遺失物管理部を後にし、はやての執務室で談笑するなのはとはやて。2人はキングメーカー初号機からもたらされた情報をまとめ今後の捜査に役立てようとしていた。
「さて・・・じゃあなのはちゃん。対策本部が立ち上がるまではもとの部隊で頑張ってくれな。私は個人でキングメーカーを探してみる。」
「うんよろしくね。」
「はぁ・・・とにかくまずは初号機の移送やな。AIは成熟しとるし情報提供元として利用せなあかん。」
「レイジングハートとは関係が無さそうだったね・・・」
「まだわからんで。モチーフになった可能性も十分あるし。」
「そうだよね・・・まぁ対策本部が立ち上がったら頑張るよ。」
「まぁそうそう見つかるもんでも無さそうやし気長にやるしかなさそうやな。」
「・・・でも初号機さんみたいに勝手に起動するかもよ?」
「そりゃ相当運が悪いとしか言いようがあらへんな。」
はは・・・と苦笑する2人の間を割くように突然通信を知らせるアラームが鳴り響く。驚いたのも束の間はやては回線を開き通信を聞く。
「はい・・・はい・・・え、そうなんですか?それじゃあ・・・はい・・・はい・・・」
「・・・。」
「わかりました。捜査を開始します。はい。失礼します。」
「どうしたの?」
「なんかちょっとよくわからない誘拐事件や。」
「ちょっとよくわからない?」
「なんでもな。赤ちゃんが捨てられたらしいんよ。捨てられたってわかって探しに行って数時間したらいなくなってしもたんやて・・・」
「えっ・・・赤ちゃんが・・・」
「うん・・・私ちょっと行って来るな。」
「うん。行ってらっしゃい。」
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場所はミッドチルダ西部の小さな村。ここで赤子の遺棄事件があったらしい。はやては遺棄事件捜査本部を立ち上げ、数人の捜査員を引き連れ赤子を捨ててしまった家族に事情聴取を行っていた。
「私の家は貧しく・・・出来た子供を育てる自信がなかったんです・・・だから捨ててしまって・・・後から大変な事をしてしまったと思い捨てた場所に戻ったんですがもういなくなっていて・・・」
「なるほどな。連れ去った誰かが居ると。」
「お願いしますあの子を取り戻したいんです・・・もう愚かなことは致しません・・・!」
「わかりました。御協力感謝します、赤ちゃんは必ず見つけ出しますのでお任せください。」
はやては捜査員に指示を出し家をあとにする。捜査員達は赤子を捨てた森の中を捜索しに行く。家族に捨てた場所に案内させ現場検証をする事になった。
「(初号機の話を聞いた後だとどうしてもキングメーカーのことがチラつく・・・アカンアカン分けて考えへんと捜査の邪魔になる。)」
森の中は鬱蒼としており、死角が多い。捜査が困難になることを指し示していた。
「こりゃあ一筋縄じゃいかんで・・・」
「八神ニ佐、まずは痕跡を探しましょう。」
「せやな。足跡でもなんでも良い。探すで。」
周辺の痕跡を探し始めるはやて達。鬱蒼としているせいかなかなか痕跡を見つけられずにいた。
「・・・?」
「どうしたんや?」
「いや・・・足跡らしきものを見つけたんですが・・・」
「らしきもの?」
「これを見てください。」
捜査員の1人が見つけた足跡は丸い跡に爪のような3本線が入った薄い足跡だった。
「足跡にしては薄すぎるし・・・この形状の四足歩行の獣なんていうのは・・・」
「せやなこれだと人工物や。それに足跡にしても・・・」
発見した薄い足跡を辿ると赤子を捨てた場所を経由し、森の中へ消えていくルートを取っていた。どう考えても赤子を連れ去った犯人だとわかる。
「森の中に消えとるな・・・これじゃ探しようがあらへん。もっと人員が必要やな。」
「そうですね・・・捜索部隊の確保をしてきます。」
「頼むで・・・それじゃあお母さん。私達はこれから捜索範囲を広げます。この痕跡に心当たりはありませんか?」
「いえ・・・あ、でも・・・」
「でも?」
「森には守護者がいると聞いたことがあります・・・人語を理解し、森に潜む守護者が・・・」
「守護者?これまた曖昧な・・・」
「お願いします・・・あの子を取り戻して・・・!」
「わかっとります。全力を尽くしますので今日のところはお帰りください。」
「はい・・・よろしくお願いします・・・!」
「私らも一旦戻るで!」
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翌日、捜索対象が赤子というわけあって捜索は急を要していた。捜索隊は森へと分け入り捜索を続けていたが何の痕跡も見つけられずにいた。
「あまり時間をかけられんで・・・サーチャーを増やすんや!」
「了解!航空隊から増やします!」
「(赤ちゃんの体力から今日中がタイムリミットや・・・連れ去ったやつが赤ちゃんの面倒見れてるとは考えられへん。早よせな・・・)」
「八神ニ佐!西部捜索隊Aチームが痕跡を発見したとの報告が!」
「よし!地点は!」
「G-4です!」
「周辺を重点的に捜索するんや!」
「了解!」
「頼むでぇ・・・」
「八神ニ佐!」
「今度はなんや!」
「敵襲です!Aチームに損害が出たと・・・」
「敵の情報は!」
「不明です・・・突然襲撃を受けたと・・・」
「・・・しゃあない。私が行く。」
「・・・わかりました。お気をつけて。」
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・・・
・・
