トレセンで数学教師をやっていたらいつの間にかサトノのトレーナーになっていた件。   作:提督兼指揮官兼トレーナー

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ストックがあったので早めに更新出来ました。


ちょっと重たい話が出てきますのでご注意ください。





第4話 中田の過去①

 

 

 

 

 

 

 

「……最終コーナーを回って抜け出したのは……」

 

「……これはすごい!、勝ったのは……」

 

「……やった!、勝てた!、中田サブトレーナーありがとうございます!」

 

「ありがとう。でも先輩の指導をずっと受けてきたから力が付いていたんだよ。」

 

 

 

 

 

そこで映像は暗転し別の時間へと移る。

 

 

 

 

数日後……

 

 

 

「こんなんじゃダメだ!、もっと厳しく!」

 

 

 

 

あれ………先輩……?

 

 

 

 

 

 

 

再び暗転する映像

 

 

 

 

 

 

また、日付が変わる。

 

 

 

 

 

 

 

救急車が、トレセン学園を出ていく。

 

 

 

 

 

「○○さん!、しっかりして!!」

 

 

 

 

「そんな……、俺のトレーニングじゃダメだったのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……っは!!、ハァハァ………、夢か……」

 

 

教員寮のベッドから跳ね起きた中田。全身に汗をびっしょりかいている。

 

 

 

 

時計を見ると、午前8時。

 

 

 

「今日は……、メジロ家のパーティーか。」

 

 

 

集合時間は11時、行く時間を考えると、あと2時間程度ででなければならない。

 

 

 

「………、支度するか」

 

 

 

 

とりあえず、身だしなみは整えなければならない

 

 

 

シャワーを浴び、普段なかなか使わないスーツを下ろし、髪をしっかり乾かすなどして身だしなみを整えると時刻は9時30分過ぎ

 

 

 

「出るか」

 

 

スマホでマックイーントレーナーに向かうことを打ち込んだ中田はそのまま家を出て、メジロ家のパーティー会場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

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パーティー会場にて

 

 

 

 

「おーい、こっちこっち!」

 

「わざわざ大声で呼ばんでも……」

 

 

コーヒーを飲んでるところに急に呼びかけてきたマックイーントレーナーの元に歩く中田。

 

 

 

「あ、メジロマックイーン」

 

 

マックイーントレーナーのそばにいたのはもちろんマックイーン。

 

 

「中田先生、先日はご指導頂きありがとうございました、今日のパーティーも楽しんでください。」

 

「何、仕事のうちさ、それにしてもすごい量」

 

 

人が、料理が、要人がである。

 

 

 

「本日は、メジロ家における在校生と要人を対象にした交流パーティーです。先生の教え子の方も来ていますよ。」

 

 

 

見ると、サトノダイヤモンドとキタサンブラックがオセロで遊んでいる。

 

 

 

「オセロは端っこ取られたら負けちゃうよ?」

 

「それってジンクスだよね!、なら破るよ!、キタちゃん!」

 

「うわっ!、出たダイヤちゃんのジンクス破り」

 

 

 

ちょっと離れて見てみると、サトノダイヤモンドはあっという間に劣勢を覆し、四隅だけ黒にしてしまった。

 

 

 

(おいおい、よりによって難易度高いそれか……)

 

 

 

「あ、中田先生!、こんにちは」

 

 

 

あっ、見つかった。

 

 

 

「こんにちは、サトノダイヤモンド、キタサンブラック、それにしても凄まじい勝負だね」

 

「見ていたんですか?」

 

「まぁ途中からね」

 

 

そうそう…、と一旦キタサンブラックを見て……、

 

 

「キタサンブラック、次のテストは難易度上がる予定だから、しっかり勉強しておくように」

 

「うわっ……、やばい……」

 

「うわっ…、じゃない、ちゃんと勉強しなさい、レースだけ良くてもダメだからね」

 

