強欲な杖   作:電動ガン

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出現、藍色の獣2

はやて達は森の中を進む。辺りは夕暮れと化し、赤子のタイムリミットは刻一刻と近づいていた。

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

途中幾度となくトラップに見舞われ、そのトラップを辿るという行為を行なっていたが夕暮れになりトラップの発見率も下がってきている。手掛かりが失われつつあった。

 

「・・・これで21個目・・・まだ敵には辿りつかないんか・・・」

 

「八神ニ佐・・・日も暮れ始めています。捜索範囲を広げるには限界があります。」

 

「せやけど・・・」

 

他チームも合流し、捜索が行われていたが見つかるのはトラップのみで赤子を攫った者は影も形も掴めずにいた。

 

「ここらで尻尾を掴めればええんやけど・・・」

 

「八神ニ佐!」

 

「どうしたんや。」

 

「洞窟を発見致しました!入り口は擬装され隠されていました。犯人はここにいるものかと・・・!」

 

「でかしたで!突入は部隊が揃ってからや!他チームも集めて!」

 

「了解!」

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

「集まったか。」

 

「はい他チーム49人、航空隊24人、集まっています。」

 

「今から敵の本拠地に突入するんやけど準備は?」

 

「出来てます。いつでも突入可能です。」

 

「よし、周囲を固めて。」

 

「了解!」

 

「さて・・・こんだけ騒がしくしとるのに奴さんは出てくる気配無し・・・十中八九気づいとるやろうけど・・・」

 

はやて達は擬装工作のあった洞窟を包囲し、部隊を集めさせた。トラップの主が出てくる様子は無い。

 

「よし!突入や!」

 

「了解!」

 

はやて達突入部隊は洞窟へと押し入った。サーチャーを飛ばしながら洞窟内を掌握していくとすぐに行き止まりになることがわかる。

 

「ッ!行き止まりや!」

 

「止まれ!止まれー!」

 

「八神ニ佐!あれを・・・!」

 

突入部隊は行き止まりの奥で蹲る何かを発見する。しかしサーチャーは捉えておらずセンサーも何も反応していない。困惑する突入部隊を前に洞窟の主は言葉を発した。

 

『wer bist du Warum bist du hierher gekommen?』

 

「八神ニ佐・・・奴はなんと?」

 

「ベルカ語やな・・・私達は誰だ。ここに何をしに来た言うとる。」

 

『Gib mir eine Antwort.』

 

「私は時空管理局ニ佐の八神はやて。ここに赤ちゃんがおらんか?あんたが匿っとるんか?」

 

『existieren. ist mein König.』

 

赤子が無事だと聞いてホッとするはやて。そして続け様に質問をした。

 

「森にトラップを仕掛けたんはアンタか?』

 

『um meinen König zu beschützen.』

 

「我が王を守るため・・・か。」

 

トラップのヌシもわかった。それならばとはやては声の主に今度は交渉を行なった。

 

「なぁ赤ちゃんを返してくれへんか。ここだと赤ちゃんの食べ物も手に入らんし環境も悪い。赤ちゃんが生き延び辛い環境なんや。」

 

『NEIN. Ich bin der Einzige, der meinen König beschützen kann.』

 

「私の王を守れるのは私だけって・・・そりゃそうかもしれへんけど・・・」

 

『Mein König ist noch schwach. Ich kann nicht nach draußen gehen.』

 

「外には出せない・・・?どういうことや・・・?」

 

すると声の主は立ち上がる。その姿はかなり大きな四脚の獣のようであったがメタリックな質感が漂い頭部には藍色のコアが埋め込まれた鉄の獣であった。サーチャーの灯りに照らされた巨躯の背中が開くと中には眠っている赤子の姿が見えた。

 

『Mein König ist schwach. Ich kann den Inkubator nicht verlassen.』

 

「!!保育器・・・まさか、アンタは!」

 

『Mein Name ist Kingmaker Machine 7.』

 

この巨躯の鉄の獣はキングメーカー七番機と名乗った。はやてはあまりにも出来すぎた事象に頭痛を覚えたがなんとか頭を振って頭痛を誤魔化す。キングメーカーと名乗ったのなら話が早い。初号機の事を伝えれば良いのだ。

 

「なぁあんたのところの姉妹機の初号機がアンタ達を集めたがってる。私達に同行してくれんか?」

 

『NEIN. Ich kann nicht gehen, weil mein König hier ist.』

 

