トレセンで数学教師をやっていたらいつの間にかサトノのトレーナーになっていた件。   作:提督兼指揮官兼トレーナー

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前半と後半で内容の温度に落差があります。





第7話 トレーナー室大改造劇的ビフォーアフター前編

 

 

 

 

 

トントントントン(ヒノノニトン)。

 

ギュルギュル!

 

カチッ!

 

 

 

 

「と、トレーナーさん、さっきから一体何をやっているんですか?」

 

 

作業着姿になって、トレーナー室で電気工事と軽めのDIYをこなしている中田にトレーニングのためにやってきたサトノダイヤモンドが若干引き気味になりながらも恐る恐る様子を尋ねた。

 

 

「んぁ?、おお、ダイヤさん。そういえばもうトレーニングの時間だったね。悪い、直ぐに片付けるからちょっと待ってて。」

 

「それは大丈夫なんですが……、その機材の配線とその他もろもろはなんですか?」

 

「え?、ああ気にしないで、高校時代に電気工事士の資格は取ってあるから。」

 

「いえ、そうではなくて………、一体トレーナー室で何をするつもりなんですか?」

 

 

 

よいしょ、と軽く片付け終えた中田が普段のスーツ姿に着替えたところで、ダイヤの質問に答える

 

 

 

「実は、ウマ娘の指導のために専用のソフト開発したことがあるって話はしたじゃん?」

 

「ええ」

 

「そんで、そのアプリの処理能力を上げたかったから、この間秋葉原行って色々買ってスパコン作るつもりなの。」

 

「話の飛躍がすごい……」

 

 

よし、と片付け終えた中田がダイヤに対して……

 

 

「トレーニング始めようか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

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運動場にて……

 

 

 

 

「えっと……、こんなにたくさん先輩方が来ているのは一体………」

 

 

 

ダイヤ、本日二度目のドン引き

 

 

 

「えっ?、いやぁ、ちょっと数学の成績ヤバそうなウマ娘とそのトレーナーに[勉強教えるからその代わりにサトノダイヤモンドとトレーニング一緒にお願い。]って言ったら来てくれた。」

 

 

 

 

あっそうだ、この人元々数学教師だった………

 

 

 

 

というわけで、成績がピンチなのを見透かされて呼ばれてしまった不幸な(?)ウマ娘を紹介しよう(人選はうp主の偏見)

 

 

 

・スペシャルウィーク

・オグリキャップ

・エルコンドルパサー

・他数名(思いつかんかった)

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

・メジロマックイーン(もちろん姉のツテ)

・ゴールドシップ(お前どうして来た!?)

 

 

(もちろんこの2人は成績は悪くない)

 

 

 

 

 

「あんたトレーナーになると容赦ないねぇ」

 

「姉さん、俺を常習犯みたいに呼ばない。」

 

「何言ってのさ、私の元でマックイーン見た時だって似たようなメンツ連れてきたじゃん。」

 

「それは言わないお約束、てか成績悪いヤツがいけないの、前から言ってるでしょ?」

 

「まぁ、みんな納得してるならいいけどね、てかゴールドシップは何しに来たのよ」

 

「面白そうだから来た」

 

「あんたねぇ……」

 

 

 

 

とりあえず始まった。

 

 

 

 

「うりゃああ!」

 

 

 

声を荒らげながら、必死に食らいつこうと頑張るダイヤだが、やはり現実は甘くない。

 

 

 

 

「はぁはぁ、もう一本お願いします!」

 

「よし、マックイーン、スペシャルウィーク、ゴールドシップ、頼む。」

 

「わかりましたわ」

 

「わかりました。」

 

「うっしゃあ、行くぜ」

 

 

 

 

走り込みを見てあることに気づく。

 

 

 

「ダイヤさん、周りからの圧力で姿勢が少し崩れてるから、なるべく姿勢をキープするように。」

 

「はい」

 

「周りのペースに振り回されないように、今撮った動画を見せるね。」

 

 

ハンディカムで撮影した映像を、パソコンにリンクさせて、素早く分析する。

 

 

「ゴールドシップからの圧が来た時、体勢が崩れているのがわかるよね?、青い線は、走る時の姿勢を表しているんだけど……」

 

 

 

視覚的にもわかりやすいので、指導がしやすい

 

 

 

「結構崩れてますね。」

 

