採点の手伝いとかにしとけばバレることは無いって。」

 

 

全くコイツは……、とは言いつつもなんだかんだつきあいはそれなりにあるので一応見て見ぬふりをする。

 

 

「ん? これはサトノダイヤモンドか、さすがは名家のお嬢様だな、字も綺麗だし、何より点数も良いな。」

 

「そういえばさ、1年で有力視されていたキタサンブラックとサトノダイヤモンドってもうトレーナー付いたのか?」

 

「えっ? お前知らないのか? まぁ寝込んでたようだし、仕方ないか。キタサンブラックは選抜レースに出てトレーナーも付いたみたいだが、サトノダイヤモンドはまず選抜レースすら出ていなかったらしいぞ。」

 

「どういうこった?」

 

「なんでも、本格化がまだだとか。」

 

 

 

 

 

本格化

 

ウマ娘がレースで高い実力を発揮できるようになる状態のことを指し、これを見越した上で選抜レースを走ることが多い。

 

 

 

「なるほどね」

 

「いや、反応薄っ! まだチャンスがあるかもしれないってことだろ!」

 

「いやねぇ……、さすがに新人トレーナーを相手にされるって考えるのは漫画の読みすぎだぞ?」

 

「いや、新人トレーナーが期待の新人を鍛え、夢のグランプリ! ってのはいつの時代もロマンに溢れた内容でっせ、中田トレーナー!」

 

 

 

 

アホか、と言ってコツンとボードで頭を殴り

 

 

 

「さっさと採点終わらせろよ? 俺は帰る」

 

「あっ、待ちやがれ給料泥棒!!」

 

 

 

 

騒ぐ声を背中に受けつつ、さっさと帰宅、今日は旅先で知り合った旅館のご主人から送られた入浴剤を入れることにした。

 

 

 

 

 

 

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「……、俺は本当にトレーナーになる資格があるのだろうか?」

 

 

 

浴槽に身を沈め、一息ついた中田は自ら自問していた。

 

 

 

確かに、入った頃は優秀なウマ娘達を導きたいと切に願っていたが………

 

 

 

「……、やめよう、とりあえず次の選抜レースは見に行くことにしよう。」

 

 

 

また胸の中に黒い感情が渦巻きつつあった中田は一旦考えるのをやめて、入浴を続けた。

 

 

 

 

 

翌日

 

 

 

「テスト返すよ、はいそこ、嫌そうな顔しない、平均点以下は補習ね、出席番号1番から順に取りに来て。」

 

 

 

中田のクラスでは数学のテストが返却され、思った通りの点数を取れた子、点が伸びずに悔しがったり苦い顔をしたりする子、不合格をギリギリのところで回避して安堵する子、不合格になって絶望する子など色々いる。

 

 

 

「キタちゃん大丈夫?」

 

「へ、平気だよダイヤちゃん……」

 

 

 

キタサンブラックはどうにか補習を回避、おそらく教えてもらったであろうサトノダイヤモンドと一緒に結果を見ている。

 

 

 

「次は……、あれ、来ないぞ? とりあえず確認をして………、サトノダイヤモンド、キタサンブラックの点数が気になるのはさておき、きみのを取りに来なさい。」

 

「あっ、はい! すぐ行きます。」

 

 

駆け足でやってくるサトノダイヤモンド。

 

 

「満点ですね、次の中間テストでも似たような問題を出しますので、結果に満足せずに次のテストに備えてください。」

 

 

 

 

テストの制作は数学科総出で行っている。一応中間テストでも似たような問題を出すというのは返却時に伝えて置いてある。

 

 

 

「はい! ありがとうございます。」

 

 

やはり良家の令嬢だけあって教師への態度はなかなかしっかりしている。

 

 

 

 

 

返却し終えた後、問題の解説に入る。

 

 

 

「………。ちなみに、今回のテストは入学試験にも使われた問題を一部抜粋しつつ、基本的な内容を出題しました。中等部の勉強は、小学校からの積み重ねも大切になってきます。皆さんよく見直しをして、次のテストに備えてください。」

 

 

 

ちょうどチャイムが鳴り、授業が終わる。

 

 

 

「キリがいいね、では今日の授業はここまで、次回からは本格的に始めていくから教科書、ノートを忘れないように、年々忘れてくる生徒が多いので毎回貸し出しをしてます。」

 

 

ちゃんと手帳とかに記入する子もいるようだ。

 

 

 

 

授業を終えた中田は次のクラスの授業に向かう。

 

 

 

 

「あ、次の選抜レース何時だ?」

 

 

壁にはられたポスターを見ると、次は夏前になるようだ。

 

 

「中間テスト後か、ちゃんと勉強にも手を抜かないように言っておかないとな。」

 

 







1話で話した通り、あともう1話だけすぐに投稿します
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