カズが立ち直り、3人はまたいつものようにキタジマへ訪れていた。しかし今回はLBXバトルをするだけでなく、カズの新しい相棒を決めるため、LBXに関する情報が掲載されている雑誌、「LBXマガジン」を読んでいた。それを参考に、ストライダーフレームにナイトフレーム、ブロウラーフレームやワイルドフレームなど、様々なLBXを検討するも、どれも決定打に欠ける。結局、カズのLBXは決まらぬままとなってしまった。
「山野バン君だね」
3人が店から出ると、突然知らない男性に話しかけられた。高級感のあるネイビースーツを着用し、端正でいて男らしさを感じる顔立ちをした金髪の男だ。彼は、宇崎拓也と名乗った。
バンは突然話しかけられたことに驚きつつも返事をすると、優秀なLBXプレイヤーの君たちに見てほしいものがある、と言われる。普通なら見知らぬ人に話しかけられてついて行くようなことはしないが、"LBX"と聞いて3人は男の話に興味を持つ。
ついて行った先はキタジマと同じ商店街にある喫茶店、「ブルーキャッツ」だった。店内に客は一人もおらず、いるのはこの店のマスターと思われる人物だけだった。
カウンター席に案内され、アミ、バン、カズの順で座る。裏の方へ行ってしまった拓也を待つ3人の前にドリンクが置かれる。頼んでもいないコーヒーが置かれ困惑していると、マスターから奢りだといわれた。
そこでバンは店に来て初めて彼の顔を見た。深い紺色の少し長めな髪で、顎の髭やかけている小さな丸いレンズのサングラス、落ち着いた表情などからバンはいかにも"大人"という感じの人だな、と思った。
「あ、ありがとうございます。えっと···」
「檜山蓮だ」
「ありがとう。檜山さん」
頭の中に彼の名前をインプットしながら、バンはコーヒーを口に含む。砂糖とミルクはほんの少ししか入っておらず、バンには少し苦い味だった。
「君のLBXを、見せてくれないか?」
「え?はい」バンはカバンからアキレスを取り出し,カウンターへ置く。
「触っても、いいかな?」
「えっ、うん。いいけど・・・」檜山はアキレスを手に取り,まじまじと見つめる
「アキレスっていうんだ」
「・・・すごいなこのLBXは」
「えっ、見ただけでわかるの!?」
「ああ。パーツは最新式、機体のバランスもいい。それに、メンテナンスも十分にしてあるようだな。」檜山はそう言ってバンにアキレスを返す。
「うん!こいつはすごいLBXなんだ!やっと手に入れた俺のアキレス・・・」
「でも、アキレスがすごいのは機体性能だけじゃないんですよ!」アミは檜山にいった。
「そうそう。そうだよな、アキレス」カズがアキレスへと顔を向ける。
『ふふん。まあね』
突然アキレスが話し出したことに檜山は目を見開く。そんな彼の様子に3人は顔を見合わせ、いたずらが成功した子供のような笑みを浮かべる。
すると、拓也が何かの箱を持ってカウンターへ戻ってきた。何やら楽しそうな子供達と、白いLBXを見つめたまま茫然としている友人の様子を見て、どうしたのかと声を掛ける。その声にはっとした檜山は拓也の方へ顔を向ける。
「こいつは・・・とんでもないことだぞ」
「は?」
「マイクか何かで話しているわけじゃないよな?」
『違うよー』
「・・・は??」
『理由は僕にもわからないんだけどね、気づいたら話せるようになってたんだよ』
「・・・は???」
拓也の反応にとうとうバンたちが吹き出した。
「・・・まさかLBXが意思を持つとは・・・信じられん」
「こんなに驚いたのは久々だ」
拓也はまだ少し半信半疑な様子だったが、檜山は口元に手をあてくつくつと笑う。
そんな二人を楽しそうに見つめる3人だったが、ふとカズが拓也が持ってきた箱に目をやる。カズの視線に気づいた拓也がコホンと咳払いしいった。
「君たちに見てもらいたいものはこれだ」
それはLBXのパッケージだった。名前は『ハンター』。フレームタイプはワイルドフレーム。灰色の狼のような外見で、手足の鋭い爪や、背中にある棘のようなミサイル、大きな尻尾に右目についた赤い傷が特徴的な、長距離射撃専用LBXだ。
