トレセンで数学教師をやっていたらいつの間にかサトノのトレーナーになっていた件。   作:提督兼指揮官兼トレーナー

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ゲームシナリオを参考に作っていますね。


テストって嫌ですよね






第3話 パーティーのお誘い

 

 

 

 

5月某日

 

 

 

 

ふぅ…、とりあえず一息つき、時計を見る。

 

 

 

「19時回ったか………、やっぱりテスト制作は時間がかかるな」

 

「全くだ、お前さんもさすがに今回ばかりは定時帰宅は無理だったな」

 

「まぁ、これは予想出来たからな」

 

「そういえば、この間、担当のつかない生徒向けのトレーニング指導やってきたんだって?」

 

「あぁ、そうだな。」

 

「どうだ?、担当ウマ娘見つかったか?」

 

「いや、今回見たのは1年生だ。」

 

 

 

トレーニング指導は学年ごと、本格化してるかどうかにもよるため、必ずしもそこからスカウトできる訳では無い。

 

 

 

「となるとサトノダイヤモンドは見たのか?」

 

「いや、彼女は多分家でやってた方が練習になるんだろうよ、練習相手もいるだろうし。」

 

「まぁ、あのサトノ家ならな……」

 

 

 

今回見たのは本格化前の1年生、要は体の使い方とか、ストレッチなどの基本的な内容だ。さすがにその指導だけで担当がやってくることは無い。

 

 

 

 

「んで?、次の選抜レースには行くのか?」

 

「ああ、テスト制作と採点はしっかり進めるからその辺は心配すんな。」

 

「あー、そういえばその後すぐに期末テストになるもんな……」

 

 

 

トレセン学園は三学期制で、そのうち中等部は5回のテストを受ける。そして、選抜レースは入学後すぐの4月、中間テスト後の6月、夏休み明けの9月、冬場の12月の計4回であり、中田は前回を風邪で休んだため、残りは3回。

 

 

 

ちなみに、4回の選抜レースは何故かテストに近いのだが、多分これは意図的に組んだもので

 

 

 

<文武両道>を重視するということなのだろう

 

 

 

「そういえば、スペシャルウィークは大丈夫なんだろうか、去年の数学大分不味かったが……」

 

「何?、うちのクラスの子のこと?」

 

 

 

ちょうど担任が来たので聞いてみる

 

 

 

 

「あの子ね……、ちょっと危ないのよね……、この間も再々追試の末ようやくだったのよ……」

 

 

 

あちゃー、中田は頭を抱える。

 

 

 

教師として本格的に異動した去年初めて教科担任を持ったのがスペシャルウィークなどがいるクラスなのだが、その中でも特に成績が悪かったのでよく覚えていたのだ。

 

 

 

「トレーナーにも言ってはあるんだけどね……」

 

「日本一になるなら学力も欲しいところですね」

 

 

 

やはり学年が上がっても……、いやむしろ学年が上がったからもあってか、成績不振が続くようだ

 

 

 

 

 

 

勉強も頑張れ、スペシャルウィーク。

 

 

エールを送りつつ、テスト制作に戻った。

 

 

 

 

 

 

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テスト当日

 

 

 

「始め」

 

 

 

この時、中田は別のクラスのテスト監督であり、顔はよく知らなかったものの、全員が真剣に取り組んでいる様子が伝わってくる。

 

 

 

 

今回の中間テストは夏にデビューを控えた子、既にデビューした子などがいる中で、学問との両立が図れているかを確認するために、基本的な内容を中心にしたものとなっている。

 

 

 

が……

 

 

 

(あ、やっぱり手が止まるんだ……)

 

 

 

ちゃんと授業の復習をしていれば解ける問題に苦戦するウマ娘達。机間巡視を行っているとそういう子がちらほら見られる。

 

 

 

 

今回の補習は前回と同じく平均点以下

 

 

 

基本的な内容を押さえていないと平均点を切るように作っているため、しっかり勉強していないと容赦なく補習である。

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

 

「止め、筆記用具を置き、自分の氏名、名簿番号が書いてあるかを確認して後ろから自分のが下になるように集めてください。」

 

 

 

用紙を回収し、立ち去る。

 

 

 

 

あぁ……、マズイ……

 

トレーナーに怒られる……

 

まあまあかな

 

 

 

色々な言葉を後にして、研究室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

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数日後、選抜レース

 

 

 

 

「あっ、中田先生!、こんにちは」

 

「こんにちは、キタサンブラック。お友達に様子を見に来たのかな?」

 

「はい!、ダイヤちゃんがこの選抜レースに出るみたいなんで、応援に来ました!」

 

「なるほどね」

 

 

 

どうりで人が多いわけだ。

 

 

 

サトノ家はメジロ家にこそ劣るが、有力な家であることは間違いなく、レース界への貢献度も大きいため、彼女の担当になることが出来れば……

 

 

 

(まぁ、口が悪いが、箔が付くってこったな)

 

 

 

 

さて、とレース場を見ると全員ゲートインしたようだ。

 

 

 

 

スタート!