「はい……、あ、そういえば、ダイヤちゃん、中田先生から少しお話聞いてみて!」

 

「あ、そうだった、中田先生、どうして選抜レース後の選考会に来て下さらなかったのですか?、キタちゃんとレース見てたのに……」

 

「いやぁ……、まぁ……、ちょっとね……」

 

「私の実力が無かったからですか?」

 

「いや、そんなことは無い。」

 

 

 

 

実際、サトノダイヤモンドの走りは同世代と比較してもかなり優れたものだった。

 

 

 

 

状況判断や、抜け出そうとするタイミング、スパートをかけた時のスピード、間違いなく優秀なウマ娘として申し分無い………

 

 

 

そう語った後、付け加えた。

 

 

 

いくつかの懸念事項を除けば……

 

 

「懸念?、どういうことですか?」

 

「まぁ、これは口で言うより見せた方が早いな」

 

 

そう言って中田はスマホを開き、タブレットで撮った映像を見せた。

 

 

「まずはここ、中盤で一旦順位を下げて様子を伺うところで、周りからのプレッシャーで自分思うような走りができていなかった。」

 

 

 

序盤の部分と比較してみてわかったことだね。と付け加える。

 

 

 

「確かに周りのプレッシャーが強いと感じていましたが、それは常に練習してきたはず……」

 

「その練習相手ってのは誰かな?」

 

「えっと……、呼んでもらった人達です。」

 

「だろうね、となればどんなに口で遠慮するなと言われたって、本番の、レースにおけるあの走り方は実現できない。」

 

 

相手……、すなわちサトノダイヤモンドに対して遠慮がどうしても発生するからね。そう中田は断言する。

 

 

「な、なるほど、思いもしませんでした。」

 

 

そしてもうひとつ……、これは後で動画を見返して気づいたことだけど……

 

 

「さっき言った周りのプレッシャーに気を取られすぎて、抜け出すのが遅くなった。」

 

 

 

多分君はもっと早いタイミングで抜け出したかったはずだと思うんだけどどうかな?、との質問に驚きを隠せないまま頷くサトノダイヤモンド。

 

 

 

「今回の選抜レースでは持ち前のスピードを活かして遅れを取り戻した感じだけど、本格的に周りとやり合う中ではこれだけでは間違いなく勝つことは出来ない。」

 

 

 

「誰もそんなことは言っていませんでした、ただ私の走りを褒めただけで……、私の課題、懸念点なんて誰も……」

 

 

 

えっ、誰も指摘しなかったの!?、との言葉を飲み込みつつ、とりあえず紅茶で喉を潤す。

 

 

 

「中田先生!、どうか私のトレーナーになってください!」

 

 

 

ごフッ!、紅茶を吹き出しそうになったのを慌てて押さえつつ、とりあえずカップを置く。

 

 

 

「い、良いの?、勝手に決めちゃって……、それに家族の意向だって……」

 

「家の総意で決めることもジンクスのはずです。ならば破ってみせます!」

 

 

 

えぇ……、お淑やかな見た目からは想像もつかない大胆なサトノダイヤモンド、本人もキタサンブラックもこのまま受けると思っていたが……

 

 

 

 

「ごめん、僕は受けないよ。」

 

「どうしてですか……」

 

「僕には……、トレーナーをやる資格は無い……」

 

「でも、私の課題を見つけて、素直に伝えてくれたのはあなたしか居ないんです!!」

 

「面接で相手に都合の悪いことは言わないことだってあるんだよ、多分ベテランのトレーナーなら同じことを指摘したはずだ。」

 

 

 

それに…、と口ごもった内容を引っ込めた。

 

 

 

・・

あの話は彼女たちにすべきでは無い。

 

 

 

「あら、サトノさん、キタサンブラックさん。」

 

「マックイーンさん!、それにマックイーンのトレーナーさん!」

 

「話は聞かせてもらったよ……、洸希、あんたそこまで言って、相手にその気にさせておいて、またあの事盾に話断ろうとしてるの?」

 