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地点G-4に到着したはやては捜索隊Aチームからの報告を受けていた。突然襲撃を受けたとの報告だったがAチームはトラップらしきものを踏んだらしかった。この森の中にトラップを撒き籠城している者がいるのは明らかだった。
「(赤ちゃんを攫った者の仕業か・・・?攫った赤ちゃんを守る為・・・?しかしなんの目的があって赤ちゃんを・・・仕掛けてあったトラップも変や・・・爆発系のトラップだったみたいやけど魔法に寄るもの・・・それも非殺傷や・・・ううーん・・・)」
「いったい何が目的なんでしょう。負傷も大したことないですし・・・立て篭もることが目的のような・・・」
「私もそう思う。何にせよこちらを妨害しようとする意思がある者の仕業や。敵の詳細は不明やけど確実にいる。注意せなあかんよ。」
「もちろんです・・・」
「それで・・・見つけた痕跡言うんわどれや?」
「あ、はい。サーチャーでマークしています。足跡です。こちらです。」
「ふむ・・・更に森の奥に進んでいるようやな。」
「そのようです。かなり薄い足跡です。ショックアブソーバーを効かせて体重が掛からない、あるいはとても軽量な何かが歩いているような感じですね・・・」
「確かに・・・隠密に特化されているようやな・・・」
特化・・・と思った所ではやては再び思い出していた。そういえば初号機も都市殲滅という特化したデバイスだったな・・・と。しかしこれもデバイスの仕業だろうかという考えに至るもすぐに頭から消し去った。これは意思ある者の犯行だ。でなければトラップのことも説明が付かない。
「何にしても犯人は近くにおるはずや。みんな気を引き締めてな。」
「了解。」
はやて達は再び森の中を進んでいった・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
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「・・・。」
「八神ニ佐、これで八つ目です。」
「さよか・・・ありがとうな。」
はやて達は森の中を痕跡を頼りに進んで行くと少なくはない数のトラップを解除していた。明らかに多い。はやて達Aチーム7人が進んでいくにつれ数を増していった。
「これは・・・近づいているでええんやな。」
「そうでしょう。この数、解除も簡単なものですが見つけにくい工夫もされています。この先にトラップを仕掛けた張本人がいるはずです。」
「・・・総員、戦闘準備。」
はやての鶴の一声で7人全員がデバイスを構え臨戦態勢を取る。そして少し進むと再びトラップを発見した。
「またトラップですね。解除します。」
「・・・?」
今度のトラップも簡単に解除出来そうだ・・・と感じるもはやては違和感を感じずにはいられなかった。あからさま過ぎる。今までのトラップは見つかりずらい細工がしてあった。しかし目の前にあるトラップは見つけてくださいと言わざるを得ない位置にあった。これが意味することは・・・
「全員伏せろ!!!」
「!!」
はやての号令で全員が伏せようとする。が、トラップを解除しようと前に出ていた局員が間に合わず、森の奥から放たれた直射型の魔法を避けられなかった。
「ぐぎゃ!!!」
「ちぃっ!!みんな殺傷設定や!当たったらただじゃすまんで!」
「早くあいつを運ばないと!」
「今動いたら狙い撃ちされるだけや!!様子を見る!!」
魔法が命中した局員は腹部から出血しているが意識はあるようだ。
「おおい!動けるか!!」
「は、はい・・・!」
辺りの様子を伺うが続けて攻撃される様子は無く。静まり返っている。はやては航空隊へと連絡した。
「敵襲を受けた!負傷者1!!搬送求む!」
『了解!場所はどこです!?』
「地点G-9今信号弾を上げる!!」
はやてが信号弾を上空に放つが次に襲ってきたのは連射型の魔法だった。藍色の魔法弾は7人に襲いかかり辺りの木々を吹き飛ばしていく。
「くぅ・・・!」
『位置確認しました!直ちに向かいます!』
「早よ頼む!!攻撃を受けている!!」
『了解!』
「こっちもやられとる場合じゃない!撃ち返せ!」
「了解!」
魔法弾の応酬となるが敵の正体がわからない。1人なのか複数人なのか。はやては撃ち返しながらも考える敵の正体はなんなのか。いったい何が目的なのか・・・そのうち魔法弾が止み航空隊が到着する。
「大丈夫ですか!」
「なんとか・・・負傷者が1人や。搬送頼むで。」
「了解です。我々は空から敵を探します。」
「まだ近くに潜伏しとる筈や。注意して・・・」
「八神ニ佐・・・あれを・・・」
「んん・・・?あれは・・・」
はやての視線の先には藍色の球体が複数存在していた。それはスフィアでさっきの攻撃はこのスフィアから放たれていたことがわかった。すぐさまそれを破壊し辺りの捜索を始める。
「くっ一杯食わされとったんか・・・!」
「二重トラップ・・・敵はゲリラ戦に長けた相手というわけですな。」
「敵は何が目的なんや・・・そんなに赤ちゃんを取られたくないんか・・・?」
「赤ん坊に何か特別なレアスキルでもあったんでしょうか・・・?」
考えてもわからない。だが赤子の命は今まごまごしてる間にも刻一刻と消え掛かっている。それだけは無視出来ない。
「ともかくや・・・私らはこのまま進むしかあらへん。赤ちゃんの命は今も消えかかっとるんや。」
「わかりました・・・進みましょう。トラップの傾向から近づけているのは確かです。」
「せやな・・・早く赤ちゃんを見つけんと。」
つづく