「まぁ慣れてないってこともあるからね。」

 

「対策は?」

 

「まずは慣れることだね。体力についてはしっかり付いているから、疲れとかでは無いと思う。後ろからの圧に耐えられるように、メンタル面でもトレーニングしてみるか……」

 

 

 

何人かのウマ娘を呼んで指示を出す。

 

 

 

「追い込みや、差し中心の生徒に後ろから圧をかけてもらうから、それに耐えてみて。」

 

 

 

予想通り、何人かの圧で、姿勢が崩れる。

 

 

 

「キチンと対策したはずなのに……」

 

「前説明した通り、ここは遠慮が無いからね。もう一本行くよ。」

 

「はい!」

 

 

 

 

この日は、周りからのプレッシャーに耐える練習を何回も積んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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数日後………

 

 

 

 

「あっ、トレーナーさん!!」

 

「おや、ダイヤさん、どうしたの?」

 

「その……、トレーナー室がすごいことに……」

 

「あっ、もう入ったんだ」

 

「なんなんですか?、あのロッカーの近くに置かれた大きなコンピューターは……」

 

「ああ、あれはスパコンだよ。」

 

「スパコン………、ってこの間トレーニング前に作っていたあれですか!?」

 

「そうそう、ちょっと前に秋葉原行って必要な材料買ってきたんだよね。」

 

「それで……、どう使うんですか?」

 

「まぁ、トレーナー室で話すよ………、と言いたいところだけど、今日は用事があるから休みで」

 

「わかりました。」

 

 

 

 

そう言うと、中田は、荷物をまとめて車に乗り込んで郊外に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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郊外にて

 

 

 

 

「あっ、中田先生。来てたんですね」

 

「やぁ、キャプテン。相変わらず元気そうだね」

 

「もう、先生ったら未だにその呼び方抜けないんですね」

 

「あ、あぁ、なんかこう、あのことを思い出すと自然とね………」

 

 

 

若干顔を曇らせる中田。

 

 

 

「とりあえず行きましょうか?」

 

「そうだね」

 

 

 

先を促され、そのまま向かったのはとある墓地

 

 

 

 

 

 

<先祖代々の墓>

 

 

 

 

そう刻まれた墓石の前で、持ってきた花を添え、線香をあげる2人。

 

 

 

 

 

「もうあれから5年なんですね………」

 

「そうだな………」

 

 

 

 

「あの子が好きだった栗まんじゅう持ってきたんですよ、あの子甘いの好きだったから」

 

「そうだったな、体重制限しなくちゃいけなかったけど、どうしても食べたいからって閉まりかけの和菓子屋まで走ったなぁ……」

 

「そんなこともありましたね……」

 

 

 

 

 

中田が心を閉ざし、トレーナーの道を諦めようとしたあの事件で、犠牲になったウマ娘の墓の前でかつてのチームのキャプテンと共に彼女と共に明るかった頃のチームの話をする。

 

 

 

 

「中田先生、私が転校前に言ったこと、覚えていましたか?」

 

「どれだっけ?」

 

「<私達にとって、先生はどうであれ、いいトレーナーでした。だからこの件でトレーナーを諦めることなく続けて欲しい>って」

 

 

 

ああ、そういえばそう言われてたな。

 

 

 

ふと、あのころのことを思い出した中田。

 

 

 

あの時、事件への直接的な原因となっていた先輩へはともかく、中田へは元のメンバー達は優しかったのだ。

 

 

 

 

 

あの子の死を無駄にしないで、生徒の安全を考えられるトレーナーになってください。

 

 

あの子だって、先生がトレーナーを諦めることは望んで居ないはずです。

 

 

 

 

 

その声に耳を背け、一応形としてはトレーナーになったものの、トレーナーになることを避けてきた中田。

 

 

 

 

そういえば……、と元キャプテンは語り出す。

 

 

 

 

「私、柔道整復師の資格とったんですよ」

 

「えっ、すごいじゃん」

 

「私、あの子の事件があってから、すごく悩んだんです。取材攻勢が強くなって学校に居られなくなった後、普通の高校生に戻った時<ああ、私って結局何が出来るんだろ………>って、私はそれまで走ることしか考えていなかったし、結局ずっとこのままアスリートとしてやっていくにしても、私の結果だと同い年の子や、それより上の人と戦っていく中で、上手くいかないなぁって、でも何も出来ないのは悔しかったんです。」