 

 

 

 

 

露骨に触れられたくない所に触れてきたマックイーントレーナー。

 

 

 

 

「いや、そんなんじゃ………」

 

 

 

弱々しく返すものの、女性は容赦が無い。

 

 

 

 

「あんたさ、いい加減にしなさいよ!、いつまで繰り返す気?」

 

 

 

 

「姉さんには関係ない話だろ!」

 

 

 

 

 

それに対して半分怒気の混ざった声を出す中田。

 

 

 

 

 

お姉さん??、と口にしたキタサンブラックとサトノダイヤモンド。

 

 

「そ、洸希は私の弟なのよ、私の名前中田結月って言うのは知ってるはずだから多分知られているはずだと思っていたんだけどなぁ」

 

「確かに苗字は一緒でしたが、まさか姉弟関係があったとは……」

 

 

まぁ、それはさておき……、と結月は洸希を見て

 

 

「あんたさ、あの事を盾に毎度のようにトレーナーになる話蹴ってるけどさ、だったらトレーナー資格返納しなさいよ」

 

「そのつもりさ」

 

「そのつもり?、あんたそれ言って今年で何年目になる?、2回も理事長の温情で担任回避しておきながら、トレーナーにならないわ、毎度のように指導をお願いするウマ娘断るわ、あんた中央のトレーナーとして恥ずかしくないの?」

 

「だからもう俺は来年担任を受けるつもりで…」

 

「選抜レースいつあった?、あんた自分でそう言っておきながら理事長に何も言ってないじゃん」

 

「時間が……」

 

「時間、相応しくない、あのことが……、色々盾にして逃げてるだけでしょ?、引退していったあの子たちがいい迷惑だわ、あの一件に巻き込まれた全員がね。」

 

「あの……、あの一件とはなんですか?」

 

「あぁ、あなた達は知らないわね、ちょうどいいから教えてあげる。」

 

「姉さん、待ってくれ!」

 

「待たない、あんたいい加減自分と向き合いなさいよ!、副担とかやってるのも逃げてるだけ、担任受けるのだって結局は逃げよ、あんたはトレーナーなんだからいるべき場所はそこじゃない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って、結月は中田の過去について話した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

中田洸希は、トレーナーとして入った後、すぐに当時チームを率いていた先輩トレーナーの元にサブとして入った。

 

 

 

彼のいたチームは、決して強くは無かったが、生き馬の目を抜くような中央で生き残り、G2以下ではあってもそれなりに成果を出していたチームであった上、何より雰囲気が良かった。

 

 

 

 

 

「休憩!、しっかり休めよ、中田、お前のノートちょっと見せろ。」

 

「あ、はい!」

 

「もう少し字は丁寧に書け、ノート自体を見せて指導する時に、生徒が分かりずらい。」

 

 

 

 

 

休憩時間の合間を縫って、先輩は中田にノートの取り方から指導の仕方、ウマ娘との接し方についてしっかり教えてくれた。

 

 

 

その指導が良かったのか、はたまた中田自身の才能があったのかは分からない。だが、中田はその先輩の元でメキメキと才覚を発揮し、指導力を上げ、知識を吸収していった。

 

 

 

当の本人も、先輩も予想していなかった程……

 

 

 

 

その才能が仇となり、それまでの日常が崩れ去る事件が起きる。

 

 

 

 

 

 

きっかけは、チーム最年長で、キャプテンを務めるウマ娘がとあるレースに出走する時の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

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「えっ?、自分がですか?」

 

「そうだ、今回はそこまで強い相手が出る訳でもないから、お前さんの今まで蓄えた力を見せてもらおうと思ってな、彼女には通してある。」

 

 

 

中田の初単独指導である。

 

 

 

受けた当初は有力候補も居なかったので、半人前でも問題ないと判断したため、最年長で実力も高い彼女のトレーニングを任せたのである。

 

 

 