「離れる事は出来んって・・・そう言わずに赤ちゃんはこちらで保護するからどうしようもないし・・・」

 

『Ich wusste, dass meine Schwester mich suchte. Aber ich kann nicht zustimmen, es sei denn, du gehst mit meinem König aus.』

 

「ううーん・・・」

 

「八神ニ佐・・・いったい何を話しているんですか?」

 

「ん、実はあのメカは私の知り合いのデバイスなんやけどどうにか投降してくれないか頼んでるところや。」

 

「知り合いのデバイス!?あのメカデバイスなんですか!?赤ん坊を確認した手前手荒な手に出るわけにもいきませんし・・・八神ニ佐、手応えはどうなんですか?」

 

「うん、少々頑固者やな・・・私の交渉テクの見せ所や・・・」

 

はやてはあの手この手を考えるが騙すのは悪手ということくらいしかわからない。ここで魔法戦の応酬ともなれば赤子の安全を保証出来ない。何か手はないか考えるがさりとて良い手がすぐ浮かんでくるわけではなかった。

 

「ううーん・・・せや・・・あんな七番機、その子の親がその子に会いたい言うてるんよ。私達の目的はその子を家族の元へ返したいんや。」

 

『・・・。』

 

「赤ちゃんも家族の元で暮らすんが1番だと思うんよ。それと一緒に七番機も家族の元に帰ったらどうかなぁ?」

 

『・・・。』

 

沈黙が辺りを包み込む。はやては汗を流しながら七番機の説得をする。

 

『・・・Ich habe die Sprache optimiert.』

 

「!」

 

『わかっていました・・・我が王が正式な儀式に則り生まれた王ではない事を・・・私が選び出したとはいえ緊急避難の方便でしかない事を・・・私は私の王が欲しかった・・・』

 

「そうかそうか・・・私達に着いてくれば王を見つける手伝いは充分させてもらうつもりや。私達に着いてきてくれるな?」

 

『わかりました。あなた方に着いて行きます。キングメーカー七番機奇襲型。お供します。』

 

「うんうん・・・赤ちゃんは返してもらうな?」

 

はやては赤子を受け取りこれにて一件落着と汗を拭ったのだった。

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

「ううーん・・・」

 

一件落着とはなったものの報告書は出さねばならない。赤子を家族の元へ返した後キングメーカー対策本部を発足させるべく今回の報告書を急いで作らねばならなかった。

 

「うううーーん・・・」

 

『夜天の主、何を唸っているのですか?』

 

「そりゃあ・・・七番機をどうするかの報告書をやな・・・」

 

『私はどうなっても構いません。』

 

「そうはいかんのよそうは・・・」

 

七番機はスタンバイモードのネックレスの形になっている。あれだけ大型の機体が小さなネックレス形態に納まるのはベルカの神秘といったところか。

 

「初号機にすぐ会わせてやりたいけど手続きがなぁ・・・今は遺失物管理部にあるからーっと・・・」

 

『私としては我が王に会えない事以外は何も問題がありません。」

 

さて七番機はこともあろうか件の赤子とマスター登録をしてしまっていたのだ。こうなるとまた要件が変わってくる。持ち主は赤子の保護者となってしまうのだ。赤子の両親は快く所有権を譲渡してくれたがマスター登録は変わらない。整備にも関わってくる。

 

「なぁ我が王言うとるけどもう会えないかもしれないんやで。」

 

『問題ありません。仕える王がいると言うだけで我々の存在意義が満たされます。」

 

「そうは言うてもなぁ・・・」

 

『整備に関しては私が許可を出すので我が王の手は煩わせず、何も問題ありません。』

 

「ううーん・・・」

 

このデバイス、何も問題ありませんの一点張りであまり話が通じない面がある・・・がこれでも古代ベルカの生き証人なので慎重に対応するはやて。

 

「・・・よし!報告書出来た!・・・送信!はぁー終わりぃー!」

 

『お疲れ様です。』

 

「はは・・・あんがとなぁ・・・次は七番機の保管場所の申請とか対策本部の設置とかの書類作りや・・・」

 

『お疲れ様です・・・』

 

「早く初号機とも会わせてやりたいしな。頑張りどころや。」

 

「私達の為にそんなに・・・!感謝します夜天の主。」

 

「ははは、ええんやで乗り掛かった船やしな。七機全部集めたる。」

 

『本当に・・・ありがとう。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

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