アニメをリアタイで見るために、テレビのある部屋へダッシュしていた子供時代が懐かしいです・・・
『ダンボール戦機』という作品は、私の人生に良い影響を与えてくれた作品の一つです。
これからもずっと大好きです。
アキレス、始動
暖かな夕焼けの光が少しずつ藍色のベールによって包まれる。もうすっかり夕暮れ時だ。母親に叱られまいと、自分を追い越し走り去る子供達も気にせず、少年はぼんやりと考え事をしながら住宅街を歩いていた。
ロボットには感情がない。自分の意思ももたない。
本当にそうだろうか。少年は思った。
彼は、Little Battler eXperienceー通称LBXを、他の誰よりも愛していた。
LBXとは、コアスケルトンと呼ばれる基本動作部に、アーマーフレームを装着し、CCMと呼ばれるコントローラーで操作する、ホビー用小型ロボットだ。
2050年現在、LBXは最高のホビーとして世界中に広まっていた。誰もが自分のLBXを持ち、あらゆる衝撃を吸収するという大発明、強化ダンボールによって作られたバトルフィールドの中で、LBX同士を戦わせる遊びが大流行していた。少年の友達も皆、自分のLBXを持っていたが、彼は母親からLBXで遊ぶことを禁止されていた。
しかしつい最近、ひょんなことからLBXを手に入れた彼はこの日、同じ中学の番長に盗まれたアーマーフレーム、『アキレス』を取り戻すべく、2人の親友と共にミソラ第二中学校の不良グループ、「ミソラ四天王」とバトルをしていた。その帰り道、バトルの最中に聞こえた声が、どうしても忘れられなかった。
「ミソラ四天王」のリーダーで学校の番長を張っている人物は、LBX『ハカイオー』を操り、「地獄の破壊神」と呼ばれ恐れられているLBXプレイヤーだった。彼から示されたバトルの条件として、少年は『アキレス』を装着し、仲間の二人と共にバトルに挑んだ。1vs3という少年側が有利な状況でのバトルであったが、仲間の一人のLBXが破壊され、相手の力強い攻撃に苦戦し、どうやって勝てばいいのか分からず諦めかけていたその時、少年は声を聞いた。
『諦めるの?』
その声に反応してLBXを操作する端末のCCMを見ると、アキレスは受けきれないと思われていたハカイオーの強力な一撃を、しっかりと受け止めていた。
『確かに、僕たちはまだこの二人より弱い。でも僕は諦めないよ。だから、君も諦めないで。』
その言葉によって少年は最後まで戦う覚悟を決めた。そしてもう一人の仲間と協力して、見事ハカイオーを倒し、『アキレス』を手に入れたのであった。
あのとき聞こえた声。自分以外には聞こえていなかったようだが、あれは確かにアキレスだったと少年は確信していた。あの時アキレスは、諦めかけていた自分に見兼ねてあのようなことを言ってきたのではないか。もっと彼の声を聞きたい。早くバトルがしたい。少年は自分の心を躍らせた。
しかし、破壊された仲間のLBXの無残な姿が頭をよぎる。自分が戦いに巻き込んだせいであんなことが起こってしまった。途端に罪悪感が少年の頭を埋め尽くした。
「俺のせいでカズのLBXが・・・」
『相当落ち込んでたよね』
「うん・・・・・・・ん?」
肩にかけている鞄から聞き覚えのある声がした。恐る恐る鞄のチャックをつかみ、開ける。声の主は開けた瞬間に目に映ったものだった。
『さすがの僕も何て言ったらいいかわからなかったよ。適切な言葉のデータもないしね』
ああいう場合はどうすればよかったのかな、と聞いてくる自分の相棒を、少年は唖然とした顔で見つめる。やがて信じられないといった表情を隠すことなく、少し震えながら話しかける。
「アキレスが・・・喋ってるの・・・?・・・本当に?」
『?うん。僕はコアスケルトンAX-00・アーマーフレームアキレスだよ。よろしく』
「・・・!!アキレスが喋ってる!!すごい!!なんで!?俺・・・っ、夢見てるのかなぁ!?」
少年の興奮は収まることはなかった。しかしここは住宅街。騒ぎ立てる声は周りの家に確実に聞こえているだろう。頬をつねるだけでは足らず、拳で自身の顔や頭を殴ろうとする少年に対し、アキレスはきいた。
『ねえ、僕はちゃんと自己紹介したよ。一応レジストされてあるけどさ、今度は君の名前、教えてよ。』
アキレスの言葉にハッとなった少年は慌ててアキレスに向き直る。落ち着くために、少し長めに深呼吸をした少年はアキレスをまっすぐに見つめいった。
「俺の名前は山野バン!よろしく!」