中田は張り切って指導を行い、彼女持ちまた、その指導に答えるが如く、着々と練習を重ねていったのだが………

 

 

 

 

 

 

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「おい、中田、これ見ろ!」

 

「えっ……、G1ウマ娘一気に出場!?」

 

 

 

なんと、その後に開催される重賞レースに備えるために、G1を勝ち抜いて来たウマ娘が突如として参加を表明、事実上の重賞レースとなってしまったのだ。

 

 

 

「どうする……、変わるか?」

 

 

 

心配する先輩トレーナー

 

 

 

「いえ、やってみます!」

 

「そうだな、もしここでお前さんが辞退したら今頃殴っているところだった。」

 

「パワハラですよ?」

 

「冗談だ」

 

 

HAHAHA、と和気あいあいとしていた2人、キャプテンも<相手がG1なら仕方ないし、それに、今から指導を変えてもらっても間に合わない>というように語り、2人もそれに同意したため、そのままいくことになった。

 

 

 

 

これで、このレースでキャプテンが負けていれば

 

 

「新人にしては頑張った」

 

 

とかで終われるかもしれない。

 

 

 

 

結果から言ってしまえばこの事実上の重賞レースに中田とキャプテンは勝ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

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「……やった!、勝てた!、中田サブトレーナーありがとうございます!」

 

「ありがとう。でも先輩の指導をずっと受けてきたから力が付いていたんだよ。」

 

「そうですね?、あれ?、トレーナーさんは?」

 

「今日はこの近くで別の子のレースを見ているはずだよ?」

 

「電話してくれますか?」

 

「ああ、わかった。」

 

 

 

 

 

スマホを取り出し、電話しようとする中田。

 

 

 

 

 

だが、先輩トレーナーは、別の会場で既に中田たちの結果を知っていた。

 

 

 

 

 

 

「そんな……、俺のトレーニングじゃダメだったのか?」

 

 

 

 

 

 

 

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参加していた彼女は、出走したG1ウマ娘には今まで勝てたことはもちろん無く、大きく変わった要因が指導だと考えられることは自明の理だった。

 

 

 

さらに不幸は続き、当時先輩トレーナーが担当していた別のウマ娘が絶対勝てると言われたレースでまさかの敗北。

 

 

必ずしもトレーナーの能力の差が生んだ結果では無いとはいえ、短期間に立て続けに起きてしまったこの現象は、チームの空気を、特に、先輩後輩との関係を大きく崩す。

 

 

 

 

中田はあくまでもキャプテンの実力と運が味方したと語り、あくまでも先輩を立ててはいたが、先輩トレーナーはそうもいかなかった。

 

 

 

 

 

自分より後輩の方が実力があると理解してしまい酷く自分を追い込んだ。

 

 

 

 

さらに周りからのプレッシャーが凄かった。

 

 

 

 

 

事実上の重賞レースと言われた戦いで、下馬評を破って勝利したチームにメディアが一斉に注目を集めてしまい、次なる結果を求められるようになってしまった。

 

 

 

しかも、どこから嗅ぎつけたのか、「新人のサブトレーナーの快挙」などと派手にぶち上げた雑誌もあったせいで、ますます先輩の立場が危うくなっていった。

 

 

 

特に、外野からの<なんでこの新人がチームを持たないんだ?>との声は、未だサブトレーナー課程を終えていないために、チームに残る中田をしっかり指導しようとしていた先輩トレーナーを何度も傷つけた。

 

 

 

 

 

話題を聞きつけ、新しくチームメンバーが若干増えた後、新規メンバー内には明らかに中田を推す声が出てくるようになる。

 

 

 

 

 

こうなるといよいよ先輩との関係が嫌悪になる。

 

 

 

 

 

 

結果を出そうと焦る先輩と、そんな先輩を見ながらあくまでも今まで通りの形を維持していこうとする後輩。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして事件が起きた。

 

 

 

 

 

 







後編も早めに投稿します。
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