優等生に沢山のイケナイ事を教え込む話 作:フェニラン特製豆腐
渋谷の街に存在するとある一軒家。
そこでは悍ましく、とても恐ろしい拷問が行われていた……。
「くはははは、今日こそ観念するがいい優等生ィ」
カーテンに閉ざされた僅かな灯りしかない暗い部屋。
その暗い部屋で佇む青年の手には赤い何かが握られていた。
……青年の歳は十七歳ぐらいだろうか? 灯りに照らされたその面持ちはかなり整っているものの鋭い目をしており、とても邪悪な笑みを浮かべている。
きっと、女子供がその姿を目にしたら泣きわめくくらいには酷い顔だ。
学生服に身を包んだ銀の髪に紅い瞳、物語の吸血鬼のようなその容姿。
「佐久夜、早くソレを渡して」
そんな佐久夜と呼ばれた青年をベッドに腰掛けながら冷めた目で見つめる少女が一人居た。
彼と同じくらいの歳の紫色の髪をした人形の様に顔の整った少女だ。あらゆる感情を一切感じないようなその表情、だが佐久夜はその奥に隠れる苛立ちを見抜いていた。
「この家の家主は俺だ渡す渡さないの意志は俺にある」
「……そんなのいいから、はやく渡して」
「ふはは! そう急かすな、武器は渡そう。それに直に獣が来る……いや、そうか貴様は我慢できなくなっているな?」
哄笑を上げながらもこれは僥倖と心の中で笑みを深め青年――
「さぁ、来たれキャスパリーグ!」
電気を付けて名前を呼べば鈴の音と共に何かが近付いてくる。
きっと、この少女は呼び出されてしまった獣に襲われるんだろう……。
「さぁ武器は渡したぞ、思う存分――我が
ビシッ! と佐久夜が指を差したのはまふゆの髪色と同じ毛並みの猫。
すらっとした体躯のそれは、彼女を見るなり飛びついて甘え始めた。
その猫を不器用に撫でる少女は無表情ながらも満足そうだ。
「……あのさ、せめて反応しようぜ? 格好つけた俺が馬鹿みたいだろ」
「みたいじゃないと思う」
「思いのほかぐさっとくるな、まぁ最初会った時より全然いいし別にいいけどさ……」
猫に集中する少女は視線を合わせずそう言われ、大袈裟にリアクションしながらも穏やかな顔で佐久夜は笑う。
「何がいいの?」
「別に何でもない、それより今日はゲームしてくか?」
「……どっちでもいい」
「じゃあ俺の勝ち越しって事で、また明日も遊びに来るがいい」
「やっぱりやる」
「ふっそれでこそ、ハンデはいるか?」
「いらない」
即答する彼女。
それでこそと思いながらも彼はこう続ける。
「そうか、なら存分にボコボコにしてやろう。貴様の母君には連絡済みだから夜更かしもするぞ」
「奏達との用事あるから夜には帰る」
「そうか、宵崎さん達によろしく頼む」
「分かった」
それから猫が満足して何処かに行くまで遊んだまふゆは、佐久夜が持ってきたゲーム機のコントローラーを手に持ち、慣れた手つきで動かし始めた。
「さぁ、今日も宴を始めようじゃないか」
――これは、悪い悪い青年が優等生の彼女にイケナイ事を教え込み堕落させる物語である。