 

「それで柔道整復師を?」

 

「まぁ、それもそうなんですけど、実はトレセン辞めてから足が痛いことがあって、その時にお世話になった接骨院の先生とよく話すうちに、やっぱり私は走ることが好きで、どうにかして走ることに関わりたいって思って、そう思っていたら、その先生がウマ娘はその過酷なレースで脚を痛めることが多くて、柔道整復師はそういうウマ娘達を支えていける職業だって教えてもらって…、私がキャプテンをやっていたのも、自分の走りとかでチームを支えたいって思っていたからで、自分の性格的にあっているのかな?って思って……、そこからは、大学探したりとか勉強したりして、なんとか大学に入れて、資格も必死になって取ったって感じですね」

 

「よく1年無い中で決められたね」

 

「先生に数学はよく見てもらいましたから」

 

 

 

 

 

そうやってにこやかな表情を見せる元キャプテン

 

 

 

この子は今医者を目指して浪人中なんですよ、本当は文系の方が出来るけど、レース中の事故で亡くなる人を無くしたいって決意して……

 

 

 

この子は救急救命士を目指してるんです。あの子を助けようとしていた救急救命士さんに憧れたらしくて、専門学校に通っているんです。

 

 

 

 

写真を見せながら説明をする元キャプテン。

 

 

 

 

その顔は晴れやかだ。

 

 

 

 

その顔を見て、中田思った。

 

 

 

<嗚呼、彼女たちは事件のあともひとつずつ前に進んでいるんだな>

 

 

 

 

急に今まであの事件の周りでウロウロしていた自分が恥ずかしくなった。

 

 

 

 

「そういえば、先生は今何してるんですか?」

 

 

 

その質問は2度目だった。

 

 

 

 

マスコミの取材攻勢が一段落ついた後、三回忌の時に彼は教師になる予定だと伝えた。

 

 

 

 

 

その時の彼女たちの表情は、少し落胆が含まれていたと思う。

 

 

 

 

 

彼女たちは本気で中田にトレーナーになって欲しかったのだろう。

 

 

 

 

だからあの時、中田の発言に落胆の表情を見せた

 

 

 

 

だが、今は違う。

 

 

 

 

中田ははっきり自信を持って言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕は、サトノダイヤモンドのトレーナーになったんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「むぅー、トレーナーさんったらお墓参りに来たと思ったらウマ娘さんと話してますね……、元居たチームの方なんでしょうか……」

 

 

 

 

 

ウマ娘の耳は良い。

 

 

 

 

人間の捉えられないような音まで正確に捉える。

 

 

 

 

だから話し声も聞こえていはするのだが、風が吹いているのか、良く聞き取れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「えっ!?、あのサトノ家の方ですか!?」

 

「うん、そうだよ。」

 

「えっ、どうやって??」

 

「いやぁ………、なんというか……、逆スカウトに近かったのかな?、あれは……」

 

「まぁ、そうみたいですね………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あそこに居ますし」

 

 

 

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

 

ぴょこんと鹿毛の耳が植え込みに見える。

 

 

 

 

 

 

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「えへへ……、見つかっちゃいました………」

 

 

 

 

 

後頭部に手を当てながら、申し訳なさそうに出てきたのは、紛れもなく自分の担当ウマ娘のサトノダイヤモンドだ。

 

 

 

 

 

 

「えっ?、まさかずっと着いてきていたの?」

 

「えっと……、すみません……」

 

 

 

 

申し訳なさそうに下を向くサトノダイヤモンド

 

 

 

 

「あなたがサトノダイヤモンドさん?」

 

「はい、私がサトノダイヤモンドです」

 

「先生を逆スカウトしたんだって?、いい目をしているわね」

 

「あ、貴方は……」

 

「あ、私は先生がサブトレーナーをやっていたチームの元キャプテンよ、今は学生だけどね」

 

「じゃああなたが初めてトレーナーさんの指導で勝った方なんですか?」

 

「まぁ、そうなるわね」

 

 

 

遠い目をする元キャプテン。

 

 

 

 

 

お墓でずっと話すのもなんだし、移動しよっか?

 

 

 

 

 

中田の提案に頷き、3人は近くのカフェに移動することにした。

 

 

 

 

 

 

 






次回に続きます。
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