雄々しくもどこか品格が感じられるハンターの姿にカズが見惚れ、思わず感嘆の声をもらすと、拓也から組み立ててみるか、と提案される。カズは嬉しそうに頷き、パッケージを開封して組み立て始めた。
やがて作業が終わり、カズはふ、と息をつく。完成したハンターをカズにバン、アミは目を輝かせて見つめる。しかし拓也と檜山は真剣な表情で、互いに目を見交わして頷いてから拓也がいった。
「君たちに来てもらったのは、単にこのLBXを見せるためではない。」
3人は顔を上げて拓也に目を合わせた。
曰く、最近新しく就任した総理大臣の就任記念パレードが明日行われるのだが、そのパレードを利用し大臣の暗殺を企む組織が存在しているという。その暗殺を阻止するために、バンたちに協力してほしいというのだ。あまりに突拍子もない話に、3人は当然驚愕する。
さらに詳しく話を聞くと、総理暗殺にはLBXが使われるようで、その暗殺用LBXに対抗するため、優秀なLBXプレイヤーであるバンたちの協力が不可欠だという。
総理暗殺。そのためのLBX利用。容易に信じられる話ではなかったが、まっすぐな目をした拓也から、はっきりと事実であることを告げられる。バンはカウンターに置かれたアキレスに目をやり、眉を顰め、きつく拳を握りしめる。断られても仕方がないが、と前置きをしながらも協力を求める拓也の言葉を耳に入れながらしばらく考えた後、バンは顔をあげ拓也にいった。
「俺、やる」
『!』
「「バン!?」」
全員の視線が一斉にバンへ集まる。
強い決意が感じられるバンの顔を、拓也と檜山は表情を変えずに見つめた。
「やってくれるのか。危険な任務だぞ」
「うん。・・・でも俺、LBXを使って悪いことをするのは許せないんだ!だから・・・!」
『···』
拓也に言われてもなお、バンは真剣な表情を一切崩さずに言い切る。そんなバンの姿を見て、アミが意を決していった。
「私もやります」
「えっ」バンとカズが同時にアミへ顔を向ける。
「バンだけに行かせるわけにいかないでしょ。友達なんだから」
「アミ・・・」
アミの表情には、強い覚悟が現れていた。カズは二人から顔を逸らして俯く。拓也から君は、と聞かれても、暗殺者を相手にする恐怖から、なかなか決断できなかった。しかし、協力の条件としてハンターを与えることを提案されると、カズは再び考え込む。そして、ついに決断した。
「・・・なら、俺やってもいいかな」
バンはアミと帰路についていた。が、二人の間に会話はない。二人とも地面を見つめ、無言で歩いていた。結局家に着くまで二人が話すことはなく、じゃあ、とお互いに声をかけただけで別れた。
バンは家に入りなるべくいつも通りに母親へただいま、と言う。バンに続いてカバンから顔を出していたアキレスもただいま、といった。
バンの母親である山野真理絵がリビングから出てくる。バンたちの姿を見て微笑み、おかえり、と声を掛けた。
「アキレス、ちゃんと挨拶できて偉いじゃない」
『・・・色々教えてもらったからね!』
バンは目線を斜めに下げてあまり母の顔を見ようとせず、早々に洗面所へ向かった。そんなバンの様子に少し違和感を感じるも、夕飯の支度中であったため真理絵はキッチンへと戻った。
バンは手をいつもよりしっかり目に、ごしごしと洗う。それでも、手が綺麗になる感覚がしなかった。バンは母に隠し事をする後ろめたさから、帰り道からずっとモヤモヤとした気持ちを抱えていた。明日のパレードのことは家族にも言わないようにと、拓也から口止めをされていたのだ。
バンは真面目で素直な性格なので、嘘や隠し事は苦手だった。ちょっとした嘘でも、アミやカズ、そして特に母にはすぐに見抜かれる。
リビングに入ると、真理絵が夕飯をテーブルへ並べていた。カバンをソファに置いてから、手伝うよ、と声を掛けてバンは棚からフォークとナイフを取り出す。
