最強の幼馴染   作:なゆさん

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短いです。


遭遇、そして戦闘

更木と一護の戦闘が終わった。決着は相打ち。予想を上回る一護の成長に、私との戦闘でしか外れなかった更木のリミッターが、少しだが外れたようだ。今は死に体だが、治療が済めばかなりのパワーアップをしていることだろう。まぁ実際は本来の力の一部が解放されただけだが。

 

「……でも、何で?」

 

更木は私との試合の時、本来の力全てが解放される。にも関わらず、試合が終わればまた閉じてしまうのだ。しかし、今回は解放されたまま戻る気配はない。いったい何が違うというのか。

 

「……考えても仕方ない。」

 

今は別の事に思考を回す。旅禍達への手助けは不可能である以上、私が今すべきは藍染の捜索だ。更木の戦闘は気になったからついつい観てしまったが、これからは本格的に動かなければならない。何しろ相手は浦原をも罠に嵌めた男、後手に回り続ければ碌な結果にならないのは明らかだ。

私は気を引き締め、藍染の捜索に乗り出した。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

――地下水道にて

 

「……どういうつもり?」

 

私は尋ねる。私の視線の先の人物は、

 

「貴方は今後の計画の妨げになる。恨みはないが、ここで消えてもらう。」

 

殺気を放ちながらその男、東仙要は剣を構えた。

 

 

 

事の発端は数時間前。

私は藍染の足どりを追うべく、いつもはみんな寄り付かないような隠れ家的な所がないか探していた。

しかし、一通り探してもそんな所は見つからず途方に暮れていた。

その時、四番隊が管理している地下水道に目をつけたのだ。まぁ結局その地下水道にも手がかりはなかったのだが。

流石に手がかりがない中探すのは無理かと諦めて帰ろうとした。

その時、いきなり目の前に戦闘態勢に入っている東仙が現れた。

 

 

 

私は刀を突きつけられたまま、東仙を睨む。

 

「……私に勝てると思ってる?」

 

「――あぁ、貴方は私の卍解を知らないのだったな。普通に戦えば確かに私に勝機はない。だが、我が卍解ならばどれほど力の差があろうと関係ない。たとえ貴方が相手だろうとも確実に勝利できる。」

 

そして、東仙は刀に付いている輪っかに手を添え、卍解を発動した。

 

「……ん。」

 

私は刀を構え、警戒心を最大まで高めた。私相手にこれだけの自信だ。どんな卍解がきてもおかしくない。

 

「卍解 【清虫終式(すずむしついしき)閻魔蟋蟀(えんまこおろぎ)】。」

 

東仙がそう唱えた瞬間、私から聴覚と視覚、嗅覚が奪われた。

 

―――なるほど。初手から卍解などと大胆な事をすると思えば、感覚を奪う卍解か。霊圧も感知できなくなってる。恐らく、東仙だけが制限なく動けるのだろう。随分面倒臭い卍解だ。

 

『中野ハクナ、貴方の力は危険すぎる。藍染様でさえ迂闊に手を出せない存在。そんな貴方を、計画を進行させる大事な場面で、これ以上野放しにはしておけない。ここで確実に斬らせてもらう。――と言っても、貴方には聞こえていないだろうがね。』

 

深呼吸をして、自分の内に意識を集中させる。

 

―――瞬間、首元に僅かな風圧、咄嗟に回避するが、首の薄皮が斬り裂かれた。

やはり、触覚はある。相手が行動する事で発生する小さな風圧。最大限集中し、それを掴めさえすれば、ギリギリ躱せる。

 

『――本当に恐ろしい女だ。剣から出る風圧を察知し、ほんの一瞬で私の剣から逃れてみせた。まさか私の剣速よりも速い体捌きとはな。』

 

一応これで東仙の攻撃は凌げる。だがこのままではジリ貧だ。ここでの最適解は―――

 

『……なるほど、居合か。』

 

斬魄刀を鞘へ戻し、居合の構えを取る。霊力を鞘や斬魄刀に込め、意識を一刀のみに集中させる。さらにそれだけではなく、私の周りに多重に【断空】を発動し、遠距離の鬼道に対策した。

 

『考えたな――だがそれは傲慢だ中野ハクナ。私の剣を見切ったと、私の剣速を上回ったという慢心と己の技量の過信からくる愚かな策。――私は、死神となって今までの長き時の中、全力の剣を見せた事などただの一度もありはしない。』

「………………。」

『――行くぞ。』

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

決着は、一瞬だった。東仙の瞬歩からの最速の剣。東仙要本人をして、生涯最高の一撃とすら感じる程の、完璧な一撃。攻撃が放たれるタイミングも図れない、自分が何処から来るかも分からない中野ハクナが、この攻撃を防げる道理などありはしない。東仙は己の勝利を確信した。

 

 

 

―――だが、いつになっても剣を握る手にある筈の手応えがない。むしろ、何故か腕が動きづらく……

そこまで考えたところで、東仙は自分の右肩が骨ごと斬り裂かれている事に気づいた。そして認識した途端、激痛が東仙を襲った。

 

「ぐぁああああ!!」

 

斬られた者が、斬られたと認識することすら出来ない神速の居合。中野ハクナの剣速は、光すらも超えていた。

 

 

 

 

 

卍解が解除される。

弾けた黒いドームから姿を現したのは、右肩が裂け膝をつき浅く息をするので精一杯な様子の東仙要と、無傷でまるで何事もなかったかのように立っている中野ハクナであった。

 

 

 

 

 

息も絶え絶えで膝をついている東仙に近づく。

 

「……右腕を斬り落とすつもりだったのに。未熟。」

 

私は本人の瞬歩で起こった空気の揺らぎを察知し、右腕を斬り落とすつもりで剣を振るった。だが、狙いが外れて肩を切り裂いてしまったようだ。私の剣もまだまだ未熟という事だろう。

しかし、東仙にとって致命的な傷なのは間違いない。卍解も解けてしまったようだし、あの様子では剣を振るうのも難しいだろう。

 

「……東仙。藍染惣右介は何処?」

「藍染隊長は死んだ。」

「……とぼけないで。」

「貴方こそ何を言っている?」

「……はぁ。」

 

どうやら、口を割るつもりはないらしい。大した忠誠心だ。

 

「……なら、後は斬るだけ。」

「好きにしろ。敗れた私に価値などない。」

 

私は刀を振り上げ―――悪寒を感じ、咄嗟に後ろに振るった。

 

「止めてくれないか? 彼は、私の大切な部下なんだ。」

「……藍染、惣右介!」

「藍染様…!」

 

私の背後にいたのは、見慣れない黒い外套を羽織り私の刀を受け止める藍染惣右介の姿だった。

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