 

 

 

サトノダイヤモンドは中間からやや後方につけて前の様子を伺う。

 

 

 

 

(なるほど、彼女の脚質は差しか)

 

 

 

選抜レース自体はさほど距離のあるものでは無いのであっという間に最終コーナーに入る。

 

 

 

(仕掛けるか……、なるほどね、そうなるか)

 

 

 

 

最後は振り切ってゴール。

 

 

 

 

「ダイヤちゃん凄い!」

 

 

 

キタサンブラックが手放しで喜ぶ横で、中田は厳しい顔をする。

 

 

 

「確かに崩れたものを建て直したという点では凄いウマ娘だな。」

 

「えっ?」

 

 

これを見て、と予め用意しておいたタブレットに録画された映像を見せる。

 

 

「スタートに関しては問題ない、むしろ周りが慣れていない分少し先に出てしまったところがあったから序盤はとりあえず順位を下げた。ここまではいいんだけど、中盤は周りのプレッシャーが強くて自分の走りが出来ていない。」

 

 

驚いた顔をするキタサンブラック。なんせ、この周りにいるトレーナーはだいたいサトノダイヤモンドのいい所しか言っていないため、こういう反応を見せる教師に驚きを感じていた。

 

 

「そんでもって、差しが仕掛ける最終コーナーでも周りの影響で少し対応が遅れたね、尤も、そこは自分の持つスピードで上手く巻き返したって言うところかな?、でもG1とかの難易度の高いレースに挑戦するとなれば、小手先の技術だけじゃどうにもならないところはあるね」

 

 

 

キタサンブラックは絶句していた。まさかたった1回の走りを見ただけで親友の特徴をしっかり掴んでいるとは思わなかったのだ。

 

 

 

「先生!、ぜひダイヤちゃんのトレーナーに…」

 

「いや、俺はならないよ」

 

「どうして……」

 

「あの人集りを見て」

 

 

サトノダイヤモンドの周りに大量の人が集まっている。

 

 

「あの中には俺よりもずっと経験を積んでる人がいるはずだ、俺はほぼ新人みたいなもんだから彼女には釣り合わないよ。」

 

 

 

嘘だ。中田は今、目の前のウマ娘に対して明らかな嘘を付いた。

 

 

 

彼がトレーナーにならない理由。

 

 

 

それは、自分の中にあった邪な感情だ。

 

 

 

確かに優秀なウマ娘を育てたいという想いは当然あった。だが、こうして選抜レースに足を運んだ理由はそれだけでは無い。

 

 

 

「今年中にトレーナーにならなければ、来年以降は担任を持たせる。」

 

 

 

という条件がちらついていたのも事実だ。

 

 

 

そんな邪念が混じった人間がまともな指導ができるはずがない。

 

 

 

そして何より………

 

 

<あの事件の原因になった俺にトレーナーになる資格があるのか?>

 

 

 

あの時、悲しみに暮れるあの子を見て、トレーナーとしての道を断つことが1つの彼女への、いや彼らへの贖罪だと思っていた。

 

 

 

 

もう、諦めよう。

 

 

 

 

潔く担任を受ける決心が着いた中田は、そのまま立ち去っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?、キタちゃんと話していたのは……、先生ですよね?、私の所を見に来てくれたのに…、どうしてここに来ないのでしょうか?」

 

 

 

希望者を受け付けながら、サトノダイヤモンドは現れない中田を不思議に思っていた。

 

 

 

 

 

 

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1週間後、トレセン学園、数学科研究室

 

 

 

 

「なぁ、本当に考え直す気は無いのか?」

 

「そのつもりは無い。」

 

 

 

いつものように仕事をやっていながら、同僚との雑談で、選抜レースの話題の折、同僚にトレーナーになることを諦めると伝えた中田。

 

 

「何があったのかは知らんが、余程トラウマになることがあったのに未だにトレーナーバッジを取らないってことは、自分の中でも諦めきれてないんだろ?」

 

「違う、俺はそんなつもりは……」

 

「じゃあなんで外さない?、資格返納だって出来たはずなのに、未だに未練タラタラでそのバッジを持ち続けるのは、本来自分がやりたかったことは中学生の数学教師なんかじゃなくてトレーナーだったんだろ!」

 

「俺は……」

 

「言い訳はするな、自分に正直になれよ」

 

「違う!、そんなんじゃ…」

 

 

声を荒げようとしたその時

 

 

 

ガラガラ

 

 

 

「入るよ、洸希いる?」

 

「あ、居ますよここに」

 

 

入ってきた女性は胸に中田と同じように、バッジをつけていた。

 

 

「あんたさ、土曜日暇?」

 

「なんのつもり?」

 

「パーティーに出て欲しいの、メジロ家の」

 

「なんで俺が……」

 

「いいじゃん、この間マックイーンの数学見てあげたんだって?、お礼がしたいからって誘いに来たんだよ。」

 

 

 

メジロマックイーンは目の前の女性トレーナーの担当するウマ娘で、現在中等部。以前、テスト前に質問に来た時、たまたま時間があった上、とある事情からそこそこ顔を合わせるので、丁寧に教えただけなのだが、おかげでライバルのテイオーに勝てたらしいので、お礼がしたいそう。

 

 

 

「別にこっちは仕事だからお礼なんていいのに」

 

「まぁ、そう言わないの、参加費は無いし、私も出るからよろしく」

 

 

 

そういうと、マックイーンのトレーナーはさっさと出ていった。

 

 

 

「へぇー、マックイーンとも繋がりがあるんだ、お前さん。」

 

「いやまぁ…、繋がりというかなんというか……」

 

「あ、思い出した!、マックイーンのトレーナーって確かお前の………」

 

「ストップ、やめろ、アレが関わってくるだけで俺のストレスが溜まるんだ。」

 

「あっそう、んで?、参加するのか?」

 

「食費が浮くから行くか。」

 

「素直じゃねぇな、お前さんも。」

 

「うるせぇ」

 

 

 

 

 

 

一方、その頃、サトノ家では……

 

 

「はい、次で最後の方です。」

 

 

<とうとう中田先生、来なかったですね……、どうしたんでしょうか>

 

 

 

サトノダイヤモンドのトレーナーに志願したのは軽く30名を越え、ベテラン新人、チーム専属問わず多数の応募があったものの、その中からトレーナーになるものは現れなかった。

 

 

 

 

 

 








さて、徐々に主人公の過去が明らかになってきますが、一旦間が開きます。




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