「あら、ありがとう。今日はバンの大好きなハンバーグよ」
「・・・うん!」バンは無理に明るい声を出して応えた。
食事の間もバンの表情は晴れなかった。真理絵はチラと自分を見るバンに気付き声を掛けるも、バンは視線を逸らして何でもないと言う。そんなバンの様子に何かあったと真理絵は確信する。バンはこれ以上追及されないよう、母へ一言かけて好物であるハンバーグを残し、カバンを持ってリビングを出る。部屋を出て行く息子の背中を、真理絵は怪訝な顔で見つめた。
バンは部屋のベッドに座り、アキレスを手にした。自分を見つめたまま何も言わない主人に、アキレスはいった。
『···君は僕の持ち主だから、基本的には君の気持ちを優先するつもりだけど』
「?」
『それでも、君やみんなが危険な目に遭うのは嫌だよ』
「···」
『そんなに思い詰めるくらいなら、やらなきゃいいじゃん。どうして、···どうしてあんなこと···言ったの?』
そこまで言って、アキレスは黙り込む。すると、そこまで何も言わなかったバンが微笑みいった。
「俺、LBXが大好きなんだ。···LBXは、死んだ父さんとの唯一の絆だから。」
『父さん…昨日写真で見た人だよね?僕らを作ったっていう・・・』
「うん。・・・俺、LBXをやってると父さんと繋がってる感じがするんだ。それに、楽しそうにLBXで遊んでる人を見ると、こっちまで嬉しくなる。父さんがLBXを作らなかったら、あの笑顔はきっと見られなかったんだろうなって思うから。」だから、といって一旦言葉を置いてからバンはゆっくり瞬きして、またアキレスをまっすぐに見つめる。
「だから、俺にとってLBXは大切な宝物なんだ。それを使って悪いことをしようとする奴がいるなら、俺が絶対に止めて見せる」
『・・・っ』
バンの強い眼差しと揺るぎない意思のある言葉に、アキレスは圧倒された。やがてバンは表情を緩めて微笑む。
「アキレスと出会ってから、驚くことばかりだね」
『・・・うん。そうだね』
窓から流れ込む月の光が二人を照らす。バンが寝支度を済ませおやすみ、と言ってからCCMのボタンを押した。アキレスは意識が薄れていく中、今日のこの会話を、自分はこの先ずっと忘れないと思った。
総理大臣就任記念パレード当日、バン、アミ、カズは指定された時刻通り、ブルーキャッツへと集合していた。バンとアミが必ず総理暗殺を阻止しようと意気込む中、カズは一人浮かない顔をしていた。
話を聞くと、ハンターの狙撃命中率が芳しくなく、これからの任務に不安を感じているという。そんな彼をバンとアミが励まし、3人でハンターの射撃練習をしようと提案するも、パレードの開催時刻が急遽早まったことからそれは叶わず、拓也の車ですぐさま会場へと向かった。
会場に到着した後、バンたちは三手に分かれて暗殺用LBXの捜索へ向かった。バンが機転を利かせそのLBXがいると思われる建物を予測し、合流したカズがハンターの照準機能で確認すると、暗殺用LBX『アサシン』を発見した。パレードは今しがた開始したばかり。大臣がアサシンの射撃範囲へ入る前に暗殺を阻止すべく、3人は建物の中へ入る。カズがアサシンを発見し、ハンターの照準を慎重に合わせる。そして、アサシンのライフルを撃ち抜いた。
しかしそれはダミーであり、本物のアサシンは別の場所にいることが発覚した。
このまま振り出しに戻るのかと思いきや、今いる場所の正面にある高いビルに目を留める。拓也の指示でそのビルをハンターで確認すると、またもアサシンを発見。バンはアミと直接ビルに乗り込み、カズはこの場所からアサシンを狙撃するという作戦を提案するが、ハンターの命中率に自信のないカズは当然尻込んだ。
そのビルは今いる場所からはかなり離れたところにあり、カズはさらに不安を覚える。
「大丈夫!カズならできる!」
「そうだよ!あなたとハンターのコンビならいけるわ!」
「そんな・・・」
「カズ、俺はお前を信じる!」バンの言葉に続いて、アミが強く頷く。
「・・・・・・わかったよ」
カズはまだ不安を感じていたが、自分を信じると言い切ったバン、そしてアミを見て渋々ながらも了承した。拓也から連絡が入り、バンとアミはすぐさまビルへ向かおうとするも、ちょっと待って、とアキレスが二人を呼び止める。
『カズに言いたいことがあるんだ』
「俺に・・・?」
『どんなことがあっても、僕たちがいるってこと、忘れないでね』それだけ、といってアキレスは何も言わなくなる。そしてバンたちはビルを目指して走り出した。
カズはアキレスの真意がわからなかったが、二人の姿が見えなくなってからもう一度ハンターの照準を合わせ始めた。寸分の狂いもないように、アサシンに狙いを定め、引き金を引く。ハンターライフルから放たれた銃弾は、アサシンの持つライフルに直撃し、破壊した。カズは命中したことに喜び飛び上がる。しかしその瞬間、CCMから拓也の声が上がった。
「カズ、気をつけろ!!ハンターが狙われている!!」
カズがすぐにビルを見た直後、ハンターへ向かって銃弾が飛んでくる。アサシンは予備のライフルを装備し、飛んできた銃弾の方向へ撃ったのだ。すぐにハンターと共に物陰に倒れ込むが、アサシンからの相次ぐ発砲にカズは完全に萎縮してしまった。拓也から落ち着くように言われるも、体の震えは止まらなかった。カズはたまらずバンへ連絡した。
「バン!まだ着かないのか!?」
「カズ、諦めるな!総理を救うためには、お前の力が必要なんだ!」
「俺の力・・・?」
「そうだよカズ!頑張って!」
震えは完全には止まらなかったが、カズはもう一度CCMを握り締める。ハンターを操作しアサシンを狙うが、狙いは外れてしまった。
再びアサシンから狙われ、カズはまた壁にしゃがみ込む。怖い。殺される。なんで俺がこんな目に。恐怖に押し潰されそうになる中、思い浮かぶのは二人の親友のことだった。
(俺は・・・バンみたいにLBXのために暗殺者に立ち向かうなんて決心できないし、アミみたいに友達のために自分も一緒に戦うなんて、そんなかっこいいこと言えねぇよ・・・!やっぱり・・・俺じゃ・・・!)
「バン・・・!俺の腕じゃやっぱり無理だ!お前がアサシンを止めてくれ!」
「カズ、絶対に出来る!それに俺たちは一人で戦ってるんじゃないんだ!」
「そうよ!」
「俺たちはチームだろ!」
「!」
(・・・・・・・そうか・・・アキレスの言ってたことって・・・)
カズの震えは今度こそ止まった。しっかりとした顔つきでCCMを見つめ、集中して狙いを定める。
(バンたちの言う通りだ。俺は一人で戦ってるんじゃない。・・・あいつらが、こいつが一緒なら)
照準がアサシンに合わせられる。
(俺だって戦える!!)
ハンターの目が赤く光る。
「!!」
ハンターライフルの銃声が鳴り響く。今度こそ、カズはアサシンのライフルを完全に破壊した。
「やったぜ!!」
「さすがね!」
「後は俺たちに任せてくれ!」
バンとアミはアサシンのいるビルのヘリポートへ到着した。アサシンの姿を確認し、二人はアキレスとクノイチを繰り出す。ハンドガンを装備したアサシンがアキレスたちに襲いかかった。
二手に分かれ、アキレスは装備していたオートマチックガンで応戦し、盾でアサシンからの攻撃を防ぐ。その隙にクノイチが後ろから接近し、ガラ空きな背中に飛びかかった。すかさずアサシンはクノイチを撃とうとするも、クノイチのタイミングを見計らったアキレスが発砲する。アサシンがそれを避けている隙に一気に間を詰め、クナイを振りかざすが、それもあっさりとかわされ、アサシンは取り出した片手斧でクノイチ背中を切り裂いた。
アキレスは倒れ込んだクノイチに銃を向けるアサシンに向かって走り出す。ブロードソードを取り出して飛び、アサシンへと突き刺す。その一撃によってアサシンは膝をつき、完全に停止した。
「やった!」バンたちが喜ぶのも束の間、拓也が声を上げる。
「バン!今すぐアサシンから離れるんだ!!」
拓也の声にいち早く反応し、アキレスは動けないクノイチを抱き抱え、その場を離れる。アサシンは内側から爆破し、凄まじい爆発音が鳴り響いた。
こうして、新総理大臣暗殺事件はLBXを操る少年たちの活躍により、未遂に終わった。
「バン!アミ!」
「「カズ!」」バンとアミは、拓也とともに迎えにきたカズに駆け寄る。
「やったな!」
「ああ!」
「ええ!」
『みんなお疲れ様』
「バン、アミ、それにアキレス、本当にありがとう。お前たちが励ましてくれたおかげで、俺、大切なことに気付けたよ」
『・・・そっか』
「おう、俺にはお前らが、そして・・・こいつがいるってな!」カズはハンターを取り出す。
「ハンターとカズ、大活躍だったわね!」
『・・・当然だ』
「おう!・・・・・・・・・ん?今の声、誰だ?」
バンたちはきょとんとして互いに目を見合わせる。アミは息を呑んでいった。
「もしかして・・・・・ハンター?」全員の視線がハンターに集まる。
『・・・そうだ』
「「「『えええええええええええええ!?』」」」
「ハ、ハンターが・・・っ、ハンターがしゃべっ、ハン・・・っ、しゃべっ、」
「カズ!落ち着いて!」
「ハンターまで話せるようになるなんて・・・・・・いいなぁ・・・」
しばらく子供たちの様子を見守っていた拓也だったが、盛り上がるにつれて周りからの視線が増えていることに気付き、とりあえず車に乗るように促す。拓也によって3人は冷静さを取り戻し、車に乗り込んだ。
拓也は車を発進させ、ブルーキャッツへと向かう。
カズやバンたちは再び興奮したようにハンターへ話しかける。
「なあ、ハンター、なんで話せるようになったんだよ!?」
「ハンターも話せるなんてすごいや!」
「羨ましい〜!!私もクノイチとお喋りしたい!」
『クノイチもそう言ってるよ。あ、ハンター、僕はコアスケルトンAX-00・・・』
『・・・・・・・』
「みんな、話すのはいいが少し落ち着け」拓也がいった。
「あっ、そうだよな。・・・えっと、ハンター。なんで急に話せるようになったんだ?」
『・・・それは俺にもわからない。』
「そっか・・・」
『・・・青島カズヤ』
「!な、なに」
『先程の操作、見事だった。・・・よく恐怖を乗り越えたな』
「ハンター・・・」
『お前となら、俺はもっと強くなれると思った。・・・これからもよろしく頼む・・・我が主』
「っおう!よろしくな!」
嬉しそうに応えるカズをバンとアミは微笑んで見つめた。
『ふふっ、僕たちも負けてられないね!・・・マスター』
「うん!・・・あれ?アキレス、今・・・」
「アキレスあなた、バンのこと認めてくれたの?」
『・・・・・・・』
「そうなの!?アキレス!!」
『う、うるさいなあ!いちいち言わなきゃわからないの!?』
「ア、アキレス〜!!」
『うわあ!ほっぺたすりすりしないでよ〜!!』
とにかく、とアキレスは重ねる。
『今回はよかったけど、もうこんな危ないことしちゃだめだよ、みんな!』
今回相手にしたのは暗殺者だった。下手をすればこちらが殺される可能性も十分にあった。カズは先程感じていた恐怖を思い出し俯く。バンとアミも、バトルに夢中になり身の危険性を危惧していなかったことに気付き、顔を曇らせた。
バンは正面のバックミラーに映る拓也を見ていった。
「・・・教えてください。どうして俺たちがこんなことを、どうして俺たちでなきゃいけなかったんですか!」
拓也はちらと目線を上げる。バックミラー越しにバンと視線がぶつかった。
「・・・ブルーキャッツに戻ってから話そうと思っていたが」
拓也はミソラ駅周辺にある駐車場に車を駐めた。話している間に、商店街の近くに着いたらしい。エンジンを切ってシートベルトを外し、振り返ってバンと目を合わせる。
「飛行機事故で亡くなった、君のお父さんについてだ」
「えっ、俺の・・・父さんのこと・・・?」
『・・・!』
「実は」
拓也は一度間を置き、表情は変わらず、しかし先程よりもはっきりとした声でいった。
「君のお父さんは生きている」